- 更新日 : 2025年7月11日
高年齢者雇用状況報告書の提出は義務?対象人数や記入例、変更時の対応を解説
高年齢者雇用状況等報告書は、常時雇用する労働者が21人以上の企業に提出が義務付けられており 、毎年6月1日現在の状況を都道府県労働局またはハローワークに提出します 。
この記事では、報告書の概要や提出方法、記入のポイントについて詳しく解説します。
目次
高年齢者雇用状況報告書とは?
高年齢者雇用状況等報告書は、企業に高年齢者の雇用に関する状況を国に報告するための書類で、提出が義務付けられています。「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」に基づき、65歳までの雇用の確保、そして70歳までの就業機会の提供に関する企業の取り組み状況を報告する目的で行われます。
報告書の必要性
高年齢者雇用状況等報告書を提出することで、国は企業が高年齢者の雇用にどのように取り組んでいるかを把握できます。高年齢者の雇用状況を把握し、必要な指導や助言を行うことで、企業における高年齢者の安定した雇用を促進しています。
対象企業
高年齢者雇用状況等報告書の提出対象となるのは、「常時雇用する労働者が21人以上の企業」です。
ここでいう「常時雇用」とは、正社員、パート、アルバイトなどの名称にかかわらず、以下のような労働者を指します。
- 期間の定めなく雇用されている者
- 過去 1 年以上の期間について引き続き雇用されている者または雇い入れ時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者(一定の期間を定めて雇用されている者または日々雇用される者であってその雇用契約期間が反復更新されて、事実上①と同等と認められる者
したがって、短期間や単発のアルバイト、臨時職員などは原則として対象外です。
令和6年の集計結果によると、全国で237,052社が報告対象となりました 。企業規模によって、中小企業(21~300人規模)と大企業(301人以上規模)に分類され、それぞれの傾向や取り組みの実態が分析されています 。
提出時期と提出先
高年齢者雇用状況等報告は、毎年6月1日現在の状況を報告します。提出時期は、各都道府県労働局またはハローワークから報告書用紙が送付された後、指定された期日までに提出します。具体的な提出期限は報告書に記載されていますが、通常は6月1日以降に提出が求められます。
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令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果から見る企業の現状
厚生労働省が公表した令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計によると、65歳までの雇用確保措置はほぼ全社で実施されています。一方で、70歳までの就業機会確保措置は3割にとどまり、企業によって対応に差が見られます。
企業の人事担当や経営者が、高年齢者雇用の現状を正しく把握し、必要な対応を進めることが求められています。
65歳までの雇用確保措置はほぼ完了
法律で義務付けられている65歳までの雇用確保措置(定年制の廃止、定年引上げ、継続雇用制度の導入)については、企業全体の99.9%が実施済みです。
- 中小企業では99.9%、大企業では100.0%(前年比+0.1ポイント)
- 措置内容の内訳は「継続雇用制度の導入」が67.4%で最多。「定年の引上げ」が28.7%、「定年制の廃止」が3.9%
- 大企業の79.4%が継続雇用制度を導入しており、中小企業(66.4%)よりも割合が高い傾向
70歳までの就業確保は約31%
70歳までの就業確保措置(努力義務)は、実施企業が31.9%にとどまります。前年度より2.2ポイント増加しているものの、普及には時間がかかっています。
- 中小企業の実施率は32.4%、大企業は25.5%
- 内容別では「継続雇用制度の導入」が25.6%で最多。「定年の引上げ」が2.4%、「定年制の廃止」が3.9%
- 雇用以外の措置(業務委託契約・社会貢献事業)を導入している企業は0.1%とごくわずか
定年制度の傾向
企業の定年年齢は依然として60歳が多数派です。ただし、65歳定年の導入や70歳以上とする企業も少しずつ増えています。
