- 更新日 : 2025年11月19日
夜勤の仮眠時間の理想は?16時間夜勤で仮眠なしは違法?
深夜に及ぶ夜勤で労働時間が長時間になる場合、仮眠時間が問題となることがあります。例えば、16時間に及ぶ夜勤で仮眠時間が与えられない場合、法律上違法なるのでしょうか。今回は、仮眠時間の付与について、労働基準上の扱いについて解説していきます。
目次
夜勤における仮眠の位置づけ
仮眠とは、短時間の睡眠をとることです。その間、労働はしていないわけですが、労働基準法では、仮眠はどのように位置づけられているのでしょうか。
夜勤での仮眠は労働時間に含まれる?
実は、労働基準法には、仮眠について時間帯や長さについての規定は特段ありません。また、休憩時間とは別の時間に仮眠時間を付与する義務はありません。
仮眠時間を労務の提供義務のない時間と捉えると、休憩時間と解すことができ、夜勤業務では、実際に休憩時間に含めている企業もあります。
労働基準法上、休憩については、「労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならない」と定めています(法34条)。
休憩は、労働者が休息のために労働から完全に解放されることを保障されている時間のことであり、業務の都合によって分割して付与する場合、5分や10分など、実質的に休息の意味がない場合でなければ、労働基準法違反とはなりません。
しかし、休憩時間は、労働から離れることが保障されていなければなりません。会社の就業規則などで仮眠時間は、仮眠室や休憩室にいなければならないなどの定めがあれば、場所の拘束を受けていることになります。
これは、仮眠中に業務の必要があれば、対応をすることを前提としており、休憩とは認められません。
では、労働時間に含まれるのでしょうか。法律上の労働時間の定義が問題となってきます。次項で詳しくみていきましょう。
拘束時間・労働時間・休憩時間の定義
会社の就業規則では、始業時刻と終業時刻が定められています。休憩時間を含めてこの間の時間を「拘束時間」と呼んでいます。
すると、労働時間は、休憩時間を除いた時間ということになりますが、実は単純に判断できるわけではありません。
労働基準法上の「労働時間」とは、条文上、明確な定義はありませんが、通説・判例・行政解釈では、「労働者が使用者の指揮命令(監督)下に置かれている時間」と定義されています。
仕事の準備や後始末のための時間や実際には作業をしていないものの就労場所に待機している時間がありますが、必要があれば直ちに対応することが前提となっています。これは「手待ち時間」と呼ばれ、実質的には使用者の指揮命令下にあるため、休憩時間ではなく、労働時間とされます。
休憩時間は、前述のように労働から離れることが保障されている時間です。
夜勤の場合の仮眠室などでの仮眠時間は、手待ち時間と類似しており、労働からの解放が保障されていない場合は労働時間となります。
16時間の夜勤で仮眠なしは違法?
仮眠室などでの仮眠時間が労働時間とされるのであれば賃金支払義務が生じるため、仮眠時間を設けないケースも考えられます。
夜勤時間が16時間など二昼夜に及ぶ場合、別に休憩時間があっても、食事などに充てる1時間程度では、疲労が蓄積して明け方には睡魔に襲われることもあるでしょう。
しかし、労働基準法では仮眠時間についての規定はなく、休憩時間で対応するしかありません。労働時間が8時間を超えるため、1時間の休憩時間が付与されていれば、適法ということになります。
ただし、深夜も含めて長い待機時間が発生するタクシーやバス運転手などの車庫待ちなどの運転者については、運転者の健康だけでなく、公共交通の安全という観点から、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が策定されています。
そこでは、1日についての拘束時間が18時間を超える場合における仮眠時間に関しては、仮眠設備において夜間4時間以上の仮眠時間を確実に与えるよう要請されています。
夜勤での仮眠時間の目安
仮眠時間については、車庫待ちなどの運転者についての改善基準告示のほかには、法的な規制はありません。看護師や介護士など、深夜に及ぶ勤務が常態となっている業務の場合、仮眠時間の目安はあるのでしょうか。
夜勤4時間の場合
通常、深夜とは22時以降を指しますが、4時間であれば、休憩時間で対応できるでしょう。日本看護協会では、10分程度の短い仮眠でも一定の効果があるとしています。
夜勤8時間の場合
日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」では、夜勤の実労働時間が8時間を超える場合、連続2時間以上の仮眠を推奨しています。
参考:公益社団法人日本看護協会|看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン
夜勤16時間の場合
夜勤16時間というのは二昼夜ということになりますが、日本看護協会では「16時間夜勤の場合は、2~3時間の休憩時間が望ましい」としており、2交代制の夜勤には休憩時間と仮眠時間が設けられ、仮眠は前述のように最低でも2時間以上とるのが一般的です。
夜勤の仮眠時間ついて知っておこう!
