- 更新日 : 2025年8月26日
会社側が行う入社手続きの流れは?スケジュールが分かるチェックリストとあわせて解説
会社が行う入社手続きには、法律に基づくものや雇用管理に必要なものなどがあります。手続きは多岐にわたるため、人事労務担当者は漏れがないように注意が必要です。
本記事では、会社側が行う入社手続きについて解説します。入社手続きの必要書類やスケジュールが分かるチェックリストも紹介しますので、再確認してみましょう。
目次
会社側が入社前に行う入社手続き
会社側が入社前に行う主な入社手続きは以下の通りです。
- 労働条件通知書・雇用契約書の作成と交付
- 提出書類や入社当日の流れに関する案内
- 備品や貸与品の準備
各手続きについて解説します。
労働条件通知書・雇用契約書の作成と交付
従業員を採用するとき、会社側は「労働条件通知書」を交付し、採用者と「雇用契約書」を締結します。労働条件通知書の交付は労働基準法に定める義務です。雇用契約書の締結は任意ですが、トラブル防止などのために締結するのが一般的です。
- 労働条件通知書:賃金や労働時間などの労働条件を採用者に通知するための書面
- 雇用契約書:雇用主と採用者が雇用契約の内容に合意したことを証明する書面
労働条件通知書と雇用契約書を作成するのは会社側です。会社側が労働条件通知書を交付し、採用者に労働条件について説明します。雇用契約書は2部作成し、両者が雇用契約書に署名・捺印してそれぞれが保管します。
労働条件通知書の記載内容
労働条件通知書には、以下の「絶対的明示事項」と「相対的明示事項(定めがあれば記載が必要な事項)」の記載が必要です。
(労働条件通知書の記載内容)
絶対的明示事項 |
|
---|---|
相対的明示事項 |
|
なお、2024年4月より以下の事項も明示が必要となりました。
- 就業場所・業務の変更の範囲
- 更新上限の有無と内容
- 無期転換申込機会および無期転換後の労働条件
提出書類や入社当日の流れに関する案内
雇用契約を締結し採用が確定すれば、採用者に入社時に提出してもらう書類を案内します。提出書類の一覧を書面で作成し交付するなどして、提出書類の漏れを防ぎましょう。
同時に、入社当日のスケジュールなども伝えます。初めての職場に不安を感じている採用者も、事前に分かれば少しは安心できます。自己紹介してもらう場合は、時間や要領を伝えておいてもよいでしょう。
備品や貸与品の準備
採用者が入社するまでに、備品や貸与品の準備も必要です。主な備品や貸与品は以下の通りです。
- 社員証と入館カード
- 名刺
- 机と椅子
- パソコンと周辺機器
- メールアドレスと社内システムのアカウント
- 固定電話や携帯電話
- 筆記具や事務備品 など
入社時に揃っていないと「大切に扱われていない」「いい加減な会社だ」など、第一印象が悪くなる可能性もあるため、漏れがないように注意しましょう。
入社手続きの必要書類
入社手続きの必要書類を、会社側と内定者に分けて解説します。期限のある社会保険加入手続きなどに使用する書類もあるため、入社日より前(入社日当日を含む)に準備するのが一般的です。
会社側が準備するもの
会社側が準備する入社手続きの主な必要書類と使用目的は以下の通りです。会社が必要書類を準備し、内定者に必要事項を記載してもらいます。
(入社手続きの必要書類)
必要書類 | 使用目的 |
---|---|
扶養控除等申告書 | 源泉徴収と年末調整 |
健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届 | 扶養親族の健康保険加入と被扶養配偶者の第3号加入の手続き |
給与振込先の届書 | 給与振込先の確認 |
内定者が準備するもの
内定者が準備する入社手続きの主な必要書類と使用目的は以下の通りです。
(入社手続きの必要書類)
必要書類 | 使用目的 |
---|---|
マイナンバーカードなど | マイナンバーの確認(税金や社会保険の手続き) |
年金手帳 | 基礎年金番号の確認(厚生年金加入手続き) |
給与振込先の通帳など | 給与振込先の確認 |
雇用保険被保険者証(※) | 雇用保険被保険者番号の確認(雇用保険加入手続き) |
源泉徴収票(※) | 前職の所得や源泉徴収額の確認(年末調整手続き) |
※前職がある場合のみ必要です。
会社側が入社後に行う社会保険に関する手続き