- 定年を60歳とする企業:64.4%
- 定年を65歳とする企業:25.2%(前年比+1.7ポイント)
- 65歳以上の定年設定企業(定年制の廃止を含む):32.6%
- 定年を70歳以上とする企業は2.4%
高年齢者雇用状況等報告書の提出方法
高年齢者雇用状況等報告書の提出方法は複数あり、企業の状況に合わせて選択できます。適切な方法で提出し、報告義務を果たすことが重要です。
届いた報告書様式での提出
厚生労働省から送付される報告書用紙に直接記入し、郵送または持参で提出する方法です。この方法は、書面で管理したい企業や、電子申請に不慣れな企業に適しています。送付される報告書には、企業の基本情報があらかじめ印字されている場合があります。
ワードで作成した書面での提出
厚生労働省のウェブサイトから報告書様式をダウンロードし、Microsoft Wordなどのワープロソフトで入力して印刷後、提出する方法です。手書きに抵抗がある場合や、複数人で内容を確認しながら作成したい場合に便利です。ダウンロードした様式は、最新版であることを確認しましょう。
電子申請(e-Gov)による提出
e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用してオンラインで提出する方法です。電子申請は、郵送や持参の手間が省け、24時間いつでも申請できる利便性があります。大量の申請を行う企業や、ペーパーレス化を進めたい企業に適しています。e-Govの利用には、事前に利用者登録や電子証明書の取得が必要となる場合があります。
高年齢者雇用状況等報告書を記入する前の事前準備
報告書の作成にかかる時間は、企業の規模や高年齢者の雇用状況、また担当者の慣れによって異なります。様式の確認や必要情報の集計を含めると、一般的には2~3時間から半日程度を見込んでおくと安心です。
スムーズに進めるためには、次の準備を事前に行っておくと効果的です。
従業員の年齢構成と定年時期を把握する
報告書では、60歳以上の高年齢者の雇用者数を記入する必要があります。そのため、従業員の年齢別一覧や定年に達する時期の情報をあらかじめ整理しておきましょう。人事システムなどで一覧を出力しておくと集計がスムーズです。
自社の措置内容を確認する
自社が講じている高年齢者雇用確保措置(定年制の廃止、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入)や、70歳までの就業確保措置(業務委託契約、社会貢献活動の制度など)を正確に把握しておきましょう。社内の就業規則や制度資料を確認しておくことが必要です。
前年の報告書を参考にする
過去に提出した報告書があれば、内容を参照することで記入項目の理解が深まり、作業効率が上がります。特に、前年との比較が求められる項目では、以前の数値を確認しておくと便利です。
記入要領を事前に読む
厚生労働省のウェブサイトに掲載されている記入要領には、各項目の具体的な書き方が示されています。事前に目を通しておくことで、記入ミスや解釈の誤りを防げます。あわせて、様式が最新であるかどうかも必ず確認しましょう。
高年齢者雇用状況等報告書の記入方法
高年齢者雇用状況等報告書を記入するには、まず最新の様式を入手し、各項目の内容を正しく理解しましょう。
様式のダウンロード方法
報告書様式は、厚生労働省のウェブサイト「高年齢者雇用状況等報告」ページからもダウンロードできます。
▶︎URL:高年齢者雇用状況等報告|厚生労働省
このページには、記入例や記入要領、関連資料も掲載されているため、ダウンロード時にあわせて確認すると便利です。
記入する主な項目
報告書には、企業の基本情報(名称、所在地、事業内容など)のほか、以下の項目を記入します。
65歳までの雇用確保措置の状況
65歳までの雇用確保措置として、「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれを講じているかを選択し、その詳細を記入します 。継続雇用制度を導入している場合は、希望者全員を対象とする制度か、経過措置に基づく基準により対象者を限定する制度かを選択します 。
70歳までの就業確保措置の状況
