- 更新日 : 2026年1月6日
「休職するなら退職しろ・休職したら終わり」はパワハラ?ルールを解説
従業員が何らかの理由で休職を申請する際に、上司から「休職するなら退職しろ」や「休職したら終わり」と言われた場合は、パワハラになる可能性があります。
本記事では、休職を申請した際の上司のパワハラと思われる対応について解説します。上司から退職を促されたときに、休職か退職かを選ぶ際のヒントに役立ててください。
目次
「休職するなら退職しろ」「休職したら終わり」と言われた場合、パワハラに当たる?
会社の従業員は、所属部署の上司に休職を申請することが一般的です。その際、上司から「休職するなら退職しろ」や「休職したら終わり」などと言われた場合、パワーハラスメント(以下、パワハラ)に抵触する可能性があります。
休職を申請した従業員に対して、上司の言動や対応がパワハラに該当するかは、状況にもよります。
上司の対応による
休職を申請してきた従業員に対して、上司の対応次第ではパワハラと認定されるかもしれません。特に人手不足の職場では、慢性的な業務過多の状況が考えられます。その状況では、休みたくても代わりの人材がいなければ休みにくいものです。このような場合、休職を申請するタイミングとして適切とは言い難いでしょう。
上司によっては、休職したいという従業員に対して、不適切な対応をする可能性もあります。このような場合、上司による対応次第では、パワハラに該当するでしょう。
上司の対応が退職勧奨から退職強要になるケースも
上司の言動がパワハラに該当するかの判断は、休職を申請する従業員と面談する際の対応などが関係します。例えば、休職の申請中や休職中の従業員に対して、「休職するなら退職しろ」や「休職したら終わり」などの言動は退職勧奨の域を超えた退職強要につながるでしょう。
特に休職中の従業員に対しての退職勧奨は、言い方次第で労働契約法第16条に抵触する可能性が高くなります。
労働契約法 第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
パワハラに該当する言動
2024年4月から制定された労働施策総合推進法(パワハラ防止対策義務化)では、パワハラを防止するための処置が各事業所で義務化されました。その法律の背景として、「職場のパワハラ」が社会問題として深刻化している現状があります。パワハラは、次のタイプの言動が該当します。
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
上司による「休職するなら退職しろ」という言動は、精神的な攻撃と判断されればパワハラに該当すると言えるでしょう。
パワハラに該当し違法となった場合
上司による言動がパワハラに該当し違法となった場合は、パワハラ被害の内容によっては会社が民事損害賠償の請求を受けることが考えられます。
パワハラが原因で従業員が精神疾患となった場合は、会社にとって法的な責任や訴訟などで不利益な状況となるでしょう。
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知恵袋やアフィリエイトサイトで「休職するなら退職しろ」「休職したら終わり」と書かれる理由は?
職場の悩みなどは、知恵袋やアフィリエイトサイトに質問や回答が掲載されている場合があります。知恵袋やアフィリエイトサイトに「休職するなら退職しろ」や「休職したら終わり」などと書かれる理由は、次の要因が考えられます。
知恵袋は匿名性がある
知恵袋への書き込みは、質問者と回答者が双方とも匿名で行えます。知恵袋は投稿者の個人情報を隠した書き込みができるため、「休職するなら退職しろ」や「休職したら終わり」などと強い口調の意見もあるかもしれません。
回答する立場の人は個人情報を明かす必要がないため、多少強気な発言も考えられます。匿名性のある知恵袋は、質問者にとって都合の良い意見が書き込まれるだけではないと判断しましょう。
知恵袋は個人の本音で書き込める
知恵袋は匿名性がある特性上、個人の本音で書き込みやすい特徴があります。書き込まれた複数の意見から、質問者の意図を汲み取った意見を精査することが大切です。
ただし、職場の上司などから受けた対応によって精神的に追い込まれている質問者にとっては、本音の回答が悪影響となる可能性もあります。また、本音で書き込んだ回答の中には無責任な意見もあるため、あくまで参考程度にとどめておくことも必要です。
アフィリエイトサイトは読まれる工夫が必要
アフィリエイトサイトは、インターネットを介した広告手法の一種です。例えば、リスティング広告の場合は、検索したキーワードの回答となるページへ訪問することが考えられます。その訪問したサイトは、アフィリエイト(成果報酬型広告)目的で作成されています。
アフィリエイトサイトの場合は、読まれる工夫として印象に残る言葉を使う可能性があります。「休職するなら退職しろ」や「休職したら終わり」などのインパクトのある言葉を使って、読ませるための工夫がされているでしょう。
