- 更新日 : 2026年9月10日
給与所得者の基礎控除申告書とは?書き方や訂正方法など解説
合計所得金額2,500万円以下の給与所得者が、基礎控除を受けるために提出します。
- 令和8年分の控除額は最大104万円になる
- 提出しないと控除されず手取りが減る
- 出し忘れても確定申告で取り戻せる
記入の前に、源泉徴収票や給与明細で収入金額を確かめておきましょう。
給与所得者の基礎控除申告書は、年末調整の書類のなかでも記入に迷いやすいものです。収入金額とは何か、所得金額とどう違うのか、給与明細のどこを見て計算するのかなど、わからない点が多いのではないでしょうか。基礎控除の概要から所得金額の計算方法、申告書の書き方までを解説します。
給与所得者の基礎控除申告書とは?
「給与所得者の基礎控除申告書」とは、合計所得金額が2,500万円以下の給与所得者が、最大104万円(令和8年・9年分)の「基礎控除」を受けて税金を安くするために提出する書類です。
この書類を提出しないと基礎控除が適用されず、手取り額が減ってしまうため、年末調整での提出が必須となっています。
基礎控除の概要と提出義務
基礎控除は、合計所得金額が2,500万円以下の場合に所得から差し引かれる控除です。生活に必要な最低限の金額としてほぼすべての人が受けられる基本的な控除にあたります。
所得控除は、養う家族がいる、病気になったといった個々の事情を加味して税の負担を調整する仕組みです。
4つの申告書が1枚にまとまっている
用紙の左上部分が、基礎控除申告書の欄です。1枚の用紙に4つの申告書が配置されており、記入する箇所は人によって異なります。
「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という長い名称になります。
出典:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁、令和8年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書
| 申告書 | 用紙の位置 | 記入する人 |
|---|---|---|
| 基礎控除申告書 | 左上 | 全員 |
| 配偶者控除等申告書 | 右上 | 配偶者がいて条件を満たす場合 |
| 特定親族特別控除申告書 | 中央下寄り | 19歳以上23歳未満の特定親族がいて条件を満たす場合 |
| 所得金額調整控除申告書 | 下部 | 年収850万円超で条件を満たす場合 |
名前が長くて迷う場合は、まず「左上の基礎控除欄は全員が記入する」と覚えておきましょう。なお、年収が850万円以下であれば、下部の所得金額調整控除申告書を記入する必要はありません。
令和8年分から変わった控除額
令和8年分と令和9年分の基礎控除額は、最大104万円に引き上げられました。本則が62万円となり、合計所得金額489万円以下の人には42万円が加算されます。
| 合計所得金額 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超 2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円(適用なし) |
令和10年分以後は、合計所得金額132万円以下で99万円、132万円超2,350万円以下で62万円となる予定です。
なお、この引き上げ分は令和8年中の月次の源泉徴収には反映されません。改訂後の源泉徴収税額表が使われるのは令和9年1月以後に支払う給与からで、令和8年分は12月の年末調整でまとめて精算されます。
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給与所得者の基礎控除申告書の書き方は?
記入は大きく4つの手順で進みます。収入金額を確かめ、所得金額を計算し、合計所得金額を出したうえで控除額を確定させる流れです。
給与所得者の基礎控除申告書の記載項目
「給与所得者の基礎控除申告書」に記入するのは、収入金額から控除額までの5つの項目です。
- 給与所得の収入金額
- 給与所得の所得金額
- 給与所得以外の所得の合計額
- あなたの本年中の合計所得金額の見積額
- 判定欄のチェック、区分Ⅰ、基礎控除の額
1.収入金額を確認して記入する(左側)
一番左の「給与所得」の行にある収入金額の欄に、額面の年収を記入します。12月分の給与や賞与が確定していないため、それまでの支給実績に12月の見込み額を足した金額を記入します。
給与明細から計算する場合、振込金額(手取り)や総支給額をそのまま書くのは誤りです。総支給額から通勤手当などの非課税分を除いた課税支給額を合計してください。ここを間違えると税額の計算が大きく狂います。
勤務先が2か所以上ある場合は、すべての収入を合算します。
2.収入から所得金額を計算して記入する(右側)
収入金額の右隣にある所得金額の欄には、給与所得控除を差し引いた後の金額を記入します。令和8年分と令和9年分の給与所得控除額は次のとおりです。
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円以下 | 74万円 |
| 220万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