70歳までの就業確保措置として、「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「業務委託契約を締結する制度の導入」「社会貢献事業に従事できる制度の導入」のいずれを講じているかを選択し、その詳細を記入します 。
定年制の状況
企業の定年制が「定年制の廃止」「60歳定年」「61~64歳定年」「65歳定年」「66~69歳定年」「70歳以上定年」のいずれに該当するかを記入します
高年齢者の雇用者数
6月1日現在の高年齢者(60歳以上)の雇用者数を記入します。
継続雇用制度の対象者(該当企業のみ)
経過措置に基づく継続雇用制度を導入している企業は、過去1年間(令和5年6月1日から令和6年5月31日)に基準適用年齢(64歳)に到達した者のうち、継続雇用された者、継続雇用を希望しなかった者、基準に該当せずに継続雇用が終了した者の人数を記入します 。
各項目の記入に際しては、添付されている記入要領を参考に、正確な情報を記載しましょう。不明な点があれば、管轄のハローワークに問い合わせて確認することをおすすめします。
高年齢者雇用状況等報告書作成の注意点
高年齢者雇用状況等報告書の作成にあたっては、いくつかの注意点があります。これらを事前に把握することで、スムーズな提出が可能となります。
最新様式を必ず使用する
報告書の様式は毎年更新される可能性があります。厚生労働省の公式サイトから最新版をダウンロードして使用してください。
記入要領を確認する
各項目には細かなルールがあります。添付の記入要領をよく読み、疑問があればハローワークなどに確認を。
数値は正確に記入する
従業員数や定年年齢などは、社内の最新データをもとに記載し、可能であれば複数人での確認がおすすめです。前年との比較がある場合は、過去の報告書も参照しましょう。
経過措置の条件を正しく理解する
継続雇用制度に経過措置を適用している企業は、対象年齢や限定基準などの条件を正確に把握し、対象人数を適切に計上する必要があります。
Q&A:高年齢者雇用状況報告書のよくある疑問
Q. 報告書が届かない場合はどうすればよいですか?
A. 常時雇用する労働者が21人以上の企業には、毎年報告書が送付されます。もし届かない場合は、管轄のハローワークまたは都道府県労働局に問い合わせて、報告書を送付してもらうか、ダウンロード方法を確認しましょう。
Q. 今年は従業員が21人未満になりました。提出は必要ですか?
A. 提出義務は「6月1日現在」で常時雇用する労働者が21人以上の企業に課されています。その時点で21人未満であれば、報告書の提出義務はありません。ただし、様式が送付された場合は念のため管轄のハローワークに状況を連絡することをおすすめします。
Q. 電子申請は必須ですか?
A. 電子申請は任意です。紙の報告書を郵送または持参して提出することも可能です。企業の環境や手続きのしやすさに応じて選んでください。
Q. 報告内容に誤りがあった場合はどうすればよいですか?
A. 提出後に誤りが判明した場合は、速やかに管轄のハローワークまたは都道府県労働局に連絡し、訂正方法を確認しましょう。再提出が必要となる場合もあります。
Q. 定年制を廃止した場合、報告書にはどのように記入しますか?
A. 高年齢者雇用確保措置の該当欄で「定年制の廃止」を選択し、その内容を記載します。併せて、定年制の状況に関する欄にも「定年制を廃止している」旨を明記してください。
高年齢者雇用状況等報告書の提出は計画的に進めましょう
高年齢者雇用状況等報告書は、企業が高年齢者の雇用施策を適切に講じているかを確認するための書類です。特に、65歳までの雇用確保措置は法的義務であり、企業は毎年6月1日時点の状況を正確に記録し、期限内に提出しなければなりません。記入ミスや準備不足を防ぐためには、事前の情報整理や記入要領の確認をしましょう。
報告書の作成・提出をスムーズに進めることで、企業の法令順守体制が整い、社内の人材活用方針も明確になります。手続きに不安がある場合は、早めに管轄のハローワークや労働局へ相談しましょう。年に一度の提出業務を負担なく終えられるよう、余裕を持った準備が大切です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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