- 更新日 : 2021年10月22日
【実録】年末調整ミスった! 初めて確定申告するハメに…

泣きたい。Bizpedia編集部のKと申します。先日、会社の労務担当者から「年末調整の提出書類に不備があったため、自分で確定申告してください」と連絡がありました。
私はこのBizpediaというメディアで「税務」や「労務」にまつわる記事をつくっている編集者です。会社に提出する書類は人一倍注意を払っていたはずなんですが……ほんとうにショックを受けています。
というのも確定申告したことがないんです。Bizpediaでも確定申告の記事はたくさんつくっていますが、いつも「めんどくさそ~会社員でよかった~」と思っています。
でも、もうどうしようもないみたいなんで、自分で確定申告します。せっかくなんで「初めての確定申告」として、今から確定申告までにやることを全部記事にしてみようと思います。
目次
そもそも年末調整でなにをミスった?
労務からのメッセージ
そもそも私の年末調整の書類はなにがいけなかったのでしょうか。当社の年末調整はクラウドサービスを使って手続きします。めっちゃサクサクで超ラクだな~って思ってるところでした。
書類も全部揃えて早々に提出。ミスの心配もしてなかったので青天の霹靂ってやつですね。さて、なにをミスっていたのか、労務担当者に社内チャットで聞いてみました。
K:私の書類、なんの不備があったんでしょうか……?
労:提出してもらった源泉徴収票が「乙欄」だったので、年末調整に反映できなかったんですよ。
源泉徴収票? 私は今年4月に当社に転職してきたニューカマーです。おそらく前職でもらった源泉徴収票のことを言っているのだということは分かりました。でも、もらった源泉徴収票をそのまま提出したんだけども……?
こいつに不備があったらしい
「源泉徴収票 乙欄」でググってみましたが、よく分かりません。
K:すみません、調べてみてもよく分からなくて……。私はどの時点でミスしていたんでしょうか?
労:Kさんのミスというよりも、もともと年末調整の対象外だった源泉徴収票を、Kさんも労務もお互いに気づかず受け渡ししてしまったんです。
私のミスではない!!! ちょっと救われました。前職の源泉徴収票があやしいということは分かりましたが、まだ「乙欄」にどんなパワーがあるのか分かりません。てか、「乙欄」ってどこにあるの? 「乙欄」になるってどゆこと?
その前に、年末調整と確定申告の違いを知りたいという方はこちらをお読みください。
>>年末調整とは?年末調整の仕組みと確定申告の方法を徹底解説
「乙欄」だった理由は「扶養控除等申告書」の未提出
「乙欄」は源泉徴収票の下の方にある
次に、税理士資格を持っている社員Fさんのところに行きます。
K:源泉徴収票が「乙欄」だったみたいで年末調整に落ちました。これってどういうことですか?
F:あー。前職の源泉徴収票が「従たる給与」になってたんでしょう。「従たる給与」のときは「乙欄」にチェックが入るんですよ。
どういうことでしょうか。「従たる給与」とは、例えば副業をしていて2か所以上から給与所得を得ているときに、副業先の方の給与が「従たる給与」としてカウントされるとか、そういうものですよね? 前職のときは副業もしてなかったから、会社の給与はバリバリの「主たる給与」だったのに……。
F:もしかして前職のときに「扶養控除等(異動)申告書」を出してなかったんじゃない? 提出しなかったら源泉徴収票は「乙欄」になるし、会社で年末調整もしてもらえないんですよ。だから前職のままでも結局は確定申告する運命だったんですよ。
原因はお前か!
K:えぇ~。そんな、未提出なんてなにも指摘されなかったですよ。自己責任つらい……。前の会社に連絡したらなんとかなるんですかね……?
F:もう時期も時期なんで、腹くくって確定申告するしかないです。あ、でも「扶養控除等(異動)申告書」を提出してなかったなら、毎月給与から天引きされる所得税(源泉徴収税)が高くなってたはずですよ。だから確定申告でちゃんと所得税額を計算し直したら、多分払いすぎてる分が結構戻ってくると思いますよ。
不幸中の幸いですね。ということで、確定申告やるしかなさそうです。
・年末調整に提出する、前職の源泉徴収票の「乙欄」にチェックが入っていた
・「従たる給与」とみなされると、源泉徴収票の「乙欄」にチェックが入る
・「従たる給与」の源泉徴収票は、年末調整の対象外となってしまう
・なぜ「従たる給与」になっていたかというと、前職で「扶養控除等(異動)申告書」を提出しなかったことが原因みたい
>>年末調整の対象とならない人とは
>>退職や再就職したときに源泉徴収票をちゃんと発行してもらうには?
