- 更新日 : 2025年3月19日
マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険利用)とは?登録方法も解説
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みです。
マイナ保険証を利用すると、医療機関での手続きがスムーズになるほか、高額療養費の限度額適用が自動化されるメリットがあります。一方で、利用時の注意点や登録手続きを理解することも重要です。本記事では、マイナ保険証の特徴や登録方法、注意点を解説します。
目次
マイナ保険証とは従来の健康保険証の代わりに利用できるもの
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録することで、従来の健康保険証の代わりに使えるものです。
2024年10月末時点で、マイナンバーカードを持つ約8割の人が利用登録を完了しています。マイナ保険証を使うことで、正確な本人確認が可能になり、医療機関での手続きがスムーズに行えます。
また、過去の医療情報の提供に関する同意も適切に取得できるため、適切な診療を受けることが可能です。
マイナ保険証の特徴
マイナ保険証は、従来の健康保険証に比べて利便性が向上しています。特徴を理解することで、医療機関の利用がスムーズになり、手続きの手間を軽減することが可能です。以下では、マイナ保険証の具体的な特徴について解説します。
マイナンバーカードとはマイナンバーを証明できる顔写真付きカード
マイナンバーカードは、マイナンバーが記載された顔写真付きのICチップ付きプラスチック製カードです。カードには氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー(12桁)と顔写真が表示され、本人確認の身分証明書として利用できます。
また、自治体サービスの手続きやe-Taxなどの電子申請にも活用可能です。ICチップにより、オンライン上でも安全かつ確実に本人確認ができ、マイナ保険証としても利用できます。
マイナ保険証を持っていない方は資格確認書が利用できる
マイナ保険証を利用できない方は、「資格確認書」を使用して保険診療を受けられます。
資格確認書は、オンライン資格確認を受けられない被保険者・被扶養者に対し、医療保険者(協会けんぽや健康保険組合、市町村など)から無償で交付されるものです。
資格確認書は申請により取得でき、提示すれば通常の健康保険証と同じ自己負担割合で診療を受けられます。申請は、勤務先を通じて「健康保険資格確認書交付申請書」を提出します。
資格確認書に関する具体的な情報は、下記の記事で解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。
マイナ保険証の登録の仕方と使い方
マイナ保険証を利用するには、事前の登録が必要です。登録が完了すれば、医療機関や薬局でマイナンバーカードを健康保険証として利用可能です。登録方法を把握しておくことで、スムーズに手続きを進められるでしょう。
以下では、具体的な登録の流れと使い方を紹介します。
1. マイナンバーカードを申請する
マイナ保険証を利用するには、まずマイナンバーカードを申請しましょう。
申請方法は、郵送・オンライン・証明写真機(利用不可の機種もあり)から選択可能です。引越し後に申請する場合、市区町村窓口で受け取る交付申請書や専用ページからダウンロードした申請書を使用します。
申請後、審査を経てカードが市区町村に送付され、交付準備が完了すると通知が届きます。通知を持参し、市区町村窓口でカードを受け取れば完了です。
2. 健康保険証として登録する
マイナ保険証を利用するには、事前に登録が必要です。登録していない場合、通常の健康保険証として使用できません。ただし、代わりに保険者から送付される「資格確認書」を提示すれば受診が可能です。
以下では、マイナ保険証の登録方法を解説します。
顔認証付きカードリーダーからの作り方
医療機関や薬局に設置された顔認証付きカードリーダーを使い、マイナ保険証の登録ができます。
顔認証付きカードリーダーからの登録方法は以下のとおりです。
- 顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置く
- 保険証登録が未実施の場合、登録画面に進む
- 「マイナンバーカードを保険証として登録する」を選択し、手続きを進める
- 登録が完了すれば、マイナ保険証として利用可能
顔認証付きカードリーダーからの登録であれば、その場で手続きが完了します。
