- 更新日 : 2026年3月31日
外国人労働者が雇用保険で適用除外となるケースと手続きの注意点を解説
外国人労働者の雇用保険は原則加入ですが、労働条件や在留資格により適用除外となります。
- 週20時間未満または31日未満の雇用は対象外
- 昼間学生や「経営・管理」等の在留資格は対象外
- 適用除外でもハローワークへの届出は全件必須
Q:適用除外なら一切の手続きは不要ですか?
A:雇用保険の加入が不要でも「外国人雇用状況届出」の提出は法律で義務付けられており、怠ると30万円以下の罰金対象となります。
外国人労働者の採用において、雇用保険の手続きに悩む担当者は多くいるでしょう。
この記事では、外国人労働者の雇用保険の加入条件や雇用保険適用除外となるケース、手続きの注意点などを解説します。手続きのミスは罰則やトラブルの原因になるため、正確な知識を身に付けましょう。
目次
外国人労働者が雇用保険で適用除外となるケースとは?
一部の外国人労働者(外国人従業員)は、労働条件が基準を満たさない場合や特定の在留資格を持つ場合、雇用保険(失業保険)の適用除外となります。雇用保険法第六条において、制度の対象とならない働き方や身分が明確に規定されているためです。具体的にどのようなケースが未加入となるのか、「労働条件」と「在留資格」の2つの基準に分けて解説します。
労働条件(労働時間や雇用期間)によって適用除外となる条件
週の所定労働時間が20時間未満、または31日以上の雇用見込みがない働き方の場合は、雇用保険の対象外となります。日本人スタッフと同様に、雇用保険の基本適用条件を満たしていないと判断されるためです。具体的には、以下のいずれかに該当する就労内容であれば加入不要となります。
- 1週間の所定労働時間が20時間未満
- 雇用見込みが31日未満で更新がない
- 季節的に雇用され、4ヶ月以内の期間を定めての雇用、または1週間の所定労働時間が30時間未満の場合
在留資格(留学ビザやワーキングホリデー等)によって適用除外となる条件
学校教育法で規定される「昼間学生」や、「経営・管理」などの特定の在留資格を持つ外国人は適用除外となります。学業が本業である場合や、事業主・休暇目的の滞在など、雇用保険の保護対象とはみなされないためです。身分に基づく適用除外のケースは以下のとおりです。
- 学校教育法で規定される学校・専修学校・各種学校の学生または生徒(昼間学生)の場合
- 在留資格「経営・管理」の保持者
- 在留資格「特定活動」のうちワーキングホリデーの保持者
なお、在留資格「留学」の外国人が昼間学生である場合は適用除外になりますが、「留学」の在留資格自体が自動的に対象外となるわけではありません。夜間学生や休学中の場合などは加入対象となるケースがあるため注意が必要です。
適用除外時の必須手続き(外国人雇用状況の届出)
適用除外となるケースに該当して雇用保険への加入が不要な場合でも、「外国人雇用状況の届出」は義務となります。
労働施策総合推進法により、すべての外国人雇入れ・離職時に国への報告が事業主に義務付けられているためです。適用除外の判断は在留資格と就労内容を確認して適切に行い、漏れなくハローワークへ届出を行いましょう。
出典:雇用保険法 第六条
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そもそも外国人も雇用保険への加入が必要?
原則として、外国人労働者も日本人の場合と同様に雇用保険への加入が必要です。以下の2つの要件を両方とも満たす場合は雇用保険に加入する必要があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
雇用保険への加入が必要かどうかは、労働者の国籍にかかわらず、上記の労働条件にもとづいて判断されます。
したがって、技能実習生や特定技能、技術・人文知識・国際業務などの在留資格を持つ外国人も、条件を満たせば加入対象です。また、外国人労働者がアルバイトやパートの場合も、条件を満たせば雇用保険に入る必要があります。
さらに、雇用契約が31日未満でも、更新の可能性がある場合は加入が必要です。
採用時には、労働契約内容とともに在留カードを確認し、在留資格と在留期間を必ず確認しましょう。在留資格によっては、雇用保険の加入要件が異なったり、そもそも就労自体が認められない場合があります。
加入が必要であるにもかかわらず、誤って雇用保険未加入とした場合、雇用主側に指導や罰則が及ぶ可能性もあるため注意しましょう。
出典:外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく!|厚生労働省
外国人の採用時に必要な雇用保険の手続きは?
