- 更新日 : 2024年9月6日
注意書き・注意事項の書き方は?テンプレートを基に例文、違反時の対応を紹介
注意書きや注意事項を書く場合は、具体的かつ明確に書くことが重要です。例えば、商品の取扱説明書などには、利用にあたっての注意事項を明示する必要があります。注意喚起が足りずにトラブルが発生した場合は、法的責任を負う恐れもあるため注意しましょう。
当記事では、テンプレートや例文を交えて注意書きや注意事項の書き方をご紹介します。
目次
注意書き・注意事項とは?
日頃、目にする機会の多い「注意書き」や「注意事項」は、ユーザーや消費者の安全を守るための重要な文章です。「免責事項」という意味で用いられる場合は、法的責任を逃れる意味合いもあります。ここでは、注意書きと注意事項について例文を交えて詳しく解説します。
注意書きと注意事項の違い
「注意書き」とは、ユーザーや消費者の安全を守るために注意すべきことや、強めの注意を知らせる警告などを前もって喚起する文章です。「免責事項」と同じ意味合いで用いられる場合もあり、利用者に製品やサービスの利用に付随するリスクを明示し、誤った利用によって生じた損害や損失の責任を負わないことを明確にする目的で作成されるケースもあります。
似たような意味合いの言葉に「注意事項」もありますが、注意書きとは微妙に異なるニュアンスを持っているため気をつけましょう。注意書きは安全を守るための法律や規則に定められた禁止事項が該当するのに対し、注意事項はもう少し広い意味を持ちます。禁止事項だけでなく、利用上の注意や安全に利用するために守ってほしい事項なども含むことが一般的です。例えば、商品の取扱説明書やサービスの利用規約に記載されるような内容が該当します。
注意書きの例
注意書きは主に、禁止事項や危険を伝えるために用いられる文章です。具体的には、事故や怪我を防ぐための標識や、法律や規則に基づく禁止事項が該当します。ここでは、注意書きの例を見てみましょう。
- 立入禁止
- 火気厳禁
- 感電注意
- 滑落注意
- 段差注意
- 飲食禁止
- 喫煙禁止
- 撮影禁止
- 録音禁止
- 持ち込み禁止
注意書きは英語では「caution」といい、もう少し深刻な警告は「warning」と言い換えることも可能です。基本的には禁止事項が該当するため、簡潔かつ平易な言葉遣いが多く、命令形や禁止形が用いられます。安全を守り危険を防ぐ文書でもあるため、外国人に向けた多言語対応や、子どもでもわかるようなピクトグラムが併用されていることが一般的です。注意書きを作成する際の注意点としては、下記のポイントが挙げられます。
- 簡潔でわかりやすい文章を心掛ける
- 具体的な内容を記載する
- 「危険」「注意」「禁止」といった注意喚起の表現を用いる
- 「赤字」「太字」「ピクトグラム」などを併用し視覚的に目立たせる
- 必要に応じて多言語で表記する
注意事項の例
注意事項は注意書きより広義で、禁止事項や危険だけでなく、利用上の注意や安全な利用のために守るべき事項なども含んだ文章です。具体的には、商品の取扱説明書やサービスの利用規約に記載されるような内容が該当します。ここでは、注意事項の例を見てみましょう。
- 火の取り扱いには十分注意してください
- 危険な場所には立ち入らないでください
- 段差や滑りやすい場所に注意してください
- 左右をよく確認してから横断してください
- 廊下では走らないでください
- 館内では係員の指示に従ってください
- 周りに配慮し迷惑行為はおやめください
- 喫煙は喫煙所でお願いします
- 館内での飲食はご遠慮ください
- ペットの同伴はご遠慮ください
注意事項は英語では「guidance」といい、具体的な手順や方法を指示する場合は「instruction」と言い換えることも可能です。利用上の注意や守ってほしい事項を含むため、比較的丁寧な言葉遣いが多く、相手に協力を仰ぐような表現が用いられます。子どもや海外の方も利用する製品・サービスの場合は、イラスト・写真の併用や多言語対応が一般的です。注意事項を作成する際の注意点としては、下記のポイントが挙げられます。
- 簡潔でわかりやすい文章を心掛ける
- 禁止されている事柄や危険な事柄を具体的に明記する
- ユーザーや消費者の行動を促すような表現を用いる
- 必要に応じてイラストや写真を併用する
- 必要に応じて多言語で表記する