マイナポータルからの作り方
マイナポータルを利用すると、自身のスマートフォンやマイナポータルからマイナ保険証を登録できます。
マイナポータルからの登録手順は以下のとおりです。
- マイナポータルにログインする
- 「ホーム」から健康保険証を選択する
- マイナンバーカード利用から「登録」ボタンをクリックして登録が完了する
スマートフォンからいつでも登録できるため、自宅で手続きしたい方におすすめの方法です。
セブン銀行ATMからの作り方
セブン銀行ATMからの登録は、スマホ操作が苦手な方でも簡単にマイナ保険証の登録ができます。
セブン銀行ATMから手続きする場合は、マイナンバーカードと利用者証明用パスワードが必要です。手続きの手順は以下のとおりです。
- 「各種お手続き」ボタンをタップする
- 「マイナンバーカードの健康保険証利用の申込み」ボタンをタップする
- 画面に従ってマイナンバーカードを機械に挿入する
- マイナンバーカードの利用者証明用パスワードを入力する
- 登録が完了する
登録後は、「マイナ受付」のステッカーがある医療機関や薬局で利用可能です。
3. 医療機関・薬局でマイナンバーカードを利用する
マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、対応する医療機関や薬局を選びましょう。対象施設は、専用のステッカーやポスターが目印です。
医療機関・薬局でマイナンバーカードを利用する手順は以下のとおりです。
- 受付に設置された顔認証付きカードリーダーを確認する
- マイナンバーカードを読み取り口に置く
- 顔認証または暗証番号を選択し、本人確認を行う
- 画面の案内に従い、医療機関への情報提供の可否を選択する(同意すると、医師や薬剤師が健康医療情報を確認できる)
- 受付が完了し、診察や薬の受け取りがスムーズに進む
スムーズに手続きを行うためにも、事前にマイナポータルで利用登録を済ませておくと安心です。
マイナ保険証を利用する6つのメリット
マイナ保険証の利用にはメリットがあり、各メリットを知っておくことで、医療機関や薬局での受付をスムーズに行えます。それぞれのメリットを理解し、安心して活用できるように以下では、各メリットについて解説します。
1. より良い医療が受けられる
マイナ保険証を利用すると、医療機関や薬局で過去の診療情報や薬剤情報を共有でき、より適切な医療を受けられます。
受付時にマイナンバーカードを使用し、情報提供に同意すれば、医師や薬剤師が特定健診の結果や処方履歴を確認できるため、より適切な診断や治療が可能です。そのため、初めて受診する医療機関でも、患者の情報が伝わり、重複した検査や処方を防げます。
また、マイナポータルを利用すれば、自身でも過去の診療履歴や薬の情報を確認できます。マイナ保険証を利用することにより医療の質が向上し、安心して治療を受けられるでしょう。
2. 手続き不要で高額療養費の限度額を超えた支払いが免除される
高額療養費制度は、1ヶ月の医療費が一定額を超えた場合に超過分が支給される制度です。
従来は、まず医療機関や薬局で全額を支払い、後から申請手続きする必要がありました。しかし、マイナ保険証を利用すれば「限度額適用認定証」がなくても、窓口から口頭での情報提供に同意するだけで、限度額を超える支払いが免除されます。
事前の申請が不要になり、経済的負担を軽減できるため、急な入院や高額な治療費が発生した場合でも安心です。マイナ保険証を活用すれば、簡単に高額療養費制度を利用できる点が大きなメリットです。
3. 確定申告の医療費控除を自動入力できる
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得控除を受けられる制度です。
従来は、医療費の領収書を保管し、「医療費控除の明細書」を作成する必要がありました。そこで、マイナ保険証を利用すると、マイナポータルを通じてe-Taxと連携でき、確定申告時に医療費控除のデータを自動入力できます。
マイナ保険証の活用で、領収書を整理・保管する手間が省け、申請手続きが簡単になります。したがって、医療費の管理がスムーズになり、確定申告の負担を軽減可能です。
医療費控除に関する詳しい情報は、下記の記事で解説しているためぜひ参考にしてみてください。
4. 医療従事者の負担が軽減する
マイナ保険証を利用すると、医師や薬剤師が過去の特定健診情報や処方履歴をスムーズに確認でき、問診時の負担が軽減されます。
マイナ保険証がない場合は患者が口頭で伝えたり、医療従事者が確認作業を行ったりする必要があります。また、健康保険証による保険資格の確認では、目視での確認や手入力が必要となり、手間がかかることが課題でした。
