• 更新日 : 2025年3月7日

有給取得をやっぱりやめる!取り消し方法や理由、メールの書き方などを解説

有給休暇を申請したけど、やっぱりやめたい」と考えることはありませんか? 本記事では、仕事の都合や個人的な事情で有給休暇の申請を撤回したい場合、会社にどのように伝えるべきかを詳しく解説します。スムーズに対応できるよう、ぜひ参考にしてください。

有給休暇は取り消しできる?

法律上、有給休暇の取り消しについて明確な規定はありません。そのため、有給休暇の取り消しが可能かどうかは、会社の就業規則や上司の判断によって対応が分かれるのが現状です。ここから、有給休暇を取り消しできるケースと取り消しできないケースをそれぞれ解説します。

有給休暇の申請を取り消しできるケース

有給休暇の申請を取り消しできるケースは、以下の通りです。

会社の就業規則で認められている場合

会社の就業規則や社内マニュアルで、有給休暇の申請撤回について定めがある場合は、取り消しが可能です。例えば「休暇開始日の○日前までであれば申請後でも取り消し可能」といったルールを設けている場合があります。就業規則で認められている場合は、基本的にそのルールに則って手続きをすれば有給休暇を取り消しできます。

有給休暇の申請がまだ承認されていない場合

有給休暇の申請を出したものの、まだ上司や人事担当者から正式な承認を得ていない段階であれば、比較的簡単に取り消しや変更ができます。「先日の有給申請ですが、事情が変わりましたので取り下げさせてください」と速やかに申し出れば、問題になることは少ないでしょう。上司に口頭やメールで連絡し、有給申請の申請を撤回したい旨を伝えてください。

仕事で重要な用件が発生した場合

仕事上どうしても外せない重要な用件が発生し、会社側も出勤してもらえると助かるという場合は、会社が有給の取り消しを認めるケースがあります。たとえば、急なトラブル対応や大事な会議への出席要請などで、「もし可能なら有給を取りやめて出社してほしい」と会社側から打診されることもあります。このような場合、労働者本人が同意すれば有給の取得日を変更・延期することは可能です。会社としても助かる状況なので、柔軟に対応してもらえるでしょう。

はやめに申請・取り消しを行った場合

個人的な理由で有給を取り消したい場合でも、はやめに申請すれば取り消しが認められることがあります。休暇予定日が先であればあるほど、取り消しや日程変更の交渉はしやすいものです。はやめに相談し、理由を伝えるようにしましょう。

有給休暇の申請を取り消しできないケース

有給休暇の申請を取り消しできないケースは、以下の通りです。

すでにスケジュールが調整されている場合

上司や人事から有給取得の承認が下りており、業務分担やシフトの調整が完了している場合、取り消しは難しくなります。他の同僚があなたの不在を見越して業務を引き継いだり、代替要員を手配していることもあるでしょう。特に当日や前日など直前の申し出は、緊急でやむを得ない事情でない限り認められにくいでしょう。

会社のルールで取り消し不可とされている場合

企業によっては、有給休暇の申請後の取り消しを認めない方針としているところもあります。これは、有給休暇の取り消しや変更があると勤務シフトや業務計画に支障が出るためです。そのような企業では、たとえ個人的事情であっても「社内規定上、取り消しはできない決まりです」と断られてしまうケースがあります。

他の社員との公平性を考慮する必要がある場合

有給休暇の取り消しが他の社員に不公平な影響を与える場合も、取り消しは認められにくいでしょう。例えば、同じ日に有給を希望した同僚がいたものの、あなたが優先され、結果その同僚は出勤することになっていたとします。この状況であなたが急に有給休暇を取り消したら、その同僚との調整はどうするのかという問題になります。他にも、忙しい日に皆が遠慮して有給取得を控えている中で自分だけ取り消して出勤するとなると、周囲から「それなら自分も休みたい」など不満が出る可能性もあります。職場の公平性や風紀を保つために、上司が取消を許可しないケースがあるのです。

有給休暇を取り消す場合の注意点

実際に有給休暇の申請を取り下げたいと思ったら、どのように動けば良いのでしょうか。ここでは、有給休暇の取り消しを申し出る際の注意点を紹介します。スムーズに話を進め、信頼関係を損なわないようにするためにも押さえておきましょう。

