• 更新日 : 2025年3月18日

外国人労働者雇用労務責任者講習とは?講義の内容や受講するメリットを解説

外国人労働者雇用労務責任者講習は、外国人雇用に関する法令や適切な労務管理の方法を学べる講習です。日本で働く外国人労働者は年々増加しており、適切な雇用管理の需要性が高まっています。

本記事では、講習の内容や受講するメリット、申込方法などについて解説します。外国人労働者の雇用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

外国人労働者雇用労務責任者講習は外国人雇用に関するルールを学べる

外国人労働者雇用労務責任者講習は、外国人労働者の適正な雇用管理を目的とした講習です。外国人雇用に関する法律や制度、言語・文化の違い、必要な配慮などを学べます。

厚生労働省が公開した外国人雇用状況によると、令和6年10月末時点で外国人労働者数は約230万人に達し、前年比で約25万人増加しています。外国人労働者の増加に伴い、企業は雇用管理の適正化やトラブル防止のため、正しい知識を身につけることが重要です。

適切な知識を持つ担当者が企業にいることで、外国人労働者の定着率向上にもつながるでしょう。

外国人労働者を雇用するための具体的な方法は下記の記事で紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

外国人労働者雇用労務責任者講習の概要

外国人労働者雇用労務責任者講習は、外国人労働者の適正な雇用管理を目的とした無料の講習です。

外国人労働者雇用労務責任者とは、外国人労働者の雇用管理を担当し、労働条件の整備や関係行政機関との連携を行う責任者です。原則として、人事課長や労務課長などの管理職の地位にいる従業員から選任します。

外国人労働者雇用労務責任者講習は、以下のとおり外国人労働者を雇用する企業の担当者が受講対象となります。

  • 外国人労働者雇用労務責任者として選任されている方
  • 外国人労働者雇用労務責任者として選任されることが予定されている方
  • 外国人労働者を雇用する事業所(及び雇用を予定している事業所)の事業主、または人事・労務等を担当している方

参考:外国人労働者雇用労務責任者講習|厚生労働省 外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業

2025年の講習は、4月開始を予定しています。詳細な日程や会場情報は、公式サイトで随時更新されるため、必ず確認して早めに申し込みをしましょう。

外国人労働者雇用労務責任者講習の講習内容

外国人労働者雇用労務責任者講習の具体的な講習内容は以下のとおりです。

講義1「はじめに」(20分)

内容:適正な外国人労働者雇用労務管理の必要性

  • 外国人労働者の雇用状況
  • 外国人労働者雇用労務管理のポイント
講義2「外国人雇用のルール」(60分)

内容:在留管理制度の知識・手続きと外国人雇用状況届出

  • 入管法令、在留管理制度の知識・手続き
  • 外国人雇用状況届出
  • 在留資格の代表例、資格外活動許可の概要
講義3「外国人労働者の雇用労務管理」(60分)

内容:労働関係法令・社会保険関係法令等の知識と対応

  • 労働関係法令上の留意点と外国人特有の事業に配慮した対応
  • 社会保険関係法令上の留意点と外国人特有の事情に配慮した対応
講義4「異文化理解とコミュニケーション配慮」(50分)
  • 職場でのミスコミュニケーション事例
  • 異文化理解とコミュニケーション配慮のポイント
  • 働きやすい職場環境作りに向けて
振り返り(10分)

参考:雇用労務責任者講習モデル事業について|厚生労働省

講習は上記の内容に基づいて実施され、14:00に始まり17:30に終了します。

外国人労働者雇用労務責任者講習を受けるメリット

外国人労働者を雇用する際、適切な労務管理が重要です。外国人労働者雇用労務責任者講習を受講することで、法令遵守や適正な雇用管理の知識を深め、職場のトラブル防止が可能です。

以下では、講習を受けることで得られる具体的なメリットを解説します。

外国人雇用に関するルールや制度がわかる

外国人労働者雇用労務責任者講習を受講すると、外国人雇用に関する法的ルールや制度を体系的に学べます。

外国人労働者を雇用する際は、適切な在留資格を持つかどうかの確認が必須です。手続きを怠ると、不法就労助長罪につながる可能性があります。不法就労助長罪に問われた場合、出入国管理及び難民認定法第73条の2により事業主には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される場合があります。