しかし、マイナ保険証を利用すれば、資格情報が自動で取得されるため、誤記リスクが減少して業務の効率化につながります。医療現場の負担が軽減されることで、より質の高い医療サービスの提供が可能です。
5. 救急車で運ばれても、診療情報や薬剤情報が正確に共有できる
救急車で搬送された場合、意識がもうろうとしていたり、正確に受診歴や服用薬を伝えられなかったりすることも珍しくありません。そこで、マイナ保険証を提示すれば、医療機関が診療情報や薬剤情報をすぐに確認できて適切な処置につなげられます。
また、救急隊も患者のマイナ保険証を通じて情報を把握し、病院に迅速に伝えられるため、搬送先の選定や応急処置がより適切に行われます。
マイナ保険証を活用することで、誤った薬の投与を防ぎ、患者が最適な治療を受けやすくなる点がメリットです。
6. セキュリティ対策により安全性が高い
マイナ保険証は、厳重なセキュリティ対策により、安全に利用できます。
他人が不正に使用することは困難で、顔認証または4桁の暗証番号が必要です。暗証番号を3回間違えるとロックがかかり、再設定が必要になります。
また、ICチップには税・年金・薬剤情報・特定健診情報などのプライバシー性の高い情報は記録されておらず、紛失しても個人情報が流出することはありません。さらに、不正アクセスを防ぐため、外部から情報を読み出そうとするとチップが壊れる仕組みになっています。
薬剤情報や診療情報は、本人の同意があった場合に限り、24時間以内のみアクセスが可能で、関連のない情報にはアクセスできません。上記のように、マイナ保険証はセキュリティ対策が万全のため、安心して利用可能です。
マイナ保険証を利用するデメリットと注意点
マイナ保険証には多くのメリットがありますが、利用する際のデメリットや注意点もあります。事前に確認しておかないと、必要なときに利用できない可能性があります。スムーズに活用するためにも、注意すべき点を理解しておくことが重要です。
以下では、具体的なデメリットについて解説します。
有効期限が切れると利用できない
マイナ保険証を利用する際は、有効期限の管理が重要です。
マイナンバーカードの有効期限が切れると、健康保険証としての利用だけでなく、e-Taxやコンビニ交付などの各種サービスも使えなくなります。18歳以上の場合は発行から10回目の誕生日まで、18歳未満の場合は5回目の誕生日までが有効期限です。なお、e-Taxやコンビニ交付に必要な電子証明書の有効期限は5年間ですので混同しないよう注意が必要です。
期限を過ぎても無料で再発行できますが、手続きには1ヶ月程度かかるため、更新を忘れないようにしましょう。
システムや機械に不具合があれば利用できない場合がある
マイナ保険証は、システムや機械の不具合により利用できない場合があります。
全国保険医団体連合会で実施されたアンケートでは、「無効・該当資格なし」と表示され、被保険者の資格情報が正しく反映されないトラブルが66.3%と最も多く報告されています。
万が一、システム障害が発生すると、従来の健康保険証の提示を求められることもあるでしょう。そのため、医療機関がマイナ保険証に対応していないケースも想定のうえ、資格情報のお知らせ、もしくは従来の保険証を併せて持参すると安心です。
紛失時に個人情報が漏洩する可能性がある
マイナ保険証として利用するマイナンバーカードを紛失すると、個人情報が漏洩する可能性があります。
ICチップ内の情報は不正読み取り防止機能があるため安全性が確保されていることが特徴です。しかし、カードの券面には氏名や住所、生年月日、顔写真、マイナンバーが記載されており、第三者に見られるリスクがあります。
万が一紛失した場合は、24時間対応のマイナンバーカード総合フリーダイヤル(0120-95-0178)へ速やかに連絡し、利用停止手続きを行いましょう。再発行は市区町村の窓口で可能です。
マイナ保険証のメリット・デメリットを理解した上で登録しよう
マイナ保険証は、医療の質向上や手続きの簡略化など多くのメリットがありますが、有効期限やシステム不具合といった注意点もあります。
事前に仕組みを理解し、更新の確認や対応医療機関の把握をしておくことで、より安心して活用できます。利便性と安全性を両立させるため、マイナ保険証の登録を検討してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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