- 更新日 : 2025年7月11日
就業規則の悩みは弁護士に相談!費用や社労士との違い、依頼できる内容を徹底解説
職場の秩序を維持し、従業員が安心して能力を発揮できる環境を整えるためには、法的に適切で、かつ企業の実情に即した就業規則の存在が不可欠です。しかし、労働基準法をはじめとする関連法規は複雑で、頻繁に法改正も行われます。これらを正確に把握し、適切な就業規則を作成・運用することは、法律の専門家でなければ非常に困難な作業と言えるでしょう。
この記事では、就業規則に関して弁護士に相談することで何が解決できるのか、費用はどのくらいかかるのか、社労士との違いは何か、といった点を分かりやすく徹底的に解説します。
目次
就業規則に弁護士が関与する意義
就業規則は、単なるルールブックではありません。企業にとっては、以下のような意義があります。
- 労務リスクの予防
適切な就業規則は、解雇や懲戒処分を巡る労使間の紛争、残業代未払い請求など、労務トラブルや訴訟リスクを未然に防ぐための重要な盾となります。 - 企業の理念・方針の明示
企業が従業員に求める行動規範や服務規律を明確にすることで、企業文化の醸成にも繋がります。 - 紛争解決の指針
万が一トラブルが発生した際、就業規則は公正な解決への道筋を示す法的根拠となります。
また従業員にとっては、以下のような意義があります。
- 権利と義務の明確化
労働時間、休日、賃金、服務規律などが明記されることで、安心して働くための基盤となります。 - 公正な処遇の確保
客観的なルールに基づいた処遇が期待でき、不公平感を軽減します。
このように労使双方にとって重要な就業規則ですが、その作成や変更には高度な法的知識が求められ、自分で作成したり、古いテンプレートを流用したりすると、法違反や予期せぬリスクを抱え込む可能性があります。だからこそ、労働法の専門家である弁護士のサポートが重要になるのです。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
就業規則の作成・変更マニュアル
就業規則には、労働者の賃金や労働時間などのルールを明文化して労使トラブルを防ぐ役割があります。
本資料では、就業規則の基本ルールをはじめ、具体的な作成・変更の手順やよくあるトラブル事例について解説します。
労働基準法の基本と実務 企業がやりがちな15のNG事項
労働基準法は「労働者が人たるに値する生活を営むための労働条件の最低基準」を定めた法律です。
本資料では、企業がやりがちな違法行為を軸に、最低限把握しておきたい労働基準法の基本ルールをまとめました。
就業規則(ワード)
こちらは「就業規則」のひな形(テンプレート)です。ファイルはWord形式ですので、貴社の実情に合わせて編集いただけます。
規程の新規作成や見直しの際のたたき台として、ぜひご活用ください。
就業規則変更届 記入例
こちらは「就業規則変更届 記入例」の資料です。就業規則変更届の記入例が示された資料となります。
実際に届出書類を作成する際の参考資料として、ぜひご活用ください。
企業が弁護士に就業規則関連で依頼できること
企業が弁護士に就業規則関連で依頼できる業務は多岐にわたります。作成から運用、トラブル対応まで、法的な専門知識を活かしたサポートが期待できます。
就業規則の新規作成・変更・届出サポート
弁護士はヒアリングを通じて企業のリスクを診断し、実情に合ったオーダーメイドの就業規則を作成・変更します。関連規程整備、従業員説明会支援、労働基準監督署への届出代行(またはサポート)まで一貫して対応してもらえることから、法的に適切な体制の構築を図ることができます。
就業規則のリーガルチェック・アドバイス
既存の就業規則を弁護士に見てもらうことで、企業は最新法令への適合性、法的リスクの有無を診断してもらえます。違法条項の指摘、必要な規定漏れの発見、曖昧な表現の修正など、具体的な改善点の提案が受けられるばかりか、実効性のある運用アドバイスも受けられ、企業は潜在リスクを大幅に低減することが可能です。
労務トラブル発生時のコンサルティング
弁護士は懲戒処分や解雇の妥当性の判断、手続き支援を行います。労働審判や訴訟になった際、弁護士に依頼することで、代理人として企業の正当性を主張してもらえます。団体交渉、ハラスメントやメンタルヘルス問題への対応もサポートするばかりか、退職勧奨などデリケートな問題も法的観点からのアドバイスが受けられ、トラブルの鎮静化と予防を図ることができます。
顧問弁護士としての継続的なサポート
