• 更新日 : 2025年2月21日

源泉徴収票は再発行できる?即日で可能?対処法や申請場所を解説

源泉徴収票は再発行が可能です。もし源泉徴収票を紛失しても、会社の経理部に依頼すれば再発行してもらえるほか、転職した場合でも前の会社に再発行を依頼できます。ただ、即日での再発行は難しいため注意しましょう。

本記事では、源泉徴収票の再発行にかかる時間・費用、再発行できない場合の対処法などもまとめています。

なくした源泉徴収票は再発行できる

源泉徴収票はなくしても再発行してもらえます。発行回数の制限もないため、基本的に何度でも再発行が可能です。また、転職した後でも前の会社に再発行の依頼ができます。

源泉徴収票の再発行依頼は、会社の経理担当に再発行の旨を伝えればOKです。転職した人も、前職の担当者に電話やメールで伝えると対応してもらえます。

源泉徴収票の発行は法律によって義務付けられていますが、もし対応してもらえないときは税理士に相談してみましょう。

※参考:給与所得の源泉徴収票等の交付義務|国税庁

即日での再発行は難しい

源泉徴収票を即日で再発行するのは難しいため注意してください。再発行を依頼してから受け取るまでに、約1~2週間ほどかかります。余裕を持って再発行依頼の連絡をするのがおすすめです。

最近では、源泉徴収票を電子交付する企業も増えています。電子交付に対応している企業なら、即日で再発行してもらえる可能性もあるでしょう。

源泉徴収票がない場合の確認事項と対処方法

本見出しでは、源泉徴収票がない場合の確認事項や対処法をケース別に解説します。問い合わせ先・問い合わせ方法も併せて参考にしてください。

退職直後の場合

退職直後はまだ源泉徴収票が発行されていない可能性があります。源泉徴収票の発行は退職から1ヶ月以内と所得税法で義務付けられているためです。退職して間もない頃は、源泉徴収票が発行されなくても慌てる必要はありません。

また、会社員だけでなくアルバイトやパートも、発行までの期間は同じく退職から1ヶ月以内です。

もし1ヶ月を過ぎても源泉徴収票が送られてこないときは、前職の経理担当者やアルバイト先のオーナーに相談してみてください。

※参考:所得税法 第226条(源泉徴収票)

退職や紛失してから時間が経ってしまった場合

退職してから時間が経った人や転職後に紛失して時間が経った人は、前職の担当者に相談すれば基本的には再発行してもらえます。

転職はしておらず、今の職場でもらった源泉徴収票を紛失した人は、現職の担当者に紛失した旨を伝えてみましょう。

ただ、源泉徴収票が発行されたのか不明な場合や源泉徴収票を会社側が紛失してしまった場合、転職していない人は今の職場に、転職した人は前の職場に必ず確認してください。

会社が源泉徴収票を発行していなかったとしても、もしくは紛失したとしても、会社には新たに発行する義務があります。新規発行が必要な際の対応内容も併せて聞いておきましょう。

源泉徴収票がない場合の問い合わせ先と問い合わせ方法

基本的に、源泉徴収票がない場合は前職に問い合わせてください。税務署や役所などに行っても再発行してもらえないため注意しましょう。

問い合わせ方法としては、電話・メールなどの方法が一般的です。すぐにでも源泉徴収票を再発行してほしい場合は、電話の方が緊急性が伝わりやすいでしょう。

紙以外で確認できる場合もある

もし会社が会計ソフトを導入している場合、源泉徴収票がデータとして発行されている可能性があります。電子化されているのであれば、前の職場に依頼しなくても自分で確認できることがほとんどです。

たとえば、マネーフォワードなら『マネーフォワード クラウド年末調整』のアカウントにログインすることで、源泉徴収票をPDF形式でダウンロードできます。

ただ、アカウントが消されていると確認できないため、消された際は前職に再発行を依頼してください。

※参考:マネーフォワード クラウド年末調整

源泉徴収票の再発行にかかる時間と費用

本見出しでは、源泉徴収票の再発行にかかる時間と費用について説明します。

源泉徴収票の再発行にかかる時間

源泉徴収票の再発行には約1週間~2週間ほどかかることが一般的です。データで交付してもらえる場合は数日で受け取れることもあるでしょう。

担当者が再発行の依頼を受けてからデータ参照後に発行され、自宅に源泉徴収票が届くまで2週間ほどかかります。

新しい職場に源泉徴収票を提出する期限が決まっていたり確定申告で必要となっていたりする人は、郵送の時間も考慮して再発行の依頼をしましょう。

源泉徴収票の再発行にかかる費用

源泉徴収票の再発行にかかる費用は基本的に無料です。ただ、場合によっては数百円ほどの事務手数料や郵送料などを求められることもあります。

また、郵送で源泉徴収票の再発行を依頼しようと考えている人は、返信用封筒と切手を購入しましょう。郵送する際に同封しておくと依頼された側の負担も減り、後腐れなく終われます。

源泉徴収票が再発行できない場合やその理由

前の職場が倒産していたり、源泉徴収票の再発行を拒否されたりした場合の対応方法について解説します。

会社が倒産してしまった・連絡が取れない

会社が倒産してしまった場合は、破産管財人に問い合わせをしましょう。破産管財人とは、破産者の財産を管理・処分する人のことです。裁判所によって、破産者と利害関係のない弁護士が破産管財人として選任されます。

