• 作成日 : 2015年9月10日
  • 更新日 : 2018年4月6日
  • 年末調整

年末調整と年金受給者の関係

年末調整と年金受給者の関係

年末調整と年金受給者の関係

平成25年4月、「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。これは定年退職の年齢を引き上げ、社員が65歳になるまでは希望者全員を雇用することを義務づけたものです。

この法律によって、60歳以上になっても働く人が増加する傾向が顕著であり、今後も、さらに増えることが予想されます。

増加する「年金受給者という立場の労働者」

定年退職の年齢の引き上げにより注目されているのが、年金受給者でありながら働き続ける労働者の存在です。

原則として老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は、支給開始年齢の65歳に達した時にから受給が始まります。

請求を行えば60歳から年金を繰り上げて受給することも可能です。

この年金は、老後の生活保障のために設定され、勤め上げた会社を定年退職して悠々自適な生活を送るという状況を想定しています。しかし、現在は平均寿命も延び、超高齢化社会がすぐそこまで迫っています。そんな中、今どきの65歳は非常に元気な方が多く、定年退職を迎えても再雇用や再就職を望むケースは当たり前というのが現実です。

そのため、老齢年金の繰り上げ受給を希望し、その補てんとして働くという手段を選ぶ方が増加しています。

では、今後もさらなる増加が見込まれる「年金受給者という立場の労働者」の年末調整や確定申告はどのように行えばよいのでしょうか。詳しく解説していきます。

年末調整では扱えない年金による収入は「雑所得」

年末調整は、年調年税額(納めるべき所得税額)を算出し、すでに毎月の給与や賞与などから給料天引きにより徴収されている税額の合計と比較した上で過不足となる金額がないか、確認して精算する手続きのことです。

収入の内訳が、給与・賞与のみ、つまり給与所得に限られる場合は、年末調整を行えばその年に納めるべき所得税額が確定するため、確定申告を行う必要はありません。

もちろん、年金を受給しながら働く社員のためにも年末調整は行われます。ただし、それで終わりでなはく、その後、確定申告が必要となります。なぜなら、年金による収入は「給与所得」ではなく、「雑所得」に区分されるため、年末調整の対象外項目ということになるからです。

給与所得分を年末調整してもらったのち、源泉徴収票を受け取ったら、年金受給者本人が確定申告を行わなければなりません。

この雑所得に区分される年金は、「公的年金等」と「公的年金等以外」に分けられます。

1.公的年金等
・老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金・退職共済年金など)
・恩給
・企業年金・厚生年老齢年金など
・金基金・適格退職年金・確定給付企業年金・企業型の確定拠出年金など
※障害年金・遺族年金は非課税扱いのため除外されます。

2.公的年金等以外の年金
・保険型の個人年金(生命保険契約・生命共済により受給する年金)
※財形年金貯蓄の場合は非課税扱いのため除外されます。

「雑所得」の計算方法

雑所得の金額の計算方法は、公的年金等と公的年金等以外で異なります。

公的年金等の場合、65歳に満たない人は、年金による収入額が70万円以下の場合、全額控除の対象となり結果的に雑所得の金額は0円となります。

65歳以上の場合は、ほとんどの人に老齢年金の受給が開始されるため、雑所得がかからない年金による収入額のボーダーラインが120万円に引き上げられます。

具体的な計算方法は以下の通りです。

雑所得の計算方法
国税庁HP「公的年金等に係る雑所得の速算表」

公的年金等以外の場合は、
年金による収入額 - 年金による収入額 × (支払った保険料の総額 ÷ 年金の支払額総額)

という数式を利用して求めます。

上記の式によりそれぞれ求められた金額の合算が雑所得の金額です。

雑所得は、その範囲が年末調整では計算することができないため、確定申告で精算を行い、金額を確定させる必要があります。

確定申告不要制度

年金受給者である労働者でも、確定申告を行わなくてよい制度があります。これを「確定申告不要制度」といい、一定の要件を満たせば毎年の申告手続きが免除されるという内容となっています。納税者の負担を軽減するためにつくられた制度です。

確定申告不要制度を利用するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

1.公的年金等の収入額の合計が400万円以下である
2.公的年金等以外の所得金額が20万円以下である

ただし、確定申告不要制度を利用することを選択した場合でも、住民税の申告は必要なため、居住する市町村に問い合わせて確認しましょう。

また、公的年金等により所得税が源泉徴収されていて、住宅ローンを利用して住居を購入した場合や、高額の医療費を支払った場合には、所得税や復興特別所得税が還付されることがあります。

このようなケースについては、確定申告不要制度を利用できる場合でも確定申告を行います。

まとめ

年金を受給しながら働く労働者は、年末調整に面倒な計算をすべて任せられる給与所得のみの労働者とは異なり、本人が行わなければならない計算手続きが必要です。また、労働により得られる給与の額によっては、受給できる年金額が制限される制度も存在します。

それらをしっかりと確認したうえで自分の働き方を考える必要がありそうです。



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