外国人を採用する際には雇用保険の手続きが必要となります。必要な手続きを怠ると、雇用主に指導や罰則が及ぶ恐れがあるため、適切に対応する必要があります。
外国人労働者が、雇用保険に加入する場合と適用除外となった場合で手続き方法が異なるため、それぞれ解説します。
外国人労働者が雇用保険に加入する場合
雇用保険の加入要件を満たす外国人労働者を雇用した際には「雇用保険被保険者資格取得届」を管轄のハローワークへ提出する必要があります。
「雇用保険被保険者資格取得届」の記載にあたり、氏名や生年月日など日本人労働者の場合も必要になる事項を含めて、以下のような情報が求められます。
- 氏名
- 在留資格
- 在留期間
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 資格外活動許可または報酬活動許可の有無
- 在留カード番号
- 雇入れに係る事業所の名称および所在地など、取得届に記載が必要な事項
在留カードに書かれている在留資格や在留期間が、記載内容と一致しているか確認しましょう。
提出期限は原則として雇用した日の翌月10日までです。記載ミスや提出遅延が発覚した場合、指導対象となることもあるため、慎重に対応しましょう。
雇用対策法28条で義務付けられている「外国人雇用状況の届出」については「雇用保険被保険者資格取得届」に在留資格などを追記して届け出ることで、同時に行えます。
外国人の雇用保険被保険者資格取得届の記入例
外国人の雇用保険被保険者資格取得届を提出する際には、記入例を活用することで、誤記入や記載漏れを防げます。
たとえば「被保険者氏名」欄には、在留カードの表記にもとづいたローマ字で入力しましょう。在留カード番号や在留資格コードを正確に転記することで、審査をスムーズに進められます。
厚生労働省が公開している記入例資料を参考に、正確な届出作成を心がけましょう。
外国人労働者が雇用保険の適用除外となり加入しない場合
雇用保険の適用除外となる外国人労働者を雇用する際には、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を管轄のハローワークへ提出することが必要です。労働者の在留資格や在留期間、国籍などを把握するために必要となる届出です。
雇用保険への加入がないからといって、手続きが不要になるわけではありません。届出期限は翌月末日までで、提出しない場合は罰則の対象となるため、注意が必要です。雇用保険と並行して、外国人労働者特有の手続きにも正しく対応しましょう。
外国人雇用状況届出書(様式第3号)の記入例
「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」には、以下の内容を記載します。
- 氏名
- 在留資格
- 在留期間
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 資格外活動許可または報酬活動許可の有無
- 在留カード番号
- 雇入れまたは離職年月日
- 雇入れまたは離職に係る事業所の名称、所在地等
記入する情報は、在留カードを確認して正確に転記することが重要です。
また、雇用開始日や事業所情報などを記載する欄があります。書類提出の際には控えを保存し、記載内容に不備がないか再確認しましょう。
外国人の離職時に必要な雇用保険の手続きは?
外国人労働者の雇用時だけでなく、離職時にも雇用保険の手続きが必要です。雇用保険に加入していたか否かによって手続き内容が異なるため、それぞれのケース別に必要な手続きを解説します。
外国人労働者が雇用保険に加入していた場合
外国人労働者が雇用保険に加入していた場合、離職時には「雇用保険被保険者資格喪失届」を管轄のハローワークへ提出することが必要です。提出期限は離職日の翌々日から10日以内です。
「雇用保険被保険者資格喪失届」には以下の内容を記載します。
- 氏名
- 在留資格
- 在留期間
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 在留カード番号
- 離職に係る事業所の名称および所在地など、喪失届に記載が必要な事項
該当項目を記入して届け出ることで、雇用対策法28条で義務付けられている「外国人雇用状況の届出」を同時に行うことが可能です。
また、本人から求められた場合は離職票の交付も行いましょう。住所変更や帰国予定がある場合、離職票の受け渡し方法を事前に相談しておくとスムーズに対応できます。
外国人労働者が雇用保険に加入していなかった場合
外国人労働者が雇用保険に加入していなかった場合、離職時には雇入時と同様に「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。
届出には退職年月日や退職理由、在留資格などを記入します。記入する際は、在留カードでの情報確認が必須です。届出期限は離職日の翌月末日までで、未提出のまま放置すると法令違反となる可能性があるため注意しましょう。
万が一出し忘れた場合は、管轄のハローワークへ早急に問い合わせ、指示を仰いでください。
外国人の雇用保険に関する届出は電子申請できる?
