• 更新日 : 2025年2月21日

勤務態度はどう評価すべき?具体的な項目や方法、ポイントを解説

勤務態度とは、仕事に対する責任感や協調性、積極性など、働くうえでの姿勢や行動全般を指す言葉です。

社員一人ひとりの勤務態度が、企業の成長に大きな影響を与えることは言うまでもありません。しかし、勤務態度をどのように評価すればよいか悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

本記事では、勤務態度の評価が必要な理由や、具体的な項目、方法、評価する際のポイントを詳しく解説します。

勤務態度とは、働くうえでの姿勢や行動全般を指す言葉

勤務態度とは、仕事に対する責任感や協調性、積極性など、働くうえでの姿勢や行動全般を指す言葉です。

具体的には、以下のような姿勢や行動が該当します。

  • 会社の規則やルールを守れているか
  • 業務に対して責任感をもち、自発的に行動しているか
  • 同僚と協力し、円滑にコミュニケーションを取っているか
  • 問題解決に積極的に取り組んでいるか

人事評価を行う際、評価の対象に含まれるのは仕事の成果だけではありません。仕事に対する日々の姿勢や人間関係における態度も重要な要素です。

勤務態度の評価には明確な基準がなく、職場や企業によって評価項目や評価方法が異なります。企業は、自社の文化や業務にあわせた評価基準を設定することが大切です。

勤務態度の評価が必要な理由

勤務態度の評価が必要なのは、主に次の3つの理由です。

  • 社員の勤務態度は職場全体に大きな影響を与える
  • 勤務態度の評価を通じて、最適な人材配置が可能になる
  • 勤務態度が悪い社員が放置されると、企業の信用や利益に悪影響を及ぼすリスクがある

勤務態度がよい社員は、周囲の士気やチームワークを高め、職場全体の生産性にもよい影響を与えることが期待されます。一方で、勤務態度が悪い社員は、職場の雰囲気を悪化させ、全体に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、勤務態度を評価し、問題点を早期に発見・改善する必要があるのです。

また、評価の過程で個人の特性や強みを把握することで、社員がどの部署や役職に適しているかを見極められます。勤務態度の悪さが原因で、取引先とのトラブルに発展する恐れもあります。

勤務態度の適切な評価と施策を講じることが、企業全体の健全な運営につながるのです。

勤務態度の評価に使われる6つの項目

勤務態度の評価において注目すべき6つの項目について、具体的なポイントとあわせて解説します。

1. 規律性

規律性とは、社員が職場のルールや規則を守る姿勢のことです。

具体的には、以下のような姿勢や行動を評価します。

  • 言葉遣いや身だしなみに問題はないか
  • 遅刻や無断欠勤がないか
  • 上司からの指示に沿って働けているか

「着替え等必要な準備を済ませたうえで始業時間を迎えているか」なども規律性のひとつです。

2. 責任性

責任性とは、自分に与えられた業務や役割をしっかりと果たす姿勢のことです。

具体的には、以下のような姿勢や行動を評価します。

  • 仕事を投げ出すことなく完遂できるか
  • 期限内に仕事を終わらせられるか

「ミスをした場合、すぐに上司に報告し、対応策を考えて提案する」といった行動も責任性に含まれます。

3. 協調性

協調性とは、チーム内での円滑なコミュニケーションや協力を図る姿勢のことです。

具体的には、以下のような姿勢や行動を評価します。

  • ホウレンソウ(報・連・相)がきちんとできるか
  • 周囲と連携しながら業務を進めているか

「他の社員の意見を尊重し、柔軟に対応できるか」も協調性を評価する際の重要なポイントです。

4. 積極性

積極性とは、与えられた業務に対して自ら進んで行動し、取り組む姿勢のことです。

具体的には、以下のような姿勢や行動を評価します。

  • 意欲的に仕事に取り組んでいるか
  • 会議などで積極的に意見やアイデアを出しているか
  • 上司からの指示を待つのではなく、自分から提案をしているか

「新しいプロジェクトに自発的に参加するか」なども積極性に該当します。

5. 安全意識

安全意識とは、職場での安全管理を重視し、危険を未然に防ぐ姿勢のことです。

具体的には、以下のような姿勢や行動を評価します。

  • 作業現場での安全確認を怠っていないか
  • 機械や設備の取り扱いに注意を払っているか
  • 安全マニュアルを守っているか
  • 危険を感じた場合にはすぐに報告し対応しているか

