- 更新日 : 2025年3月5日
シフト作成のコツは? エクセルなどを使ったシフト表の作り方をご紹介
飲食店や小売店などに代表されるシフト勤務制を採用している職場では、必須業務のひとつにシフト作成があげられます。しかし、この記事をご覧になっている方のなかには、スタッフの希望をヒアリングしシフトを作成することに不慣れだったり、苦手意識を持っていたりする方もいるかもしれません。本記事では、偏りや不平不満が生じにくいシフト作成のコツをご紹介します。
目次
シフト作成の基本的な流れ
シフトは、閑散期や繁忙期によって必要な人員の数を検討し、スタッフの希望をとったうえで作成しましょう。はじめにシフト作成の基本的な流れを説明します。
曜日ごとに必要な人員の数を決める
まずは曜日ごとに、必要なスタッフの人数の目安を決めましょう。飲食店や小売店などの売上は、曜日によって変動するからです。とくに土日祝日は混雑する傾向にあるため、人員の数は多いほうが安心でしょう。
また飲食店や小売店の売上は、セールやイベント、季節などの影響を受けることもあります。過去の売上から閑散期や繁忙期を割り出し、客数が多い時期は人員の数を増やすといった方針を決めましょう。
スタッフの希望をとる
スタッフから希望の勤務日や休日を提出してもらいましょう。とくに学生のスタッフは、高校や大学の試験期間や長期休暇などの影響を受けて、勤務日が変則的になりがちです。できるだけ早めに希望の勤務日や休日を提出してもらうことが大切です。
なお、シフトを作成するにあたって、社員または勤務日が決まっているスタッフから希望の勤務日や休日を提出してもらう必要はありません。
スタッフの希望をすべて反映したシフトを作成するのは困難です。しかし、可能な範囲でスタッフの希望を反映したシフトを作成できれば、スタッフの満足度向上につながるでしょう。
シフトを作成する
曜日ごとに必要な人員の数を決め、スタッフの希望をとったらシフトを作成します。
客数が多くなりがちな曜日は人員が必要になりますが、スタッフの人数が不足していた場合は、「調整できないか」スタッフに相談してみましょう。その際は、できるだけ早めに相談することが大切です。
系列店がある場合は、系列店のスタッフに協力してもらうという方法も考えられます。
シフトを上手に作成するコツ
シフトを上手に作成するには、スタッフ一人ひとりのスキルを考慮したり、店長や副店長の休日が重ならないようにしたりするなど、いくつかコツがあります。ここからは、シフトを上手に作成するコツを紹介します。
スタッフ一人ひとりのスキルを考慮する
シフトはスタッフ一人ひとりのスキルを考慮し、作成しましょう。
たとえば飲食店で、混雑が見込まれる土日祝日に、新人スタッフばかり出勤しているシフトを作成したと仮定します。まだオペレーションを十分に把握できていない新人スタッフばかりでは、お店を回せないでしょう。料理や飲み物の提供が遅れる可能性もあります。
このような事態を避けるためには、新人スタッフをカバーできるベテランスタッフを出勤させる必要があります。
シフト作成において、スタッフ一人ひとりのスキルを考慮し、作成することが大切です。
店長や副店長の休日が重ならないようにする
シフトは店長や副店長といった責任者の休日が重ならないように作成しましょう。
たとえば、お客様からクレームがあったり、スタッフが備品を破損したりなどのトラブルが起きた際に、対処できる人がいたほうが安心だからです。また、開店・閉店作業ができるスタッフや、レジ締め作業ができるスタッフなども出勤させる必要があります。
公平感のあるシフトを組む
シフトを作成する際は、特定のスタッフばかり出勤することがないように配慮しましょう。
たとえばAさんばかり土日出勤が続く、Bさんばかり希望の休日や出勤日が反映されないといった偏ったシフトを作成した場合、スタッフの不満は募るでしょう。最悪のケースとして、退職を申し出るスタッフが出てきます。
スタッフの希望をすべて反映したシフトを作成するのは難しいでしょう。しかし、できるだけ公平なシフトを作成することを心がければ、スタッフの満足度向上につながります。
