- 更新日 : 2021年10月5日
取締役会設置会社のメリット・デメリットとは
現行の会社法は、定款自治に委ねる機関構造を採っており、取締役会を設置するかしないかは原則として自由に決められるようになっています。取締役会を設置するのとしないのとでは、何がどのように変わってくるのでしょうか。そこで、今回は、取締役会を設置した場合のメリットとデメリットについて解説していきます。
取締役会とは
取締役会とは、株主総会で選任された取締役3名以上で構成される、会社の業務執行の意思決定をする機関です。取締役の執行を監督し、代表取締役の選定を行う機関でもあります。冒頭でも述べたように取締役会を設置するかしないかは自由です。ただし、公開会社、委員会設置会社、そして監査役会設置会社に関しては、取締役会の設置が義務付けられています。
取締役会の機能
会社の業務執行の決定は、取締役会が行うのが原則です。法や定款と照らして適正な執行であるのか、さらには、会社の発展に寄与する妥当なものなのかを監査し、不適切であることが明らかな場合には是正を求めます。もっとも、すべての業務執行を取締役会で決定しなければならないとすると大変なので、重要事項以外は取締役に委任することができます。
取締役会の権限
以下の事項の決定は、必ず取締役会で決定しなければなりません。取締役会を設置した場合は、最低でも3カ月に1回は取締役会を開催する必要があります。取締役会の招集は、定款や取締役会であらかじめ決めておいた取締役が行います。特に決めていないならば、取締役であればだれが召集してもかまいません。
・多額の借財
・支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
・支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
・社債の募集
・内部統制システムの整備
・定款の定めに基づく取締役などの責任の免除
・その他重要な業務の執行
取締役会設置会社のメリット
取締役会を設置すると、業務執行の決定は取締役会ですることになるので、株主総会を開催する必要がなくなります。その結果、迅速に会社経営をすることができるようになります。また、取締役会があると対外的に信用度が高まり、融資や取引において有利になります。公開会社の場合には、取締役会の設置は必須なので、公開会社を目指しているような会社では、移行がスムーズに行われるというメリットがあります。また、取締役の競業取引と利益相反取引を行う場合の承認が株主総会ではなく、取締役会で済むようになります。
取締役会設置会社のデメリット
取締役会は取締役3人以上が必要になり、監査役または会計参与も必要になるので、役員報酬の負担が増えることになります。また、株主総会の権限が少なくなるので、株主からすると共益権の行使が制限されるようになります。さらに手続面では、株主総会の招集通知が取締役会非設置会社であれば、定款で1週間以内に短縮できますが、取締役会設置会社の場合には、公開会社では2週間前、非公開会社では1週間前までにしなければなりません。
議題提案権についても、取締役会非設置会社であれば株式数や期限に制限はなく、各株主が議題提案権を持つことになりますが、取締役会設置会社の場合には、6カ月前の時点ですでに総株主における1%以上の議決権、または300個以上の議決権を持っている株主のみが議題提案権を持つことになります。そして、株主総会の日の8週間前までに会社に対して請求することが求められます。定時総会の招集通知の際における計算書類等の提供についても、取締役会非設置会社では不要ですが、取締役会設置会社では添付しなければなりません。
まとめ
以上、取締役会の機能とメリット、デメリットなどの解説をしてきました。結局は、株主=取締役であるような小規模な会社を継続していくのであれば、取締役会非設置会社の方が自由度は高いので便利ですが、信頼を得ながら会社を大きくしていこうと考えている場合には、取締役会設置会社の方が良いということになるといえるでしょう。
関連記事
上場予定の企業必見!絶対必要になる内部統制報告書とは
会社設立に必要な登記のポイントとは?新会社法における登記のポイントまとめ
法人設立届出書の書き方とその提出先
よくある質問
取締役会とは?
取締役会とは、株主総会で選任された取締役3名以上で構成される、会社の業務執行の意思決定をする機関です。詳しくはこちらをご覧ください。
取締役会設置会社のメリットは?
迅速に会社経営をすることができるようになる点や対外的に信用度が高まり、融資や取引において有利になる点はメリットでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。
取締役会設置会社のデメリットは?
取締役会は取締役3人以上が必要になり、監査役または会計参与も必要になるので、役員報酬の負担が増える点はデメリットです。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
会社設立に必要な払込証明書とは?作り方・テンプレートを紹介
会社を設立する際にはさまざまな書類が必要になりますが、その一つに「払込証明書」というものがあります。一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、どのような書類なのでしょうか。 この記事では、払込証明書の概要や書き方について解説します。テ…
詳しくみる那覇市で会社設立する流れ・ポイント!税理士や資金調達など
那覇市での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法…
詳しくみる熊本県での会社設立費用を抑える方法!主な依頼先3選
熊本県での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法…
詳しくみる会社設立代行は自分で手続きするより安い?0円のサービスについても解説!
初めて会社設立を行うとなると、「必要最低限決めておくことに不足はないか」「定款に問題はないか」「会社設立の手順は合っているか」など、不安に思う点が多々出てくるかと思います。会社設立の不安や手間を考えたら、創業者が自ら手続きを行うのではなく、…
詳しくみる法人登記(商業登記・会社登記)とは?必要書類・自分でやる方法【簡単解説】
法人登記とは、法人の各種情報(例:社名、商号・所在地・代表者の氏名・事業の目的など)を、法務局に登録し、一般に開示できるようにするための作業のことです。 定款などの認証が終わり、資本金の払い込みも完了したら、設立時の取締役や監査役の就任を経…
詳しくみる高知県で会社設立する流れ・ポイント!税理士や資金調達など
高知県での会社設立をはじめ、日本で株式会社や合同会社を設立する際は、主に【①無料の会社設立サービスを利用して自分で進める、②専門家である税理士や司法書士に依頼する、または③法務局のサイトを参照しながら自分で手続きを行う】という3つの主な方法…
詳しくみる