- 更新日 : 2025年2月21日
勤怠管理を効率化するならシステムの導入が鍵!選び方やメリットを解説
勤怠管理は従業員の労働状況を把握するための大切な業務ですが、手作業では時間がかかりミスも発生しがちです。
また、計算を間違うようなことは許されないため、正確性を維持しながらも業務の効率化を図ることが重要です。
この記事では、勤怠管理をより効率化するためのシステムの導入方法や、そのメリットを解説していきます。
目次
勤怠管理の効率化が難しい?中々進まない3つの理由
勤怠管理の効率化を図ろうとしても中々進まない理由を3つ解説します。
①働き方の多様化
働き方改革やテレワークの拡充などによる労働環境の変化にともない、勤務の形態が下記のように多様化したことが勤怠管理の効率化が難しい理由のひとつです。
- 固定勤務
- フレックスタイム制
- 時差出勤
- 変形労働時間制
とくに近年は新型コロナウイルスを契機として、在宅勤務やハイブリッドワークが一般化しました。
働き方や勤務の場所が多様化したことで、従来より勤怠管理が複雑になっています。
②多様な雇用形態に応じた対応が必要
勤怠管理は正社員、契約社員、アルバイトなど、さまざまな雇用形態の従業員への対応が必要です。
働き方の多様化にも関連していますが、近年では同じ正社員でも、短時間正社員や限定正社員の制度が存在し、雇用形態も柔軟になっています。
それぞれの働き方に応じた柔軟な勤怠管理が求められているのも、効率化が進まない理由のひとつです。
③勤怠情報の集計・確認が大変
打刻の管理がタイムカードであったり、有給取得時などの申請書類に紙を使っている場合、これらの確認や回収、整理の作業に時間を取られてしまいます。
もし記入ミスがあった場合は各従業員へ個別の対応が必要になり、紙の情報をPCで管理しているならデータを入力していく手間もあります。
勤怠管理の集計作業は月末~月初に集中し、他の業務の忙しい時期にも重なりやすいため、デジタル化していないと効率化は大変です。
関連記事:「打刻のペーパーレス化で勤怠管理を効率化|ペーパーレスのメリットも」
勤怠管理の方法一覧
この章では勤怠管理の方法について解説していきます。
▼勤怠管理の方法の一覧
管理方法 | 特徴 |
---|---|
紙媒体 | 作成したフォーマットに手書きで記録 |
タイムカード | タイムレコーダーで記録 |
Excel | マクロや関数を使いExcelで記録 |
アウトソーシング | 外部の業者に勤怠管理やその他業務を委託 |
勤怠管理システム・アプリ | PCやスマホから打刻 ICカードや生体認証を用いる場合もある |
厚生労働省が定めている勤怠管理のガイドラインでは、下記の要件を守るよう定められています。
始業・終業時刻の確認・記録
始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法(次のいずれかの方法による)
|
出典:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン│厚生労働省
これらの要件を守りつつ勤怠を効率化するには、結論としては勤怠管理システムがおすすめです。
まずは勤怠管理の方法をひとつずつ見ていきましょう。
紙媒体
勤怠管理のためのフォーマットを紙で作成し、従業員に直接記入してもらう方法です。
メリット
デメリット
|
紙媒体を使っての記録は手軽ですが効率化には向かず、手書きなので記入ミスが発生しやすいデメリットがあります。また、場合によっては勤怠記録を改ざんされてしまう可能性もあるでしょう。
タイムカード
出退勤時、タイムレコーダーへ専用のタイムカードを差し込み打刻を記録する方法です。
メリット
デメリット
|
紙媒体と同じく手軽ですが、タイムカードによる打刻は個人を判別できないため、代理打刻などの不正が発生するリスクがあります。
また、集計はタイムカードを集めてからExcelなどの媒体へ転記する必要があるため、タイムカードの勤怠管理は効率化には不向きと言えます。
Excel
マクロや関数を利用しExcelでフォーマットを作成する方法です。
