- 更新日 : 2024年12月18日
2連勤はきつい?違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
2連勤は短期間とはいえ、仕事の内容や労働時間によっては特有のきつさを感じることがあります。
本記事では 「2連勤は違法ではない理由」など、労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
2連勤は違法?
基本的には2日連続で働くこと自体が直ちに違法になることはありません。
1.週1日の休日がある場合
週1日の休日が確保されていれば、最大12連勤まで可能と考えられています。2連勤はこの範囲を大きく下回るため、違法ではありません。
2.4週間で4日の休日がある場合
4週間(28日間)で4日以上の休日を確保するルールの場合は、理論上48連勤まで可能といわれています。2連勤は当然この範囲内ですので、違法性はありません。
まとめますと、2連勤は、どの休日設定パターンにおいても、労働基準法上の休日付与義務に抵触せず、違法とは判断されないといえます。ただし、あくまで休日ルールの範囲内での話であり、企業の就業規則や労働契約で定める休日との整合性も考慮する必要があります。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
2連勤はきつい?その理由とは
特に、体力や精神的な余裕が十分でない場合、2日間連続で働くことで疲れが次の日に持ち越されることがあります。
初日の仕事で疲労を感じていると、翌朝起きた際に「また働かないといけない」という思いが重くのしかかり、気持ちの上で負担を感じやすくなるのです。
精神的なリスクとしては、「休む時間が短い」と感じることから来るストレスが挙げられます。たとえば、勤務終了後にリフレッシュする時間が十分に取れなかったり、睡眠時間が不足してしまったりすると、疲労感が蓄積していきます。こうした状況では、仕事に対する集中力や意欲が低下しやすく、思うように業務を進められないことがストレスの原因になることがあります。
また、2日連続で働く場合、特にシフト制や不規則な勤務時間であれば、体内時計が乱れることもあります。そうした場合、身体的な負担に加えて、生活リズムが崩れることで、さらに疲れやストレスを感じやすくなります。
2連勤のような短い連勤であっても、適切に休息を取れない場合や精神的な負担が大きい状況では、思った以上に心身に影響を及ぼすことがあります。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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