• 作成日 : 2023年2月22日

退職届はいつまでに出すべき?提出するまでの手続きも解説!

退職届はいつまでに出すべき?提出するまでの手続きも解説!

法律上、正社員の場合は退職日の2週間前までに退職届を提出すれば、使用者の承諾がなくても退職できるとされています。ただし、就業規則に定めがある場合は従うのが一般的です。本記事では退職届を提出する適切なタイミングや、退職までの流れなどを解説します。

退職届はいつまでに出すのがいい?

民法においては、正社員の場合はいつでも退職の申出をすることが可能で、申出から2週間が経過すれば、使用者の承諾がなくても退職できるとされています。つまり、退職日の2週間前に退職届を提出すればよいことを意味します。ただし、雇用期間が定められている有期契約の場合は規定が異なるため、注意しましょう。
また、会社の就業規則で独自に退職の申出のタイミングが決められている場合もあるため、確認が必要です。

そもそも退職届とは

退職届とは、従業員が会社に辞める意志を伝える書類のことです。基本的には、会社に退職の可否を問うものではありません。

法的には必ずしも書面で提出する必要は無く、口頭のみでもよいとされています。しかし、言った言わないなどのトラブルを避けるために、記録として提出するのが一般的です。

退職願との違い

退職願は従業員が会社に退職を願い届けるための書類であり、退職が認められない可能性もある点が退職届との違いといえるでしょう。退職届は会社に退職の可否を問わず、従業員が自身の退職の意志を通告するための書類であるためです。

適切なタイミング

前述のとおり、民法では無期契約と有期契約では規定が以下のように異なります。

無期契約(正社員)
  • 労働者はいつでも退職を申し出ることが可能、申出から2週間経過すれば雇用関係が終了する
有期契約(契約社員・アルバイトなど)
  • 基本的に労働者は、その日まで退職できない
  • ただし、やむを得ない事情がある場合には、退職できるケースも
  • 労働基準法により、期間の定めがあったとしても、契約初日から1年以上経過している場合は、いつでも退職できる(原則として1年を超える契約期間の場合)

つまり民法の規定では、正社員は退職日の2週間前までに退職の申出をすればよいとされています。しかし、会社の就業規則で「退職の1ヶ月前までに退職の申出をしなければならない」などと定められているケースも少なくありません。

民法は任意規定が大半であり、法律で一定の定めをしているものの、当事者の同意や定めがある場合、そちらが優先されると解釈されます。そのため、就業規則で規定がある場合はその決まりに従い、提出するのが一般的です。

ただし、就業規則で決められた申出時期から退職日までの期間が著しく長く、従業員の退職の自由が大きく制限されるような場合は、就業規則が無効になる可能性があります。

参考:e-Gov法令検索(民法)|デジタル庁
e-Gov法令検索(労働基準法)|デジタル庁

退職までの流れ・スケジュール

退職届は退職の意思を明確にする書類であり、会社に可否を問うものではないことを、すでにお伝えしました。つまり、基本的には退職が認められた後に、届け出る書類であることをあらわします。

従業員が退職の意思を伝え、実際に退職するまでのおおよその流れやスケジュール感は以下のとおりです。ここでは、就業規則で退職日の1ヶ月前に退職届の提出をするように定められているケースを想定しています。

【就業規則で、退職日の1ヶ月前に退職届の提出をするよう定められている場合】

タイミングやること
2ヶ月前従業員が上司に退職の意思を伝える
1ヶ月前退職届の提出、退職日が決定する
1ヶ月前~3日前業務の引き継ぎ・有給休暇の取得
退職日当日会社の人やお世話になった人への挨拶
備品の返却・必要書類の受け取り

退職までにすべき手続き

従業員は退職に伴い社会保険雇用保険の被保険者の資格を失うため、会社は従業員の退職後にこれらの脱退手続きをしなければなりません。そのため、退職前に従業員から健康保険証を返却してもらったり、雇用保険被保険者証を渡したりといった手続きが必要です。

従業員の退職にあたって渡す、あるいは返却するものには以下のようなものがあります。

書類概要
源泉徴収票
・所得税の確定申告または年末調整を受けるために必要
・退職後1ヶ月以内の交付が義務付けられている
雇用保険被保険者証
・従業員が雇用保険に加入していたことを証明する書類
・再就職する際や専門実践教育訓練給付金を申請する際に必要
・会社が保管している場合は退職までに返却する
退職証明書(本人希望時)
・本人の希望に応じて、就業期間や業務内容、社内の地位や賃金などを記載する
離職票(本人希望時)
・雇用保険の失業給付などを受ける際に必要
・退職後、期間をあけずにすぐに再就職することが決まっている場合は不要
健康保険資格喪失証明書(本人希望時)
・退職後、国民健康保険に加入する場合に必要

退職届の注意点

退職届を休職中に提出できるかどうか、また退職届と退職願で提出のタイミングに違いがあるかどうかが気になっている方もいるかもしれません。ここからは、それぞれの内容について解説していきます。

休職中も退職届は提出できる?

結論からいうと、休職中でも退職届を提出できます。前述のとおり、民法では無期雇用の場合はいつでも退職の申出ができ、申出から2週間が過ぎれば退職が可能です。

また、雇用期間が決められている契約社員やアルバイトなどでも、やむを得ない場合には、退職できます。たとえば、休職の理由が病気やけがの場合、回復状況によっては復帰が難しいというケースもあるかもしれません。その場合、一般的には退職もやむを得ないと判断されるでしょう。

一般的な退職であれば、退職の意思を伝えるのは直属の上司であることがほとんどです。しかし、休職中に退職する場合は、人事部に報告するケースも少なくありません。病気やけがで休職している場合、体力が落ちていたりメンタルが不安定になっている可能性が高いでしょう。

体力面や精神面にかかる負担を考慮すると、そのような状況において、直属の上司に退職の話をするのは適切でない場合もあります。その場合は、人事部が直接退職の意思を確認することになります。

退職届と退職願で提出のタイミングに違いはある?

退職届と退職願の提出のタイミングは、異なるのが一般的です。退職願は退職の意思表示をするタイミングで提出し、その後、退職日が確定した際に退職届を提出しましょう。

退職願が会社に退職を願い届ける書類であるのに対し、退職届は会社に退職の可否を問わず、従業員が自身の退職の意思を通告する書類であるためです。

退職届の提出期限についてしっかり理解し、スムーズに手続きを行いましょう!

民法の規定上は、正社員であれば退職日の2週間前までに、退職の申出をすればよいとされています。会社によっては、それよりも早いタイミングで退職の申出をするように就業規則で定めているケースもあるかもしれません。その場合、就業規則に従って提出してもらうようにしましょう。

ただし、どのような就業規則でも法律よりも優先されるわけではありません。従業員の退職の自由が極端に制限されるような、退職日までの期間が著しく長い規定は無効になる可能性があります。

退職に関して、会社と従業員に認識のずれがあると、後で大きなトラブルに発展する可能性があります。会社として法律や就業規則をしっかりと理解するとともに、従業員にも適切な情報共有を行うことが重要です。

よくある質問

退職届はいつまでに出すのがいいのでしょうか?

民法では、正社員であれば退職日の2週間前までに提出をすればよいとされています。就業規則に定めがある場合は、そちらに従うのが一般的です。詳しくはこちらをご覧ください。

退職までにどんな手続きを行うべきですか?

退職前に従業員から健康保険証を返却してもらったり、雇用保険被保険者証を渡したりといった手続きが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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