>>源泉徴収票の見方を理解しよう!
ふるさと納税のワンストップ特例も利用できない
Kはさとふるでこのラーメンセットをたくさん頼みました
百歩譲って確定申告はやりますが、ふるさと納税のワンストップ特例制度は譲れません。
実は今年初めてふるさと納税をやってみたんですけど、ワンストップ特例制度があるからこそ「やるか」となったわけです。
ワンストップ特例制度とは、会社員などの給与所得者が確定申告しなくてもふるさと納税による寄附金控除を受けられる制度です。ふるさと納税で寄附した自治体が、1年間で5自治体以内なら利用できる仕組みですね。
ふるさと納税で寄附した各自治体に、申請用紙と本人確認書類を送るだけでいいのでとてもラクです。私は、本人確認書類として提出が必要なマイナンバー記載の住民票の写しを役所に取りに行って、すでに2自治体に送ってました。ラクとはいえ、この労力が無駄になるのはつらい。
K:またまた相談です。私、ふるさと納税のワンストップ特例申請をすでに済ませてるんですけど、これってもちろんそのまま適用されますよね?
F:無理です。そもそもワンストップ特例制度は、確定申告をしなくていい給与所得者が利用できる制度ですから。Kさんは確定申告が必要な人になっちゃったんで、ふるさと納税も確定申告しなきゃですよ。あきらめてください。
まじか。
そしたら寄附する先を5自治体以内におさめたのも無駄だったんやな。
確定申告しなくてもふるさと納税による寄附金控除を受けられる制度。寄附した自治体にワンストップ特例申請書と本人確認書類等を郵送するという簡易な仕組み。ただし、以下の条件を満たしていないと利用できない。
◆ワンストップ特例制度を利用できる条件
・確定申告が不要な給与所得者であること
・ふるさと納税先が1年間で5自治体以内であること
編集者Kは「確定申告が必要な給与所得者」になったので、ワンストップ特例制度を利用できなくなった。
2019年の確定申告に備えて、今からできること
Fさん(右)に諭されるK
2019年の確定申告期間は2月18日から3月15日とのこと。それまでにはちょっと時間がありますが、今から準備できることはないのでしょうか?
K:たびたびすみません。確定申告に向けて今からできることってないですか?
F:多分、Kさんは還付申告になる可能性が高いから、その準備をすればいいですよ。
K:え? 確定申告のほかにもまだなんかやらなきゃいけないの?
F:確定申告は1年間の所得税額を計算して税金を支払うものですよね。1年間で所得税額を払いすぎていた場合も、計算し直すことで判明するわけですから、その場合は払いすぎていた所得税が還付されます。これを還付申告と言うんですよ。さっきも言った、「扶養控除等(異動)申告書」が未提出だったために源泉所得税を納めすぎているから、納めすぎた税金が戻ってくるってやつですね。
K:へー。
F:確定申告には違いがないので、どちらも確定申告書を作成するんですけど、還付申告の人はちょっと早くて1月から申告できるんすよ。なので、1月になったら確定申告書をつくればいいですよ。
複雑かよ。「会社員の年末調整って最高なんだね」ってしみじみ感じています。
◆確定申告
1年間の所得税額を計算し直し、税金を支払うこと。個人事業主は必ず行う必要があるが、給与所得者でも給与収入2,000万円超の人、副収入の所得が20万円超の人なども対象。2019年の申告期間は2月18日(月)~3月15日(金)。
>>苦労しない確定申告の極意!今日からできる確定申告に向けた3つの準備
◆還付申告
確定申告をして正しい所得税額を計算し直し、納めすぎていた所得税が還付されること。医療費控除や寄付金控除など、年末調整では処理できなかった所得控除がある場合も対象となる。申告期間は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができる。つまり過去5年さかのぼって申告することが可能。
次回は還付申告の方法をレポートします
ということで、まずは1月に還付申告をやってみたいと思います。その様子も記事にするので、1月の掲載をお待ちください。それではよいお年を!
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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。