- 更新日 : 2025年4月22日
被扶養者異動届の書き方は?家族が加入・外れる場合の記入例を解説
被扶養者異動届は、健康保険や厚生年金保険の被保険者である従業員に対して、被扶養者を追加するときや削除するとき、氏名が変更になったときなどに必要な書類です。勤務先を経由して年金事務所などに提出します。どのような基準を満たすときに必要か、また、書き方や併せて提出する書類、作成時の注意するポイントをわかりやすく解説します。
目次
被扶養者異動届とは
被扶養者異動届とは、従業員の被扶養者を追加・削除する、あるいは被扶養者の氏名が変更になったときなどに提出する書類です。なお、提出方法には、窓口に直接持っていく方法や郵送、電子申請などがあります。
被扶養者の範囲や収入基準
被扶養者とは、被保険者により主に生計を維持されている人で、原則として日本国内に住民票を有していなくてはいけません。また、次の収入基準と同居基準の両方を満たしていることも必要です。
- 被扶養者に認定される年の年間見込み収入が130万円未満(60歳以上もしくは障害者の場合は180万円未満)
- 同居している場合は扶養者の収入の半分未満
- 別居している場合は扶養者からの仕送り額未満
- 扶養者の配偶者・子・孫・兄弟姉妹・直系尊属は、扶養者と同居する必要はない
- 上記以外の3親等内の親族や内縁関係の配偶者の父母・子については、扶養者と同居している必要あり
夫婦ともに収入がある場合は、年間収入が多いほうを扶養者、少ないほうを被扶養者とします。ただし、育児休業などの期間中、一時的に夫婦の年間収入が逆転した場合においては、被扶養者の異動手続きは不要です。
被扶養者異動届が必要なケース
上記の基準を満たした被扶養者を追加するとき、あるいは、被扶養者が上記の基準を満たさなくなったときに提出が必要です。たとえば、被扶養者が次のいずれかに該当するケースでは、被扶養者の削除をしなくてはいけません。
- 後期高齢者医療制度の被保険者になった
- 年間収入が130万円以上(60歳以上もしくは障害者は180万円以上)見込まれる
- 同居している場合、年間収入が扶養者の収入の半分以上になった
- 別居している場合、年間収入が扶養者の仕送り額を超えた
- 他の被保険者に扶養されることになった
- 同居基準を満たす必要があるのに対して別居した
- 日本国外に住民票がなくなった(海外特例要件を満たさない場合)
また、被扶養者の氏名・性別を訂正するときや変更するとき、生年月日を訂正するときにも提出します。
被扶養者異動届の提出先や期限
事実が発生してから5日以内に提出します。提出先は年金事務所や健康保険組合の事務センターですが、勤務先を経由するため、被保険者自身が当該事務所に出向く必要はありません。
被扶養者異動届の届出に必要な書類
被扶養者異動届を提出するときには、異動届だけでなく記載した内容を証明する書類もあわせて提出する必要があります。必ず提出する書類には次のものが挙げられます。
- 続柄確認のための書類
- 収入要件確認のための書類
それぞれの書類について見ていきましょう。
健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届
健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届とは、被扶養者異動届の正式名称です。被扶養者の資格を取得・喪失したときや、被扶養者の氏名などに変更や間違いがあったときだけでなく、被扶養者の国民年金の資格に変更があったときもあわせて申請できます。
続柄確認のための書類
被扶養者異動届を提出するときは、続柄を確認できる書類もあわせて提出しなくてはいけません。次のいずれかを添付してください。
- 被扶養者の戸籍謄(抄)本
- 被保険者が世帯主かつ被扶養者と同一世帯のときは住民票の写し
ただし、被扶養者異動届に被保険者・被扶養者の個人番号がいずれも記載されており、なおかつ事業主が続柄が異動届の記載と相違ないことを確認しているときは、続柄を示すための書類提出を省けます。
収入要件確認のための書類
収入要件に合致していることを示すために、以下の書類もあわせて提出しなくてはいけません。ただし、被保険者の合計所得金額が1,000万円以下の場合、事業主の証明があれば添付書類は不要です。
なお、被保険者の合計所得金額が1,000万円を超えるときは、所得税控除の対象配偶者の適用は受けられません。そのため、事業所の証明の有無にかかわらず、収入を示す書類の提出が求められます。
その他の書類
被扶養者が被保険者と別居している場合は、仕送りをしている事実と金額を示す証拠書類が必要です。ただし、被扶養者の年齢が16歳未満、もしくは被扶養者が16歳以上の学生であるときは提出する必要はありません。
内縁関係にある被扶養者に関しては、内縁関係を示せる戸籍謄(抄)本もしくは被保険者の世帯全員の住民票が必要です。どのような書類が必要かわからないときは、管轄の年金事務所にも相談してみてください。被扶養者との関係性によっては書類が変わることもあります。
なお、仕送りや内縁関係のない被扶養者に関しては、続柄・収入を示す書類以外は添付の必要はありません。速やかに準備して勤務先に提出してください。
被扶養者異動届の書き方
被扶養者異動届の最上部の欄は、事業所側で記載します。被保険者はその下にあるA(被保険者欄)から記載し始めましょう。氏名・生年月日・性別・個人番号・住所・収入を記載してください。なお、個人番号を記載した場合は、住所の記入を省略可能です。
引用:被扶養者( 異動)届 国民年金 第3号被保険者関係届|日本年金機構
被扶養者異動届の書き方:扶養から外れる場合
