• 更新日 : 2025年3月5日

土曜出勤は休日出勤扱いにならない!36協定での扱いや注意点を解説

「土曜出勤って休日出勤扱いになるの?」「36協定での扱いは?」

上記のような疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。

土曜出勤の扱いが休日扱いになるかどうかは、企業の就業規則や36協定の内容によって異なります。

本記事では、土曜出勤に関するよくある疑問を解決するために、36協定上での土曜出勤の扱いや法律上による休日の考え方、について36協定にもとづく土曜出勤への対応方法を解説します。

適切な労働時間管理を行い、時間外労働が法定の上限時間を超えたり、未払い賃金が発生したりすることのないように、ぜひ参考にしてください。

36協定上の土曜出勤は休日出勤になるとは限らない

土曜出勤は必ずしも休日出勤には該当しません。

というのも、会社の労働時間制度や就業規則によって扱いが異なるためです。

労働基準法では1日8時間、週40時間を超える労働を行う場合、36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。

また、休日出勤についても同様に、会社が労働者に休日労働を命じるためには36協定を締結が必須となります。

ただし、36協定があっても、企業が無制限に休日労働を命じられるわけではありません。

そのため、労働者の健康や労働環境を守るために、36協定には時間外労働の上限が定められています。

休日出勤とは法定休日に労働をすること

休日出勤は、労働基準法第35条にもとづき、法定休日に労働することです。

法律では「使用者は、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定されています。(ただし、変形労働時間制が適用される場合、「4週間で4日以上の休日があればよい」という例外規定も存在します。)

法定休日に労働した場合、企業は労働基準法第37条にもとづき35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

なお、企業の就業規則や労使協定によっては、より高い割増率が設定されることもあります。

法律上による休日の考え方

休日には法定休日と法定外休日があり、それぞれの扱いが異なります。

休日の種類を理解し、適切な労働時間の管理を行いましょう。

法定休日

法定休日は、労働基準法第35条にもとづき、労働者に与えられる最低限の休日です。

労働基準法では「使用者は、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定められており、企業は週1日の休日を設けなければなりません。

ただし、変形休日制を採用している場合、「4週間で4日以上の休日を確保すればよい」という例外規定もあります。

週休2日制を採用している企業の場合、日曜日を法定休日としていることが多いです。日曜日に出勤すると休日出勤扱いとなります。また、35%以上の割増賃金が適用されます(労働基準法第37条)。

ただし、土曜日や祝日が企業の休日となっていても、法定休日でない場合は、出勤しても休日労働にはなりません。

企業ごとの就業規則や労使協定を確認し、法定休日の適用条件を正しく把握することが大切です。

法定外休日

法定外休日とは、法定休日以外に企業が独自に設定する休日を指し、所定休日とも呼びます。

週休2日制を採用している企業の多くで、日曜日を法定休日、土曜日・祝日を法定外休日としています。

日曜日を法定休日、土曜日を法定外休日とする場合、土曜出勤をしても法律上は休日労働には該当せず、時間外労働として扱われます。

ただし、企業の就業規則や労使協定によっては、法定外休日の労働を「休日労働」として扱う場合もあるため、各企業の規定で明確にしておきましょう。

土曜出勤をする場合の3つの注意点

土曜出勤をする際には、労働条件や賃金計算に関する重要なポイントを理解することが必要です。

土曜出勤が法定休日労働に該当するかどうかによって、割増賃金率や時間外労働の扱いが変わります。

法定休日労働の割増賃金率は35%以上

法定休日に労働を行う場合、割増賃金率は35%以上となります。

労働基準法では、法定休日の労働に対しては通常の賃金に加えて35%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。

土曜出勤が休日労働(法定休日)扱いとなるケースは以下の通りです。

  • 就業規則で土曜日を法定休日として設定している場合
  • 週の起算日が日曜日の会社において法定休日を特定しておらず、週1日の休日が確保されていない場合(4週4休の変形休日制を採用している場合を除く)

