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  • 更新日 : 2021年8月30日

譲渡所得とは?不動産売却時の確定申告の方法、必要書類を解説

譲渡所得とは?不動産売却時の確定申告の方法、必要書類を解説

建物や土地などの不動産を売却して利益を得た場合には、譲渡所得の確定申告が必要です。ただし、課税所得金額や特例適用の有無によって、必要・不要が変わります。また、特例次第で節税につながる可能性があるため、適用要件も確認しておきましょう。

本記事では不動産売却に関する確定申告の必要・不要や譲渡益・譲渡所得の特例の概要、具体的な譲渡所得の計算方法、必要書類を解説します。

不動産の売却後に確定申告は必要になる?

結論から言えば、不動産売却後に確定申告が必要かどうかは個人の状況によります。

もし確定申告が必要にもかかわらず申告漏れや遅れ、間違いなどが発生すると、追徴課税として「無申告加算税」や「過少申告加算税」「延滞税」などが発生します。さらに、意図的に売却益を隠してバレたときは、重加算税や刑罰の対象です。

そのため、確定申告の有無は必ずチェックしましょう。以下ではケース別に詳細を解説します。

確定申告が必要な場合

不動産の売却後に確定申告が必要な場合は、利益が出るケースです。

例えば、不動産売却によって1,000万円の利益を得ると、1,000万円が課税所得として課税対象になるため、確定申告が必要です。

不動産売却で得た利益は「譲渡所得」として所得税の対象になります。ただし、不動産を売却した場合の譲渡所得は「申告分離課税」に分類されるため「総合課税」である給与所得事業所得などとは分けて税額を計算します。

  • 申告分離課税:ほかの所得とは区別して税額を計算する
  • 総合課税:総合課税の対象となる所得を合算して税額を計算する

つまり、不動産売却で得た利益は給与や売上高と一緒にせず、独立して税額を算出しなければなりません。通常の確定申告書と併せて、分離課税用の確定申告書の作成も別途で行います。

一方、土地や建物、株式等以外の資産売却で得た譲渡所得は総合課税です。不動産売却で得た譲渡所得と区分する必要があります。また、不動産売却を事業として行っているときには事業所得、不動産の貸付による利益は不動産所得として計算します。よって、それぞれが混ざらないように注意が必要です。

確定申告が不要な場合

不動産を売却した後、利益が出なかった場合は確定申告を行う必要はありません。

「売ったのに利益が出ないのはどういうこと?」という疑問に思われるかもしれません。これは不動産を売却するときに支出する諸経費が、売却による収入金額を上回ったケースのことを指します。

まず不動産売却による譲渡所得は、原則として次のように計算します。

不動産売却による譲渡所得=不動産売却による収入金額-(取得費+譲渡費用)

 

もし収入金額3,000万円に対して取得費と譲渡費用の合計が3,500万円だった場合、3,000万円-3,500万円でマイナスになるため、譲渡所得はゼロとなり確定申告が不要になります。

譲渡所得とは

譲渡所得とは、所有している資産を売却したことにより得た所得(もうけ)のことです。譲渡所得の対象となるものにはさまざまなものがありますが、例えば、土地や建物、株式、金、宝石、骨とう品、機械器具などがあげられます。貸付金や売掛金などの債権は、譲渡所得の対象とはなりません。

また、生活で使っている家具や衣服などの生活用動産(30万円超の宝石、骨とう品などは除く)については、そもそも所得税が非課税のため、売却しても税金は課されません。

先に述べた通り譲渡所得では、売却したものによって、所得金額や税金の計算方法が異なります。

土地や建物、株式等を売却した場合には、給与や事業など他の所得と分けて、所得金額や税金の計算をします(分離課税)。

それ以外の資産は、所得金額は独自に計算しますが、税金は他の給与や事業と合算して累進課税により計算します(総合課税)。

取得費と譲渡費用とは

取得費とは「不動産の購入代金や支出した改良費・設備費などの合計」のことです。売却した不動産を買ったときの代金や、購入にかかった手数料などが該当します。ただし、古すぎて不動産の取得費がわからないときや、取得費が売却価格の5%を下回るときには、売却金額の5%相当を取得費とみなすことが可能です。

