- 更新日 : 2025年4月4日
日本語が話せない外国人労働者にはどのように対応すればいい?
企業の人手不足を解決する手段として外国人労働者の雇用が注目されています。一方で、外国人労働者の日本語力にはばらつきがあり、中にはあまり話せないという人もいるでしょう。
外国人労働者の採用を考えている経営者ならば、日本語が話せない人とどのように向き合っていけばよいのか疑問に感じるかもしれません。本記事では、日本語が話せない外国人労働者への対応方法や採用時のポイントなども解説します。
目次
外国人労働者が働くために必要な日本語力とは
JLPT(Japanese-Language Proficiency Test)は、日本語の読解力や聴解力を測る試験で、N1からN5までの5つのレベルに分かれています。採用時には外国人労働者の日本語力を測る基準として、JLPTのレベルがチェックされています。
| レベル (難易度:高[N1]~低[N5]) | 日本語力の目安 |
|---|---|
| N1 | 高度な日本語を理解し、複雑な文章や抽象的な話も内容を把握できる |
| N2 | 日常会話だけでなく、仕事上の会話や文書の理解ができる |
| N3 | 日常的な日本語の使用ができるものの、内容が複雑になると難しい |
| N4 | 基本的な日本語が理解できるが、業務指示の理解には補助が必要 |
| N5 | 簡単な表現を理解できるが、仕事での使用は難しい |
自社の業務内容に応じて、どの程度の日本語力が必要なのかを事前に検討しておくことが重要となるでしょう。
在留資格ごとに求められる日本語能力は異なる
日本で働く外国人労働者はそれぞれ在留資格を有しており、資格ごとに求められる日本語レベルが異なります。
たとえば、建設業や製造業などに従事できる「特定技能1号」では、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上が必要です。一方で、高度外国人材に該当する「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有した外国人労働者には、法律的に求められる日本語力水準は定められていません。
そのため、外国人労働者を採用する際には、在留資格と日本語レベルをチェックし、適正な水準に達しているのか確認しましょう。
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日本語が話せない外国人労働者への対応
日本語が話せない外国人労働者と働く際には、コミュニケーションを工夫することが大切です。適切なコミュニケーションによって、日本語が不自由な外国人労働者ともスムーズな意思疎通が実現するでしょう。
シンプルで分かりやすい日本語で話す
日本語が話せない外国人労働者と円滑にコミュニケーションをとるためには、できるだけシンプルで分かりやすい日本語を使うことが重要です。以下のポイントを意識して話すと、より伝わりやすくなります。
- 一文は短く区切る
- シンプルで分かりやすい言葉を用いる
- 曖昧な表現を避ける
仕事で使うレベルの日本語が難しくても、日常生活レベルの日本語ならば理解できる外国人労働者は少なくありません。ほんの少しの工夫を意識するだけで、円滑に会話を進められるでしょう。
ゆっくり話す
日本語に不慣れな外国人と会話をする際には、ゆっくり話すことも大切です。
日本語の会話スピードが速いと、相手が単語や文章を聞き取れず、コミュニケーションがうまくいきません。とくに、日本語の発音やイントネーションに慣れていない外国人労働者にとっては、聞き取れる範囲が限られるため、話すスピードへの配慮が必要です。
ネイティブの日本語話者は、無意識のうちに速く話してしまいます。業務に関する話題や重要な部分は意識的にゆっくりと話すことを心がけましょう。
ジェスチャーを用いながら会話する
会話にジェスチャーを取り入れることで、日本語が話せない外国人労働者ともスムーズに意思疎通ができます。
たとえば、作業を指示する際に「ここを掃除してください」と言葉だけで伝えるのではなく、実際に掃除する動作を見せながら指示を出すことで、視覚的に理解しやすくなります。ただし、国や文化によっては、日本では当たり前のジェスチャーが不適切な意味にとらえられることもあるため、事前に確認しておきましょう。
たとえ日本語の意味が完全に伝わらなくても、身振り手振りを加えることで、業務の指示や注意点を明確に伝えられるでしょう。