また、事業主には「外国人雇用状況の届出義務」があり、違反すると30万円以下の罰金が科される可能性があるため注意が必要です。

外国人労働者雇用労務責任者講習では、「外国人雇用のルール」について解説する講義が含まれています。そのため、講習を受けると、外国人雇用の義務や適切な手続きの方法を学べてリスクを回避できます。

外国人労働者との言語や文化の違いに対する配慮を学べる

外国人労働者雇用労務責任者講習を受けることで、言語や文化の違いに対する配慮を学べます。公式サイトの講習タイムテーブルでも「異文化理解とコミュニケーション配慮」について説明する講義が含まれています。

外国人労働者が働きやすい環境を作るには、異文化理解が不可欠です。異文化理解とは、価値観や習慣の違いを尊重し、互いに理解し合うことを指します。

たとえば、日本では時間厳守が当たり前ですが、国によっては柔軟な時間感覚が一般的です。また、言語の壁があると業務に支障をきたす可能性があるため、簡潔な指示の出し方や視覚的なサポートの方法を学ぶことが重要です。講習を通じて、外国人労働者に対する配慮を具体的に学べるでしょう。

異文化理解については下記の記事で紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

外国人労働者の雇用労務管理に関する知識を得られる

外国人労働者雇用労務責任者講習を受講すると、外国人労働者の雇用労務管理に関する知識を得られます。

公式サイトの講習タイムテーブルには「外国人労働者の雇用労務管理」に関する講義が含まれています。労働関係法令や社会保険関係法令の理解は、企業にとって法的リスクを避けるためにも重要です。

労働関係法令とは、労働者の権利や雇用ルールを定めた法律の総称で、労働基準法や「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」などが含まれます。法令により、国籍を理由とした差別的取扱いの禁止や労働条件の明示義務などが定められています。適切に理解していなければ、知らないうちに違法雇用や労務トラブルを招く可能性があるため注意が必要です。

また、社会保険関係法令は、健康保険や厚生年金など労働者の生活を支える制度に関する法律の総称です。企業が保険加入手続きを怠ると違法となる可能性があるため、正しい手続きの知識が求められます。

講習では、外国人雇用の適切な雇用管理に関する知識を学べるため、適切な労務管理の実践に役立ちます。

外国人労働者雇用労務責任者講習を受講するまでの流れ

外国人労働者雇用労務責任者講習を受講するには、事前に適切な手続きが必要です。受講の流れを把握しておけば、スムーズに申し込みを進められ、当日も安心して講義を受けられます。以下では、受講までの具体的なステップを解説します。

1. 公式ホームページから申し込む

外国人労働者雇用労務責任者講習の受講申し込みは、公式ホームページから行います。

まず、受講日と会場を確認し、申し込みページで必要事項を入力します。氏名や会社名は受講証明書にそのまま記載されるため、誤入力のないように注意が必要です。

旧漢字は反映されない場合があるため、事前確認が重要です。氏名をカタカナやローマ字で入力する場合は「半角」で入力します。申し込みは1人1回のみ可能で、代表者による一括申し込みはできません。

各回の定員は40名で先着順のため、早めの申し込みがおすすめです。

2. 返信メールを確認する

申し込み後、入力したメールアドレスに受付完了メールが自動送信されます。

メールには申し込み内容が記載されているため、氏名や会社名に誤りがないか確認してください。上記のような情報は受講証明書に記載される情報のため、正しく入力されていることが重要です。

予約完了後、必ず自動返信メールが届きます。申し込みから一定時間経過してもメールが届かない場合は、まず迷惑メールフォルダを確認しましょう。フォルダ内にも見当たらない場合は、事務局へ問い合わせてください。

3. 講習を受講する

受講日には、指定の時間までに会場へ向かいます。

ただし、令和7年4月以降の講習はオンライン開催が予定されているため、受講方法の詳細は公式ホームページで確認する必要があります。オンライン受講の場合は、事前に接続環境を整えておくことが重要です。

