• 更新日 : 2025年8月29日

【2025年4月】育児時短就業給付金はいくらもらえる?計算方法や申請手続きも紹介

育児と仕事の両立を支援するため、2025年4月から育児時短就業給付金が新設されました。この制度は、時短勤務による給料の減少を補う仕組みで、安心して働き続けられるよう支援するものです。

ただし、支給条件や対象者、金額の計算方法、申請手続きには細かなルールがあります。この記事では、育児時短就業給付金の概要、支給条件や給付額、申請方法、注意点などをわかりやすく解説します。

経営者や人事労務担当者の方は、この新しい給付金制度を正しく理解し、従業員への適切な情報提供と申請支援を行いましょう。

出典:出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の創設(令和7年4月1日)|厚生労働省

【2025年4月1日から】育児時短就業給付金とは?

育児時短就業給付金は、育児・介護休業法の改正に伴い、2025年4月1日から施行された新たな雇用保険の給付制度です。従業員が育児のために短時間勤務をする際、給料が減少した部分の一部を給付金として支給し、育児と仕事の両立を支援することが目的です。

たとえば、1歳未満の子どもを育てながら1日6時間勤務に短縮した場合、通常の8時間勤務と比べて給料が下がりますが、その差額を補うために、時短中の賃金額と育児時短就業開始時賃金月額に応じて算定された金額が育児時短就業給付として支給されます。

育児時短就業給付金は、雇用保険の被保険者が支給要件となり、制度の利用により家計への影響を抑えながら育児に取り組むことが可能になります。

会社にとっても、育児中の従業員の離職防止や定着率の向上が期待できるため、働き続けやすい職場づくりの一環として注目されています。労働者のキャリアの継続を後押しし、人材の長期的な確保にもつながる制度です。

育児時短就業給付金の支給条件

育児時短就業給付金は雇用保険に加入している労働者が、育児のために短時間勤務へ移行した場合に支給されます。ただし、すべての時短勤務者が対象になるわけではなく、子どもの年齢や勤務時間の要件など、いくつかの基準を満たす必要があります。

従業員が給付金の対象となるか、会社は事前に確認しておきましょう。

支給対象者

育児時短就業給付金の支給対象者は、以下の条件をすべて満たす雇用保険の被保険者です。

2歳未満の子どもを養育するために、時短勤務で就業していること

まず、養育する子どもの年齢と時短勤務の利用状況が挙げられます。この給付金は、2歳の誕生日の前日までのお子さんを養育するために、育児のための所定労働時間短縮制度、すなわち「育児時短就業」を利用している被保険者が対象です。例えば、2025年4月1日以降、お子さんが2歳になるまでの間ではなく、お子さんが2歳の誕生日を迎える日の前月まで時短勤務をされている方が対象となります。

給付金が支給される対象月の全期間にわたり、雇用保険の被保険者であること

給付金が支給される対象月の間は、月の初日から末日まで継続して雇用保険の被保険者である必要があります。加えて、その期間中、1週間あたりの所定労働時間が短縮されている状態で就業していることが条件です。

育児時短就業を開始した日の前2年間で、賃金の支払いがあった月が12か月以上あること

育児時短就業を開始した日の前2年間において、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月、または賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月が、合計で12か月以上あることです。

1週間あたりの所定労働時間が短縮されている状態で就業していること

育児時短就業として、1週間あたりの所定労働時間が短縮されている状態での就業が対象となります。

給付金が支給される対象月に、他の雇用保険の給付を受けていないこと

給付金が支給される対象月において、育児休業給付金や介護休業給付金、あるいは高年齢雇用継続給付など、他の雇用保険の給付を同時に受けていないことが条件となります。これらの給付金と育児時短就業給付金は同時に受け取ることはできませんので、注意が必要です。

公務員の場合

公務員の場合、雇用保険制度の対象外のため、この育児時短就業給付金は支給されません。別途、各省庁や自治体が設けている育児支援制度を確認する必要があります。

支給対象となる時短就業の基準

育児時短就業給付金は、週単位で労働時間を短縮した場合に支給対象となります。

この制度における「育児時短就業」とは、育児・介護休業法に基づく制度(1日6時間の短縮勤務など)に限定されず、2歳未満の子どもを育てるために1週間あたりの所定労働時間を短縮することが条件となります。週単位で短縮していれば、1日の労働時間の変化や具体的な勤務日数に関わらず支給対象となり得ます。