日本語が話せない外国人労働者を雇用する際の懸念点
話し方やコミュニケーションを工夫することで、日本語が話せない外国人労働者とも円滑な情報伝達が可能です。しかし、日本語が話せない外国人労働者を雇用するリスクも存在するため、忘れずに把握しておきましょう。
事故やトラブルにつながる恐れがある
日本語が話せない外国人労働者が職場にいる場合、業務上の指示や注意事項が正しく伝わらず、重大な事故やトラブルに発展する恐れがあります。
とくに、製造業や看護の現場では、ひとつのミスが重大な事故やトラブルにつながります。たとえば、工場での機械操作に関する指示が正しく理解されていない場合、誤った使用が原因で機材の故障や作業員の負傷につながるかもしれません。
そのため、外国人労働者がいる職場では、各母国語に対応したマニュアルやイラストで分かる張り紙を用意しましょう。
業務効率が悪くなる
日本語ができない外国人労働者が職場にいると、日々の業務において細かな配慮が必要となり、業務効率が低下する可能性があります。業務指示を伝える際には、会話の速度をゆっくりにしたり、ジェスチャーを交えて説明したりする必要があり、通常の業務に比べて時間がかかってしまいます。
しかし、必要な情報を十分に伝えずに業務を任せたり、曖昧な指示のまま作業を進めさせたりすると、大きな業務事故につながる恐れがあるでしょう。そのため、業務効率を重視して外国人労働者を雇用するのであれば、日本語を理解できる人材を受け入れるのがおすすめです。
従業員同士でコミュニケーショントラブルが発生する
日本語が話せない外国人労働者と日本人労働者の間で、コミュニケーショントラブルが発生する恐れもあります。
日本語ができない外国人労働者との意思疎通は難しく、現場で働く日本人従業員の負担となります。外国人労働者に対する不満が募り、従業員間の対立に発展するケースも珍しくありません。
このようなコミュニケーショントラブルを防ぐためにも、現場の従業員をフォローする体制を構築しましょう。具体的には、多言語に対応した業務マニュアルを用意する、外国人労働者向けの日本語研修を実施する、といった取り組みが有効です。
面接時に外国人労働者の日本語力を探る方法
経営者や採用担当者の中には、日本語ができる外国人だけを採用したいと考えている方もいるでしょう。ここでは、面接時に外国人労働者の日本語力を探る方法を紹介します。
日本語能力試験(JLPT)を確認する
外国人労働者の日本語力を確認する簡単な方法が、日本語能力試験(JLPT)の結果をチェックすることです。
日本語能力試験(JLPT)は、国際的に広く認知されている日本語の試験であり、多くの外国人が受験しています。より高い日本語力を求めているならば、N1やN2レベルに合格した外国人労働者を採用しましょう。
日本語能力試験(JLPT)以外にもJ.TEST(実用日本語検定)やNAT-TESTなど、信頼性の高い日本語試験はいくつかあります。ただし、各試験にて「読み・書き」や「漢字力」「会話力」など、求められる日本語力は異なるため、事前にどのような能力が重視されているのか確認しておくとよいでしょう。
面接を通して日本語力を測る
面接時の会話から日本語力を探ってみるのも効果的です。
日本語能力試験(JLPT)では「話す力」までは測定できません。そのため、日本語能力試験で高いレベルに合格していたとしても、想定よりも日本語が話せなかったというケースも考えられます。「これまでの仕事の経験について教えてください」「日本で働きたい理由は何ですか?」といったオープンな質問をすることで、応募者の日本語力を把握できます。
実際の業務では日本語で会話をする能力の方が重要になる場合もあるため、受け答えがスムーズにできるか、会話で違和感がないのかも確かめておきましょう。
自社で日本語課題を作成する
外国人労働者の日本語力を正しく評価するために、自社でオリジナルの日本語課題を作成するのも有効です。日本語能力試験(JLPT)の結果だけでは、実際の業務でスムーズなやり取りができるかどうかを判断するのは難しいためです。
作成するテストでは、業務に必要な日本語レベルに応じて分類するとよいでしょう。
【テストの例】
| レベル | 詳細 |
|---|---|
| 初級レベル | 基本的な日常会話ができる |
| 中級レベル | 業務に関する連絡や指示が理解できる |
| 上級レベル | 複雑な業務内容が理解でき、ビジネスコミュニケーションも可能 |