従業員を雇用すると、以下の社会保険・労働保険に加入しなければなりません。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労働者災害補償保険
健康保険と厚生年金保険の加入手続きは、入社日から5日以内に会社側が日本年金機構(※)に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出します。被扶養者(健康保険)や被扶養配偶者(厚生年金保険)がいる場合は、別途手続きが必要です。
※健康保険組合の場合、厚生年金は日本年金機構、健康保険は健康保険組合に届け出します。
雇用保険の加入手続きは、入社日の翌月10日までに会社側がハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。労働者災害補償保険については、農林漁業や建設業などの一部業種を除き、雇用保険の加入手続きをすれば別途手続きは不要です。
会社側が入社後に行う税金に関する手続き
会社側が入社後に手続きが必要な税金は、「所得税」と「住民税」です。それぞれの手続きについて解説します。
所得税
会社側は、入社した従業員の給与から源泉徴収する所得税を計算し納税しなければなりません。従業員に提出してもらう「扶養控除等申告書」を基に、源泉徴収税額を計算し給与天引きします。
また、源泉徴収額を把握して年末調整や源泉徴収票を発行するために、「源泉徴収簿」を作成して税金や社会保険料の給与控除額を記録します。
住民税
住民税は前年度の所得に応じて源泉徴収するため、前年の所得がない従業員(新卒社員など)については入社後すぐには手続きが発生しません。
転職者の場合、前勤務先から送付された「特別徴収にかかる給与所得者異動届書」に会社側が必要事項を記入し、従業員が居住する市区町村役場に届け出します。これまで普通徴収(※)していた場合、従業員に「特別徴収への切替依頼書」を市区町村役場に届け出るように案内しましょう。
※従業員が自分で住民税を納税する方法を「普通徴収」、給与天引きで勤務先が納税手続きする方法を「特別徴収」といいます。
届け出後に市区町村から会社側に、住民税額や納期限が記載された「特別徴収税額決定通知書」が送付されますので、会社側が通知書に従って源泉徴収して市区町村に納税します。
会社側が入社後に行う社内手続き
会社側が入社後に行う主な社内手続きは、「法定三帳簿の作成」と「社内システムへの登録」です。それぞれの手続きについて解説します。
法定三帳簿の作成
法定三帳簿とは、労働基準法などで作成・保存が義務づけられている「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つのことです。所定の内容を記載して、3年間保存することが義務づけられています。記載内容は以下の通りです。
- 労働者名簿:従業員の氏名や生年月日、性別、雇用した日など
- 賃金台帳:労働日数や労働時間、時間外労働時間、基本給、賃金の控除額など
- 出勤簿:出勤簿や始業・終業時刻、労働者が記録した労働時間報告書など
社内システムへの登録
業務を行うために必要なさまざまなシステムに従業員情報を登録し、従業員が利用できるようにすることも必要です。従業員にIDとパスワードを発行し、使用法を口頭説明するとともに使用マニュアルなどを提供しましょう。
また、人事システムや給与システムなど会社側が人事・労務管理に使用する社内システムへの登録も必要です。
入社手続きをデジタル化・効率化するアイディア
入社手続きを迅速かつ正確に行うためには、従来の紙ベースの作業からデジタル化への移行が効果的です。ワークフローの効率化に加え、新入社員の利便性向上にもつながる手法について解説します。
ワークフローシステムを導入して業務を一元管理する
入社手続きでは、雇用契約書、マイナンバー、通帳コピー、住民票の写しなど多くの書類を扱う必要があります。これらを紙で回収・確認・保管する方法では、提出ミスや記載漏れのリスクが高まり、確認作業にも時間がかかります。こうした手続きを効率化する手段として、ワークフローシステムの導入が有効です。
ワークフローシステムを活用すれば、必要書類の収集から承認、保管までの一連の流れをオンライン上で完結させることができます。提出漏れの自動アラート機能や、入力フォーマットの統一化により、確認作業の負担が大幅に軽減されます。また、管理側がリアルタイムで進捗を把握できるため、手続きの遅延や失念も防ぎやすくなります。