不測の事態を考慮したシフトを組む
シフトを作成する際は、スタッフの急な休みや遅刻、早退などを考慮し、人員の数に余裕をもたせて作成しましょう。
必要最低限の人員でシフトを作成すれば、人件費を削減できます。その一方で、スタッフの急な休みや遅刻、早退などにより、お店を回せなくなる可能性もあります。欠員をカバーするために突然、別のスタッフに出勤をお願いすることになり、大きな負担をかけるおそれもあるでしょう。
そのため、スタッフの急な休みや遅刻、早退などを考慮したシフトを作成することが大切です。
また、社員の所定労働時間に「ゆとり」をもたせたシフトを作成することも有効な対策といえます。
所定労働時間とは、いわば「働かなければならない時間」のことです。具体的には、就業規則や雇用契約書などで定められた、休憩時間を除く始業時間から就業時間までの時間を指します。
社員の所定労働時間にゆとりをもたせたシフトを作成していれば、欠員をカバーするために社員のシフトを延長させても、所定労働時間内におさめられます。
欠員をカバーする必要がなければ、社員の所定労働時間が不足しますが、お店を回すために必要なコストのひとつとも考えられるでしょう。
労働基準法に則って管理する
シフトを作成する際は、労働基準法で定められた労働時間や休憩時間を守りましょう。
労働基準法では、1日の労働時間は8時間以内、1週間の労働時間は40時間以内と定められています。労働時間の定めについては、社員はもちろんのこと、パートやアルバイトのスタッフにも適用される点に注意しましょう。
参考:労働基準法第32条
ただし2001年4月1日より、常に10人未満のスタッフで切り盛りしている飲食店や小売店などにおいては、1日の労働時間は8時間、1週間の労働時間は44時間に改正されています。
また社員やパート、アルバイトを含むすべてのスタッフに対し、労働時間によって、45分または1時間以上の休憩時間を与えなければならない点にも注意してください。
- 労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分
- 労働時間が8時間を超える場合は少なくとも1時間以上
参考:労働基準法第34条
なお、パートやアルバイトのスタッフでも次の2つの要件を満たしていれば、有給休暇を取得できる点も押さえておきましょう。
- 雇われた日から6ヶ月以上継続勤務していること
- 決められた労働日数の8割以上出勤していること
とくにシフトを作成したり、管理したりする立場にある方は、労働基準法への理解を深めておくことをおすすめします。
見やすいシフト表を作成する
シフトを作成する際、レイアウトや文字の大きさ、色などを工夫し、見やすくすることが大切です。できればスタッフが仕事の合間にパッと見ただけで、各々の休日や勤務日を把握できるようなシフト表が望ましいでしょう。
シフト表は早めに共有する
シフトはなるべく早め早めに作成し、スタッフに共有しましょう。
シフトを作成する際は、考慮すべきポイントが多いため、つい後回しにしてしまう人もいるかもしれません。しかし、シフトを早めに作成し共有することで、スタッフがプライベートの計画を立てやすくなります。
また、シフトを作成したあとに人員が不足していることに気づいた場合は、スタッフに予定を調整できないかどうか、相談する時間を確保できます。
シフト表の作り方
シフトは手書きで作成したり、エクセルに情報を入れて出力したりするのが一般的でしょう。シフト表を作成する専用システムを利用する方法もあります。ここでは、シフト表の作り方を解説します。
手書き
シフト表を手書きで作成するメリットは、ツールを導入する手間や費用をカットできることです。また、ツールの使い方を覚える必要もありません。誰にとってもなじみやすい方法と言えるでしょう。
その一方で、スタッフから希望の休日や出勤日をヒアリングし、それを紙に書き写すのにある程度の時間を要する点がデメリットです。
エクセルやスプレッドシート
シフト表はエクセルやスプレッドシートでも作成できます。