被扶養者が扶養から外れるときは、A(被保険者欄)に加え、B(配偶者である被扶養者欄)もしくはC(その他の被扶養者欄)を記載します。それぞれについて解説します。
配偶者の場合の記入例
配偶者が被扶養者から外れるときは、A(被保険者欄)に加え、B(配偶者である被扶養者欄)を記載します。被扶養者の氏名・生年月日・性別・個人番号・住所・電話番号も記載してください。
次に上から4行目の欄の左端にある「2.非該当」を〇で囲みます。被扶養者から外れた年月日と理由の欄も記載してください。
引用:被扶養者( 異動)届 国民年金 第3号被保険者関係届|日本年金機構
子の場合の記入例
子が被扶養者から外れるときは、A(被保険者欄)に加え、C(その他の被扶養者欄)を記載します。被扶養者の氏名・生年月日・性別・続柄・個人番号・住所を記載してください。
次に上から4行目の欄の左端にある「2.非該当」を〇で囲みます。被扶養者から外れた年月日と理由の欄も記載してください。
引用:被扶養者( 異動)届 国民年金 第3号被保険者関係届|日本年金機構
被扶養者異動届の書き方:扶養に入れる場合
配偶者や子を扶養に入れるときも、A(被保険者欄)に加え、B(配偶者である被扶養者欄)もしくはC(その他の被扶養者欄)を記載します。それぞれについて解説します。
配偶者の場合の記入例
配偶者を扶養に入れるときは、A(被保険者欄)に加え、B(配偶者である被扶養者欄)を記載します。配偶者が扶養から外れるときと同様、まずは1・2行目の被扶養者の氏名・生年月日・性別・個人番号・住所・電話番号も記載してください。
次に上から3行目の欄の左端にある「1.該当」を〇で囲みます。被扶養者となった年月日と理由、職業、収入の欄も記載してください。
引用:被扶養者( 異動)届 国民年金 第3号被保険者関係届|日本年金機構
子の場合の記入例
子を扶養に入れるときは、A(被保険者欄)に加え、C(その他の被扶養者欄)を記載します。
子が扶養から外れるときと同様、被扶養者の氏名・生年月日・性別・続柄・個人番号・住所を記載してください。
次に上から3行目の欄の左端にある「1.該当」を〇で囲みます。被扶養者となった年月日と職業、収入、理由の欄も記載してください。
引用:被扶養者( 異動)届 国民年金 第3号被保険者関係届|日本年金機構
被扶養者(異動)届の書き方の注意点
被扶養者異動届は、以下の点に注意をして作成してください。
- 被保険者が記載する
- 生年月日や漢字、ふりがなに注意する
被扶養者異動届は被保険者が提出する書類です。被扶養者ではなく被保険者が記入しましょう。また、生年月日や漢字、ふりがなに間違いがないか確認してください。情報は後日訂正できますが、再度、被扶養者異動届を作成して提出しなくてはいけません。二度手間を省くためにも、間違いがないように確認することが大切です。
被扶養者の該当・非該当・変更手続きは早めに実施しよう
被扶養者異動届は、被扶養者が扶養に入るときや扶養から外れるとき、氏名や性別などに修正・変更があるときに作成・提出する書類です。変更する事由が生じてから5日以内に提出する必要があるため、速やかな対応が必要です。紹介した内容も参考に、早めに手続きを実施してください。
また、正確に手続きすることも大切です。訂正はできますが、再度被扶養者異動届を提出することになるため注意してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
社会保険の休業補償とは?金額や手続きについて解説
休業補償給付とは、業務災害にあった従業員の生活の保護を目的とする社会保険(労働保険)の1つ、労災保険の制度です。企業として労働災害は軽視できない問題であり、労災事故を発生させない仕組みづくりのほか、被災した従業員への適切なサポートも求められ…
詳しくみる入社時の社会保険加入手続き|必要書類から期限、中途採用やパートの対応まで解説
新入社員の入社に伴う社会保険の手続きは、期限が定められており、必要書類も多岐にわたるため、複雑に感じられるかもしれません。 この記事では、入社時の社会保険手続きについて、基本的な流れから具体的な必要書類、間違いやすいポイントまでわかりやすく…
詳しくみる雇用保険を会社都合退職で受給する場合
会社を退職する理由としては、さまざまな理由が想定されます。自らの都合で会社を退職する場合もありますが、時には会社の都合により会社を退職するケースもあります。 会社側からの解雇通告により離職するケースや業績悪化に伴って会社が倒産してしまうケー…
詳しくみる協会けんぽとは?自分の加入健康保険かどうかをわかりやすく解説!
公的医療保険には、自営業者が加入し、市町村と都道府県が運営する国民健康保険と、会社員が加入する健康保険があります。このうち、健康保険は、全国健康保険協会(協会けんぽ)と、健康保険組合(組合健保)の2つが保険者として事業を運営しています。自分…
詳しくみる社会保険料の変更に伴う手続きを解説!随時改定の意味など
社会保険料は、月々の給与額ではなく、標準報酬月額をもとに算出されます。毎年1回、7月に算定基礎届を提出することにより決定され、固定的賃金に変動があった場合は月額変更届による随時改定を行います。 今回は、社会保険料の決定方法と変更が必要なタイ…
詳しくみる労働基準監督署の労災調査では何を聞かれる?質問内容や対応方法を解説
労災(労働災害)が発生すると、労働基準監督署(労基署)による調査が行われることがあります。この調査は、労災保険給付の適用判断に加え、再発防止策の検討という重要な役割を担っています。人事労務担当者としては、調査でどのようなことを聞かれるのか、…
詳しくみる