注意書き・注意事項のテンプレート-無料ダウンロード
注意書きや注意事項は、ユーザーや消費者の安全を守るのはもちろん、誤用による損害・損失に対する法的責任を逃れる意味でも、非常に重要な文章です。万が一注意喚起が不十分で、トラブルが発生した場合は、法的責任を問われる可能性もあります。
また、責任の所在や範囲、権利義務関係が不明瞭だと、ユーザーや消費者の信頼が低下し、ビジネスにマイナスの影響を及ぼす恐れもあるため注意が必要です。注意書きを免責事項と捉えると、製品やサービスの利用に伴うリスクを明示した上で、責任の範囲を明確化する意味合いもあります。逆説的に、正しい注意書きを作成しておけば、適正な利用の範囲を逸脱した、潜在的なリスクに対する法的責任から逃れることも可能です。そのため、製品やサービスを提供する場合は、必ず正しい注意書きを用意しなければなりません。
そこで、マネーフォワードでは注意書き・注意事項のテンプレートをご用意しました。汎用性の高いワード形式とエクセル形式でご用意したので、自由に書き換えてご活用ください。下記のページでメールアドレスや企業名といった情報を入力するだけで、どなたでも無料でダウンロードしていただくことが可能です。
▶注意書き テンプレート(エクセル) テンプレート | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」⇒
注意書き・注意事項の書き方、例文
注意書き・注意事項は免責事項の意味合いもあるため、各ビジネスに特有のリスクを配慮して作成しなければなりません。前章でもお伝えしたとおり、万が一注意喚起が不十分で、トラブルが発生した場合は、法的責任を問われる恐れもあるため注意が必要です。ここでは、例文を交えて注意書き・注意事項の書き方を解説します。
記載事項
冒頭でもお伝えしたとおり、注意書き・注意事項に記載すべき内容はビジネスによって異なりますが、広く利用されている注意書き・注意事項には下記のような内容を記載するのが一般的です。
- 情報の正確性について
- 賠償などの責任について
- 著作権や肖像権、所有権などについて
- トラブルやメンテナンスについて
- 無断転載の禁止
これらをベースに、各ビジネスに特有のリスクをふまえて注意書き・注意事項を作成していくことになります。
例えば、通信販売を行う「ECサイト」の場合は「当サイト上の商品情報は、実際の商品情報と異なる場合がございます」、メディアやブログといった「情報提供サイト」の場合は「当サイト上の情報は、その正確性や完全性を保証するものではありません」、ソフトウェアやアプリケーションの「ダウンロードサイト」の場合は「本ソフトウェアをダウンロード、インストールして利用した結果生じたいかなる損害について、当社は責任を負いかねます」などと記載することが一般的です。
書き方のポイント
注意書きや注意事項を作成する場合は、ビジネスごとのリスクを考慮し、過不足なく記載することが重要です。適切な注意書き・注意事項を作成していたことで、実際に法的なリスクから守られたケースも少なくありません。例えば、免責事項によって企業が守られた以下のような判例があります。
・ソフトウェアのバグによって損害が生じたケース
A社が提供するソフトウェアを使用した顧客Bが、ソフトウェアのバグによってデータを喪失し、A社に損害賠償を請求したケースです。ソフトウェアの利用規約には「データの喪失や損傷、その他本ソフトウェアの使用に関連する損害に対して、A社は一切の責任を負いません」との免責事項が記載されていました。裁判所は当該ソフトウェアを使用した際にこの免責事項に同意したと判断し、顧客Bの請求は退けられました。
・トレーニングジムでトレーニング中に怪我をしたケース
トレーニングジムでトレーニング中に怪我をしたDさんが、トレーニングマシンの不備が原因だと主張し、トレーニングジムを運営するC社に損害賠償を請求したケースです。トレーニングジムの会員規約には「C社は、トレーニング中の怪我や事故に関して一切の責任を負いません」との免責事項が記載されていました。裁判所はトレーニングジムを使用した際にこの免責事項に同意したと判断し、Dさんの請求を退けました。
このように、注意書きや注意事項を適切に作成しておくことは、法的なリスクを軽減する上で非常に重要です。
注意書き・注意事項に違反した場合の対応は?