講習では、外国人雇用に関するルールや労務管理について学べるため、聞き逃しを防ぐためにもメモを取ることをおすすめします。

4. 受講証明書を受け取る

講習の修了後は、受講証明書を受け取りましょう。

証明書には、事業所名や氏名、受講番号、受講日、開催地が記載され、正式に受講したことを証明する文言が記載されます。講義の最後には確認テストが実施されますが、合否に関係なく受講者全員に受講証明書が交付されます。

証明書は、外国人雇用の適正管理を示す証拠となるため、大切に保管しましょう。

外国人労働者雇用労務責任者講習以外で外国人雇用に関する知識を得る方法

外国人労働者雇用労務責任者講習以外にも、外国人雇用に関する知識を深める方法があります。講習を受講した後に、さらに理解を深めたい方や実務に活かしたい方に最適です。以下では、外国人雇用に関する情報を継続的に学べる方法を紹介します。

外国人雇用管理士

外国人雇用管理士は、企業が外国人労働者を雇用する際に必要な在留資格や特定活動の知識を持つ人に与えられる民間資格です。外国人の適正な雇用管理を行うための専門的な知識を得られます。

受験資格はなく、誰でも試験を受けられます。受験料は9,900円(税込)です。試験の申し込みは公式サイトで行い、クレジットカード・コンビニ・ATM・Peatixで支払い可能です。ただし、申し込みから3日以内に入金しないと自動取消されるため注意してください。

試験当日は、顔写真付きの身分証明書が必要です。筆記具(BまたはHBの鉛筆・シャープペンシル)、消しゴム、腕時計も持参しましょう。

合否結果は、東京都外国人就労認定機構からe-mailで通知されます。試験合格後、3年以内に登録講習を受講し、登録証(外国人雇用管理士証)を取得しなければ、合格は無効となります。合格認定を受けるためには、3年以内に登録講習を受講し、登録料39,800円(税込)を支払って登録証を取得してください。

外国人雇用管理主任者

外国人雇用管理主任者は、外国人雇用に関する専門知識を身につけ、企業の雇用管理を総合的にサポートできる人材の育成を目的とした資格です。学歴・年齢・実務経験に関係なく受験可能で、受験料は8,500円(税込)です。申し込みはCBTソリューションズの公式サイトから行えます。

試験の出題範囲は、以下のとおりです。

  • 外国人雇用の基礎知識(外国人労働者とは・社会的背景)
  • 在留資格の基礎知識
  • 出入国管理及び難民認定法(入管法)
  • 特定技能ビザ 特定技能外国人
  • 受け入れ企業・登録支援機関の役割
  • 外国人労働者の採用計画(費用・研修・社内理解)
  • 労務管理のルール(労働基準法・労働保険・社会保険)
  • 外国人雇用に対する助成金活用

参考:​​外国人雇用管理主任者|CBTソリューションズ

試験合格後、案内に従って登録手続きを行うと外国人雇用支援センターに正式登録され、認定証が発行されます。

資格の有効期限は3年で、更新が必要です。更新期限の約45日前に「更新のご案内資料一式」が登録住所に郵送されるため、期限内に手続きを行いましょう。

外国人雇用労務士(外労士)

外国人雇用労務士(外労士)は、外国人労働者の人権・採用・労務手続き・育成などの実務知識を証明する資格です。外国人雇用労務士(外労士)の資格は、外国人材の適切な雇用管理を行うための実践的なスキルがあると証明できます。

試験はオンライン形式で実施され、受験にはカメラ付きPCや安定したインターネット環境、日本語の読み書き能力が必要です。

受験料は8,900円(税込)で、試験時間は2時間30分(本人認証30分・試験120分)です。

試験は、以下のように進められます。

  1. 会員登録をする
  2. 試験に申し込む
  3. オンライン試験を受験(Webカメラによる本人確認あり) する
  4. 登録講習を受講する
  5. 資格認定される

参考:外国人雇用労務士(外労士)オンライン試験

登録講習および更新講習の費用は5,000円(税込)です。

外国人労働者雇用労務責任者講習で外国人雇用の正しい知識を身につけよう

外国人労働者雇用労務責任者講習では、外国人雇用に関する法律や文化、言語への違いの配慮、実務に必要な知識を学べます。

適切な雇用管理により、トラブルを防ぎ、外国人労働者が安心して働ける環境を整えられます。外国人雇用を検討している方は、ぜひ受講を検討してみてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事