続いて、譲渡費用とは「不動産を売却したときにかかった金額」のことです。不動産仲介会社への仲介手数料や土地の測量費、立ち退き料などが該当します。

特例や損益通算を適用するときは利益ゼロでも確定申告

譲渡所得に関する特例や損益通算を適用する場合には「不動産売却による収入金額-(取得費+譲渡費用)」がゼロやマイナスであっても確定申告が必要です。つまり「確定申告が特例適用のための手続きになる」というイメージでよいでしょう。

譲渡益・譲渡損失の特例

不動産売却による利益を得たとき、譲渡益・譲渡損失の特例を利用することで節税につながります。譲渡所得を計算した後、特別控除額分を譲渡所得から差し引くことが可能です。

不動産売却による譲渡所得=不動産売却による収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

 

それぞれの詳細をみていきましょう。

譲渡益の特例

譲渡益の特例は「条件を満たした不動産」を売却したときに適用できます。

3,000万円の特別控除

マイホームを売却する場合は、譲渡所得から3,000万円を控除できる「3,000万円の特別控除」が利用できます。ただし、その年の譲渡所得が3,000万円未満だったときは、その譲渡所得の金額分のみ控除可能です。例えば、譲渡所得が1,500万円の場合は、控除額も1,500万円になります。

軽減税率の特例

同じくマイホームを売却するときに「売却年の1月1日時点の所有期間が10年を超えている場合」は、以下の税率を適用される「軽減税率の特例」が使えます。

譲渡所得金額所得税住民税合計
6,000万円までの部分10%4%14%
6,000万円超えの部分15%5%20%

※復興特別所得税2.1%が別途課せられる

買換え(交換)の特例

マイホームを売却した年の前年~翌年の3年間でマイホームの買い換えを行った場合は、売却した年ではなく買い換え後のマイホームを譲渡したときまで課税を遅らせる「買換え(交換)の特例」が適用できます。
買換え(交換)の特例

条件は「譲渡金額が1億円以下であること」「売却年の1月1日時点で所有期間10年超え、居住期間10年以上であること」「3,000万円の特別控除と軽減税率の特例を受けていないこと」などです。詳しい条件は国税庁のサイトにて確認できます。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

相続や遺贈によって取得した被相続人の居住用財産は、「相続開始3年を経過する日に属する年の12月31日までの売却」「売却価格1億円以下」などの条件を満たすことで、3,000万円まで譲渡所得から控除できます。

譲渡損失の特例(損益通算)

所有期間5年を超えるマイホームの売却によって損失が出た場合、一定の条件を満たすことで損失金額を翌年以後3年間、ほかの所得と損益通算できます。例えば購入1,000万円、売却500万円で500万円の損失が出た場合、500万円分をほかの所得から控除することが可能です。

条件は次のとおりです。

  • マイホームを売った年の前年から翌年の3年間で新しいマイホームを取得したときに、一定の要件に該当する場合
  • マイホームの譲渡契約締結日の前日において、一定の要件に該当する場合


詳しい条件は国税庁のサイトにて確認できます。

不動産売却時の確定申告の手順

ここからは譲渡所得の計算方法を含めた、不動産売却時の確定申告の手順を紹介します。

取得費・譲渡費用・減価償却費の計算を行う

まず取得費・譲渡費用の計算を行います。あらためて取得費と譲渡費用に該当する費用をみていきましょう。

<取得費>

  • 不動産の購入代金
  • 建物の建築費
  • 購入手数料
  • 登録免許税や不動産取得税、印紙税
  • 借主を立ち退かせるために支払う立退料
  • 土地の埋め立てや土盛り、取り壊し費など
  • 測量費
  • 設備費
  • 改良費
  • 一定の借入金利子