電子申請や電子署名を活用して非対面で完結させる
入社手続きの中には、法的な効力が求められる書類も多く含まれます。たとえば雇用契約書や誓約書などのやり取りでは、本人の署名が必要とされます。これまでは紙に印刷し、対面もしくは郵送でやり取りしていたものを、電子署名を使うことで非対面かつ迅速に完結させることが可能です。
電子署名には法的効力が認められており、契約書への署名をオンラインで済ませられることにより、印紙代の削減や郵送コストの削減といった経済的メリットもあります。さらに、書類の保管も電子的に行えるため、保管スペースの確保や紙媒体の管理に悩まされることがなくなります。これにより、企業側の事務負担が大きく軽減されるとともに、新入社員側もスマートフォンやパソコンから手続きができるため、利便性が格段に向上します。
進捗管理やリマインダー機能で手続きの漏れを防止する
入社に関わる手続きは複数部署が関与するため、どこかの工程で確認や承認が滞ると、全体の流れが停滞してしまいます。こうしたリスクを防ぐには、進捗状況を一元的に管理できる機能の活用が欠かせません。たとえば、誰がどの書類を提出済みか、確認が完了しているかなどをステータスで把握できるダッシュボードを設けることで、担当者はタスクの抜け漏れを防ぐことができます。
さらに、提出期限が近づいた際には自動でリマインドを送る機能も有効です。人事担当者が個別に確認や催促を行う手間が減り、全体の進行がスムーズになります。これにより、入社直前の忙しい時期でも正確かつ効率的な対応が可能となります。
デジタル化による業務効率と従業員満足の両立を図る
デジタル化による入社手続きの効率化は、業務のスピードアップだけでなく、新入社員にとっての「働きやすさ」を感じる重要なファーストステップにもなります。スムーズな入社体験は、その後の職場適応や企業への信頼感にも直結します。さらに、リモートワークが増えている現代においては、非対面でも完結できる手続きの設計が、企業競争力を高める要素にもなります。
情報漏洩やセキュリティの観点からも、紙よりもデジタルでの管理が適している場面は多く、システムの選定や運用ポリシーを整えることで、安全性と利便性の両立が実現します。これからの時代、入社手続きのあり方そのものが企業の労務管理力を問われる指標となっていくでしょう。
会社側が行う社内手続きのスケジュールとチェックリスト
会社側が行う社内手続きを漏れなく行うため、チェックリストの作成がおすすめです。これまで解説してきた手続きとスケジュールを記載したチェックリストは以下の通りです。
(入社時の社内手続きのチェックリスト)
手続き | スケジュール | |
---|---|---|
1 | 労働条件通知書・雇用契約書の作成と交付 | 入社日前 |
2 | 提出書類や入社当日の流れに関する案内 | 入社日前 |
3 | 備品や貸与品の準備 | 入社日前 |
4 | 会社側の必要書類準備(扶養控除等申告書など) | 入社日当日まで |
5 | 内定者の必要書類準備(マイナンバーカードなど) | 入社日当日まで |
6 | 健康保険と厚生年金保険の加入手続き | 入社日から5日以内 |
7 | 雇用保険と労働者災害補償保険の加入手続き | 入社日の翌月10日まで |
8 | 所得税に関する手続き | 初回給与計算日まで |
9 | 住民税に関する手続き | 新卒者は不要(※) |
10 | 法定三帳簿の作成 | 入社後速やかに |
11 | 社内システムへの登録 | システムによって異なる |
※転職者の場合、入社後速やかに従業員に「特別徴収にかかる給与所得者異動届書」または「特別徴収への切替依頼書」の届け出を案内します。
会社側が入社後に行うオンボーディング
入社手続きが完了した後も、新入社員が職場に早く馴染み、力を発揮するためには、入社後のフォローが欠かせません。オンボーディングの工夫と定着支援により、早期離職を防ぎ、組織全体の活性化につなげることができます。
業務への早期適応を支援する
入社後の最初の数週間は、新入社員にとって環境や業務内容への適応が大きな課題となります。前職の経験がある中途社員であっても、会社独自のルールや文化、業務フローには慣れが必要です。この時期に、業務内容を段階的に学べるよう計画されたオンボーディングプログラムを用意することが重要です。