顧問弁護士がいれば、日常的な労務相談への迅速な対応、法改正情報の提供と就業規則の定期的メンテナンス、契約書のリーガルチェックなど、継続的な法的サポートの提供が受けられます。トラブルを未然に防ぐ予防法務体制の構築を支援してもらえるため、企業の法務部門のような役割を果たします。
従業員が弁護士に就業規則関連で相談できること
従業員(労働者)にとって、就業規則は自身の権利を守る上で非常に重要です。会社との間で疑問やトラブルが生じた場合、弁護士に相談することで的確な法的サポートが受けられます。
就業規則の内容に関する相談
会社の就業規則が法律に違反していないか、一方的な労働条件の不利益変更が有効かなど、就業規則の内容が法的に問題ないかを弁護士に相談できます。特定の条項の解釈や、会社が就業規則を周知しない場合の対応も確認できます。従業員側から就業規則の内容について弁護士に相談することで、自身の権利状況を正確に把握できるようになります。
会社との労働トラブルに関する相談
不当解雇や雇止め、不当な懲戒処分、残業代未払い、ハラスメント被害、退職強要など、さまざまな労働トラブルについて弁護士に相談できます。就業規則の規定を基に、会社の対応の妥当性を検討し、解決に向けた法的手段(交渉、労働審判、訴訟など)のアドバイスが受けられます。
就業規則に関する相談を弁護士に依頼する流れ
実際に弁護士に就業規則関連の相談や業務を依頼する場合、どのようなステップで進むのでしょうか。一般的なケースについて解説します。
問い合わせ・初回相談の予約
まずは、弁護士事務所のウェブサイトや電話、メールなどで問い合わせ、相談内容の概要を伝えて、初回相談の日時を予約します。
初回相談の実施
予約した日時に弁護士と面談し、具体的な状況や要望を詳しく説明します。関連資料があれば、事前に整理して持参すると、相談がスムーズに進みます。
弁護士は、あなたの話を聞き、法的な問題点を整理し、考えられる解決策の選択肢、今後の進め方、見通し、そして弁護士費用などについて説明します。
見積もりの提示と委任契約の締結
相談の結果、弁護士に正式に業務を依頼することを決めた場合、弁護士から委任契約書と見積書が提示されるのが一般的です。
契約内容を十分に確認し、納得した上で契約を締結します。決して急かされて契約することのないように注意しましょう。
業務の開始と進捗報告
委任契約締結後、弁護士が依頼された業務に着手します。依頼者は弁護士と適宜コミュニケーションを取りながら、進捗状況の報告を受け、必要な協力を行います。
就業規則に関する弁護士費用の目安
弁護士費用は、依頼する業務内容、事案の複雑さ、企業の規模、弁護士事務所の方針などによって大きく変動します。以下はあくまで一般的な目安として参考にしてください。必ず事前に弁護士に見積もりを依頼し、内訳を確認することが重要です。
法律相談料
30分〜1時間あたり5,500円〜16,500円程度、または初回無料。
就業規則作成・変更費用
- 新規作成:22万円~55万円程度(税込)
企業の規模、業種、規定の複雑さなどにより変動します。賃金規程、育児介護休業規程などの関連規程をセットで作成する場合は、追加費用が発生することがあります。 - 変更・見直し:11万円~33万円程度(税込)
変更する条項の数や範囲、複雑さによって異なります。 - リーガルチェックのみ:5万5千円〜22万円程度(税込)
既存の就業規則のページ数や条項数、チェックの深度によって変動します。
顧問契約料
月額 3万3千円~数十万円程度(税込)
企業の規模、相談の頻度、依頼する業務範囲によって大きく異なります。多くの事務所では、顧問契約の範囲内で対応できる業務と、別途費用が発生する業務が明確に区分されています。
労働事件の着手金・報酬金
- 着手金:弁護士に事件処理を依頼する際に、結果に関わらず最初に支払う費用です。請求額や紛争の経済的利益の額を基準に算定されることが多く、一般的には経済的利益の数%〜10%程度、または事案の難易度に応じて数十万円〜となるケースがあります。交渉、労働審判、訴訟など、どの手続きを選択するかによっても異なります。
- 報酬金:事件が成功裏に解決した際に、その成果に応じて支払う費用です。一般的には、獲得した経済的利益の10%〜20%程度、または事前に合意した算定基準に基づいて計算されます。
日当・実費
- 日当:弁護士が事務所外での活動(裁判所への出廷、遠方への出張、証拠収集など)を行った場合に発生する費用。半日で3万3千円〜5万5千円、1日で5万5千円〜11万円程度(税込)が目安です。
- 実費:収入印紙代、郵便切手代、交通費、宿泊費、資料の謄写費用(コピー代)など、事件処理のために実際にかかった経費です。これらは別途請求されます。
就業規則に強い弁護士を選ぶためのポイント