夜勤の仮眠時間について解説してきました。労働基準法上は、特に仮眠についての規定はないため、事業所によって対応は異なっていると思われます。
しかし、手待ち時間のように仮眠中も業務への対応を求められる場合は労働時間であり、賃金の支払いが必要となります。
法的な規制がないにしても、労働者の心身の疲労と業務の事故リスクを考慮すれば、適切な仮眠時間は付与することが大切です。
よくある質問
夜勤での仮眠は労働時間に含まれますか?
使用者の指揮命令下ある場合は、労働時間と扱われます。詳しくはこちらをご覧ください。
16時間の夜勤で仮眠なしは違法ですか?
労働基準法上は、違法ではありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
ブラック企業化を阻止するために!経営者が知っておくべき就業規則作成の4つのポイント
最近はブラック企業と呼ばれている企業がたくさん存在します。時にはメディアなどに取り上げられ、会社のマイナスイメージが発生してしまうこともあります。 また、ブラック企業では、従業員の定着率が低かったり、モチベーションが高くない場合があったりす…
詳しくみる就業規則への中抜けの記載例|制度を運用する上でのポイントも解説
近年、働き方改革やライフスタイルの多様化に伴い、勤務時間中に一時的に業務から離れる中抜けのニーズが高まっています。役所での手続き、子どもの送迎、通院など、従業員が中抜けを必要とする場面はさまざまです。 しかし、この中抜けに関する明確なルール…
詳しくみる勤怠管理の丸め処理とは?丸めることの違法性や処理方法について解説
勤怠管理の丸め処理とは、打刻時間における端数の切り上げや切り捨てを行うことです。勤怠管理の丸め処理を行っている会社は多くありますが、間違った運用をすると法律違反になりますので注意が必要です。 本記事では、勤怠管理の丸め処理とはどういうものか…
詳しくみるフレックスタイム制に向いている職種一覧|大手企業の事例や求人選びのコツも徹底解説
近年、多様な働き方を推進する動きが加速する中で、フレックスタイム制は多くのビジネスパーソンにとって魅力的な選択肢となっています。しかし、その一方で「本当に誰でも活用できるのか」「どんな職種なら恩恵を受けられるのか」といった疑問の声も聞かれま…
詳しくみる36協定を守らない社員にはどう対応する?ステップごとの対応策やポイントを解説
企業が従業員に法定労働時間を超えて残業や休日労働をさせるには、「36協定」(労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働に関する労使協定)の締結と労基署への届出が必要です。36協定を適切に締結・遵守しない残業は違法となり、企業には6ヶ月以下の…
詳しくみる終業時間とは?始業時間との関係やどこまで含まれるか解説
終業時間を守ることは働き方を見直す第一歩です。 本記事では、終業時間の定義や始業時間との関係性、労働時間に含まれる範囲を解説します。 終業時間を守るためのポイントも紹介するので、働きやすい環境を整えたい方は参考にしてみてください。 終業時間…
詳しくみる