• 更新日 : 2025年3月18日

外国人雇用管理主任者の概要とは?合格率や取得するメリットを解説

外国人雇用管理主任者は、外国人労働者の雇用管理に関する専門知識を身につけ、企業や団体に対する総合的なサポートを提供できる資格です。資格の取得により、外国人雇用に関する法令や労務管理の実務スキルが向上し、企業の国際化を支援する重要な役割があります。

本記事では、外国人雇用管理主任者の詳しい内容について解説します。

外国人雇用管理主任者とは外国人雇用の専門知識を持つ資格のこと

外国人雇用管理主任者は、外国人労働者の適切な雇用管理とサポートを行うための専門知識を持つ資格です。外国人労働者の採用や在留資格の管理、労働条件の整備、文化的な違いへの対応など、幅広い知識と実務能力の習得を目的としています。

国家資格ではなく民間資格ですが、外国人雇用に関わる職場環境の整備や外国人労働者との円滑なコミュニケーションに役立ちます。企業や団体において、外国人雇用を適切に管理し、働きやすい環境を整えるための専門家であることを証明できる資格です。

外国人雇用管理主任者試験の概要

外国人雇用管理主任者試験は、外国人労働者の適切な雇用管理に必要な知識を問う試験です。外国人雇用管理主任者試験の概要は以下のとおりです。

実施団体株式会社東京リーガルマインド
受験資格誰でも可能
試験時間60分
合格基準70%以上で合格
結果発表即時
受験料8,500円(税込)
開催日程外国人雇用支援センターのWebサイトから最新情報を確認する
会場全国260ヵ所にあるテストセンターから選択可能

参考:外国人雇用管理主任者|株式会社CBT-Solutions

試験内容は以下のとおりです。

  • 外国人雇用の基礎知識(外国人労働者とは・社会的背景)
  • 在留資格の基礎知識
  • 平成31年入国管理法改正
  • 特定技能ビザ・特定技能外国人
  • 受け入れ企業・登録支援機関の役割
  • 外国人労働者の採用計画(費用・研修・社内理解)
  • 労務管理のルール(労働基準法・労働保険・社会保険
  • 雇用契約書・就業規則の作成方法
  • 外国人雇用に対する助成金活用

最新の試験日程や情報については、外国人雇用支援センターのWebサイトで確認できます。

一般受験制度

一般受験制度は、全国のCBTテストセンターでコンピューターを利用して受験する仕組みです。試験は四肢択一方式で、外国人雇用に関する専門知識が問われます。受験の流れは、以下のとおりです。

一般受験制度の流れ詳細
1. 試験を申し込む株式会社CBTソリューションズの公式ホームページから申し込む
2. 受験する指定のCBTテストセンターで試験を受ける
3. 合否を確認する試験終了後、即時に結果を確認できる
4. 登録手続きをする合格者は案内に従い、外国人雇用管理主任者として登録する
5. 認定証を発行する登録後、認定外国人雇用管理主任者として正式に認定証が発行される
6. 登録と認定を受ける登録料10,000円(税込)を支払い、外国人雇用管理主任者として認定される

参考:一般受験制度|外国人雇用支援センター

一般受験制度での受験料は8,500円(税込)で、合格後資格の有効期限は3年間です。有効期限の約45日前に更新案内が郵送されます。更新手続きを行わないと資格の効力が失われるため、期限内に手続きを済ませましょう。

認定講習会制度

認定講習会制度は、通信講座を受講し、修了認定テストに合格することで資格を取得できる制度です。受講料は28,000円(税込)で一般試験を受ける必要がなく、Web上で講義を視聴しながら学習できます。

認定講習会制度の受講までの流れは以下のとおりです。

認定講習会制度の流れ詳細
1. 試験を申し込むLEC東京リーガルマインドのHPから申し込む
2. 受講する専用サイト内で講義動画を視聴する
3. 修了認定テストを受ける受講期間内であれば何度でも受験できる
4. 修了申請をするすべての講義を視聴し、修了認定テスト合格後に申請する
5. 登録と認定を受ける登録料10,000円(税込)を支払い、外国人雇用管理主任者として認定される