一方で、土曜出勤が法定外休日の労働とされる場合は、時間外労働として処理されるため、割増率は労働時間に応じて異なります。

勤務規則を確認し、割増賃金の適用条件を正しく把握してください。

法定休日労働に時間外労働は発生しない

法定休日に労働を行う場合、時間外労働にはカウントされません。

労働基準法では、法定休日の労働と、週の法定労働時間である40時間を超える労働とを区別して規定しています。

そのため、法定休日に働いた時間は週の労働時間の計算に含めません。

また、法定休日に働いた労働時間は、時間外労働の制限(年間720時間以内)にもカウントされません。

法定休日労働の特徴は以下の通りです。

  • 週の法定労働時間(40時間)を超える労働時間からは除外
  • 法定休日に労働しても時間外労働の上限(年間720時間)からは除外
  • 法定休日に8時間を超えて労働しても割増率は35%のまま

法定休日のルールを理解し、適切な勤務計画を立てるようにしてください。

法定外休日労働の時間数は「時間外労働」にカウントする

法定外休日に労働を行う場合、法定労働時間を超えて労働した時間が時間外労働となります。

2019年4月の働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制が強化されました。

企業は年間720時間を超えないよう労働時間を管理する必要があります。

【法定休日と法定外休日の扱いの違い】

項目労働時間の扱い時間外労働(年間720時間)の上限に含まれるか割増賃金率
法定休日労働法定労働時間の枠外含まれない35%以上
法定外休日労働(所定休日労働)法定労働時間に含まれる含まれる25%以上(時間外労働として計算)

たとえば、土曜日が法定外休日となっている企業では、土曜出勤の時間がすべて時間外労働に加算されるわけではなく、1日8時間以内の労働は通常労働時間として扱われます。

しかし、すでに週40時間に達している場合や土曜日の労働時間が1日8時間を超えると、時間外労働扱いで、年間720時間の制限に含まれます。

土曜出勤の割増賃金の計算方法

土曜出勤時の割増賃金は、土曜日の扱いや労働時間によって異なります。

賃金計算を正しく行い、適切な労働環境を確保することが必要です。

【割増賃金の計算式】

本章では、計算を簡素化するために時給の基本給のみが支給されているケースで解説します。

【土曜出勤のパターン別割増率】

勤務条件割増率時給1,200円の場合
法定外休日(土曜出勤・週40時間超過なし)割増なし1,200円
法定外休日(土曜出勤・週40時間超過)25%1,500円
法定外休日(土曜出勤・深夜勤務)25%1,500円
法定休日(土曜出勤)35%1,620円
法定休日 + 深夜労働(22:00~5:00)60%1,920円

土曜出勤が法定外休日の労働であれば、週40時間を超えない、もしくは深夜労働に該当しない限り割増賃金は発生しません。

しかし、週40時間を超える場合や、土曜日が法定休日の場合は、割増賃金が適用されます。

また、企業によっては週の法定労働時間が40時間を超えなくても、法定外休日の労働に25%以上の割増率を設定しているケースや、休日出勤手当を支給するケースがあります

勤務形態や就業規則を確認し、正しい計算を行うことが重要です。

36協定にもとづく土曜出勤への対応

36協定にもとづき、土曜出勤を適切に管理することが求められます。

企業の繁忙期対応や労働時間管理の方法を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

代休を活用する

代休制度は、休日労働をした後に代わりの休日を取得する仕組みです。

土曜出勤をした場合でも、後日代休を取得することで、労働時間を調整できます。

代休を取得した場合であっても割増賃金の支払いは必要ですが、企業が独自に定める休日出勤手当の対象外となるケースもあります。

代休制度の活用例は以下の通りです。

活用ケース具体例
繁忙期の土曜出勤繁忙期に出勤し、翌週の平日に代休を取得する
シフト勤務の調整交代制の職場で、労働時間のバランスを取るために代休を設定する
育児・介護との両立柔軟な代休制度を活用し、家庭の事情に合わせて調整する

