- 更新日 : 2023年7月14日
クリティカルシンキングとは?意味や鍛え方・コツを解説
ビジネスでは「これまで価値が高かったものが価値を失う」ことがよく起こります。近年のAI技術の発展により、ビジネスは転換期を迎えているといってよいでしょう。
激変するビジネスの世界で生き残るには、多角的、かつ、本質に迫ろうとする考え方が必要です。クリティカルシンキングはなぜ必要か、そのスキルの鍛え方や特徴を解説します。
目次
クリティカルシンキングとは?
「critical」とは、「批判的な」「重大な」「批評的な」などといった意味を持つことから、クリティカルシンキング(critical thinking)は「批判的な思考」などと訳され、マイナスのイメージを持つことがあるかもしれません。しかし、それは誤解であり、クリティカルシンキングは、自分の考えを懐疑的に捉え、客観的な視点から分析し、問題を解決するための思考法です。客観的な視点から分析し、物事の本質を多角的かつ論理的に考える思考法は、多くの場面で活用できます。
変化の激しいビジネスの世界では、これまで価値があるとされていたものが、突然その価値を失うことがあります。ですから、「なぜこうなるのか」「どうしてこのような結果が出たのか」と常に自分に問いかけ、客観的に分析し、さまざまな視点から多角的・理論的に考えることが必要です。このようにして物事の本質を導き出した結論は、周りの人も納得できるでしょう。
ロジカルシンキングとの違い
ロジカルシンキング(logical thinking)は論理的思考と訳されるように、物事を論理的に考えるためのスキル全般が含まれます。ある事象について論点をもれなく整理し、論点を各段階・各要素に分類し、筋道を立てて因果関係を深堀して考えていく思考法です。
理論的思考方という点では、クリティカルシンキングとロジカルシンキングは類似していますが、理論的に考える思考を身につけるだけでは、ビジネスに活かすことはできません。事実に基づき理論的に考えていくだけではなく、常に疑問を持って課題や切り口を考え直し、矛盾点がないかも含めて検討を重ねていくという点が、クリティカルシンキングにはあります。
クリティカルシンキングを活かす場面はある?
常に進化し、新しい技術が開発されるビジネスの世界では、直感や経験だけで判断していてはリスクが大きくなるでしょう。「自分の都合のよい事実だけを重視していないか」「情報は正確なのか」「反論の余地はないか」「新しい技術や考え方が現れていないか」と常に疑問を持ち、さまざまな視点から多角的・理論的に考え、物事の本質を導き出す考え方が必要です。そうして得られた結論には説得力があるため、周囲の人が納得できる伝え方が可能になります。
以下のような場面で判断を迷ったときに、クリティカルシンキングを生かすことができます。
1.新規事業の企画
新規に事業を起こす際には、商品の優位性、市場のニーズ、自社の技術力などさまざまな点を客観的に分析し、問題点や課題を理論的に考えていく必要があります。直感や経験だけで判断すれば、会社は大きな損失を被ることになりかねません。新事業を企画する際には、その分野について広く調査・分析し、問題点や課題があればその原因を深く掘り下げ、解決するスキルが必要となります。
2.部下にリーダーを任せる
部下を新しいポストに就かせる際には、実務経験、成長意欲、保有能力などさまざまな点から、リーダーが任せられるかを懐疑的にチェックし、客観的に判断する必要があります。公平な判断をするには、上司や部下の立場、会社の営業戦略や人材戦略、人材育成など、さまざまな視点に立って、適性を判断しなければなりません。
3.企画会議・取引先へのプレゼン
企画会議や取引先へのプレゼンなどで自分の企画や考えを通すには、ときには相手を説得することが必要となります。ビジネスでは自分の企画に説得力を持たせ、他者に納得してもらうスキルが必要です。多角的・理論的に考え、何度も再考した企画には、説得力が備わるでしょう。
クリティカルシンキングのメリット
クリティカルシンキングを身につけるメリットには以下のことが考えられます。
1.問題解決能力を身につけられる
問題点を明確にし、より適切な解決方法を考えることで、問題解決の精度を高めることができます。また、矛盾点や懸念事項を発見し、それらを取り除いていくことで、問題解決能力を身につけることも可能です。
2.多角的かつ論理的に考えることで新しいアイデアが生まれる