など

<譲渡費用>

  • 不動産売却にかかった仲介手数料
  • 売主が負担した印紙税
  • 家屋を明け渡してもらうときに支払う立ち退き料
  • 売却予定の土地に建っている建物の取り壊し費や建物の損失額
  • 違約金
  • 名義書換料

など

ただし、上記の費用うち、事業所得といったほかの所得の必要経費に参入したものは含まないようにしましょう。

また、建物の場合は、取得日からの経過時間を考慮した減価償却費の計算も必要です。建物は時間経過とともに価値が減少するものと考えられているため、減少分を建物の取得費に反映する必要があります。つまり、経過年数が多いほど取得費が減っていくイメージです。

計算式をみていきます。

<事業用に使われていた建物>
取得した日から売却までの減価償却費の合計額

<事業用に使われていない建物>
減価償却費=建物の取得価額×0.9×償却率× 経過年数= 減価償却費相当額(取得価額の95%上限)

課税譲渡所得金額の計算を行う

不動産の譲渡価格や取得費、譲渡費用などがすべて出揃ったら、実際に譲渡所得金額を計算します。譲渡所得は「不動産を売却した年の1月1日時点での所有期間」によって、長期譲渡所得か短期譲渡所得に分かれます。適用税率が変わるため注意しましょう。

譲渡所得の種類所有期間所得税(復興税込)住民税合計
長期譲渡所得5年超え15%(15.315%)5%20%(20.315%)
短期譲渡所得5年以下30%(30.63%)9%39%(39.63%)

ここからは次の条件で実際の計算例を紹介します。

  • 建物の譲渡価格:9,000万円(固定資産税等清算金を含む)
  • 建物の購入価格:5,000万円(減価償却費控除前)
  • そのほかの取得費:300万円
  • 譲渡費用:300万円
  • 居住期間:6年で長期譲渡所得に分類
  • 建物の種類:非事業用の鉄筋コンクリート(減価償却の償却率0.015)

<減価償却費の計算>
5,000万円×0.9×0.015×6=405万円

<建物の購入価格への反映>
5,000万円-405万円=4,595万円

<譲渡所得の計算>
9,000万円-(4,595万円+300万円+300万円)=3,805万円

<税額の計算>
3,805万円×20.315%≒772万9,000円(1,000円未満切り捨て)

もし譲渡益・譲渡所得の特例が使える場合は、譲渡所得からさらに控除額を差し引きます。例えば、3,000万円の特例を適用したときには、(3,805万円-3,000万円)×20.315%で、税額は163万5,000円になります。

なお、不動産の譲渡所得は申告分離課税であるため、所得税や法人税は別途計算して納税しなければなりません。

確定申告の準備・申告を行う

譲渡所得と納税額の計算が終わった後は、総合課税・申告分離課税の確定申告書の準備と税務署への申告を行います。

まず譲渡所得の金額や納税額を「申告分離課税用の確定申告」と「譲渡所得の内訳書」に記入しましょう。その後、給与所得や事業所得や納税額を確定申告書Bに記載し、総合課税の確定申告書も作成します。

確定申告書の提出先は「納税地の税務署」です。期限は2月中旬から3月中旬頃で、曜日や世情次第で前後します。年によって日程は変化するので、その年の国税庁公式サイトや税務署などで都度確認しましょう。

より詳しい確定申告の方法は以下の記事を参考にしてください。

不動産売却時の確定申告に必要な書類

不動産売却時の確定申告に必要な書類は次のとおりです。

必要書類入手場所
譲渡所得の内訳書税務署や国税庁の公式サイト
不動産売却や特例に関係する書類不動産業者や法務局
申告分離課税の申告書税務署や国税庁の公式サイト
確定申告書B税務署や国税庁の公式サイト