自社の業務内容に合わせた日本語課題を作成することで、より実践的な日本語能力の評価が可能になり、適切な人材の採用につながります。
外国人労働者の日本語力向上を目指す方法
採用した外国人労働者の日本語力が低かった場合、企業側で学習の機会を提供し、日本語力向上を目指しましょう。ここでは、企業が実践できる外国人労働者の日本語力向上の方法について解説します。
外部の日本語学習サービスを活用する
外国人労働者の日本語力向上を目指す際には、外部の日本語学習サービスを活用してみましょう。具体的には、オンライン学習や対面授業などがあげられます。
これらのサービスでは、外国人向けの日本語教育に精通した講師がレッスンを提供するため、効率的に学習を進められます。
また、企業側にとっても、自社で教育体制を構築する手間を削減できる点が魅力です。そのため、資金に余裕がある場合は、外部の日本語学習サービスの利用を積極的に検討するとよいでしょう。
日本語で会話をする機会を設ける
昼食や休憩時間を活用し、外国人労働者が日本語で会話できる場を作ることも大切です。
職場に複数の外国人労働者がいる場合、同じ国籍や言語を話す仲間と固まって行動することがあります。安心感を得るための自然な行動ですが、日本人の同僚との会話が少なくなり、日本語力の向上が難しくなってしまいます。
そのため、業務時間以外にも交流の機会を増やすことで、自然な会話の中で日本語を習得できるでしょう。
日本語力が原因のミスがあっても責めない
もし日本語力が原因で外国人労働者が何かミスをしても、それを責めるのではなく、適切なフォローを行いましょう。日本語を習得しようと頑張っているのに、ミスをしたときに厳しく叱責されると、日本語を学ぶ意欲を失ってしまう恐れがあるためです。
また、経営者や管理職だけでなく、組織全体で「日本語力が原因のミスを過度に責めない」風土を作るのも大切です。従業員同士で協力し合い、サポート体制を整えることで、外国人労働者の日本語学習のモチベーションを高め、業務の質の向上にもつながるでしょう。
日本語が話せない外国人労働者に関するよくある質問
外国人労働者を雇用する際、彼らの日本語力について悩みや疑問を抱える方もいるでしょう。ここでは、日本語が話せない外国人労働者に関して、よくある質問とその対応策を紹介します。
日本語力を理由に解雇することはできますか?
企業が「業務遂行のために一定の日本語能力が必須である」と明確に定め、その条件を満たすことを前提に採用するケースも珍しくありません。この場合においては、採用後に著しく日本語力が不足していることが発覚すれば、解雇が有効となる可能性があります。
ただし、労働者を解雇する際には、企業側が「解雇回避措置」を講じたかどうかが重要な基準となります。具体的な解雇回避措置としては「日本語教育の実施」「日本語力があまり求められない部署への転換」などがあげられるでしょう。
採用後に日本語力が足りないと判断した場合も、すぐに解雇に踏み切るのではなく、慎重に対応することが大切です。
「日常生活程度の会話ができる」なら仕事も大丈夫ですか?
「日常生活程度の会話ができる」からといって、問題なく業務を任せられるかどうかは職種や仕事内容によって異なります。
たとえば、飲食店の店舗スタッフやアパレル販売員などは、日常会話レベルでも十分に業務をこなせるでしょう。一方で、日本人との交渉や正確な業務連絡など、高い日本語レベルが求められる場合、日常会話レベルの日本語力では困難です。
そのため、単に日本語で会話ができるかどうかではなく、業務を行ううえで必要な日本語力を満たしているかどうかが重要です。
日本語が話せない外国人労働者には適切なフォローをしよう
外国人労働者の中には、日本語が話せないという人もいます。企業が外国人労働者を雇用する際は、日本語力も踏まえて向き合っていく必要があるでしょう。
もし、採用した外国人労働者の日本語力が低かった場合、簡単な日本語で話す、ジェスチャーを交えて話すなどの配慮が必要です。一方で、企業の業務内容や採用後の業種などによっては、外国人労働者に日本語力が求められるケースもあります。
信頼性のある日本語能力試験の結果や面接時の受け答えなどを通して、日本語力が自社の求めている水準に達しているのか確認しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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