たとえば年収480万円の場合、給与所得控除額は、480万円×0.2+44万円で140万円です。収入金額から差し引いた340万円が所得金額になります。
なお申告書の裏面には、収入金額から給与所得の金額を求める計算表が掲載されています。実際の記入時は裏面の表で確認してください。
3.合計所得金額の見積額を記入する(中央)
用紙の中央にある「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」という欄を埋めます。副業がない場合は、給与所得の所得金額をそのまま書き写します。
- 副業がない方(給与のみの方):
「所得金額」を、そのままここにも書き写してください。 - 副業がある方(不動産収入や事業収入など):
「給与所得以外の所得の合計額」欄に副業の所得(売上-経費)を記入し、給与所得と合算した金額をここに記入します。
4.判定欄にチェックして控除額を記入する(右側)
控除額の計算の表で、合計所得金額が当てはまる行にチェックを入れます。その行に対応する控除額を、基礎控除の額の欄に記入します。
チェックした行が(A)から(C)に該当する場合は、そのアルファベットを区分Ⅰの欄に記入します。区分は次のように対応しています。
| 合計所得金額 | 区分Ⅰ | 基礎控除の額 |
|---|---|---|
| 489万円以下 | A | 104万円 |
| 489万円超 655万円以下 | A | 67万円 |
| 655万円超 900万円以下 | A | 62万円 |
| 900万円超 950万円以下 | B | 62万円 |
| 950万円超 1,000万円以下 | C | 62万円 |
区分Ⅰは、配偶者控除等申告書で控除額を求める際に使う記号です。配偶者控除等申告書を記入する必要がない場合、区分Ⅰの記載は不要です。合計所得金額が1,000万円を超える場合も、区分Ⅰに該当する記号はありません。
参照:A2-2 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除|国税庁
提出後に間違いに気づいたら?
会社の年末調整担当者に連絡し、訂正箇所に二重線を引いて正しい金額を記入します。1月31日頃までなら会社側で修正できる場合が多いです。
会社が税務署へ年末調整のデータを提出する期限(法定調書の提出期限)が、翌年1月31日であるためです。
訂正印は必要か
原則として訂正印は不要です(二重線のみで可)。令和3年度の税制改正により、税務関係書類への押印義務が廃止されました。
ただし、会社の社内規定で訂正印を求めている場合もあります。トラブルを防ぐため、修正前に必ず担当者に「訂正印は必要ですか?」と確認することをおすすめします。
会社での訂正が間に合わない場合
「確定申告(還付申告)」を行えば、正しい基礎控除額で税金を再計算し、払いすぎた税金を取り戻せます。年末調整の処理が終わっていても対応できます。
確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日です。確定申告書にも基礎控除の記入欄があり、計算の考え方は年末調整と同じです。
源泉徴収票を手元に用意し、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従うだけで自動計算されます。
基礎控除申告書を出し忘れたらどうなる?
年末調整で基礎控除が適用されず、所得税が高く計算されます。ただし自分で確定申告を行えば、後から控除を適用して取り戻せます。
年末調整での計算対象外となり、手取りが減る恐れがある
基礎控除申告書がないと、会社は基礎控除なしで税額を計算せざるを得ません。その結果、本来納めなくてよい税金が徴収され、12月の手取りが減ります。
通常、担当者は提出漏れを確認して未提出者へ督促を行うため、そのまま処理されるケースはまれです。ただし督促に応じなかった場合や、手違いで提出が漏れたまま1月の期限を過ぎた場合は、基礎控除なしの状態で税額が確定します。
還付申告で取り戻せる
基礎控除を受ける権利は、書類を出し忘れても消滅しません。確定申告(還付申告)を行えば、後から控除を適用できます。
- 会社から源泉徴収票を受け取る(通常12月から1月に発行される)
- 翌年2月16日から3月15日の間に税務署へ確定申告を行う
- 申告書に基礎控除の額を記載すると、後日、指定した口座に差額が振り込まれる
税金が戻るだけの還付申告であれば、対象となる年の翌年1月1日から5年以内はいつでも手続きできます。
基礎控除申告書は正確な計算手順で記入しよう
給与所得者の基礎控除申告書は、年末調整で最大104万円(令和8年分・令和9年分)の控除を受けるために必要な書類です。
正確に作成するポイントは、額面の収入金額から給与所得控除を引いた所得金額を正しく計算することにあります。
収入と所得を混同せず、手順に沿って算出しましょう。
提出後に計算ミスや出し忘れに気づいた場合も、1月中であれば勤務先での訂正が間に合う可能性があり、間に合わなくても確定申告で控除を受けられます。
まずは手元の源泉徴収票や給与明細を確認するところから始めてみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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