注意書きや注意事項に違反した場合は、どのような対応をとるべきでしょうか。ここでは、サービスの利用規約に違反したケースを考えてみましょう。利用規約の違反者に対してとるべき対応としては制裁処分が挙げられますが、ユーザーに制裁を科すにはいくつかの条件があります。具体的には、
- 法律や利用規約に根拠がある
- 法律や利用規約に沿った対応をとる
- 利用規約が不当条項に該当しない
などの条件を満たすことが必要です。例えば、禁止行為として「他のユーザーに対する誹謗中傷」と書かれていた場合は、実際に他のユーザーに対し誹謗中傷の書き込みをしたユーザーに対しては制裁処置を科せる可能性があります。また、制裁内容について「禁止行為を行ったユーザーは退会処分とする」などの記載がある場合は、この記載に沿って対応をとるのが原則です。
ただし、規約の内容が不当条項に該当すると判断された場合は、制裁処分を科すことが難しくなります。不当条項とは、契約において一方の当事者に不当に不利益な契約条項で、消費者契約法では消費者の利益を不当に害する不当条項は無効です。
このように、注意書きや注意事項に違反したからといって、必ずしも適切に対処できるとは限りません。違反者に毅然とした対応をとれるよう、万全な注意書き・注意事項を定めておくことが重要です。
注意書き・注意事項はビジネスに特有のリスクを考慮する
今回は注意書き・注意事項について解説しました。注意書き・注意事項はユーザーや消費者の安全を守るのはもちろん、潜在的な法的リスクを軽減する意味でも非常に重要です。注意喚起が足りずにトラブルが発生した場合は、法的責任を負う恐れもあります。
ただし、注意書き・注意事項によって法的責任を逃れるためには、ビジネスに特有のリスクを考慮し、過不足なく作成することが重要です。マネーフォワードのテンプレートを活用し、それぞれのビジネスに合った注意書き・注意事項を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
無期雇用なのに職場でクビ!?不当でないか確認する方法と対処法
無期雇用契約を締結した従業員は、簡単に解雇できません。無期雇用の従業員を解雇するには、正当性かつ常識的に妥当と思われる理由が必要です。 無期雇用契約であるにもかかわらずクビを言い渡され、職場や企業の違法性について知りたい人もいるでしょう。 …
詳しくみる解雇とは?解雇の種類と条件・流れを解説
解雇とは、従業員との労働契約を、会社から一方的に終了させることです。解雇は会社が自由に行えるわけではなく、合理的な理由などが必要とされ、各種の法律で一定の規制が設けられています。 本記事では、解雇の種類やケース別の注意点、法律による解雇制限…
詳しくみる就業管理とは?勤怠管理との違いやシステム導入時の注意点を解説
就業管理は、従業員を雇用する企業において欠かせない業務です。法律に則った管理を求められますが、目的や業務内容を詳しく把握できていないまま、業務に携わっているケースもあるようです。近年は働き方改革によって、労働基準法は厳罰化され、就業管理の徹…
詳しくみる部下の退職報告書の書き方は?文例・無料テンプレートつき
家族の介護といった家庭の事情や、自身の健康問題などを理由として、やむを得ず退職を選ぶ従業員も存在します。上司は、部下から退職の相談を受けることもあるでしょう。また、退職が決まれば、職場への報告もしなければなりません。当記事では、そのような場…
詳しくみる労働基準法第62条とは?18歳未満の重量物の制限や労災認定もわかりやすく解説
労働基準法第62条は、重量物を取り扱う業務について年少者(18歳未満)の就業を制限し、労働者の安全を守るための規定です。これは年少者が過度に重い物を扱うことで生じる腰痛などの健康被害を防ぐ目的があります。 厚生労働省の調査によれば、4日以上…
詳しくみる借り上げ社宅は従業員が自分で選べる?選ぶポイントや注意点を解説
借り社上げ社宅は、企業ごとで物件選択の自由度が異なります。従業員の希望物件を法人契約する場合や、企業指定の物件から選ぶケースもあるでしょう。 本記事では、借り上げ住宅を従業員自身で探す際のポイントや流れ、注意点について解説します。 借り上げ…
詳しくみる