• 更新日 : 2024年4月11日

法人税とは?税率の計算や節税方法などを解説

法人税とは、法人が事業によって得た所得に対して課税される国税です。株式会社や有限会社などの普通法人と、協同組合などは法人税を納めなければなりません。

この記事では、法人税の概要と種類、課せられる法人と課せられない法人、「所得」の意味、計算方法と税率、延滞金、および節税方法を解説します。

法人税とは

法人税とは、法人が事業活動によって得た所得に対して課税される国税です。法人税の税額は、所得金額に所定の税率をかけ、税額控除額を差し引くことで算出されます。ここでいう所得金額とは、売上収入や売却収入などの「益金」から、売上原価販売費、損失費用などの「損金」を差し引いたもののことです。

法人税が課せられる法人は、株式会社や有限会社、医療法人などの普通法人と、協同組合などがあります。ただし、公益法人等や人格のない社団等も、収益事業から生じた所得については法人税の課税対象です。この記事では主として普通法人にかかる法人税について説明します。

法人税を納付しないと延滞税がかかります。青色申告法人が2期連続で申告期限を過ぎて申告書を提出すると、青色申告が取り消されるため注意が必要です。

法人税の種類

法人税の種類は大きく以下の2つに分類されます。

各事業年度の所得に対する法人税

各事業年度の所得に対する法人税とは、法人の事業年度ごとにかかる法人税のことです。一般に「法人税」といわれる場合は、この各事業年度の所得に対する法人税のことを指します。事業年度は会社法で「1年以内」と定められていますが、例外的に1年半までの延長も可能です(ただし、税法では1年で区切ります)。

退職年金等積立金に対する法人税

退職年金等積立金に対する法人税とは、厚生年金基金や確定給付企業年金、確定拠出年金などの、退職年金に関する業務を行う保険会社や信託銀行に対して課されるものです。特別法人税とも呼ばれます(ただし、平成11年4月1日から令和8年3月31日までの間に開始する事業年度の退職金等積立金に対しては、法人税を課さないこととされています)。

法人税が課せられる法人・課せられない法人

法人税はすべての法人に課せられるわけではなく、法人税が課せられない法人もあります。法人税が課せられる法人と課せられない法人について以下で見ていきましょう。

法人税が課される法人

法人税が課せられる法人は以下の表に示すとおり、普通法人協同組合等となります。

法人の種類主な法人
普通法人株式会社、有限会社、合名会社、合資会社、医療法人、相互会社、企業組合、監査法人、一般社団法人と一般財団法人(共に非営利型法人を除く)など
協同組合等農業協同組合、漁業協同組合、信用金庫、労働者協同組合など

ただし、協同組合等は軽減税率が適用され、税負担が比較的軽くなります。普通法人の場合にも、資本金の額によって軽減税率が適用されるケースがあります。

法人税が課されない法人

法人税が課せられない法人は以下の表に示すとおり、公益法人等と人格のない社団等、および公共法人です。

法人の種類主な法人
公益法人等公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人など
人格のない社団等マンション管理組合、各種研究会、同窓会、PTAなど
公共法人地方公共団体、金融公庫、国立大学法人、地方独立行政法人、日本中央競馬会、日本年金機構、日本放送協会など

ただし、上のうち公益法人等と人格のない社団等については、法人税法で規定される物品販売などの収益事業で得られた所得は、法人税の課税対象となります。

法人税が課せられる所得

法人税が課せられる「所得」について解説します。

法人の所得金額は、益金の金額から損金の金額を差し引いた金額です。益金とはその事業におけるその事業年度の税務上の収益であり、損金は売上原価や販売費、災害による損失といった税務上の費用と言えます。
計算式にすると以下のように表せます。

所得 = 益金(売上収入・売却収入・利益)- 損金(費用・損失)

ただし、益金と損金は法人税上の概念で、企業会計上の収益や費用とは必ずしも一致しません。その理由は「企業会計上は費用とならないが税務上は損金とするもの」、および「企業会計上は費用となるが、税務上は損金としないもの」があるからです。

そのため、企業会計による税引前当期利益から、法人税法の規定に基づく所要の加算および減算を行って所得金額を算出します。

法人税の計算方法と税率

法人税額の計算方法は以下の計算式で表されます。

法人税額 = 課税所得 × 税率 - 税額控除額

この計算式にある「課税所得」と「税率」「税額控除額」のそれぞれを以下で見ていきましょう。

課税所得

課税所得とは、前述のとおり企業会計上の税引前当期利益(収益-費用)とは必ずしも一致せず、法人税法上の所得(益金-損金)を意味します。そのため、当期利益から以下のような所要の加算・減算を行って算出することが必要です。

  • 加算:企業会計上は費用となるが税務上は損金としないものを当期利益に加算する
    (一部の引当金への繰入額、一定額を超える交際費、寄付金の支出額、法人税等など)
  • 減算:企業会計上は費用とならないが、税務上は損金とするものを当期利益から減算する
    欠損金の繰戻還付、減価償却超過額の当期認容額、受取配当等の額など)

税率

税率は法人の種類と規模により、以下のように定められています。

(ただし、開始事業年度が2022年4月1日以後の場合)

区分法人税率
普通法人資本金1億円以下の
法人など
年800万円以下の部分下記以外の法人15%
適用除外事業者(※)19%
年800万円超の部分23.20%
上記以外の普通法人23.20%
協同組合等年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分19%
公益法人等公益社団法人・公益財団法人・非営利型法人など収益事業から生じた所得のうち、年800万円以下の部分15%
収益事業から生じた所得のうち、年800万円超の部分23.20%

※ 前3事業年度の年平均所得金額が15億円を超える法人

出典:No.5759 法人税の税率|国税庁をもとに作成

税額控除額

税額控除とは、課税所得に税率をかけて算出した本来納めるべき法人税額から、一定の金額を差し引ける制度です。以下のようなものがあります。

  • 所得税額の控除
    預金利息や受取配当金に対しては、法人であっても所得税が源泉徴収されます。しかし、このままでは所得税と法人税の二重課税となってしまうため、法人税額から所得税額を控除します。
  • 外国税額の控除
    外国で生じた外国税額について、日本と外国での二重課税を避けるため、租税条約などにより一定の計算をした金額が法人税額から控除されます。
  • 租税特別措置法上の控除
    雇用促進や投資促進などの政策目的のため、租税特別措置法により臨時的な税額控除が設けられることがあります。

法人税を延滞した場合はどうなる?