参考:認定講習会制度|外国人雇用支援センター

Web受講が可能なため場所を選ばずに学習でき、終了認定テストは受講期間内なら何度でも挑戦できます。修了後は、外国人雇用管理主任者として正式に認定されます。

外国人雇用管理主任者試験の勉強方法

外国人雇用管理主任者試験に合格するには、事前学習が重要です。本試験では、外国人雇用の基礎知識や在留資格、労務管理など幅広い分野が出題されるため、効率的に学習することが大切です。

以下では、具体的な勉強方法について解説します。

外国人雇用管理主任者試験以外の役立つ資格については、下記の記事で紹介しているため、あわせてご覧ください。

外国人雇用支援センター指定の参考書を活用する

外国人雇用支援センター指定の参考書を活用すれば、試験範囲を効率よく学習できます。参考書には、最新の法令や実務に基づく情報が盛り込まれており、外国人労働者の採用手続きや在留資格の取得方法、労働関係法令、文化的背景の理解など、試験に必要な知識が詳しく解説されています。

また、無料でダウンロードできる学習用レジュメ「外国人雇用の基礎知識(Ver.2)」などもあり、手軽に学習可能です。参考書を活用することで、試験合格に必要な知識だけでなく、実務に直結するスキルも習得できます。

無料で配信されているWebセミナー動画を活用する

無料で配信されているWebセミナー動画を活用すれば、外国人雇用管理主任者試験の効果的な学習が可能です。LEC東京リーガルマインドでは、認定講習に関する無料動画を公開しており、試験対策のポイントが15分程度に凝縮されています。

外国人雇用支援センターでも、外国人雇用に関する無料セミナーを定期的に開催し、アーカイブ動画を提供しています。そのため、最新の法改正情報や実務に役立つ知識も効率的に習得可能です。

Webセミナーは、テキストでは得られない実践的な知識を効率的に習得できる点が魅力です。さらに、無料で学習できるため、コストをかけずに試験対策ができます。ただし、Webセミナー動画だけでなく、指定の参考書や公式サイトの情報もあわせて活用し、総合的に学習することが重要です。

外国人雇用管理主任者の合格率は?

外国人雇用管理主任者試験の合格率は公表されていません。

人事労務担当者や社会保険労務士など、すでに外国人雇用の知識がある人は短期間の学習でも合格の可能性があります。しかし、正答率70%以上が求められるため、試験対策は必要です。

試験は選択式で、終了後すぐに合否が判定されます。合格を目指すには、試験範囲を網羅し、実務に役立つ知識を身につけることが重要です。

外国人雇用管理主任者の資格が活用できる分野

外国人雇用管理主任者の資格は、企業の人事労務や行政機関、支援団体など幅広い分野で活用可能です。事前に活用可能な分野を確認することで、自身の業務に役立つか判断しやすくなります。以下では、具体的な資格の活用分野を解説します。

外国人を雇用する企業の人事労務担当者

外国人雇用管理主任者の資格は、企業の人事労務担当者にとって有益です。求職者の応募書類を確認する際、適切な在留資格を判断でき、雇用手続きをスムーズに進められます。

また、外国人雇用の適正管理により、企業のコンプライアンスが強化され、社会的信頼の向上につながります。さらに、助成金申請に関する知識も得られるため、企業の経済的支援を最大限に活用できるでしょう。

外国人雇用の実務を円滑に進めるうえで、資格の取得は大きなメリットとなります。

社労士や行政書士などの専門家

社労士や行政書士にとって、外国人雇用管理主任者の資格は大きな強みです。外国人の労務管理や在留資格申請業務において、他の専門家と差別化を図り、ブランディングを強化できます。

さらに、資格の取得によりクライアントの信頼が高まり、専門家としての地位向上にもつながります。外国人雇用に関する知識を持つことで、新たな顧客層の獲得やサービスの多様化が可能となり、業務の幅を広げられる点も大きなメリットです。

キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、外国人雇用管理主任者の資格を活用することで、支援対象を外国人材へ広げられます。外国人労働者のキャリア形成や職場適応を専門的にサポートでき、在留資格の種類や労働条件、文化的背景を考慮した適切なアドバイスが可能です。