たとえば、入社初日にオリエンテーションを行い、会社の理念や組織体制、社内規程などの基本情報を丁寧に伝えるとともに、1〜2週間かけて実務研修やOJTを行うことで、業務への理解が深まります。いきなり本格的な仕事を任せるのではなく、小さなタスクから徐々に責任範囲を広げていくことが、新入社員の安心感と自信の醸成につながります。
メンター制度を活用して孤立を防ぐ
新入社員が職場で孤立しないようにするためには、日常的な相談相手となる存在をつくることが効果的です。その手段のひとつが「メンター制度」の導入です。メンターとは、業務上の指導だけでなく、職場での人間関係や悩み事についても相談できるような、直属の上司とは異なる立場のサポーターです。
メンターが定期的に声をかけたり、昼食を共にしたりすることで、新入社員が感じているちょっとした疑問や不安に早期に気づき、対処できます。特に、上司に相談しづらい内容や、職場の「暗黙のルール」に関することなども、メンターであれば話しやすい場合が多く、心理的安全性の確保に役立ちます。
定期的な面談を通じて成長を促進する
オンボーディング期間に限らず、入社後3か月、6か月といった節目に定期面談を実施することで、新入社員の状況を客観的に把握し、課題に対して早期に対応することが可能となります。この面談では、現在の業務に対する理解度や困っていること、将来的なキャリア志向についてヒアリングし、上司からのフィードバックや今後の目標設定を行います。
こうした対話を継続することで、本人のモチベーション維持や成長意欲の喚起につながり、結果的に早期戦力化と定着率の向上に貢献します。また、面談で得られたフィードバックは、組織全体のオンボーディング施策の改善にも役立ちます。
組織の一体感を高めるための文化浸透を意識する
新入社員の定着には、業務への適応だけでなく、組織文化への理解と共感も欠かせません。企業理念や行動指針を単に掲げるだけではなく、日常の業務やコミュニケーションの中で自然と浸透させる工夫が求められます。
たとえば、経営層との座談会を設けて企業のビジョンを直接伝える機会をつくったり、バリューに紐づいた表彰制度を取り入れたりすることで、組織として大切にしている価値観を新入社員にも実感してもらうことができます。
中途採用者特有の入社手続きにおける注意点
中途採用者の入社手続きには、新卒採用とは異なる配慮や確認事項があります。前職との関係や職歴情報の取り扱いを踏まえた上で、適切に対応することがスムーズな入社と信頼関係構築につながります。
前職に関する書類を適切に回収する
中途採用者の入社時に必ず確認すべき書類のひとつが「前職の源泉徴収票」です。これは年末調整のために必要となるもので、前職での所得や控除額を把握するために使われます。特に年の途中で入社した社員については、正確な税務処理を行うためにこの情報が欠かせません。
また、雇用保険被保険者証の提出を求めることも一般的です。雇用保険に継続して加入していたかを確認することで、適切な保険加入手続きが行えます。必要に応じて、退職証明書や在職証明書の提出を求める場合もあるため、入社前に案内を明確にしておくことが求められます。
職歴情報を正確に確認して処遇を適切に判断する
中途採用者はすでに一定のキャリアやスキルを有しているため、その経歴に基づいた処遇の判断が必要となります。履歴書や職務経歴書の内容に齟齬がないか、採用時の情報と照合しながら確認することが重要です。
また、勤続年数や業務経験に応じて、給与や等級、休暇の取り扱いにも差異が生じる可能性があります。たとえば、試用期間の有無や期間の設定、前職の経験を考慮した業務配属など、画一的ではない柔軟な対応が求められます。これにより、中途社員が自身の経験を正当に評価されたと感じ、早期の職場定着につながります。
手続きの説明を丁寧に行い不安を軽減する
中途採用者は、これまで在籍していた企業の制度や文化とは異なる環境に身を置くことになります。たとえ社会人経験が豊富であっても、新しい職場の就業ルールや制度に戸惑うことは少なくありません。そのため、入社手続きにおいては、単に書類を提出してもらうだけでなく、会社の制度や処理の流れについて丁寧な説明を行うことが重要です。
たとえば、勤怠システムの使い方や、福利厚生制度の内容、評価制度の概要などを事前に資料として提供することで、不安を和らげることができます。また、手続きの締切や必要書類の一覧を明示しておくことで、混乱や提出遅れを防ぐことにもつながります。
入社時の対応を通じて信頼関係を構築する