1つのファイルを同時に編集できるよう共有設定を行うか、部署ごとや各従業員ごとでファイルを配布して勤怠を管理します。
基本的には従業員が勤怠時刻を直接入力していきます。
メリット
デメリット
|
集計の効率化が可能な一方で、勤怠情報の改ざんや、従業員が予期しない操作を行った結果、計算に使う関数が壊れてしまうといったリスクがあります。
場合によってはファイル全体の勤怠情報が狂ってしまうおそれもあるため、随時入念なチェックが欠かせません。
そのため、Excelでの管理はリスクが高い方法であると言えます。
アウトソーシング
外部の業者に勤怠管理を委託する方法です。
メリット
デメリット
|
アウトソーシングは勤怠の効率化という面では申し分ないですが、外注コストが発生します。
また、勤怠管理に関するノウハウが社内に貯まらないことは大きなデメリットです。
万が一外部委託の業者に問題が発生した場合、自社内で勤怠管理の問題を処理できない場合も想定され、これがアウトソーシングの最大のリスクと言えます。
勤怠管理システム・アプリ
勤怠管理システム・アプリは、各従業員が専用のツールへアクセスし、出退勤の記録を行う方法です。
アプリの場合は従業員がスマートフォンで打刻をし、有給休暇など勤怠に関する書類申請もシステム内のワークフローで対応できます。
出退勤の記録や正確な勤務状況を一目で確認でき、集計作業も自動化できることが勤怠管理システム・アプリの最大のメリットです。
勤怠管理システムの詳しいメリット・デメリットについては、次の章から詳しく解説していきます。
勤怠管理システムを使った効率化の5つのメリット
勤怠管理の効率化には、勤怠管理システムがおすすめです。
ここでは勤怠管理システムのメリットを解説していきます。
①勤怠管理が楽になる
勤怠管理システムを導入することで、管理する人事側も、日々勤怠を記録する従業員側も勤怠管理の負担が減り楽になります。
人事側としてのメリット
→書類回収やExcelにタイムカードのデータを入力する手間がなくなる
従業員側としてのメリット
→静脈認証やICカードなど便利な打刻方法にも対応
→各月の勤務時間や残業時間、残りの有給日数がいつでも把握できる |
それぞれにメリットがあり、企業全体において働きやすい環境づくりにつながります。
②不正やミスを最小化できる
勤怠管理システムによる勤怠記録は機械的な記録のため、不正やミスを減らすことができます。
→その時々で修正対応することで、後々の手間が減る
→代理の不正打刻ができなくなる |
勤怠管理システムには上記のような機能があるため、タイムカードや紙の申請書類を使っていた場合と比べ、勤怠記録がより正確になります。
③勤怠情報をリアルタイムで容易に分析できる
勤怠管理システムによる一元管理で、リアルタイムで勤怠情報を分析できます。
そして、分析データはよりよい労働環境の整備に活かせる点もメリットです。
とくに近年は生成AIの発達で、さまざまな分析を自動化できる勤怠システムも登場しています。
▼勤怠情報の自動分析例
|
ただし、分析機能がない勤怠管理システムもあるため注意しましょう。
上記のような分析を用いることで、過重労働に陥りそうな従業員へいち早くストレスケアを行ったり、人員配置を再考したりと、労働環境の改善が可能です。
④勤怠データの保存が楽になる
勤怠管理システムのクラウドに勤怠データを保存することで、管理が楽になります。
2020年に改正された労働基準法109条では、タイムカードの5年間の保存義務が設けられています。
経過措置として当分は3年分でも問題なしとされていますが、経過措置がいつ終わるかはわからず、保存の体制を整えておいたほうがよいでしょう。
紙による保存ではスペースを取る上に整理・保管のコストがあり、さらに紛失リスクもともないます。
しかし、クラウド上のデジタルデータにはそうした心配がありません。
また、各種書類用紙の購入費も削減できたり、過去の勤怠情報にもアクセスしやすくなるメリットがあります。
⑤法改正へ柔軟に対応できる
法改正への柔軟な対応も、勤怠管理システムのメリットのひとつです。
法改正に応じて自動更新される勤怠管理システムであれば、アップデートによって最新の法令に合った運用を維持できます。