信頼できる弁護士を選ぶことは、就業規則に関する問題解決において極めて重要です。以下の7つのポイントを参考に、最適な弁護士を見つけましょう。
- 労働法規に関する専門性と実績が豊富か
- 企業側と従業員側の相談のいずれかの立場を明確にしているか
- ヒアリング能力とコミュニケーション能力が高いか
- 具体的で現実的な解決策を提示してくれるか
- 費用体系が明確で、事前に十分な説明があるか
- レスポンスが速く、報告・連絡・相談を徹底しているか
- 社労士など他の専門家との連携体制があるか
就業規則は弁護士と社労士のどちらに依頼すべきか
就業規則に関する専門家として、弁護士と社労士が挙げられます。最も大きな違いは、弁護士が紛争代理業務(相手側との交渉・訴訟など)を行えるのに対し、社労士は(特定社労士を除き)原則として行えない点です。就業規則の作成自体はどちらも可能ですが、その背景にある専門性や得意分野が異なります。
弁護士に依頼するメリット
弁護士は紛争解決の専門家であり、その知見からトラブルを未然に防ぐ就業規則を作成できます。複雑な法令解釈や判例対応、企業の特殊事情に応じたリスクヘッジに長けていると言ってよいでしょう。契約書作成のノウハウも豊富で、企業の意図を正確に反映した条文作成が可能です。
弁護士への相談が特に推奨されるケース
- 既に労務トラブルを抱えている、またはそのリスクが高い企業
- M&Aや事業再編など、大きな組織変更を控えている企業
- 高度な機密情報や知的財産を扱う業種で、情報管理規程などを厳格に定めたい企業
- 就業規則の内容について、法的な「お墨付き」が欲しい企業
社労士に依頼するメリット
社労士は労働社会保険手続きの専門家で、就業規則の届出代行や日々の労務管理コンサルティングを得意とします。賃金制度設計、人事評価、助成金申請などを得意としている社労士もおり、実務に即したサポートが期待できます。行政との連携や、作成した就業規則の円滑な運用支援も強みです。
社労士への相談が特に推奨されるケース
- 日常的な労務管理全般のサポートを求めている企業
- 助成金の活用を検討している企業
- 社会保険・労働保険の手続きをアウトソースしたい企業
- 比較的紛争リスクが低く、定型的な就業規則の整備を主目的とする企業
結論としては、企業の状況やニーズによって最適な専門家は異なります。日常的な労務管理や手続きは社労士に、紛争性の高い案件や複雑な法的判断が求められる場合は弁護士にという使い分けも可能です。必要に応じて両者が連携してサポートを行うのが理想的な形と言えるでしょう。 まずは双方の専門家に相談し、自社の課題に最も適したパートナーを見極めることが大切です。
弁護士・社労士に依頼せず就業規則を作成する方法
弁護士・社労士に依頼せず就業規則を作成、見直したりする方法はいくつか考えられます。
自分で就業規則を作成する方法
自社で就業規則を作成すると費用は抑えられますが、法的知識不足によるリスクがあります。最新法令への未対応、必要な規定の漏れ、客観性の欠如のほか、膨大な時間と労力が必要になることが課題として挙げられます。労務トラブル発生時に企業を守れない可能性もあるため、専門家のアドバイスをもらって作成するのがよいでしょう。
就業規則のテンプレートを利用する方法
インターネット上では、さまざまな就業規則のテンプレートやひな形が提供されています。マネーフォワード クラウドでも、就業規則に使えるWordの無料のテンプレートをご用意しております。
テンプレートはあくまでも叩き台として利用するためのものであり、弁護士など専門家によるカスタマイズとリーガルチェックが不可欠です。
就業規則の専門家である弁護士を活用し、健全な職場環境を
この記事では、就業規則の重要性から、作成・見直しの方法、弁護士と社労士の違い、弁護士に依頼できる業務内容、費用の目安まで網羅的に解説してきました。
就業規則は、企業にとっては経営の羅針盤であり、労務リスクを回避し、従業員の力を最大限に引き出すための基盤になるものです。また、従業員にとっては、自らの権利と労働条件を明確にし、安心して働くための拠り所となります。
しかし、その作成・運用には高度な法的知識と専門的なノウハウが不可欠であり、法改正への迅速な対応も求められます。企業側も従業員側も、就業規則に関する疑問やトラブルが生じた際には、独力で解決しようとせず、労働法の専門家である弁護士に相談することが、最善の解決への近道となるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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