中途採用者は、企業との関係がスタートしたばかりの段階であるため、入社時の対応がその後の職場に対する信頼感に大きな影響を与えます。たとえば、問い合わせに対するレスポンスの早さや、配属部門との事前連携の有無など、細かな対応の質が評価の対象となります。
前職との比較を無意識に行うケースも多いため、手続きが雑だったり、情報が不十分だったりすると、企業に対する印象が悪くなってしまうおそれがあります。新たな人材を迎え入れる姿勢として、誠実で丁寧な対応を心がけることで、中途社員との関係性を良好に築き、長期的な定着と活躍につなげることができます。
入社手続きにおける個人情報管理とセキュリティ対策
入社手続きでは、マイナンバー、銀行口座、健康情報など、多くの個人情報を取り扱います。個人情報を適切に管理し、漏えいや不正利用を防ぐためには、厳格なセキュリティ対策と明確な運用ルールの整備が求められます。
収集する個人情報の範囲を適切に限定する
入社手続きで収集する個人情報には、雇用契約を締結するうえで必要な内容が含まれますが、その範囲は法律に基づいて適正に制限されるべきです。たとえば、マイナンバーや給与振込先の銀行口座、緊急連絡先、健康保険加入のための情報などは収集対象となりますが、それ以外に業務に直接関係のないプライベートな情報まで求めることは避けるべきです。
個人情報保護法では、「利用目的を明確にし、必要最小限の情報のみを収集すること」が原則とされています。事前に入社書類とともに利用目的を明記した通知書を提供することで、従業員が安心して情報を提出できる体制を整えることが重要です。
情報の保管方法を安全に管理する
収集した個人情報は、漏えいや紛失、改ざんなどのリスクから保護されなければなりません。紙の書類で管理する場合は、施錠されたキャビネットに保管し、限られた担当者だけがアクセスできるようにします。定期的な見直しや、不要になった書類の適切な廃棄処理も不可欠です。
一方で、デジタル化された情報は、パスワードによるアクセス制限、暗号化、二段階認証などのセキュリティ対策を講じる必要があります。ファイル共有やクラウドストレージを活用する際も、社内の情報セキュリティポリシーに基づいた運用を徹底しなければなりません。また、個人情報にアクセスしたログを残すことで、不正利用が発生した際の追跡も可能になります。
社内体制を整備して運用ルールを明確にする
いくら技術的なセキュリティ対策を講じても、ヒューマンエラーが原因で情報漏えいが起こるケースは少なくありません。そのため、個人情報の取り扱いに関わる従業員に対して、定期的な教育や研修を実施し、情報管理に対する意識を高めることが重要です。
また、個人情報に関する運用ルールや責任体制を文書化し、誰がどの情報にアクセスできるのか、どういう場合に情報を共有するのかといった具体的な手順を明示することも必要です。情報漏えい発生時の対応マニュアルをあらかじめ整備しておくことで、万一の際にも迅速な対応が可能になります。
マイナンバーの取り扱いには特に注意
入社手続きで扱う個人情報の中でも、特に厳重な管理が求められるのがマイナンバーです。マイナンバーは、税務、社会保険、雇用保険などの行政手続きに利用される重要な番号であり、個人識別性が高いため、漏えいした場合のリスクも非常に大きいとされています。
マイナンバーはマイナンバー法で許された事務を行う必要がある場合に限り、保管し続けることが可能です。それらの事務を行う必要がなくなり、所管法令で定められた期間が過ぎた場合には速やかに削除することが必要です。また、削除する際には復元不可能な状態にしなければなりません。マイナンバーの取扱いについてはガイドラインが定められており、ルールに則った適切な運用が必要とされます。
入社手続きはチェックリストを作成して漏れをなくそう
従業員を採用するときは、法定の手続きや雇用管理などに必要な手続きが必要です。労働契約の締結や社会保険・税金に関する手続き、法定三帳簿の作成など、手続きは多岐にわたります。
手続きが遅れたり、ミスがあったりする場合、トラブルが起こることもあります。漏れなく正確に入社手続きを行うために、スケジュールが分かるチェックリストを作成し早目に手続き準備をしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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