できるだけ早めに伝える

有給休暇の取り消しを考えたら、できる限り早く会社に伝えることが大切です。休暇予定日が近づくほど周囲の準備も進んでいるため、直前のキャンセルは迷惑が大きくなります。反対に、十分に前もって伝えれば調整が比較的容易なので、上司も対応しやすくなります。自分の都合が変わったと分かった時点で速やかに申し出ましょう。「迷惑かな…」と悩んで先延ばしにすると、かえって状況が悪化します。

上司や人事への伝え方に配慮する

有給休暇を取り消したい場合は、日頃の業務指示を受けている上司に「◯月◯日に有給をいただく予定でしたが、事情が変わりまして…」と事情を説明しましょう。対面や電話で伝えにくい場合は、メールで構いませんが、その場合も丁寧な文章を心掛けます。伝える際のポイントは、具体的な理由を添えることです。「急な家庭の事情が解決したため」「予定していた旅行が中止になったため」「業務上どうしても出社した方が良い状況になったため」等、なぜ取り消したいのかを明確に伝えると上司も判断しやすくなります。

職場全体への影響を考慮する

自分の希望を通すだけでなく、職場全体への影響に目を向ける姿勢も大切です。有給を取り消すことで、チームのスケジュール変更や他の人の負担増などが起きないかを考えましょう。もし多少なりとも影響が出そうなら、代替案を用意するのも有効です。例えば「当日は出社して○○の対応にあたりますが、私が戻ることで△△さんの負担が増えるようでしたら自分がその業務もサポートします」など、自分勝手な印象を与えない配慮を示します。このように、周囲への影響を最小限にする提案をすることで、上司も「それなら取り消しを検討しましょう」と前向きに考えてくれるでしょう。

有給休暇の取り消しを依頼するメールの書き方

口頭で伝えるのが難しい場合や、メールで有給休暇の取り消しを依頼することもあるでしょう。ここでは、上司や人事に送るメールの基本的な構成を紹介します。ビジネスメールのマナーを押さえつつ、相手に失礼のないよう依頼することが大切です。

件名の書き方

件名は、一目で内容が分かるよう簡潔にします。例としては「有給休暇(〇月〇日)取り消しのお願い」や「有給休暇申請撤回のご相談」など、「有給休暇」「取り消し」といったキーワードを入れると良いでしょう。件名で内容が明確だと、相手も見落としにくくなります。

本文の書き方

「○月○日に有給休暇をいただく予定でおりましたが」のように、有給休暇の予定日と申請状況を明記します。そして、「恐れ入りますが、その有給休暇を取り下げ(キャンセル)させていただきたく、お願い申し上げます。」といった表現で、取り消しをお願いしたいことを伝えます。あまり細かい事情を書く必要はありませんが、「○○の予定が変更になったため」「急遽△△の対応が必要になったため」など一言添えると良いでしょう。

有給休暇の取り消しを依頼するメールの例文

以下に、業務上の理由で取り消したい場合と、個人的な事情で取り消したい場合のそれぞれで、メールの例文を紹介します。

業務上の都合による有給取り消し依頼

件名:有給休暇(○月○日)取り消しのお願い

○○部 部長 ○○様
お疲れ様です。○○部の△△です。

○月○日に有給休暇をいただく申請をしておりましたが、業務上の都合により当日の休暇を取り下げたく存じます。○○のプロジェクトにおいて急遽△△の対応が必要となり、私も出社して対応した方が良い状況です。

当日の出社に際し、必要な業務調整等ございましたらお申し付けください

直前の変更となり、ご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げます。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

業務上の理由であることを伝える際は、会社にとってもその方が都合が良いと思ってもらえるように書くのがコツです。この例文では「プロジェクトで対応が必要となったため出社した方が良い状況」という説明を入れています。また、会社側への協力姿勢を示すことで、上司に了承してもらいやすくなります。

個人的な事情による有給取り消し依頼

件名:有給休暇(○月○日)取り消しのご相談

○○部 部長 ○○様
いつもお世話になっております。○○部の△△です。私事で恐縮ですが、○月○日に予定していた私用の都合が変更となり、当初申請しておりました有給休暇を可能であれば取り下げたいと考えております。