働き方に関する法改正は近年頻繁に行われているため、今後も勤怠に関する何かしらの法改正が出てくる可能性があるでしょう。
その際、勤怠管理システムを導入していれば、円滑な対応が可能です。
勤怠管理システム導入時の3つのデメリット
勤怠管理システムのメリットは非常に多いですが、この章ではデメリットについても紹介していきます。
①システムに慣れるまでは忙しい
勤怠管理のやり方が一気に変わってしまうため、システムの導入当初は効率化とは反対に忙しくなるでしょう。
人事側としては、システムを完全に理解したうえで、従業員への説明やマニュアルの共有が必要になります。
また、しばらくは勤怠に関する質問も従業員から相次ぐと思われるため、勤怠管理をする人事側もシステムを使う従業員側も大変です。
勤怠管理システムを使いこなせるようになるまでは、業務の生産性が低下するおそれも考えられます。
②利用料が発生する
勤怠管理システムを自社開発する場合は別として、他社の勤怠管理システムを使う場合は当然利用料が発生します。
基本的には買い切りではなく、サブスクリプションの方式で継続的に費用負担が生じます。
③導入効果を示しにくい
勤怠管理システムは勤怠管理の効率化に寄与しますが、売上や利益のように直接会社への貢献を示すことが難しい場合があります。
そのためシステムの導入時や、導入継続の判断を経営層に求める時に、賛同を得られないことがあるかもしれません。
勤怠管理システムの導入を進める際は、現状の勤怠管理の分析に基づく定量的な改善見込みや、長期的な人件費の削減効果などを明確に示す準備が必要です。
勤怠管理システムの選び方
最後に勤怠管理システムの選び方を解説します。
勤怠管理システムを導入する際は、現状の勤怠状況をしっかり分析した上で、問題点を解決できるシステムを選びましょう。
また、それぞれ機能や金額が異なるので、費用対効果の見極めも重要になります。
①システムの形態を選ぶ
勤怠管理システムの形態は主に3つあります。
導入形態 | 特徴 | 適性 |
---|---|---|
クラウド型システム |
|
|
オンプレミス型システム |
|
|
独自開発型システム |
| 何らかの理由で独自にシステム開発をする必要があり、十分な開発環境が整っている企業 |
比較的安価であるのはクラウド型システムですが、それぞれ特徴が異なりますので、目的に合った形態を選びましょう。
②操作がわかりやすいシステムを選ぶ
勤怠管理システムの導入時は何かと混乱が発生しやすいため、操作のわかりやすさも大切な要素です。
直感的に操作を理解できるような作りの画面になっていれば、各従業員も早く馴染めるでしょう。
また、勤怠管理システム導入時の人事側のサポートコストも軽減できます。
③導入しているシステムと連携ができるものを選ぶ
既存の社内システムと勤怠管理システムを、APIなどで連携できるか確認することも大切です。
給与計算システムや人事管理システムと連携できれば、これらの情報を一元管理することが可能になります。
たとえば給与計算を自動化したり、さまざまな機能を拡張することで、さらなる業務効率化を図れるでしょう。
④必要な機能が揃っているかで選ぶ
現在抱えている勤怠上の問題を解決するための機能が揃っているか、確認しましょう。
▼機能の例
|
こうした機能が一通り揃っていれば、勤怠管理システムを安心して導入できます。
勤怠管理の効率化で働きやすい職場づくりを目指そう
勤怠管理を効率化するには、紙媒体や手作業による勤怠管理から、勤怠管理システムへ移行することがおすすめです。
手作業ではどうしても記録や集計のミスが発生しがちですが、自動集計であればそうした心配はありません。
また、多様な働き方にも対応できる柔軟性や法改正への迅速な対応も可能です。
分析機能で労働環境の改善も期待できますので、勤怠管理システムを上手く使い、働きやすい職場づくりを目指しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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