法人税を延滞すると「延滞税」が課せられます。延滞税とは利息に相当するもので、法人税を納付すべき期限(法定納期限)の翌日から、納付する日までの日数に応じて課せられます。日数が2ヶ月を過ぎると、税率が大幅に上がります。

延滞税が課せられるのは、基本的には法人税の確定申告書の申告期限までに納税しないときです。期限後申告書や修正申告書を提出する場合には、それぞれの申告書提出日が納税の期限ですので気を付けましょう。(期限後申告とは、法人税の申告期限以降に確定申告書を提出する場合の申告書のことを言います。)

参考:No.9205 延滞税について|国税庁

延滞税の計算方法は、法定納期限の翌日から2ヶ月以内と、2ヶ月を過ぎた場合とで、それぞれ以下のようになります。

法定納期限の翌日から2ヶ月以内に納付する場合

法定納期限の翌日から2ヶ月以内に納付する場合、延滞税率は原則として「年7.3%」と「延滞税特別基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。ここで、延滞税特別基準割合は令和5年では2.4%です(期間によって変わる場合がありますが、以下この記事では2.4%とします)。延滞税の額は以下のように算出されます。

<令和5年における延滞税の計算>

延滞税の額 = 本税の額 × 延滞した日数 × 税額(2.4%)÷ 365

法定納期限の2ヶ月を過ぎて納付する場合

法定納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後に納付する場合、延滞税率は以下のとおりです。

  • 法定納期限の翌日から2ヶ月分:
    原則として年「2.4%」(年7.3%と年2.4%との低い割合)
  • 法定納期限の翌日から2ヶ月を過ぎる分:
    原則として「年14.6%」と「延滞税特別基準割合+7.3%」のいずれか低い割合。ここで、延滞税特別基準割合は令和5年では8.7%。(原則として期間により変わります)。

したがって、延滞税の額は以下の2つを合計したものになります。

<令和5年における延滞税の計算>

  • 法定納期限の翌日から2ヶ月分
    延滞税の額 = 本税の額 × 2ヶ月 × 税率(2.4%)÷ 365
  • 法定納期限の翌日から2ヶ月を過ぎる分
    延滞税の額 = 本税の額 × 2ヶ月を過ぎて延滞した日数 × 税率(8.7%)÷ 365

参考:延滞税の割合|国税庁

法人税の節税方法

法人税を少しでも節税したいと思う方は多いでしょう。ここでは、法人税の節税方法を紹介します。

役員報酬を増額する

法人税の節税方法としてまず挙げられるのは、役員報酬の増額です。役員報酬は一定の要件を満たせば、損金として計上できます。

ただし、役員報酬を増やす際には株主総会の決議が必要となるなど、所定の手続きを踏まなければなりません。また、役員報酬を増やせば役員個人に対する所得税や社会保険料が増えたり、従業員のモチベーションにも関係したりするため、それらのバランスも考慮が必要でしょう。

福利厚生を充実させる

福利厚生を充実させ、それらの費用を経費として計上することも法人税節税の方法の一つです。社員の健康診断や慰安旅行の実施は、比較的手軽にできる福利厚生の方法となるでしょう。

また、借り上げ社宅の家賃についても福利厚生費としてみなされます。ただし、社員から受け取る賃料があまりに低いと「現物支給」として課税される可能性があるため、賃料の設定には注意しましょう(借り上げ社宅の家賃を会社の費用(損金)にするためには、家賃の50%以上を従業員から徴収することが要件です)。

在庫を処分する

売れ残ったり古くなったりした商品を不良在庫として処分するのも節税になります。不良在庫処分の際には、以下のような方法で損金計上が可能です。

  • 不良在庫を原価より安く売却し、その際の売却収入と売却による手取り額の差額を、商品売却損などとして計上
  • 売却できず廃棄した不良在庫の原価を全額損金として計上
  • 不良在庫の評価額が原価より下がった場合は、その差額を損金計上

※在庫の廃棄や評価損については、現場担当だけでなく、決裁権限者が認めたものである証拠を残しておくことが重要です。棚卸資産の評価方法を変更するときには、税務署への届出が必要です。

法人税は正しく節税して確実に納めよう

法人の事業活動で得られた所得に課税される法人税は、株式会社などの普通法人、協同組合などに課せられる国税です。税額は、税引前当期利益から所要の加算・減算を行って、算出される課税所得に税率をかけ、税額控除額を差し引いて算出します。

法人税の節税には、役員報酬の増額や福利厚生の充実、在庫の処分など、さまざまな方法があります。法人税は正しく節税し、適正な確定申告をしましょう。

よくある質問

法人税とは?

法人税とは、法人が事業活動によって得た所得に対して課税される国税です。詳しくはこちらをご覧ください。

法人税の計算方法は?

法人税の計算方法は、課税所得に税率をかけ、税額控除額を差し引きます。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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