- 更新日 : 2026年9月1日
育児休業給付金とは?支給条件・計算方法・2025年新設の出生後休業支援給付金までわかりやすく解説
育児休業給付金は、雇用保険から休業前賃金の最大67%が支給される育休中の収入補填制度です。
- 支給額は180日まで67%、以降50%
- 2025年4月に上乗せ給付金が新設
- 育休中は社会保険料も全額免除
Q. 2025年に新設された給付金とは?
A. 両親がともに14日以上育休を取得した場合に13%上乗せされる「出生後休業支援給付金」が新設され、合計で賃金の80%相当(実質手取り10割水準)を受け取れます。
育児休業給付金は、育児休暇中の収入を補うための代表的な公的制度です。本記事では育休手当とも呼ばれるこの制度の支給条件や支給期間、計算方法に加え、2025年4月に新設された出生後休業支援給付金や育児時短就業給付金についても解説します。社会保険料の免除など、育休中に助かる制度もあわせて紹介します。
育児休業給付金とは?
育児休業給付金とは、育児休業を取得して給料を受け取っていない期間の収入を補う目的で、雇用保険から支給される手当です。正式名称のほか、実務上は育休手当と呼ばれることもあります。
受給対象は雇用保険に一定期間加入している被保険者であり、正社員に限らず派遣社員やパートで働く方でも、雇用保険に加入していれば対象となります。また、出産した女性だけでなく、配偶者が出産した男性も受給対象です。
出産手当金や出生時育児休業給付金との違い
育児休業給付金と混同されやすい制度に、出産手当金と出生時育児休業給付金があります。出産手当金は産前産後休業中の収入を補う健康保険の給付であるのに対し、育児休業給付金は産後休業終了後から子が1歳になるまでの育児休業を対象とする雇用保険の給付です。
一方、出生時育児休業給付金は、子の出生後8週間以内に取得できる産後パパ育休(出生時育児休業)に対して支給される給付金であり、育児休業給付金とは取得できる時期と期間の枠組みが異なります。
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育児休業給付金の支給条件とは?
育児休業給付金の支給要件は、1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した被保険者であることが基本です。加えて、休業開始前の勤務実績と休業中の就労日数に関する条件を満たす必要があります。
具体的な支給要件は以下の通りです。
| 要件区分 | 内容 |
|---|---|
| 養育対象 | 1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した被保険者であること |
| 勤務実績 | 育児休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること |
| 就労日数 | 1支給単位期間中の就労日数が10日以下、または就労時間が80時間以下であること |
なお、有期雇用労働者(契約社員やパートなど)の場合は、上記に加えて「子の出生日から8週間経過後6ヶ月を経過する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと」という要件が追加されます。
育児休業給付金はいつまでもらえる?支給期間の考え方
育児休業給付金は原則として、子が1歳になる日の前日まで支給されます。ただし、両親が交代で取得する場合や保育所に入所できない場合など、要件を満たせば支給期間が延長されます。
支給期間のパターンを整理すると以下の通りです。
| 支給期間 | 主な条件 |
|---|---|
| 子が1歳になる日の前日まで | 原則の支給期間。1歳前に職場復帰した場合は復帰日の前日まで |
| 子が1歳2ヶ月に達する日の前日まで | パパ・ママ育休プラス制度により両親がともに育休を取得した場合(1人あたりの取得可能日数は変わらない) |
| 子が1歳6ヶ月に達する日の前日まで | 保育所に入れない、負傷・疾病、離婚などの事情で延長が認められた場合 |
| 子が2歳に達する日の前日まで | 1歳6ヶ月時点でも保育所に入れないなど、再延長が認められた場合 |
なお、2025年4月からは保育所に入所できないことを理由とする延長手続きについて、市区町村への保育所利用申込の状況をより詳しく確認する運用に見直されています。延長を予定している場合は、早めに保育所への申込を進め、必要書類を漏れなく準備しておくことが重要です。
育児休業給付金はいくらもらえる?
育児休業給付金の支給額は、休業開始から180日を境に給付率が変わります。開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%が1ヶ月あたりの目安です。
計算式は以下の通りです。
| 期間 | 計算式 |
|---|---|
| 育児休業開始から180日まで | 休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則30日)× 67% |
| 育児休業開始から181日目以降 | 休業開始時賃金日額 × 支給日数(原則30日)× 50% |
休業開始時賃金日額には上限額が設けられており、2026年8月1日時点で67%適用時の月額上限は33万2,454円、50%適用時は24万8,100円です(上限額は毎年8月に見直されます)。休業中に就労して賃金が支払われた場合は、その金額に応じて減額または支給停止となることがあるため、Excelなどの表計算ツールで実際の見込額を試算しておくと安心です。
育児休業給付金の申請方法は?