代休制度を適切に運用することで、労働者の負担軽減と勤務スケジュールの調整が可能になります。

36協定の特別条項を活用する

36協定には、時間外労働について原則月45時間・年間360時間の上限規制があります。

しかし、特別条項を適用することで、繁忙期など上限時間の超過が避けられない状況に対応できます。

36協定の特別条項とは、一定条件のもと例外的に時間外労働の上限を延長できる制度です。

【特別条項の適用条件と上限】

条件上限
特定の事情(繁忙期・緊急対応など)がある場合年間720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間以内

【特別条項の活用例】

活用方法具体例
法定外休日労働を時間外労働にカウント36協定の範囲内で休日労働を管理
繁忙期に土曜出勤を増やし、閑散期に代休や振替休日を取得業務量の波に応じた労働時間調整
業務負担が一時的に増える際に、臨時対応できる体制を整備必要に応じて、特別条項適用で労働時間を調整

特別条項の適用は慎重に行う必要があり、計画的に活用することで、労働時間の管理や生産性の向上につながります。

土曜出勤でよくある疑問

土曜出勤に関する疑問は多く、手当の有無や残業扱いになるかどうかがとくに関心を集めています。

土曜出勤の扱いは、企業の就業規則や労働基準法の定めによって異なります。

土曜出勤で手当はない?

土曜出勤で手当が支給されるかどうかは、「土曜日が法定休日かどうか」によって異なります。

法定休日でない場合、時間外労働として計算するのが一般的ですが、一定の要件を満たすと割増賃金や企業が独自に支給する手当が発生します。

土曜出勤に手当がつくケースは以下の通りです。

条件手当
労働時間が週40時間を超えた場合時間外労働として25%以上の割増賃金
就業規則に「土曜出勤手当」の規定がある場合企業独自の手当が支給される可能性あり
変形労働時間制を適用している場合就業規則により一部の月のみ土曜出勤手当が支給される可能性あり

土曜日が法定休日として設定されている場合、休日労働として35%以上の割増賃金が発生します。

土曜出勤でもみなし残業に入る?

みなし残業(固定残業代)は、事前に一定時間分の残業代を含めて給与が支払われる制度です。

しかし、土曜出勤がみなし残業の対象となるかどうかは、勤務形態によって異なります。

ケースみなし残業の適用
土曜出勤が所定労働時間内の場合みなし残業には含まれず、基本給の範囲内で処理
土曜出勤が時間外労働としてカウントされる場合みなし残業の上限時間を超えた分は別途支払いが必要
みなし残業代が『時間外労働 + 法定外休日労働』をカバーする場合法定外休日の労働時間もみなし残業枠内で処理可能
法定休日労働(休日出勤)の場合原則みなし残業の対象外となり、別途35%以上の割増賃金が適用

固定残業代を支給している場合、時間外労働と法定休日労働の割増率が異なるため、法定休日労働はみなし残業時間に含まないケースが多いです。

しかし、企業により異なるため、今一度固定残業代の対象となる労働時間を確認しましょう。

土曜出勤は残業扱いになる?

土曜出勤が残業扱いになるかどうかは、「週40時間を超えて働いたか」「法定外休日労働に該当するか」によって決まります。

【残業扱いとなるケース】

  • 週40時間を超えた場合:時間外労働として25%の割増賃金が発生
  • 土曜が法定外休日として設定されている場合:休日労働ではなく、時間外労働としての扱い

【残業扱いとならないケース】

  • 土曜が法定休日の場合:休日労働として35%以上の割増賃金が発生(時間外労働にはカウントされない)
  • 週40時間以内の労働である場合:通常賃金のまま支給

土曜出勤が残業扱いとなるかどうかは、勤務状況や企業の労働契約によるため、就業規則を確認しましょう。

土曜出勤の取り扱いには気をつけよう

土曜出勤の扱いは、土曜日が法定休日か法定外休日かによって異なります。

割増賃金や手当の有無を把握し、正しく対応しなければなりません。

割増賃金の適用率や手当の有無、時間外労働のカウント方法などを誤った認識のまま処理すると、未払い残業代や労働基準法違反につながる可能性もあります。

就業規則を確認し、適切な労働時間管理を行いながら、働きやすい環境を整えていきましょう。


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