多角的かつ論理的に考えるクリティカルシンキングは柔軟な思考を必要とします。そして、常に疑問に思うことは、新たな視点の発見につながります。客観的な視点は固定観念を排除することにもなりますので、問題解決だけではなく、新しい選択肢やアイデアが生まれることもあるでしょう。
3.周囲へ説得力がある伝え方ができる
あらゆる視点から多角的・理論的に考え、物事の本質を導き出す考え方ができれば、話しに説得力が生まれます。クリティカルシンキングは、問題を解決する力や説得力がある伝え方をする能力の向上につながり、ビジネスの上でも役立ちます。
クリティカルシンキングの鍛え方・コツ
クリティカルシンキングは、鍛えることで身につくスキルと考えてよいでしょう。普段から以下の2つの点を意識することで、鍛えることができます。
1.正確な情報から考える癖をつける
思い込みや固定観念は誰もが持っているでしょう。直感や経験に頼らず、知っていると思っていても改めて確認し、正確な情報を集めることが大切です。そして、思い込みや固定観念を排除するために、正確な情報だけを集め、それらの情報を元に考える癖をつけることで、鍛えることができます。
2.常に疑問に思い、他の可能性を考える
批判的に考えるというとマイナスのイメージのように思えるかもしれません。懐疑的に見るというのは、「なぜそうなのか」「どうしてそうなるのか」と常に疑問に思い、前向きに考える思考法と考えましょう。
クリティカルシンキングで問題解決能力や説得力が向上する
クリティカルシンキングは、何でも批判的に考えるということではありません。自分の考えを懐疑的に捉え、客観的な視点から分析し、問題を解決するための思考法です。常に疑問を持ち、さまざまな視点から多角的・理論的に考え、物事の本質を導き出す考え方ができるようになると、これまで気がつかなかった新しい発見につながります。
クリティカルシンキングは柔軟な思考を可能とするスキルであり、鍛えることで身につけることができます。問題解決能力や説得力がある伝え方が身につくスキルは、ビジネスだけではなく、多くの場面で役立つでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
サテライトオフィスとは?メリット・デメリットや利点を解説
テレワークやリモートワークなど、出社を要しない新しい働き方もすっかり定着しています。そのような中で注目されているのが、「サテライトオフィス」です。 当記事では、サテライトオフィスについて、導入事例やメリット・デメリットなどを解説します。働き…
詳しくみる無期雇用とは?正社員との違い、無期転換ルールやデメリット、契約の注意点
無期雇用とは、雇用期間に定めのない労働契約のことです。有期雇用との違いは契約期間に定めがあるかどうかであり、正社員とも異なります。有期雇用労働者は、一定の要件を満たした場合、雇用主に無期雇用を申し込むことが可能です。 本記事では、無期雇用の…
詳しくみる従業員の個人情報の範囲はどこまで?第三者提供についても解説
従業員の個人情報をどこまで収集・利用してよいかは、多くの企業が悩むポイントです。名前や住所といった基本情報に加え、給与、職歴、健康状態など扱いが難しい情報も含まれるため、どこまで収集可能かを正しく理解する必要があります。また、情報を第三者に…
詳しくみる労働条件通知書はいつまでに渡すべき?発行のタイミングや明示方法も紹介
基本的に労働条件通知書は、雇用契約を締結するときまでに渡すべきです。労働基準法でも、労働契約の締結に際して労働条件を明示しなければならないと規定されています。 ただ「具体的にはいつまでに渡した方がいい?」「社員が入社するタイミング以外にも発…
詳しくみる就業規則の確定拠出年金の記載例・ひな型|退職金規程の変更や届出時の注意点も解説
近年、従業員の老後資産形成を支援する福利厚生として、確定拠出年金(DC)制度を導入する企業が増えています。制度を導入する際には、退職金や賃金に関わる労働条件としての就業規則への適切な規定が、確定拠出年金法および労働基準法上も求められます。 …
詳しくみる会社の鍵をなくしたときの始末書の書き方は?無料テンプレート・例文つき
会社の鍵をなくした場合、迅速かつ冷静に対応することが大切です。この記事では、万が一の事態にも落ち着いて対応できるよう、鍵をなくしたときの具体的な対処法や、始末書の書き方と例文、作成時のポイントを詳しく解説します。作成をサポートする観点で、無…
詳しくみる