また、外国人クライアントとの信頼関係を築くうえで、異文化理解を活かしたコーチングにも役立ちます。資格の取得により、多様なキャリア支援を実現できる点が大きなメリットです。

人材サービス会社の担当者

人材サービス会社の担当者が外国人雇用管理主任者の資格を取得すると、在留資格ごとに適した職種を判断できるようになります。また、派遣先企業に外国人雇用のノウハウを説明し、適切な雇用管理をサポートできます。

さらに、在留資格や労働条件、文化的背景に関する知識を習得することで、クライアント企業のニーズと外国人求職者のスキルを的確に把握し、最適なマッチングが可能です。

異文化理解を活かし、外国人労働者との円滑なコミュニケーションや職場トラブルの未然防止にも貢献できます。

監理団体や登録支援機関の担当者・職員

監理団体や登録支援機関の担当者が外国人雇用管理主任者の資格を取得すれば、より適切な支援が可能です。監理団体は技能実習生の受け入れや管理、監査を担い、登録支援機関は特定技能外国人の生活支援や書類管理を行います。

資格の取得により、技能実習や特定技能の在留資格だけでなく、外国人キャリアの連続性を理解しやすくなります。そのため、相談対応や適切な支援が強化され、外国人労働者の安定した就労サポートが可能です。

教育機関や日本語学校の職員・教師

教育機関や日本語学校の職員・教師が外国人雇用管理主任者の資格を取得すると、留学生の就職支援に活用できます。

外国人雇用や労務に関する知識を持つことで、適切な進路指導が可能になり、日本での就職を希望する学生に具体的なアドバイスを提供できます。さらに、在留資格や労働条件を踏まえたサポートができるため、学生のキャリア形成において効果的な支援が可能です。

専門知識を持つことで、学生からの信頼も向上し、指導の質も高まるでしょう。

自治体や国際交流を促進するNPO職員など

自治体や国際交流を促進するNPOの職員にとって、外国人雇用管理主任者の資格は業務の質を向上させる有益な手段です。

資格の取得により、在留資格や労働法令、雇用手続きに関する知識を習得でき、外国人が日本で安心して生活できるよう適切なアドバイスや支援を提供できます。

また、雇用する企業の視点から外国人雇用を考えられるようになり、地域や企業との連携を強化し、外国人の安定した就労と生活の支援に貢献できます。

外国人雇用管理主任者の資格を取得するメリット

外国人雇用管理主主任者の資格を取得することで、企業の採用・労務管理において専門性を証明でき、外国人雇用に関する適切な対応が可能です。資格を取得するメリットについて理解することで、資格の重要性が明確になり、学習のモチベーション向上につながります。

以下では、資格取得がキャリアや企業経営に与えるメリットについて解説します。

外国人雇用に関する総合的な知識を得られる

外国人雇用主任者の資格を取得すると、外国人労働者の雇用に関する総合的な知識を習得できます。外国人の雇用は、日本人と異なる手続きや法律が関わるため、適切な知識が必要です。

資格を取得すれば、外国人採用の経験がなくても、適切な雇用の流れを理解できます。また、手続きに不備やミスがあると企業が罰則を受ける可能性もありますが、資格を持つことで正確な対応ができ、リスクを未然に防げます。

外国人雇用に関するトラブルを回避できる

外国人雇用管理主任者の資格を取得すると、外国人雇用に関するさまざまなトラブルを回避できます。資格を取得することで、社内の理解を深める方法や外国人労働者に適切なビジネスマナーを教える知識が身につきます。

また、在留期間切れや不法就労、不適切な労働条件、異文化によるトラブルなどのリスクを未然に防ぐことが可能です。万が一トラブルが発生しても、適切に対応することで問題の拡大を防ぎ、迅速な解決につなげられます。

下記の記事は、外国人労働者の入社手続きについて解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

外国人雇用管理主任者の資格を取得して仕事に活かそう

外国人雇用管理主任者の資格を取得することで、外国人労働者の雇用管理に必要な知識とスキルを取得できます。企業の国際化をサポートし、外国人労働者が働きやすい環境を整えるためにも、外国人雇用管理主任者の資格取得を検討してみてください。


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