また、前の職場が倒産しているかは不明だが連絡がずっと取れないという人は、税務署に相談するか、給与明細で代用できないか提出先に聞いてみてください。

前の勤務先に拒否されてしまった

源泉徴収票の発行は法律で義務付けられています。義務であるにも関わらず前の職場に拒否されてしまった場合は、会社を管轄する税務署に相談しましょう。

税務署に再発行してもらえない旨を伝えることで行政指導が入ることがあります。税務署の指導により源泉徴収票を再発行してもらえるでしょう。

業務委託で発行義務がない

業務委託には源泉徴収票の発行義務がありません。業務委託の報酬は「給与所得」ではなく基本的に「事業所得」であり、給与所得を記載する「給与明細」や「源泉徴収票」は発行する義務がないためです。

よって、前の職場で業務委託として働いていた人は、源泉徴収票が発行されない可能性があります。今の職場にも業務委託だった旨を伝えましょう。

ただ、原稿料や講演料など一部の報酬に関しては、源泉徴収票の発行が義務付けられています。念のため、源泉徴収票を発行してもらえるかどうか前の職場に確認するのがおすすめです。

なお、業務委託から会社員として転職した人は、確定申告が必要です。年末調整をしてもらえるのは、正社員として入社した後の期間のみであるため、業務委託の「給与所得」と会社員の「給与所得」を確定申告書で合算して申告してください。

源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

源泉徴収票が必要になる可能性がある場面

源泉徴収票が必要となるのは、主に以下のようなケースです。

  • 転職したとき
  • 確定申告をするとき
  • ローンを申し込むとき

1つ目のケースは転職したときです。前職の源泉徴収票を新しい職場の担当者に提出することで、1年間の収入を把握でき適切に年末調整を行えるようになります。雇用形態に関係なく、パートやアルバイトの人も前職の源泉徴収票を提出してください。

2つ目のケースは確定申告をするときです。確定申告書を作成する際は、源泉徴収票に記載された収入額や控除後の所得額などを記載する必要があります。確定申告書に添付する必要はないのですが、正確な金額を申告するためにも保管しておきましょう。

3つ目のケースはローンを申し込むときです。住宅ローンやマイカーローンなどに申し込むと、源泉徴収票の提出を求められることがあります。高額なローンを契約できるぐらい安定した収入があるのか審査するためです。

おおよそ2~3年分の源泉徴収票が必要となるため、ローンを契約する予定がある人は過去の分も管理しましょう。

もし、源泉徴収票がなくても代替の書類で問題ない場合があります。詳しくは、下記の解説をご参照ください。

源泉徴収票の代わりに使える書類

源泉徴収票が手元になくても、代わりの書類で補える可能性があります。

源泉徴収票が必要な場面代替できる書類
転職したとき
  • 前職が業務委託の人:支払調書で代用できる場合あり
  • 業務委託以外の人:代用不可、再発行の必要あり
確定申告をするとき
  • 代用不可、再発行の必要あり
ローンに申し込むとき
  • 給与明細で代用できる場合あり

業務委託の人には源泉徴収票の発行義務がないため、支払調書で代用できる可能性があります。

また、ローンに申し込んだときも、業者によっては給与明細で代替可能です。ただ、源泉徴収票が必須の業者もあるため、事前に確認しておきましょう。

給与所得以外の源泉徴収票はそれぞれ問い合わせ先が異なる

源泉徴収票には、給与所得・退職所得・公的年金等の3種類があります。源泉徴収票の種類によって問い合わせ先が異なるため、紹介します。

公的年金等の源泉徴収票の場合

公的年金等の源泉徴収票は、日本年金機構が発行しています。そのため、公的年金等の源泉徴収票を再発行してもらう際は、会社ではなく日本年金機構に依頼することとなるため注意してください。

再発行を依頼する方法は以下の3つです。

依頼方法交付方法再発行にかかる時間
「ねんきんネット」
  • 郵送
  • 電子データ
  • 郵送は約1週間
  • 電子交付は3~5営業日
電話郵送約2週間
年金事務所等の窓口へ来訪
  • 窓口で交付
  • 郵送
  • 窓口は即日
  • 郵送は約1~2週間

依頼方法によって、交付される方法や再発行までにかかる時間も異なるため、注意してください。急ぎで必要な人は、窓口へ直接行くか「ねんきんネット」で申請するのがおすすめです。

※参考:「令和6年分公的年金等の源泉徴収票」の交付について|日本年金機構

公的年金以外の法定調書の場合

退職所得の源泉徴収票は、退職金を支払う会社が交付する書類です。そのため、再発行も退職金を受け取った会社に依頼してください。

また、以下の5つの法定調書は、株や投資信託などの金融商品を取引している方に発行される書類です。

  • オープン型証券投資信託収益の分配の支払調書
  • 配当等とみなす金額に関する支払調書
  • 上場株式配当等の支払に関する通知書
  • 特定口座年間取引報告書
  • 特定割引債の償還金の支払通知書

上記5つの書類は、取引している証券会社や金融機関などに再発行の依頼をしてください。一部のネット証券会社やネット銀行は、電子データでダウンロードできることもあります。

※参考:給与所得の源泉徴収票等の交付義務|国税庁

源泉徴収票は再発行可能。なくしても、慌てずに対応を

源泉徴収票は、法的に発行が義務付けられた書類であるため再発行できます。状況に応じて、前の職場もしくは現在の職場の担当者に再発行を依頼してください。即日での再発行は難しい可能性があり、通常は1~2週間ほどで受け取れます。

源泉徴収票があることで、適切な年末調整や確定申告が可能となるため、慌てずに対応しましょう。


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