• 更新日 : 2025年3月5日

アルバイトが採用辞退をしても損害賠償は発生しない!メールの例文も紹介

アルバイトが内定の連絡をもらった後に、採用を辞退しても基本的に損害賠償は発生しません。

しかし、辞退の仕方があまりにも悪質であった場合は、損害賠償を請求される可能性もあります。

この記事では採用辞退にともない損害賠償が発生するパターンや、辞退時の電話・メールの例文などをご紹介します。

アルバイトが採用を辞退しても、基本的に損害賠償は発生しない

アルバイトが採用を辞退しても、基本的に損害賠償が発生することはありません。

なぜなら、正式な雇用契約が成立する前であれば、採用辞退は労働者の自由な権利として認められているからです。

また、労働基準法第5条により、雇用主は労働者の意思に反して労働を強制することも禁じられています。

そのため、雇用契約書へのサインをしておらず雇用契約を締結する前であれば、採用辞退をしても法的には一切問題はありません。

そして、すでに雇用契約書にサインしている場合であっても、民法627条により退職の意思を伝えてから14日後には契約を終了できることになっています。

14日経過するまでの間に雇用主に勤務を命じられる可能性もありますが、実際にはそれだけ短期間の勤務を依頼されることは考えにくいです。

そのため、出勤の必要なく辞退(退職)扱いになる場合がほとんどでしょう。

採用辞退をする際は、雇用契約が成立しているかどうかにかかわらず早めに伝えることが大切です。

参考:労働基準法(第5条) | e-Gov 法令検索
民法(第627条) | e-Gov 法令検索

例外的に損害賠償が発生しかねないケースもある

例外として、採用辞退をしたことで企業に損害が発生した場合は、損害賠償を求められるケースもあります。

たとえば「すでに勤務開始日が決まっていて制服を貸与したにも関わらず、勤務当日に出社せず後日辞退を伝えられた場合」は、企業に金銭的な負担が生じており、業務にも支障をきたすと考えられます。

悪質かつ非常識な辞退をした場合、法的に「著しく信義則上の義務に違反する」と見なされ、損害賠償を請求される可能性がゼロではありません。

「損害賠償を請求するよ」と実際に言われた場合の対応

実際に損害賠償を請求された場合の対応を紹介します。

採用辞退を伝えた際に「弁護士の知り合いに伝えて、損害賠償請求する」というように脅されるケースもあるでしょう。

しかし、採用辞退の際に損害賠償を請求できるケースは、辞退の仕方が非常に悪質であった場合に限られます。

そのため、多くの場合はただの脅し文句と考えてよいです。

激しい口調で脅されると少なからず恐怖を感じ萎縮してしまうかもしれませんが、改めて辞退の意思と事情を冷静に説明して、早々に話を切り上げましょう。

もし脅迫的な言動が続くようであれば、「こちらも一度弁護士や労働基準監督署に相談させていただくかもしれませんので、よろしくお願いします」など、専門家の助力を仰ぐような発言をし牽制してもよいです。

実際に脅された場合は、最寄りの労働局の総合労働相談コーナーや、弁護士などの専門家への相談も検討しましょう。

また、内定が決まった時点で労働者には「条件付き労働契約」として労働基準法が適用されます。

そのため「内定辞退したら違約金を払え」というようなことを言われた場合も、その約束は認められません。

採用辞退をして怒られた場合の対応

採用辞退をした結果、店長や採用担当者が怒ってしまう場合もあります。

「辞退は法律で認められている労働者の権利」と言えばそれまでですが、採用側にとっては確保した人材が突然いなくなってしまったショックから、感情的になってしまうこともあるでしょう。

採用担当者が怒る理由として、下記のようなものが考えられます。

理由概要
求人活動を再開しなければならない再度求人広告を出す費用を捻出したり、選考を行うための手間がかかり大変
入社準備が無駄になった入社のための制服や備品の手配したのに、連絡が遅かったため費用や手間が無駄になった
忙しい時間帯の連絡だった飲食店であればランチのピークタイムなど、手が回らない時間帯に連絡が来てつい苛々した
面接時に期待を寄せていた面接時の受け答えなどから「これからしっかり働いてくれるはずだ」と期待をしていたが裏切られた
辞退の理由がいい加減だった「何となく働くのが嫌になったから辞退したい」など納得感のない適当な理由で辞退された