エクセルは、購入時からパソコンに標準的に装備されていることが多く、導入の手間が少ないです。また、スプレッドシートはインターネット経由で利用可能であり、導入コストがかかりません。
シフト表をエクセルやスプレッドシートで作成するメリットは、スピーディに作業できることです。さらにスプレッドシートは、グーグルカレンダーと連携できるため、汎用性にも優れています。
ただし、パソコン作業での作業に慣れていない場合、ハードルが高いと感じる人もいるでしょう。
シフト表を作成する専用システム
シフト表をより効率的に作成したい人には、勤怠管理システムの活用がおすすめです。
勤怠管理システムは、勤怠管理に特化したシステムであり、フォーマットに合わせて情報を入力すれば、勤務日や勤務時間を効率的に管理できます。
たとえばマネーフォワード クラウド勤怠では、働き方にあわせて、勤怠管理をペーパーレス化できます。スタッフの勤務日や勤務時間にバラつきがある職場向けに「シフト制」を設定することも可能です。
そのうえ「シフト管理」画面から、スタッフの「勤怠区分」や「勤務パターン」を一括で設定できるので、毎月シフト作成に要していた時間と手間を大幅に削減できるでしょう。また、設定したシフトはPDFに出力できます。
シフト表を早く簡単に作成したい方は、マネーフォワード クラウド勤怠をはじめとする、勤怠管理システムの利用を検討してみてください。
エクセルや専用システムなども活用し、上手なシフトを作成しよう
上手なシフトを作成するコツは、スタッフ一人ひとりのスキルや店長や副店長の休日、スタッフの急な休みや遅刻、早退といった不測の事態を考慮することです。また、労働基準法における労働時間や休憩時間、有給休暇への理解も深めておきましょう。
毎月のシフト作成に時間がかかり悩んでいる方は、勤怠管理システムの活用も検討してみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
テレワーク中でも残業代は発生する!正しい申請方法や禁止の理由を解説
テレワーク中であっても残業についてのルールは、基本的には出社時と変わらないため、残業代が発生します。 しかし、場合によっては残業代が発生しない場合もあり、残業の際は注意が必要です。 この記事では、テレワーク中の残業のルールや、正しい申請方法…
詳しくみる解雇予告とは?手続きや注意点について解説!
「解雇予告」とは、会社による従業員解雇で前もって行わなければならない告知のことです。30日前までに行う必要があり、ないと労働基準法違反になります。期間が不足する場合は解雇予告手当を支払わなくてはならず、きちんとした手続きも求められます。解雇…
詳しくみる50連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
50連勤のきつさは、単なる疲れを超えて心身を蝕むものであり、非常に深刻な問題です。 本記事では 「50連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイ…
詳しくみる年間労働日数の平均は?年間休日との関係や日数の決め方を解説
従業員は、年間で何日程度働くべきなのでしょうか。また、その日数はどのように決めればよいのでしょうか。平均して、どの程度の日数働いているのかも気になるところです。 当記事では年間労働日数について解説します。年間労働日数の平均や目安、決定方法、…
詳しくみる年間休日に有給は込み?実際に何日休める?正しい数え方を解説
年間休日とは、会社が定める1年間の休日(日数)の合計のことです。休日には年次有給休暇は含まれません。求人票に「年間休日○○日」と記載されていても、その休みの目安や、有給休暇を取得すると実際にどれくらい休めるのか分かりにくいこともあります。…
詳しくみる勤怠管理の電子化とは?メリット・デメリットや導入時のポイントを解説
「打刻ミスが多い」「勤怠データの集計に時間がかかる」「残業時間が正確に把握できていない」 こうした勤怠管理の悩みを抱える企業も少なくないでしょう。 近年では、ICカードやスマートフォン、クラウドを活用した勤怠管理の電子化が進み、紙やExce…
詳しくみる