安全意識は、危険がともなう業種に取り入れられる評価項目です。製造業や建設業などでは、作業中の安全意識の差が作業の質や効率に大きく影響するため、とくに重要視されています。

6. 経営意識

経営意識とは、企業全体の目標や戦略を理解し、自分の業務が企業の目標達成にどのように貢献するかを考え、行動する姿勢のことです。

具体的には、以下のような姿勢や行動を評価します。

  • 業務の効率化やコスト削減を意識しながら仕事に取り組んでいるか
  • 会社の方向性を理解して長期的な目標達成に向けて行動しているか

経営意識をもつ社員は、企業の成長や発展に貢献するだけでなく、他の社員にもよい影響を与え、組織全体の活力を高める存在です。適切に評価し、さらなる成長を促進できるようサポートしましょう。

勤務態度を評価するおすすめの方法

勤務態度の評価は、社員のモチベーション向上や組織全体の成長に重要な影響を与えるため、適切な方法で実施することが求められます。

ここでは、勤務態度を評価するおすすめの方法を2つ紹介します。

評価シートを活用する

評価シートは評価基準を明確にし、評価の透明性を高めるための非常に有効な手法です。

評価シートでは、月の遅刻・無断欠勤の回数、業務提案の数など、定量的な目標を設定し、達成度をもとに評価を行います。「1~5」や「A~E」など、評価項目ごとに点数やランクを設けることも効果的です。

たとえば、規律性を評価する場合「5点=遅刻・無断欠勤なし」「4点=1回あり」など明確な基準を設定しておくことで、評価の精度が向上します。企業の文化や風土にあわせて、規律性・協調性・積極性など3~5の評価項目を選定すると、より適切な評価が可能となるでしょう。

明確な基準で評価を行うことで、評価の属人化を防ぎ、第三者が見ても納得できる結果を得ることが可能です。評価シートを活用し、社員の勤務態度を公平かつ効果的に評価しましょう。

評価シートの書き方やテンプレートが気になる方は、以下の記事を参考にしてみてください。

人事評価シートとは?書き方やテンプレートを紹介

360度評価を導入する

360度評価は、上司や部下、同僚など、異なる立場の複数の人々が評価対象者を評価する手法です。協調性やコミュニケーション能力が重要視される職場環境では、360度評価の導入がとくに効果的と言われています。

最大の特徴は、複数の評価者からのフィードバックを受けることで、評価が一面的にならず、社員の勤務態度を多角的に把握できる点です。

注意点は、評価者が率直かつ建設的なフィードバックを提供しない場合、評価が表面的になりやすい点です。評価を受ける側がフィードバックをどのように受け止め、自己成長につなげていくかも重要な課題であると言えます。

どちらの評価方法にもメリットとデメリットはあります。実際の運用においては、評価シートと360度評価を組み合わせることで、さらに効果的な評価を実現できるでしょう。

360度評価についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

360度評価とは?メリット・デメリットや評価項目、導入する方法を解説!

勤務態度を評価する際の4つの重要なポイント

ここでは、勤務態度を評価する際の4つの重要なポイントを紹介します。

1. 評価者の個人的な感情や先入観を排除する

評価者が社員に対して好意的、または否定的な感情をもっている場合、それが評価に反映されると、公正な評価ができません。このような人事評価のエラーとしてよく知られているのが「ハロー効果」です。

ハロー効果とは、ある人の一部の特性が、その人全体の評価に影響を与える心理的な現象です。たとえば、勤務態度がよい社員は、ポジティブな印象が業務評価にも影響し、評価が高くなりやすいという特徴があります。

評価エラーを防ぐには、評価者研修を実施し、評価者が自分の感情や先入観に左右されないように教育することが効果的です。

評価者研修は、上司や人事担当者を対象に、評価基準にもとづいた評価方法を習得させることを目的に実施されます。実際の従業員の評価事例を用いて話し合いを行うことで、評価者間での共通の理解が深まり、公平な評価を実施できるようになるでしょう。

2. 複数の視点から評価を行う

評価が偏るリスクを避けるためには、上司だけでなく、同僚や部下など異なる立場からの意見を取り入れることが重要です。

おすすめは「360度評価」という評価手法で、上司、同僚、部下など複数の視点から評価を行います。さまざまな観点からのフィードバックが得られるため、社員の勤務態度をより多角的に把握できるでしょう。