いずれにせよ、採用辞退を伝える際は社会人としてのマナーや心配りを忘れないようにしましょう。

たとえば単に辞退の意思を伝えるだけでなく、内定をもらった感謝の気持ちも同時に伝えるなど、相手への配慮をすればトラブルが発生する可能性も低くなります。

引き止めを受けた場合の対応

採用辞退を伝えた際に、賃金のアップやまかないの提供など、現状より魅力的な条件を提示され引き止められる場合もあるでしょう。

この場合、自身が納得できる条件であれば、辞退を撤回しその職場で働くことも選択肢の一つです。。

しかし、いくら良い条件であっても、家庭や学校の都合などどうしても勤務が難しい事情があれば、謝意を述べつつもはっきりと断ることが大切です。

無理に仕事を引き受けると周囲に迷惑をかける可能性があるため、断るべきときはしっかり断りましょう。

「採用の辞退が怖い……」意思を伝える際の4つのポイント

採用辞退の意思を伝えるには、勇気が必要です。

これから紹介するポイントを意識しましょう。

① 辞退の意思が固まったらすぐに伝える

アルバイトの採用を辞退する場合、できるだけ早く応募先に伝えましょう。

内定の連絡後は応募先の会社も入社準備を進めるため、辞退の連絡が遅れればその分無駄な手間を増やしてしまいます。

とくに小規模な店舗などでは1名採用するだけでも相当な時間やコストがかかるため、辞退の連絡を後回しにすると多大な迷惑をかけてしまいかねません。

また、辞退の連絡が遅れると、自分を採用するつもりだったために、ほかの応募者を断ってしまっている可能性もあります。

辞退の意向が固まったら、できるだけ早く伝え各所に迷惑をかけないようにしましょう。

② 基本的には電話連絡にする

採用辞退の際連絡手段に迷うかもしれませんが、基本的には電話で伝えましょう。

電話であればメールよりも早く伝えられ、文章では伝わりにくい部分も補足できます。

また、小規模の職場であれば社長や店長は多忙であることが多く、メールだと確認が遅れたり見落とされたりするおそれがあります。

ただし、例外として下記の場合はメールで伝えるようにしても問題ありません。

  • それまでのやりとりがメールで行われていた
  • 何度電話をしてもつながらない
  • 書類は通過したが、まだ面接前であり日程に余裕がある

面接当日や前日は応募先の企業がメールを確認できていない場合、迷惑をかけてしまうことになるため、必ず電話で伝えましょう。

また、連絡の際は相手が忙しい時間帯を避けることも大切です。

電話で直接話すことに抵抗感を覚える方もいるかもしれませんが、自分の意思をしっかり伝えればその一度きりで話が済みます。

事前に伝えたい言葉を何度も口に出して反復したり、言葉と気持ちを整理してから電話しましょう。

③ 連絡が嫌でも放置は厳禁

採用を辞退する際、連絡しづらいからといって何もせず放置してはいけません。

無断で辞退をすれば制服の購入費や新人研修の用意など、新しいアルバイトを受け入れるための入社準備がすべて無駄になってしまいます。

とくに勤務開始の当日になっても辞退の連絡をしていない場合は、当日の業務にも影響を及ぼしてしまいます。

あまりにも悪質な辞め方をすると、損害賠償を請求される可能性もゼロではないため、放置だけは厳禁です。

④ 辞退の理由は伝えなくてもOK

採用辞退の際、法的には理由を伝える必要はありません。

「一身上の都合」や「個人的な事情」といった当たり障りのない表現で伝えれば大丈夫です。

ただし、採用担当者も辞退の理由が分からないままでは納得しづらいため、より詳しい理由を聞かれる場合もあるでしょう。

もしそのように理由を尋ねられた際は、正直に答えれば採用担当者としても辞退を受け入れやすくなります。

ただし、あまりにもプライベートな事情や話しづらい理由であれば、無理に話す必要はありません。

その際は「個人的な事情でどうしても詳しくお伝えすることが難しく、申し訳ございません」というように、相手に配慮した伝え方をしましょう。

【電話・メール】アルバイトが採用辞退するときの例文を紹介

最後に、アルバイトが採用辞退をする際の例文をパターン別で紹介していきます。

一身上の都合により辞退する場合

まずは「一身上の都合」で辞退する場合の例文を紹介します。

電話連絡の例文

電話を掛ける際は、まず名前を名乗りましょう。

お世話になっております。

先日、アルバイトの内定をいただいた〇〇(フルネーム)と申します。

大変恐縮ですが、採用を辞退させていただきたくご連絡いたしました。

内定をいただいたばかりで申し訳ございませんが、一身上の都合により御社での勤務が難しくなりました。

選考や採用のお時間をいただいたにも関わらず、このような形となり申し訳ございません。

恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

実際には上記の文章を一息に読むようなことはあまりなく、途中で採用担当者から質問を受ける場合がほとんどでしょう。

あらかじめ考えた言葉を機械的に読むのではなく、相手の反応を伺いながら丁寧に気持ちを伝えることが大切です。

メール連絡の例文

次にメールで連絡する際の例文を紹介します。

<件名>アルバイト内定辞退のご連絡【◯◯(フルネーム)】

<本文>

株式会社◯◯

◯◯(採用担当者の方の名前)様

お世話になっております。

先日、アルバイトの内定をいただきました◯◯(フルネーム)です。

大変申し訳ございませんが、この度一身上の都合により貴社への勤務が困難になり、

内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。

ご多忙な中、選考のお時間をいただき内定まで頂戴したにも関わらず、

このような形となり大変申し訳ございません。

ご迷惑おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

末筆ではございますが、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

◯◯(フルネーム)

