- 更新日 : 2025年10月10日
職務とは?職責との違いや類義語、職務経歴書の書き方を解説
職務、職責、業務などの言葉は、いずれも仕事に関するものです。しかし、その意味は必ずしも明確ではありません。それぞれの言葉が具体的に何を指すのか、どのように使い分けるべきなのかを理解することは、職務経歴書を作成する際にも役立ちます。
この記事では、用語の違いについて詳しく述べるとともに、職務経歴書の効果的な書き方についても解説します。
目次
職務とは?
職務とは、どのような意味なのでしょうか。ここでは「職責」と「業務」という2つの類義語を取り上げ、具体的な使用方法を示して違いを明らかにします。
職務と職責との違い
「職務」と「職責」はしばしば混同されますが、明確な違いがあります。職務は、ある役職や職種に関連する一連の仕事やタスクを指します。例えば、営業担当者の職務として「新規の顧客を開拓する」や「商品の提案を行う」が考えられます。
一方で職責は、その職務を遂行する上で担うべき責任や義務を指す言葉です。先の営業担当者の例では、彼の職責として「顧客からの信頼を得る」や「正確な商品情報を伝える」といったものが考えられます。職務は「何をするか」というアクション、職責は「そのアクションを取る上での責任や義務」と捉えることができます。
職務と業務との違い
「職務」と「業務」もまた、似て非なる言葉です。職務は、特定の役職や職種に基づいて行われる仕事の内容や役割を意味します。これに対して業務は、日常的に行われる具体的な仕事の手続きや活動を指します。
例えば銀行員の職務の場合、その一つとして「顧客の資産運用のサポート」が挙げられますが、そのための業務は「口座開設の手続きを行う」や「ローンの相談を受け付ける」といった具体的なタスクです。職務にはある程度の幅広さや抽象性がありますが、業務はその具体的な内容を指します。
職務の類義語
職責や業務の他にも、任務や役職、職位といった「職務」の類義語があります。これらの言葉の違いを理解することで、組織内での役割や仕事の内容をより明確に理解することができます。
任務
「任務」は特定の目的や目標を達成するために、個人や組織に課される仕事や役割を指します。これは一時的なものや特定のプロジェクト・事業に関連したものであることが一般的です。例えば、あるイベントの成功のために「受付を担当する」という任務が割り当てられる、という使い方が考えられます。一方で職務は、ある役職や職種に固有のものとして定められているケースが多いです。
役職
「役職」は組織内での地位や位置付けを示すもので、一般的には特定の職務や責任が与えられています。役職には、部長、課長、チームリーダーなどがあります。これに対して、職務は役職に紐づいた仕事の内容や役割を指します。例えば、部長の職務として「部下のマネジメント」や「事業戦略の策定」などが考えられます。
職位
「職位」は組織内での階級やランクを示すもので、一般的には役職よりも広い範囲を示します。例えば新卒入社員、主任、課長、部長など、特定の経験や能力に応じて昇進していく過程での位置を示すものとして使用されます。一方で職務や役職は、その職位や地位に紐づいた具体的な仕事の内容や責任を示します。
職務経歴・職務内容とは?
職務の類義語について見てきましたが、ここでは職務経歴書の記載内容でもある「職務経歴」「職務内容」と「業務内容」の違いについて確認します。
業務内容とは違う
「職務経歴」は、ある個人が過去に経験した職務や役職、その際の主な業績や結果です。特に転職活動時などに使用される「職務経歴書」には、職務経歴を具体的に記します。
一方で「業務内容」は、企業が取り組んでいる「事業内容」を細分化したものであり、特定の部署が全体で担っている仕事の内容を意味します。
例えば、プロジェクトマネージャーの職務経歴には「新製品の開発プロジェクトをリードし、期限内に成功裡にマーケットへ投入」といった実績や結果が記載されるでしょう。
IT企業を想定すると、事業内容が「情報処理サービス」であった場合、業務内容として商品やシステム開発、受注、制作、管理、運用などが考えられます。
このように、職務経歴ではその人のキャリアや経験の概要を伝え、業務内容は本人が所属する部署が全体で担う仕事の内容を記載することになります。
職務経歴書に書く内容
最後に、職務経歴書に記載する具体的な内容を挙げて、それぞれについて概要と書き方のポイントを解説します。
職務の要約
これまでのキャリアのハイライトや総括を簡潔に示す部分です。
書き方: 短い文で主要な職務経歴や役職、業界経験をまとめる。例: 10年以上のIT業界経験を持ち、3つのプロジェクトマネジメントを成功裡に遂行。
職務経歴
これまでの職歴を時系列で詳細に記述する部分です。
書き方: 会社名、勤務期間、役職、主要な業務内容を明記する。例: 20XX年 – 20XX年:[会社名] プロジェクトマネージャー。新製品の開発プロジェクトをリード。
生かせるスキル
職歴や経験を通じて習得した、具体的なスキルを記載します。
書き方: スキルを項目ごとに列挙し、可能であればそれを生かした実績も記述する。例: チームマネジメント、Javaプログラミング、予算管理。
自己PR
自分の強みや特徴をアピールする部分です。
書き方: 他者と差別化できる独自の強みや経験を具体的に示す。例: 複数部門のコミュニケーションギャップを埋める能力を持ち、プロジェクトをスムーズに進行させることが得意。
志望動機
その企業や職種を選んだ動機を示す部分です。
書き方: 会社の魅力や、自分のキャリアとの関連性を明確に述べる。例: 貴社の先進的な技術に魅力を感じ、私の経験とスキルを生かしてさらに成長したいと考えています。
これらの内容を適切に職務経歴書に記載することで、採用担当者に自分自身の経歴やスキル、志望動機を効果的に伝えることができます。
職務と職責の違いは何?知っているようで知らない違いを理解しておくことが重要!
本記事では、職務とその関連用語の違いとともに、職務経歴書の作成方法について解説しました。
これらをよく理解することで、自己理解を深め、キャリアを形成することができます。自分のスキルや経験を適切に表現して、次のステップに進むための準備をしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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