- 更新日 : 2024年12月24日
どのような待遇差は不合理?同一労働・同一賃金ガイドラインのまとめ
目次
同一労働・同一賃金ガイドライン案の概要
同一労働・同一賃金を含む働き方改革関連法が2018年6月29日に成立しました。同一労働・同一賃金とは、同一企業・団体における正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者等)との間の不合理な待遇差解消を目的とするものです。
ライフスタイルに合わせて、自ら非正規雇用を選択して働く人も少なくありませんが、それでも仕事内容に応じた、公平な待遇を求める人は多くいます。また、正規雇用を望んでいても、やむなく非正規雇用を続けている人からすれば、より強く公平な評価を求める傾向にあると考えられます。同一労働・同一賃金は、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の、不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得できる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できる事を目指しています。
そこで、どのような待遇差が合理的なものとされ、どのような待遇差が不合理とされるのかを示すものとして、2016年12月に「同一労働・同一賃金ガイドライン案」が策定されました。以下ガイドライン案について要点をまとめてご説明します。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
労働基準法の基本と実務 企業がやりがちな15のNG事項
労働基準法は「労働者が人たるに値する生活を営むための労働条件の最低基準」を定めた法律です。
本資料では、企業がやりがちな違法行為を軸に、最低限把握しておきたい労働基準法の基本ルールをまとめました。
時間外労働の管理 労基法違反から守る10のルール
年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。
本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。
労働時間管理の基本ルール【社労士解説】
多様な働き方を選択できる「働き方改革」が世の中に広まりつつありますが、その実現には適切な労働時間管理が欠かせません。
労働時間に関する用語の定義や休憩・休日のルールなど、労働時間管理の基本ルールを社労士が解説します。
労働条件通知書・雇用契約書の労務トラブル回避メソッド
雇用契約手続きは雇入れ時に必ず発生しますが、法律に違反しないよう注意を払いながら実施する必要があります。
本資料では、労働条件通知書・雇用契約書の基本ルールをはじめ、作成・発行のポイントやトラブル事例について紹介します。
同一労働・同一賃金による基本給の均等・均衡待遇の確保
日本の一般的な賃金制度において、基本給の考え方は次の5つに分かれているといえます。
(1)年齢給・勤続給:労働者の年齢や勤続年数を基準とするもの
(2)職能給:労働者の職務遂行能力を基準とした、「人」基準のもの
(3)職務給:担当する職務(仕事)を基準にしたもの
(4)役割給:労働者の担う職務に対する期待役割を基準にしたもの
(5)業績・成果給:業績や成果を基準にしたもの
欧米では同じ職務であれば同じ賃金であり、それは同一企業ではなく他企業であっても同じという横断的な考え方が存在しますが、日本の目指す同一労働・同一賃金は、同一企業内での話に留まります。
上記(1)から(5)に示すそれぞれの趣旨・性格にあわせて、実態に違いが無ければ同一の(均等)、違いがあれば違いに応じた支給(均衡)を目指すのが、基本給の均等・均衡待遇の確保と考えられます。
同一労働・同一賃金による各種手当の均等・均衡待遇の確保
賞与
賞与とは定期または臨時的に一時金として支払われるもので、会社が規程等で自由に定める事ができます。しかし、会社の業績等への貢献に対して支給しようとする場合、正規雇用労働者と同一労働・貢献である非正規雇用労働者には、同一の支給をしなければならないとされています。ガイドライン案によると、業績や目標数値に対して、正規雇用労働者に対してのみ未達の場合に処遇上のペナルティを課しているような場合、その見合いの範囲内であれば同一賃金の考え方は当てはまらないとされています。また、賞与の趣旨を職務内容や貢献等に関わらず正規雇用労働者全員に支給している場合、非正規雇用労働者に対しても同一賃金の考え方を持たなければなりません。
役職手当
役職の内容、責任範囲・程度に対して支給するのが一般的ですが、役職の内容、責任の範囲・程度が同一の場合、同一の役職手当を支給しなければなりません。