外国人の雇用保険に関する手続きは、紙での提出だけでなく、電子申請にも対応しています。雇用保険の被保険者の外国人の場合は「e-Gov」からオンライン申請が可能です。
雇用保険の被保険者とならない外国人の場合は、ハローワークインターネットサービスの「外国人雇用状況届出システム」からオンライン申請が可能です。
電子申請は24時間対応可能で、ハローワークに出向く手間も省けるため、複数名の採用や退職手続きを行う場合に特に便利です。届出情報の確認や修正もオンライン上でできます。また、データの控えも自動保存されるため、事務管理の効率化にも役立ちます。
外国人労働者の雇用保険手続きにおける注意点は?
外国人労働者の雇用保険手続きをする際にはいくつかの注意点があります。罰金が課されるケースやほかの社会保険への加入について解説します。
届出をしないと罰金が科される可能性がある
外国人労働者に関する届出を怠ったり、虚偽の報告を行ったりすると30万円以下の罰金が科される可能性があります。
特に「外国人雇用状況届出書」の提出は、雇用保険加入の有無にかかわらず義務付けられています。未提出が発覚した場合、労働局からの是正指導や企業名の公表など、企業にとって大きなリスクがあるため注意しましょう。
また、外国人雇用状況の届出を行う際は、在留期限も確認することが重要です。在留期限切れの外国人が働くことは不法就労となり、罰則の対象となります。雇用主側も不法就労を助長したとみなされ、不法就労助長罪で3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科される可能性があります。
正確で迅速な手続きを行うことは、コンプライアンス遵守と企業の信用維持の両面から重要です。手続き漏れを防ぐ体制づくりが求められます。
外国人の雇用保険手続きの際は在留カードを必ず確認する
外国人の雇用保険手続きの際は、必ず在留カードを確認しましょう。在留資格や在留期間によって就労の可否や保険加入の可否が異なります。
特に「資格外活動許可」が必要な在留資格の場合、就労自体が違法となるケースもあります。在留期間満了日が迫っている場合は、更新手続き状況も確認しておくと安心です。
在留カードの内容を正しく転記し、資格取得届などの記載に誤りがないよう細心の注意を払いましょう。外国人労働者から口頭で聞いて記入するのではなく、必ず在留カードを確認して、必要書類に正確な情報を記入することが重要です。
出典:不法就労防止に|法務省
外国人でも条件を満たす場合は社会保険にも加入が必要
外国人労働者が雇用保険の対象となる場合、健康保険や厚生年金保険にも加入義務が生じるケースが多くあります。
労働時間や契約期間などの条件を満たしていれば、外国人労働者も日本人と同様に社会保険の適用対象となります。社会保険への加入により、外国人労働者も医療や年金などの保障を受けることが可能です。
社会保険の加入は、労働者と雇用主の双方にとってメリットがあるため、適用条件を確認し、加入漏れがないよう手続きを行いましょう。
外国人労働者の雇用保険手続きをスムーズに進めるために
外国人労働者の雇用保険手続きをはじめとした入退社時の各種対応は、人事労務担当者にとって負担となりやすい業務です。マネーフォワードが独自に実施した調査によると、入社手続きにおいて最もトラブルや苦労が発生しやすいのは「社会保険(健康保険・厚生年金)や住民税の手続き」で、39.0%でした。
トラブルの主な原因は書類対応の遅れと確認ミス
同調査において、手続き上のトラブルが発生する主な原因として最も多いのは「本人(入退社する従業員)の対応の遅れ・不備」で35.3%、次いで「人事担当者の知識不足・確認ミス」が30.8%でした。
外国人労働者を雇用する際は、在留カードの正確な確認や、外国人雇用状況の届出など、日本人従業員とは異なる特有の手続きに関する知識が求められます。そのため、担当者の知識不足による確認ミスや、従業員からの書類提出の遅れといったトラブルがより発生しやすい環境にあるといえます。従業員本人からの書類回収を滞りなく行うための仕組みづくりや、担当者が雇用保険の適用ルールについて正しい知識を把握しておくことが、正確な手続きに向けた重要なポイントです。
出典:マネーフォワード クラウド、入社手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目・トラブルが発生する主な原因【入退社に関する調査データ】(回答者:入退社手続き業務経験者597名、集計期間:2026年2月実施)
外国人の雇用保険手続きを正確に進めよう
外国人労働者の雇用保険手続きは、日本人と同様に正確な対応が求められます。適用除外となるケースを見極めて、必要な届出は漏れなく行いましょう。
届出をしないと罰金が課される可能性もあるため注意が必要です。雇用保険手続きを正確に行い、外国人が安心して働ける職場環境を整えましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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