育児休業給付金の申請は、被保険者を雇用する企業がハローワークに対して行うのが原則です。初回は「受給資格確認手続き」と「初回支給申請手続き」をあわせて行います。
申請の流れをSTEPごとに整理すると以下の通りです。
STEP1.育休取得の申し出
被保険者本人が勤務先へ育児休業の取得意向と休業予定期間を申し出ます。育児・介護休業法上、休業開始予定日の1ヶ月前までの申し出が原則です。
STEP2.必要書類の準備
企業側は、雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書と育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書を準備します。添付書類として、賃金台帳や出勤簿など休業開始・終了日と賃金支払状況を確認できる書類、母子健康手帳の写しなど育児の事実を確認できる書類が必要です。
STEP3.ハローワークへの提出
受給資格確認手続きのみを行う場合は初回支給申請日までに、初回支給申請も同時に行う場合は育児休業開始日から4ヶ月を経過する日の属する月の末日までに提出します。余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
STEP4.2回目以降の支給申請
2回目以降の申請は原則として2ヶ月に一度行います。被保険者本人が希望すれば1ヶ月に一度のペースでの申請も可能です。提出書類は育児休業給付金支給申請書、添付書類は賃金台帳など申請内容を確認できるものです。
STEP5.支給決定・振り込み
審査を経て支給が決定されると、指定口座に給付金が振り込まれます。手続きに不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に依頼することも検討してください。
2025年4月から何が変わった?新設された給付金との違い
2025年4月の雇用保険法改正により、育児休業給付金に上乗せする形で出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金が新設されました。いずれも「共働き・共育て」を後押しする制度です。
出生後休業支援給付金
出生後休業支援給付金とは、子の出生直後の一定期間内に両親がともに14日以上の育児休業(産後パパ育休を含む)を取得した場合に、既存の育児休業給付に上乗せして支給される給付金です。
給付率は休業開始時賃金日額の13%相当で、最大28日間が対象です。従来の67%と合わせると賃金の80%相当となり、育児休業給付は非課税で社会保険料も免除されるため、実質的に休業前の手取りに近い水準(10割相当)が確保できる仕組みとされています。配偶者が本制度上の育休を要件としないケース(ひとり親など)にも配慮した例外規定があります。
育児時短就業給付金
育児時短就業給付金とは、2歳未満の子を養育するために時短勤務を選択し、賃金が低下した被保険者に対して支給される給付金です。
支給額は時短勤務中に支払われた賃金額の10%相当が原則で、時短勤務前の賃金水準を賃金と給付額の合計が超えないよう給付率が調整されます。育児休業からの早期復帰やキャリア形成と育児の両立を後押しする狙いがあります。
育児休業給付金の注意点は?
雇用保険の被保険者でない自営業者やフリーランス、個人事業主は、そもそも育児休業給付金の支給対象外です。雇用契約に基づき雇用保険に加入していることが大前提となります。
また、育児休業給付金は原則として育休終了後の職場復帰を前提とした制度であるため、育休取得と同時に退職予定がある場合は支給対象になりません。ただし、受給資格取得後に事情により退職が決まったケースでは、退職日まで給付金が支給されます。なお、退職する場合であっても、すでに受け取った給付金の返還義務はありません。
参考:育児休業給付を受給中に離職した場合の取扱い変更及び通知について|厚生労働省
育休中に助かるその他の制度は?
育児休業給付金以外にも、育休中の負担を軽減する制度があります。代表的なものが社会保険料の免除と住民税の取り扱いです。
社会保険料の免除
育児休業期間中は、企業が「育児休業等取得者申出書」を提出することで、健康保険・厚生年金保険の社会保険料が事業主負担分・被保険者負担分ともに免除されます。令和4年10月からは、同月内に14日以上の育児休業等を取得した場合も免除対象となるよう要件が見直されました。
住民税の取り扱い
育児休業中は無給であっても、前年の所得に基づき住民税が課税されるため、納付自体は必要です。ただし、育児休業給付金そのものは非課税であるため、給付金を受け取ったこと自体を理由に住民税が増えることはありません。育休明けは前年の所得が低くなるため、翌年度の住民税負担が軽くなるケースが多く見られます。
育児休業給付金と社会保険料免除の手続きの実態
マネーフォワード クラウドは、従業員の産休・育休に関する実務に携わる担当者を対象に、実務の実態に関する調査を実施しました。
育児休業に関する一連の手続きの中で、特に工数がかかる、または判断が難しい業務を尋ねたところ、最も割合が高いのは「育児休業給付金の申請書類作成と提出」で、43.2%でした。次いで、「社会保険料免除(産休・育休中)に関する手続き」が42.3%、「育休中の社会保険料や給付金の見込額の試算・説明」が29.8%と続いています。
この結果から、育児休業給付金の申請や社会保険料の免除に関する実務は、多くの担当者にとって大きな業務負担となっていることがわかります。育児休業給付金や社会保険料免除は従業員の収入に直結する重要な要素であるため、制度の仕組みや計算方法を事前に正しく理解し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが求められます。
出典:マネーフォワード クラウド、特に工数がかかる、または判断が難しい業務【産休・育休に関する調査データ】(回答者:866名(有効回答:産休・育休の実務に関与する674名)、集計期間:2026年3月実施)
育児休業給付金を正しく理解し、2025年の新制度も活用しよう
育児休業給付金は、育児休業中の収入を補う中心的な制度であり、社会保険料免除や2025年新設の出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金とあわせて活用することで、休業前の手取りに近い水準を維持できます。育休手当の仕組みを正しく理解し、支給要件や申請スケジュールを事前に確認したうえで、余裕を持って手続きを進めましょう。
よくある質問
育児休業給付金とは何ですか?
育児休業給付金とは育休を取得して給料をもらっていない期間に、収入を補う目的で支給される手当のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
育児休業給付金の支給期間はどのくらいですか?
育児休業給付金の支給期間は、原則として子供が1歳の誕生日を迎える前日までが支給対象期間ですが、特定の条件を満たす場合には最大2歳まで延長できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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