• 更新日 : 2022年5月13日

所得税が戻る?押さえておきたい年末調整の基本的な手順

所得税が戻る?押さえておきたい年末調整の基本的な手順

会社など役員や従業員を雇用している事業主は、所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行ったのち、役員や従業員に給与を支払っています。

その1年間に源泉徴収された所得税や復興特別所得税の合計額と、納めるべき税額は一致しなければならないのですが、必ずしもそれらが一致するとは限りません。

そこで、事業主が行わなければならないのが、年末調整という手続きです。税金の納め過ぎのないように、あるいは納めるべき税金を徴収すべく、計算をしなおすわけです。

ここでは、この年末調整でするべきことを、給与を支払っている事業主と、給与を受け取っている給与所得者側の、両側から説明します。

確定申告と年末調整の違いとは

まず、年末調整と確定申告の違いをおおまかに説明しておきましょう。

年末調整というのは、給与所得を得ている人に限られた制度です。給与所得者で、給与以外の所得がない場合なら、年末調整で所得税の計算も納税手続きもできるので、改めて確定申告をして税金を計算する必要はありません。

ただし、例外があります。給与所得者であっても、自分で確定申告をしなければならないのは、以下の条件に当てはまる人です。

給与収入が2,000万円を超える場合
・給与以外の所得が20万円を超える場合
・2か所以上から給与を受けている場合

などです。

年末調整で、給与を支払っている事業者側のするべきこと

計算をするために必要な書類・資料を従業員等から集める必要があります。

事業者側がまずすることは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」を従業員に配り、回収することです。必要な控除証明書も合わせて回収します。

その他、従業員が希望する場合は、「住宅借入金等特別控除申告書」の回収も必要です。

また、1年の途中で入社し、前職のある人からは、前の会社での源泉徴収票も回収が必要となります。

これらの資料が揃えば、年末調整の計算を行うことができます。

計算の流れ

1.給与所得金額の計算
1月1日からの1年間で支払うことが確定した金額から、給与所得控除額を控除します。

2.所得控除額の計算
扶養控除や、社会保険料控除等の所得控除額を計算します。

3.課税所得金額の計算
1.から2.を控除します。

4.税額の計算
3.の金額に所得税の税率を乗じて、税額を算出します。

5.住宅借入金等特別控除額の控除
住宅借入金等特別控除の適用がある場合は、一定の金額を4.の金額から控除します。

6.所得税および復興特別所得税の算出
源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額=課税対象所得×合計税率(%)
合計税率(%)=所得税率(%)×102.1%
で計算します。ただし、源泉徴収する額は、上記の計算で算出された金額のうち、1円未満の端数を切り捨てた金額です。

7.納付および還付
すでに源泉徴収している金額の合計が正しい所得税および復興特別所得税の額に満たない場合は、徴収して納付をします。源泉徴収した金額が、納めるべき税額を超えている場合は、払いすぎた金額を還付します。

給与を受け取っている給与所得者側のするべきこと

年末調整に必要な書類を集める

事業者側から、年末調整のために「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料等控除申告書」が配られます。必要事項を記入し、必要な添付書類を用意し、提出します。

「住宅借入金等特別控除」を希望する場合は、その申告書と借入先の金融機関から発行される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を提出します。

給与所得者の扶養控除等申告書

これは扶養している家族についての申告書です。

障害者控除配偶者控除や扶養控除を受けたい場合は、該当の箇所に対象者の名前などを記載します。

給与所得者の保険料控除申告書

これは生命保険料や社会保険料等の所得控除額を申告するものです。

記載内容は、生命保険料控除地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除の4つです。

それぞれの控除を受ける場合には生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書・社会保険料の証明書など1年間の支払額が確認できる書類の添付が必要となります。

証明書等は12月のはじめ頃から、保険会社等の各サービスの契約会社から送られてきます。証明書がないと控除が受けられないものが多いため、届いたら保管し、すぐに提出できるようにしておきましょう。

まとめ

今回は年末調整の基本的な流れについて説明しました。控除できるものがあれば確実に資料を揃え、書類への記載漏れがないように確実な手続きを心がけましょう。


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