休職を選ぶ主なメリット
職場での就業が続けられないと判断した場合は、休職を選ぶことも方法の一つです。休職を選ぶ場合は、次のメリットが考えられます。
療養(治療)できる
休職を選ぶメリットは、休職の原因となった病気の療養(治療)に専念できる点です。休職は、メンタル面の不調から健康状態を取り戻すための療養期間になるでしょう。メンタル面の不調となった原因が職場にあれば、なおさらのことです。
休職は、職場において蓄積された日々のストレスや疲労などを軽減できます。メンタル面で不調をもたらしている状況は、環境を変えた休息が必要です。蓄積した職場のストレスは、仕事や人間関係から解放された時間により回復が見込まれるでしょう。
現状や将来などを冷静に考えられる
休職は仕事を休む期間となるため、ゆとりのある時間が得られます。時間にゆとりが生まれるため、現状や将来などを冷静に考えられるでしょう。
例えば、休職期間中は職場に出勤する必要がありません。職場に向かうための身支度や通勤、上司や取引先とのやり取りなどから解放されます。
仕事に充てていた時間は、休職により自由な時間として使えます。自由になった時間を気の向くままに過ごすことで、現状を客観的に見直せるかもしれません。また、将来を冷静に考える時間としても活用できます。
復職ができる
休職は不調になった環境から離れることで健康状態が回復する可能性もあります。休職していた従業員は、健康状態が回復した場合に復職も可能です。
休職の療養期間を過ごすことで、考え直す部分も見つかる可能性があります。自分でも改める部分があると判断できれば、元の職場への復職にも役立ちます。休職は将来的な視野を広げる期間にもなるでしょう。
退職を選ぶ主なメリット
従業員が休職ではなく退職を選ぶ主なメリットは、現在の職場に見切りをつけて再出発できる機会になることです。休職した場合は、不在の時期が長引けば長引くほど職場への復帰が難しくなります。そのため、復帰後の職場での将来にも期待ができなくなるでしょう。
自分自身の将来性が見えてこなければ、休職ではなく退職を選ぶことは仕方のない判断です。また、退職を選んだ場合は、次のメリットも期待できます。
現在の仕事によるストレスから解放される
休職ではなく、退職を選んだ場合は、現在の仕事によるストレスから解放されます。特に許容範囲をはるかにオーバーした業務や責任があった立場であれば、退職により仕事で抱えていた全てのものから解放されます。
少人数で回す事業所では、慢性的な人員不足のため、担当者ひとりの業務や責任が増えることも考えられます。日常的に許容範囲を超えた状態が続けば、仕事のストレスも蓄積されるでしょう。
退職は、ストレスの原因となる仕事から解放できる方法の一つです。仕事によるストレスが精神面に影響しているのであれば、退職により解決できます。
転職によるスキルアップのチャンスが期待できる
退職を選んだ場合は、別の企業への転職も一つの方法です。退職はこれまで在籍していた職場から解放され、転職などやりたいことを自由に選択ができます。職場探しの際は、実務経験だけではなく、スキルアップも視野に入れた挑戦も可能です。つまり、退職はスキルアップのチャンスがある転職活動の第一歩と言えるでしょう。
新しい人間関係の構築ができる
退職は、職場の人間関係から解放されたい場合に有効な手段です。ストレスの原因が会社の人間関係だった場合は、ストレス解消の選択肢として期待できるでしょう。
また、退職して職場が変われば、新しい人間関係の構築も可能です。退職は現在の状況をリセットして新しい人間関係の構築に向けた心機一転の機会にもなるでしょう。
休職しても「終わり」ではない理由
この項では、「休職したら終わり」という判断に対して、休職しても「終わり」ではない理由を解説します。
業務上の怪我や病気であれば休職しても一定期間解雇不可
「休職したら終わり」という判断は、全てに該当するわけではありません。例えば、業務上の怪我や病気であれば、労働基準法第19条第1項に該当し、休職後の退職扱いや解雇が違法行為と判断されます。
労働基準法 第19条第1項
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。
休職する理由が、職場におけるパワハラや長時間労働、退職勧奨などによる精神疾患と診断されている場合は、一定期間の解雇ができなくなります。会社側の職場環境に問題があれば、休職しても不当な解雇ができないため、終わりと考えるのは時期尚早です。
医療機関による自立支援やリワークプログラムを利用した復職
休職中は、復職に向けた意思があれば医療機関による自立支援やリワーク(復職)プログラムなどが利用できます。職場でも、休職者の復職プログラムを作成することで、メンタルヘルス対策への取り組みにもなるでしょう。
参考:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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