厚生年金基金と厚生年金保険の関係について

厚生年金基金と厚生年金保険の関係について

厚生年金基金と厚生年金保険の関係について

厚生年金基金は、厚生年金保険に加入している事業所が加入することのできる、一種の企業年金制度です。厚生年金保険に加入している企業やそのグループ企業、また同業種の企業ごとに設立された特別法人によって運営されています。

前者は「単独型」または「連合型」基金、後者は「総合型」基金と呼ばれ、大企業は前者、中小企業は後者の形態を採ることが一般的です。

厚生年金基金は厚生年金保険をベースにしながらも、その成り立ちや仕組みは大きく異なります。本ページでは、厚生年金基金と厚生年金保険の関係について解説します。

厚生年金基金は厚生年金保険の運用を国に代わって行う

厚生年金基金は『厚生年金保険法』を根拠法*とし、昭和41年にスタートした企業年金制度です。平成28年度末までに110基金が存在し、厚生年金基金に加入する会社等及び加入者数は約1万社・69万人、年金の受給者数は約85万人に上っています。

厚生年金基金が他の企業年金制度と異なる点は、「代行部分」を持つところです。「代行部分」とは、厚生年金保険の保険料の一部を国の代理で運用し、将来の給付も行うことを指します。

基金の加入者は国に納める厚生年金保険料の一部を基金に渡し、基金は代行部分として受け取った保険料を、独自に設定した「プラスアルファ部分」を合わせた掛金をもとに資産運用を行い、運用益に応じて将来の給付を行う、という仕組みです。

*平成26年4月より、厚生年金基金の規定は「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」により改正されました。

なぜ厚生年金基金制度があるのか

厚生年金基金は老齢厚生年金の一部分を国の代理で運営し、さらに独自の年金を上乗せして支給することで、老後の安定を図る目的で設立されました。

日本の公的年金制度は、全国民共通の国民年金(基礎年金)を1階部分とし、サラリーマン等が加入する厚生年金が2階部分に乗るという「2階建て方式」が基本ですが、厚生年金基金は厚生年金に上乗せされる「3階部分」に位置します。

年金制度の体系図


引用:厚生労働省HP

基金の加入者は年金と基金のどちらからも受給があるため厚生年金のみの受給者よりも多くの年金を受けることができます。厚生年金基金は加入者がより豊かでゆとりある老後の生活を送れるようバックアップする制度なのです。

厚生年金基金に加入するとどう変わるのか

プラスアルファ部分が加算される

厚生年金基金に加入すると、厚生年金保険の代行部分以外に、基金ごとに独自のプラスアルファとして上乗せして給付を受けることができます。

基金へ納付する掛金は給付に応じた内訳となっています。以下、掛金の内訳を説明します。

基金への掛金 = (1)基本標準掛金(代行部分)+ (2)加算標準掛金(各基金独自のプラスアルファ部分)+ (3)事務費掛金

(1)の「基本標準掛金」は基金ごとに2.4~5.0%の範囲内で決められた保険料率(免除保険料率)に基づいて算出します。本来の厚生年金保険料からほぼ同率が免除されるため、基金の加入者であっても年金に係る保険料の総額は変わらないように配慮されています。

(2)の「加算標準掛金(プラスアルファ部分)」は基金独自の定めによりますが、代行部分に加算して支給される部分(基本上乗せ部分)と基金独自の上乗せ部分(加算部分)に大別されます。なお、一般的にプラスアルファ部分の額は事業主側で負担するため、加入者自身の負担はありません。

(3)の事務費掛金は、基金の業務を行うために徴収されます。こちらも全額が事業主側の負担となっています。

上記の仕組みの結果として、基金の加入者は厚生年金保険のみの加入者とほぼ同じ保険料を負担するだけで、例外を除き、より多くの年金を受けることができます。

年金給付の請求先が異なる

厚生年金は「公的年金」として国から支給されますが、厚生年金基金の給付は「基金等(=厚生年金基金及び企業年金連合会*)」から支給されます。つまり、厚生年金基金の加入者は年金給付の請求先が国以外にもあるのがポイントです。

厚生労働省の調査でも、厚生年金基金の年金受給者数の約3%、企業年金連合会の受給者数の約12%の年金の請求漏れが報告されています。特に、転職経験のある方は、自分がどの会社でいつどのくらいの期間基金に加入していたか忘れてしまっている場合があります。日本年金機構のホームページで公的年金とともに厚生年金基金の加入記録を調べることができますので、思い当たる方はぜひチェックしてみて下さい。

*転職などで厚生年金基金に短期間だけ加入した、あるいは会社が途中で基金から抜けた、基金そのものが解散したなどの場合に、基金が保有していた資産は企業年金連合会に引き継がれ、請求先も連合会に変わります。

まとめ

厚生年金基金は公的年金である厚生年金の一部を代行する企業年金の一形態であることを見てきました。厚生年金基金への加入のメリットについてさらに詳しく知りたい方は、「厚生年金基金の8つのメリット」のページも参考にしてみて下さい。※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:川本 祐介 (社会保険労務士)

税理士法人ゆびすい
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