大変勝手なお願いではございますが、○月○日の有給休暇をキャンセルし、通常通り出勤させていただけないでしょうか。

直前のお願いとなり申し訳ございません。業務上差し支えがあるようでしたら、当初の予定どおり休暇をいただきますので、ご指示いただければ幸いです。

ご多忙のところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。

個人的な理由の場合は、あくまで自己都合であることへのお詫びと、会社の判断に従う姿勢を明示することが重要です。この例文では「予定がなくなったため出社したい」という希望を伝えつつ、「もし業務上差し支えあるようでしたら当初の予定どおり休みます」という一文を入れています。これにより、最終的な判断は上司に委ねる形となり、無理強いしない印象を与えられます。また「勝手なお願いで申し訳ない」という表現で謙遜しつつ、丁寧にお願いしている点も押さえておきましょう。

これらのメール例文を参考に、自身の状況に合わせて内容を調整してください。重要なことは、ビジネス文書としての丁寧さと相手への配慮を示すことです。

有給休暇の取り消し理由は伝える必要がある?

労働基準法では、有給休暇は労働者の権利であり、取得の際に理由を会社に伝える義務はありません。そのため、一度申請した有給休暇を取り消す際も、法律上は理由を伝える義務はないと解釈できます。

しかし、会社の就業規則や職場の慣習によっては、理由を求められることもあるため、完全に不要とは言い切れません。特に、業務に影響が出る場合は、会社側が理由を知りたがるのは自然な流れといえます。

有給休暇の取り消しが拒否されたらどうする?

では、有給休暇の取り消しが認められなかった場合、どのように対処すればよいでしょうか。

別の日に有給を取得できないか提案する

会社側の方針として有給休暇の取り消しが難しい場合、別の日に取得できないか提案してみましょう。「○月○日に取得予定だった有給を別の日に変更できないかご相談させていただきたいのですが…」「取り消しが難しい場合、○月○日に振り替えることは可能でしょうか?」など、代替案を出すことで会社側も柔軟に対応できる可能性があります。

有給休暇を有意義に活用する

取り消しができないのであれば、その日は思い切って休みを満喫するのも一つの考え方です。せっかくの有給休暇なので、リフレッシュや自己研鑽に活用することで、前向きに捉えることができます。「取り消せないのなら仕方ない」と気持ちを切り替え、自分のために有効活用することが大切です。

今後のために計画的に有給を申請する

今回取り消しができなかった経験を踏まえ、今後は有給申請のタイミングをより慎重に計画することが大切です。もし予定が不確定な場合は、ギリギリまで申請を待つ、あるいは上司に「この日休みを取りたい可能性がありますが、まだ未定です」などと事前に相談しておくと良いかもしれません。また、会社によっては「○週間前まで申請」「○日前まで変更可」などルールがありますので、それを改めて確認し、次回から遵守するようにしましょう。計画的に有給休暇を取得することで、自分も職場も混乱せずに済むのが理想です。

有給休暇の申請を会社側が取り消しするのは違法?

有給休暇は労働者が自由に取得できる権利のため、会社が一方的に取り消すことはできません。例えば、業務が忙しいという理由で会社が勝手に有給休暇の申請を取り消したり、「やっぱり出勤してほしい」と強要することは、労働基準法違反にあたります。

ただし、例外として「時季変更権」が認められるケースがあります。これは、労働者が指定した日に有給休暇を取得することで、事業の運営が大きく妨げられる場合、会社が労働者に別の日への変更を求めることができる権利です。しかし、単に「忙しい」という理由では時季変更権を行使できず、変更を求める場合でも、必ず別の日に有給を取得させる必要があります。

万が一、会社が不当な取り消しを行う場合は、労働基準監督署への相談も検討すべきでしょう。有給休暇は労働者の大切な権利であり、適切に守られるべきものです。

有給取得をやっぱりやめたい時は会社に相談しましょう

有給休暇の申請を出した後で「やっぱり休むのをやめたい」と思う場面は、誰にでも起こります。有給休暇の取り消しが可能かどうかは会社の規則や業務の状況次第ですが、取り消しを希望する場合は早めに適切な方法で相談することが重要です。まずは自社の就業規則を確認し、上司に具体的な理由を添えて丁寧に申し出ましょう。本記事で紹介したメールの例文や伝え方のポイントも参考に、失礼のないよう配慮しつつ、自分の希望を伝えてみてください。


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