たとえば、上司は業務に取り組む姿勢やプロジェクトへの貢献度、同僚はチーム内での協調性やコミュニケーション能力、部下はリーダーシップやサポート能力などを評価します。

多角的な評価を取り入れることで、社員がどの部分で改善が必要かをより具体的に把握できるようになります。自己評価と他者評価のギャップを明らかにできる点も、360度評価の特徴です。

3. 評価に至った理由を明確に伝える

勤務態度を評価する際は、評価の背景を明確に伝えることを意識しましょう。

理由は「よかった」「悪かった」という評価だけでは、自分の行動がどのように評価されたのか、または改善すべき点がどこにあるのかを社員が理解できないためです。

具体的な事例をもとに丁寧に説明することで、社員は自分の強みや弱点をより明確に認識できます。たとえば「あなたは会議に積極的に参加し、意見をしっかり述べていた点が評価されました」といった具体的なフィードバックは、社員の勤務態度によい影響を与えるでしょう。

評価に至った理由を明確に伝えることは、社員のモチベーション向上にもつながります。透明性のあるフィードバックを行うことで、社員は自分の勤務態度が正当に評価されていることを実感し、次に向けてさらに意欲的に取り組むようになります。

4. 評価期間を明確にする

勤務態度を評価する際は、評価期間を明確に定めることが重要です。

もし評価期間が明確でない場合、社員の短期的な成果や行動のみが評価され、長期的な努力や態度が評価に反映されにくくなります。

そのため、半年や1年といった長期的な評価期間を設け、期間内で定期的にフィードバックを行いましょう。中間評価では、社員の勤務態度や進捗を確認し、必要に応じて改善点や次のステップを伝えることが大切です。

評価期間を明確にすることで、社員は自分の目標を意識しながら勤務態度を改善でき、結果的にモチベーションの向上にもつながります。

多様な働き方に適した勤務態度の評価方法

テレワークやフレックスタイム制など、現代の柔軟な働き方では、オフィス勤務の評価方法をそのまま適用するのではなく、各勤務形態に適した方法を取り入れる必要があります。

ここでは、テレワークやフレックスタイム制における、社員の勤務態度を評価するための具体的なアプローチを紹介します。

テレワークにおける評価のコツ

テレワーク環境での評価を効果的に行うためには「コミュニケーションの頻度と質」を意識することが重要です。

たとえば、上司と部下が定期的に1on1ミーティングを行い、業務進捗や課題を確認することで、評価の精度を高められます。週に1回オンラインで進捗報告を行い、問題点や改善点を共有する体制を整えれば、業務の透明性が高まり、正確な評価を実現できるでしょう。

自己PRの機会を定期的に設け、社員が日々の業務に取り組む姿勢や貢献をアピールできる場を作ることも効果的です。このような場を設けることは、評価に対する不信感や不公平感を軽減する効果があり、社員のモチベーション維持にもつながります。

テレワークについては以下の記事で詳しく解説しています。

テレワークとは?メリット・デメリットや導入方法、助成金を解説

フレックスタイム制における評価のコツ

フレックスタイム制における勤務態度の評価では、柔軟な働き方に対応した評価基準を設定することが重要です。

出勤・退勤時間に縛られないフレックスタイム制では、社員の自己管理能力を重視します。そのため「業務を時間内に完了させる能力」や「納期を守る姿勢」などを評価基準として取り入れるのが効果的です。

柔軟な働き方においても、コミュニケーションやチームワークの重要性は変わりません。「オンライン会議に積極的に参加しているか」や「チームメンバーとの情報共有が円滑であるか」なども重要な評価ポイントです。

成果を基準に評価を行いつつ、柔軟な働き方のなかで社員がどれだけ責任感をもって業務に取り組んでいるかを見極めることが、勤務態度評価のポイントです。

フレックスタイム制について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせて確認してみてください。

フレックスタイム制とは?メリット・デメリットや導入の注意点をわかりやすく解説!

勤務態度評価のポイントを押さえて、社員のモチベーション向上につなげよう

勤務態度は抽象的な概念であるため、評価が難しくなることがあります。

しかし、適切な評価基準を設定すれば、効果的に評価を行うことが可能です。評価のポイントを押さえて、社員のモチベーション向上を実現しましょう。


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