譲渡所得の内訳書

売却した不動産の所在地や面積、売却金額、費用などを記入する書類です。

<1面>
譲渡所得の内訳書 1面

<2面>
譲渡所得の内訳書 2面

<3面>
譲渡所得の内訳書 3面

<4面>
譲渡所得の内訳書 4面
【参考】国税庁|譲渡所得の内訳書

不動産売却や特例に関係する書類

各種特例を受けるためには不動産売却や所有期間、そのほかの支出を証明するための書類も揃える必要があります。具体的には次のとおりです。

<3,000万円控除の特例を受ける場合>

  • 戸籍の附票の写し等(譲渡契約締結時に不動産の所在地が住民票と異なる場合)

<軽減税率の特例を受ける場合>

  • 登記事項証明書
  • 戸籍の附票の写し等(譲渡契約締結時に不動産の所在地が住民票と異なる場合)

<買換えの特例を受ける場合>

  • 登記事項証明書(売却した居住用財産・買い換えた居住用財産のどちらも)
  • 戸籍の附票の写し等(住民票との所在地が異なるときや、売却日10年内で住所の異動があった場合)
  • 売買契約書の写し等の譲渡価額が1億円以下と証明できる書類
  • 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し、または既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類(買換資産が築25年を超える中古住宅である場合)
  • 買換(代替)資産の明細書

<譲渡損失の損益通算の特例を受ける場合(買換え等)>

  • 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書
  • 居住用財産の譲渡損失の損益通算、および繰越控除の対象となる金額の計算書
  • 戸籍の附票の写し等(譲渡契約締結時に不動産の所在地が住民票と異なる場合)
  • 登記事項証明書の写し(売却した居住用財産・買い換えた居住用財産のどちらも)
  • 売買契約書の写し(売却した居住用財産・買い換えた居住用財産のどちらも)
  • 残高証明書(買い換えた居住用財産)

<譲渡損失の損益通算の特例を受ける場合(特定住居用財産の譲渡)>

  • 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算、および繰越控除の対象となる金額の計算書
  • 登記事項証明書の写し
  • 売買契約書の写し
  • 残高証明書(譲渡資産にかかるもの)

<被相続人の居住用財産を売ったときの特例(居住用家屋を含む)>

  • 登記事項証明書の写し
  • 売買契約書の写し
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 耐震基準適合証明書、または建設住宅性能評価書の写し

<被相続人の居住用財産を売ったときの特例(居住用家屋を取り壊す等)>

  • 登記事項証明書の写し
  • 被相続人居住用家屋等確認書

さらに詳しい内容を知りたい方は、国税庁が公表しているチェックシート等もご覧ください。

申告分離課税の申告書(申告書第三表 分離課税用)

不動産の売却益は申告分離課税であるため、総合課税用の確定申告書とは別に「申告分離課税の申告書(申告書第三表 分離課税用)」を作成します。

申告分離課税の申告書(申告書第三表 分離課税用)

【参考】国税庁|申告分離課税の申告書(申告書第三表 分離課税用)

確定申告書B

給与所得や事業所得といった総合課税を申告するための確定申告書Bも作成します。

確定申告書B

【参考】国税庁|確定申告書B

不動産売却で得た所得は確定申告が必要!

不動産売却で所得を得た場合は、原則として確定申告が必要です。利益が出ていない場合は申告が不要になりますが、譲渡益・譲渡損失の特例を適用する場合は、利益がゼロでも必要なので注意しましょう。

不動産売却で得た譲渡所得は申告分離課税です。通常の確定申告と一緒に、申告分離課税用の確定申告書や譲渡所得の内訳書、不動産売却に関係する書類を提出しましょう。

さらに詳しい確定申告について知りたい場合は、マネーフォワードの以下の記事もぜひ参考にしてください。

よくある質問

不動産の売却後に確定申告は必要になる?

確定申告が必要なケースと不要なケースがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

不動産売却時の確定申告の手順は?

取得費・譲渡費用・減価償却費の計算を行ったのち、課税譲渡所得金額を計算し、確定申告を行います。詳しくはこちらをご覧ください。

不動産売却時の確定申告に必要な書類は?

譲渡所得の内訳書、不動産売却や特例に関係する書類、申告分離課税の申告書(申告書第三表 分離課税用)、確定申告書Bなどが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド確定申告

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