結びの挨拶は、相手への経緯と感謝を示すための大事なビジネスマナーです。

アルバイト先が他社で決まった場合

アルバイト先を並行して探しており、他の職場のほうが優先度が高いため採用辞退を決めた場合の例文をご紹介します。

電話連絡の例文

電話連絡の例文からご紹介します。

こちらのパターンは書類を通過済みであるものの、面接はまだ受けていない状態を想定しています。

お世話になっております。

〇月〇日にアルバイト面接をお願いしておりました、〇〇(フルネーム)と申します。

先日はお忙しい中、面接日時のご調整をいただきましてありがとうございました。

大変申し訳ございませんが、他社で採用が決まったため、今回の面接を辞退させていただきたくご連絡いたしました。

ご多忙な中ご調整をいただいたにも関わらず、大変申し訳ございません。

ご迷惑おかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。

長々と理由を話すのではなく「他社で採用が決まったため」と簡潔に理由を述べることがポイントです。

メール連絡の例文

メール連絡の例文も、書類を通過済みで面接前の状態を想定しています。

<件名>:〇月〇日のアルバイト面接辞退のご連絡【◯◯(フルネーム)】

<本文>

株式会社〇〇

◯◯(採用担当者の方の名前)様

お世話になっております。

〇月〇日にアルバイト面接のお約束をいただいております、〇〇(フルネーム)です。

この度はご多忙の中、面接日程をご調整いただきありがとうございました。

大変お伝えしにくいのですが、他社で採用が決まったため、

今回の面接の辞退をお願いしたくご連絡いたしました。

ご迷惑おかけし申し訳ございませんが、何卒よろしくお願いいたします。

末筆ながら、今後の貴社のご発展をお祈り申し上げます。

〇〇(フルネーム)

電話連絡と同様に、面接日程の調整をいただいたことへの感謝を忘れず伝えましょう。

学業や部活動・クラブ活動が理由で辞退する場合

応募時点では支障なかったものの、学業や部活動が急に忙しくなり、やむなく辞退を選ぶ場合もあるでしょう。

学生であれば学業や部活動への取り組みが最優先となるため、採用担当者にも理解してもらいやすい理由です。

電話連絡の例文

電話連絡の例文を紹介します。

お世話になっております。

先日、採用の連絡をいただきました◯◯(フルネーム)と申します。

個人的な事情で大変申し訳ないのですが、応募時点よりも学業(または部活・クラブ活動)が忙しくなってしまい、今後アルバイトとの両立が難しくなってしまいした。

そのため、今回の採用を辞退させていただきたくご連絡いたしました。

突然のご連絡となり、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。

何卒よろしくお願いいたします。

「テストなどで一時的に忙しいだけかもしれない」と捉えられると、辞退を引き止められる可能性もあります。

そのため、一時的に忙しいのではなく、今後長期間にわたって時間の確保が難しいことを伝えましょう

メール連絡の例文

こちらはメール連絡の例文です。

<件名>:アルバイト内定辞退のご連絡【◯◯(フルネーム)】

<本文>

株式会社〇〇

◯◯(採用担当者の方の名前)様

お世話になっております。

先日採用の連絡をいただきました〇〇(フルネーム)と申します。

応募時点ではスケジュール調整に支障がない見込みでしたが、

急遽学業(または部活・クラブ活動)が非常に忙しくなり、

今後長期にわたってアルバイトとの両立が難しくなりました。

そのため、誠に勝手ながら採用を辞退させていただきたくご連絡いたしました。

お忙しい中ご対応いただいたにも関わらず、

このようなご連絡となり大変申し訳ございません。

何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

末筆ではございますが、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

〇〇(フルネーム)

例文のご紹介はこちらで最後になります。

アルバイトの採用辞退をする際は丁寧に伝えよう

アルバイトが採用辞退しても、余程悪質な辞退の方法ではない限り、損害賠償が発生することはありません。

しかし、採用担当者は辞退のその瞬間まで、仕事の時間を割いて選考や入社準備を進めています。

辞退の連絡をするときは、それまでに掛けていただいた労力を考慮して、感謝と謝罪の意を伝えることが社会人としてのマナーです。

辞退の気持ちが固まったら早めに連絡を入れて、誠実に理由を説明すればトラブルが生じることも少ないでしょう。

円満に採用辞退できるよう、採用担当者の方への心配りを忘れないようにしましょう。


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