たとえば、所定労働時間が週40時間の従業員が、子育てのため週30時間に短縮した場合、その差分を「時短」と認定し、給付対象となります。なお、短縮後の労働時間に上限はありませんが、20時間未満になると原則として給付対象外となります。

労働時間が20時間未満になる場合の注意点

短縮後の1週間あたりの所定労働時間が20時間未満となると、雇用保険の被保険者資格を喪失する可能性があるため、次のいずれかを満たさなければ給付を受けることができません。

  • 小学校就学前までに週20時間以上の勤務へ復帰することが、就業規則等で明文化されている
  • 就労継続により被保険者資格を維持していることが証明できる

以下のような場合もまた、以下のような制度が適用されている人も、要件を満たせば支給対象となります。

特別な労働時間制度を適用されている場合の取扱い

フレックスや変形労働制など柔軟な働き方でも、週単位での労働時間の短縮が確認できれば支給対象となります。

  • フレックスタイム制
    → 清算期間内の総労働時間を短縮して就業していれば対象。単に一部の勤務時間帯を休んだだけの場合(フレキシブルタイムのみ未勤務など)は対象外。
  • 変形労働時間制
    → 対象期間全体の労働時間を短縮していれば対象。単なる閑散期(繁閑調整)による勤務減は対象外。
  • 裁量労働制
    → 「みなし労働時間」を短縮して働く場合は対象。ただし、制度の適用有無は慎重に確認を。
  • シフト制
    → 毎週の勤務時間が異なる場合でも、1週間ごとの平均労働時間が短縮されていることが確認できれば支給対象です。

支給対象となる期間

育児時短就業給付金が支給される期間は、従業員が育児時短就業を開始した日の属する月から、終了した日の属する前月までです。この期間を「支給対象月」と呼びます。

例えば、育児時短就業を4月21日に開始し、3月20日に終了した場合、4月が最初の支給対象月となり、翌年3月が最後の支給対象月となります。

ただし、以下のいずれかの事由が生じた場合は、その日が属する月までが支給対象期間となります。

  • 育児時短就業に係る子が2歳に達する日の前日
    子が2歳の誕生日を迎えた場合、その前日が属する月までが給付の対象期間です。
  • 産前産後休業、育児休業または介護休業を開始した日の前日
    育児時短就業中に、新たな産前産後休業、育児休業、または介護休業が始まった場合、これらの休業開始日の前日が属する月までが支給対象となります。
  • 育児時短就業に係る子とは別の新たな子を養育するために育児時短就業を開始した日の前日
    現在育児時短就業給付金を受給している子がおり、その子とは別の新たな子を養育するために別の育児時短就業を開始した場合、それまでの育児時短就業給付金の支給は終了します。
  • 子の死亡その他の事由により、子を養育しないこととなった日
    養育していた子が死亡した場合や、何らかの理由で子の養育を行わなくなった場合も、その日が属する月までが支給対象期間となります。

出典:出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の創設(令和7年4月1日)|厚生労働省
出典:2025年4月から「育児時短就業給付金」を創設します|厚生労働省

育児時短就業給付金はいくらもらえる?

育児時短就業給付金の支給額は、「育児時短就業開始時賃金月額」と比較して、時短中に支払われた賃金がどれだけ減ったかによって決まります。

育児時短就業開始時賃金月額は、時短勤務を始める直前の6か月間の賃金総額を180日で除し、30を乗じて算出します。実際には、雇用保険に提出する「賃金証明書」により確定されます。

時短勤務を始める直前の6か月間の賃金総額 ÷ 180 × 30

賃金が時短前の90%以下の場合

支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%以下である場合、実際に支払われた賃金の10%が給付されます。

計算式:

支給額 = 時短中の賃金額×10%(ただし、支給額は育児時短就業開始時賃金月額の10%が上限)

計算例:

時短前の賃金額  =  30万円
時短中の賃金額  =  20万円

賃金率 = 20万円 ÷ 30万円 ≒ 0.6667 (66.67%)

支給額 = 20万円×0.1=20,000円

「育児時短就業開始時賃金月額(時短前の賃金日額)」ではなく、時短中の実際の賃金額を使って計算するのがポイントです。

賃金が時短前の90%超〜100%未満の場合

支給対象月に支払われた賃金額が、育児時短就業開始時賃金月額の90%を超え、100%未満である場合、給付金によって賃金が過度に補填されないよう、支給率が調整されます。

計算式:

支給額 = 時短中の賃金額 × 調整後の支給率

*調整後の支給率は、以下の式で算出します。

調整後の支給率 = {9,000 × 育児時短就業開始時賃金月額 ÷ (支給対象月に支払われた賃金額 × 100) – 90} ÷ 100

計算例:

時短前の賃金額 = 30万円
時短中の賃金額 = 28万円

この場合、調整後の支給率は次のように計算されます。

調整後の支給率 = ( 9,000 / 300,000 × 280,000 × 1 / 100 – 90 ) ÷ 100 ≒ 0.06428
28万円 × 6.43% = 1万8,004円(支給額) (小数点以下は切り捨て)

支給限度額を超える場合

支給対象月に支払われた賃金額と、上記(賃金が時短前の90%以下の場合、または賃金が時短前の90%超〜100%未満の場合で算出された)支給額の合計が、支給限度額を超える場合は、以下の計算式で給付額を算出します。

計算式:

支給額=支給限度額–時短中の賃金額

*支給限度額は471,393円です(2026年7月31日までの上限額)。

計算例:

時短前の賃金額 = 48万円3,300円(上限額)
時短中の賃金額 = 43万円

この場合、時短中の賃金額は時短前の賃金額の90%以下にあたるため、原則的な計算では43万円 × 10% = 4万3,000円が給付額となります。

しかし、時短中の賃金額43万円とこの給付額4万3,000円を合計すると47万3,000円となり、支給限度額47万1,393円を上回ってしまいます。

そのため、支給額は支給限度額に収まるように調整され、47万1,393円 – 43万円 = 4万1,393円(支給額)となります。

計算結果に端数が生じる場合は、小数点以下を切り捨てて整数にまるめることになっています。

給付されないケース

以下のケースに該当する場合は、育児時短就業給付金が支給されません。

時短中の賃金が、時短前の賃金額の100%以上の場合

時短開始後に賃金に変化がない、または賃金が上がった場合は支給対象外となります。給付金は賃金減少を補填する目的のため、賃金が減少しなければ支給されません。

時短中の賃金と給付金の合計が支給限度額を超える場合

上記「支給限度額を超える場合」の計算の結果、支給限度額である47万1,393円(2026年7月末までの支給限度額)を超過する部分は支給されません。

算出された支給額が最低限度額以下の場合

「支給額と計算方法」で紹介した各計算方法で算出された支給額が、最低限度額である2,411円(2026年7月31日までの額)以下の場合も支給対象外となります。

時短前の賃金額の上限額と下限額

育児時短就業開始時賃金(時短前の賃金額)には、上限額と下限額が定められており、この範囲内の賃金でなければ支給されません。

育児時短就業開始時賃金日額
  • 上限額:1万6,110円
  • 下限額:3,014円
育児時短就業開始時賃金月額
  • 上限額:48万3,300円
  • 下限額:9万420円

これらの上限・下限額も、支給の可否や支給額に影響するため、確認が必要です。

育児時短就業給付金の申請方法

育児時短就業給付金の申請は、被保険者(労働者本人)ではなく、事業主がハローワークを通じて行います。従業員がスムーズに申請できるよう、会社は手続きを理解し、必要なサポートを行いましょう。

1. 育児時短就業開始時賃金の届出(受給資格確認)

