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  • 作成日 : 2017年1月18日
  • 更新日 : 2020年9月17日

中小企業の役員報酬についての税務上のポイント

中小企業の役員報酬は、適正な額にすることが大切です。少なすぎると役員のやる気がそがれる一方、多すぎると税務上の経費に算入できずに法人税を多く支払うことになってしまいます。

この記事では、中小企業の役員報酬の額を決めるときに気をつけたい税務上のポイントと、役員報酬を家族に支給して節税するときの注意点をご紹介します。

中小企業の役員報酬の額を決めるときの税務上のポイント

法人税法では「定期同額給与」「事前確定届出給与」が税務上の経費として認められます。(ほかに「利益連動給与」も認められますが、中小企業は適用できないため、この記事では取りあげません。)

定期同額給与は月給にあたる

定期同額給与は、月給のように、一定期間ごとに一定の金額が支給される役員報酬をさします。

金銭で支給される報酬のほか、社宅費用や、交際費の名目で一定金額が支給される渡切交際費も、その額が毎月一定の額であれば、定期同額給与に含まれます。

役員報酬の額をみだりに変更することを避けるため、報酬額の改定には制限があります。

株主総会などのタイミングで行う定期的な改定のほか、役員の職位の変更などやむをえない場合や業績が悪化した場合のみ、改定後の金額でも税務上の経費として認められます。

業績が良くなったなど上記以外の理由で役員報酬の額を増やした場合は、増えた部分の金額は税務上の経費にすることができません。

したがって、役員報酬の金額を決めるときは、年度の途中で変更することがないように計画することが重要になります。

事前確定届出給与はボーナスにあたる

事前確定届出給与は、ボーナスのように、定められた時期に一定の金額が支給される役員報酬をさします。

事前確定届出給与として税務上の経費にするには、原則として株主総会の決議から1か月以内に税務署に届け出る必要があります。

業績や資金繰りの悪化などの理由で、税務署に届け出た金額とは異なる額を支給した場合や届け出た時期とは異なる時期に支給した場合は、事前確定届出給与とは認められません。このとき、届出額との差額ではなく、支給額の全額が税務上の経費に算入できなくなります。

したがって、役員のボーナスの金額を決めるときは、税務署に届け出る金額を確実に支給できるように計画しなければなりません。

定期同額給与 事前確定届出給与
支給方法 一定期間ごとに一定の金額を支給(月給) 定められた時期に一定の金額を支給(ボーナス)
税務署への届出 不要 必要
支給額を変更したとき 定期同額給与との差額が損金不算入 支給額の全額が損金不算入

役員報酬を家族に支給して節税

中小企業では、同居の家族を役員に就任させて役員報酬を支払うことがあります。この方法は、会社の所得と経営者の世帯の所得をトータルで考えた節税対策として知られています。

中小企業経営者の世帯の所得税を節税

所得税は、所得が低ければ税率が低く、所得が高ければ税率が高くなります。

世帯の所得の合計が同じであっても、複数人で所得を分散させて1人あたりの所得を低く抑えれば、所得税の税率は低く抑えられます。所得を計算するとき、上限230万円(平成28年の場合)の給与所得控除が人数分適用できる点も節税につながります。

下記に簡単な例を示します。世帯単位で受け取る額は同じであっても、1人で受け取るか2人で受け取るかによって所得税の額が異なることがわかります。(復興特別所得税を含みます。給与所得控除・基礎控除以外の所得控除は考慮していません。)

□中小企業経営者が1人で3,000万円受け取った場合:約830万円
□中小企業経営者と家族役員の2人で1,500万円ずつ受け取った場合:2人あわせて約517万円

なお、どちらの場合も、法人税法上の「定期同額給与」や「事前確定届出給与」の要件を満たしていれば、役員報酬は会社の税務上の経費として認められます。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

(出典:所得税の税率|国税庁HP)

家族役員に報酬を支給するときの注意点

家族役員に対する報酬を税務上の経費とするためには、名前が役員名簿に載るだけではなく、その家族役員が実際に会社の業務に携わっていなければなりません。また、役員報酬が不当に高額な場合は税務調査で否認される可能性があります。

家族役員に支払う報酬の額を決めるときは、個人の所得控除や、会社や個人が負担する社会保険料についても考慮する必要があります。一度、税理士にシミュレーションしてもらうことをおすすめします。

まとめ

役員報酬は、税務上の経費にするための要件が定められていて、要件を満たさない場合は、支給額の一部または全部が経費として認められなくなります。そのため、役員報酬の額を決めるときは、無理なく支給できるレベルの金額にする必要があります。

中小企業では、家族役員に報酬を支払って節税を図ることがあります。この場合は、家族役員が名前だけでなく実質的に経営に関与している必要があります。

いずれの場合も、役員報酬の額を決めるときには、一度、税理士の助言を得るとよいでしょう。

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