その他の手当
業務の危険度や作業環境に応じて支給される特殊作業手当や、精皆勤手当、時間外(深夜)割増率、特定の地域で働く補償として支給する地域手当なども正規と非正規労働者の間で同一労働・同一賃金の考え方があてはまります。ただし、それぞれの手当の性格や趣旨に照らして、同一として考えられるのかはしっかり見定める必要があります。各種手当について定義を曖昧にしておくと、合理的な説明に欠けてしまう恐れがありますので、定義を明確にしておく必要があります。
教育訓練や福利厚生の均等・均衡待遇の確保、派遣労働者の取り扱い
食堂・休憩室・更衣室といった福利厚生施設の利用、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障、病気休職については、正規・非正規に関わらず、同一の付与・利用、法定外年休・休暇についても、同一の勤続期間であれば同一の付与が求められています。また、教育訓練についても、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施する場合には、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならないとされています。
なお、派遣労働者について、派遣元事業者は派遣先の労働者と同一の職務内容等であれば、その派遣先の労働者に対しては同一の賃金支給、福利厚生、教育訓練の実施が必要とされています。
法施行の2020年4月1日までに、最新の情報に注意しながら準備が必要
正規労働者・非正規労働者間の賃金の違いを、多くの企業が「正規雇用労働者と非正規雇用労働者とでは将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という主観的・抽象的な説明に終始しがちですが、これだけでは同一労働・同一賃金の考え方には足りません。職務内容、配置の変更範囲、その他の客観的・具体的な実態に照らして合理的に説明できるものでなければなりません。
同一労働・同一賃金ガイドラインは異なる雇用形態間の待遇面の均等・均衡確保を目指して現在は案として策定されたものでありますが、法施行までに確定される予定です。それまでに規程の整備や職務内容の見直し、社内の意識醸成等をしながら最新の情報をキャッチアップしていく必要があるでしょう。
<参考>
日本の一般的な賃金制度 厚生労働省
<関連記事>
給料格差を聞かれたらどうする?「働き方改革法」で労務が押さえるべき4つのポイント
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
- # 勤怠管理
残業理由の書き方と例文一覧|よくある理由ランキングや一言で済ませたい場合まで解説
残業を申請する際、「理由をどう書けば角が立たないだろうか」「正直に書くと、能力不足だと思われないか不安…」と、書き方に悩んだ経験はありませんか? 残業理由は、単なる事務手続きではあ…
詳しくみる - # 勤怠管理
週3日勤務のパートやアルバイトは有給休暇を取得できる?条件を解説
週3日勤務のパートやアルバイト従業員も、有給休暇を取得できるのか気になる方も多いでしょう。正社員と同様に取得するためには、一定の条件を満たす必要があります。 本記事では、パートやア…
詳しくみる - # 勤怠管理
年間残業時間が720時間までなら違法ではない?残業時間の上限ルールを解説
年間残業時間が720時間なのは違法ではないか、疑問を抱く人もいるでしょう。 まず36協定を締結していなければ、企業は従業員に残業させることはできません。さらに720時間の年間残業時…
詳しくみる - # 勤怠管理
時間外労働とは?上限規制や関連法律をわかりやすく解説【テンプレート付き】
企業において、時間外労働(いわゆる残業)は日常的に発生するものですが、その運用を誤ると法令違反や労使トラブルの原因になりかねません。「何時間まで残業できるのか」「36協定とはどのよ…
詳しくみる - # 勤怠管理
勤怠管理を効率化するならシステムの導入が鍵!選び方やメリットを解説
勤怠管理は従業員の労働状況を把握するための大切な業務ですが、手作業では時間がかかりミスも発生しがちです。 また、計算を間違うようなことは許されないため、正確性を維持しながらも業務の…
詳しくみる - # 勤怠管理
【社労士監修】障害者雇用納付金・調整金とは?金額や対象企業、計算方法、手続きまとめ
常用雇用労働者数100人を超える民間企業には、「障害者雇用納付金」の申告・納付が義務付けられています。民間企業の障害者法定雇用率は2.5%で、未達成の場合には不足障害者1人につき1…
詳しくみる