まず、事業主は従業員が育児時短就業を開始したことをハローワークに届け出ます。これにより、給付金を受け取るための受給資格の確認が行われます。

  • 提出者:原則として事業主(被保険者の希望があれば被保険者自身が直接提出することも可能)
  • 提出時期:育児時短就業を開始した日の翌月の初日から4か月以内(例えば、4月21日に時短就業を開始した場合、5月1日から8月31日まで)
  • 提出先:事業所の所在地を管轄するハローワーク
  • 必要書類
    • 育児時短就業開始時賃金証明書
    • 雇用保険被保険者育児時短就業給付金受給資格確認票(初回)育児時短就業給付金支給申請書
    • 育児時短就業開始日の前2年間の賃金に関する書類(賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書など)
    • 母子手帳の写しなど、子の出生年月日を確認できる書類
    • 育児休業給付を受けており、そこから引き続いて育児時短就業を開始した場合は、育児休業給付に係る休業開始時賃金日額を育児時短就業開始時賃金日額とします。

この手続きで受給資格が確認されると、「育児時短就業給付金受給資格確認通知書」と「初回育児時短就業給付金支給申請書」が事業主または被保険者へ交付されます。

2. 初回および2回目以降の支給申請

受給資格が確認されたら、支給額を申請します。支給申請は、原則として2か月ごとにまとめて行います。

  • 提出者:原則として事業主(被保険者の希望があれば被保険者自身が直接提出することも可能)
  • 提出時期
    • 初回申請:支給対象月の初日から起算して4か月以内(例えば、6月・7月分の支給申請は9月30日まで)
    • 2回目以降の申請:初回と同様に、支給対象月の初日から起算して4か月以内(例えば、8月・9月分の支給申請は12月31日まで)
  • 提出先:事業所の所在地を管轄するハローワーク
  • 必要書類
    • 育児時短就業給付金支給申請書
    • 支給対象月に支払われた賃金に関する書類(賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書など)
    • 育児時短就業期間中の賃金や所定労働時間に変更があった場合は、変更内容が確認できる書類

3. 支給決定と支給

ハローワークは提出された申請書類に基づき審査を行い、支給要件を満たしていれば支給決定を行います。

  • 支給決定:審査が完了すると、ハローワークから「育児時短就業給付金支給決定通知書」が交付されます。
  • 給付金の支給:支給決定後、給付金は指定された金融機関の口座に振り込まれます。通常、支給決定から約1週間程度で入金されます。

申請手続きには期限があります。育児時短就業開始時賃金の届出(受給資格確認)は、育児時短就業を開始した日の翌月の初日から4か月以内に行う必要があります。

厚生労働省のウェブサイトやハローワークの窓口で、最新の申請書や詳細な手続き方法を確認しましょう。

出典:出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の創設(令和7年4月1日)|厚生労働省

育児時短就業給付金の注意点

育児時短就業給付金を利用するにあたって、会社と従業員の双方が理解しておくことで、円滑な運用につながります。

ボーナスや他の給付制度との関係

育児時短就業給付金は、時短勤務によって減った月給の一部を補填する制度であり、ボーナス(賞与)の金額に直接影響するものではありません。しかし、時短勤務により基本給が下がった場合、それが賞与の算定基準に影響し、結果的にボーナスが減る可能性はあります。

また、この給付金は他の雇用保険の給付(例:育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢雇用継続給付)と同一月に併給できません。複数の制度の対象となる場合には、どの給付を選ぶのが自分にとって有利かを検討する必要があります。企業側も、従業員が適切な判断を下せるように、必要な情報提供や助言を行うことが望まれます。

申請書類の正確性を確保する

申請書類の記載内容に不備があると、審査が遅れたり、支給が認められなかったりする可能性があります。特に、賃金台帳や出勤簿など、賃金や労働時間に関する情報は正確に記載しましょう。

記入する数字は、1円単位まで正確に記載し、虚偽の申告は決して行わないでください。また、申請書に添付する書類も漏れがないように準備します。 不明な点があれば、管轄のハローワークに問い合わせて確認することをおすすめします。

育児時短就業給付金を活用して安心できる職場づくりを

育児時短就業給付金は、時短勤務による収入減を補い、育児と仕事の両立を後押しする制度です。制度の概要や申請方法を正しく理解し、従業員への案内や申請支援を進めることで、企業にとっても人材確保や定着率向上につながります。不明点はハローワーク等に相談し、制度を有効に活用しましょう。


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