• 更新日 : 2025年3月5日

【円満退職】パートで契約更新しないで退職するための3つの伝え方

パートの契約を更新しないで退職する際、伝え方によっては円満退職が難しくなることがあるでしょう。

また職場や企業も、パート従業員の契約更新をやめる際、契約状況によっては正当な理由が必要な場合があります。

パート従業員と職場・企業それぞれの立場から、契約更新をしない場合における、理由の伝え方について解説します。

有期労働契約・無期労働契約について

パートとして職場に勤める際、職場とはあらかじめ雇用契約を締結しているはずです。雇用契約には大きくわけて有期労働契約と無期労働契約があり、自身がどちらの形態で契約しているかで、契約更新におけるルールが異なります。まず、有期労働契約と無期労働契約の違いについて解説します。

有期労働契約とは?

有期労働契約とは、労働者と雇用者があらかじめ定めた期間内で働く契約のことを指します。通常、3ヶ月・6ヶ月・1年などの具体的な期間が設定されており、契約期間が満了すると自動的に終了します。契約期間が満了した際、契約が更新される場合もあればされない場合もあるでしょう。

無期労働契約とは?

無期労働契約は、雇用期間に定めがない契約のことを指します。つまり、契約の終了時期があらかじめ決まっておらず、労働者は定年まで働くことが可能です。無期契約は、労働者が一定の条件を満たすことで、有期契約から転換できます。

雇用期間について、契約書の確認方法や有期労働契約を締結する際の注意点など、以下で詳しく解説しているため、あわせてお読みください。

パートで契約更新しないでやめる3つの伝え方

有期労働契約を締結しているパート従業員のなかには、契約満了を機に、更新せずそのまま退職したい人もいるでしょう。しかし、契約を更新せず退職することは、なかなか言い出しにくいものです。退職を伝える際のマナーや、角が立たずに円満退職するための方法について解説します。

1. 退職意思を伝える期限

パートタイムの契約が満了する際に退職の意思を伝えるタイミングは、職場と締結している契約の種類により異なります。

基本的には、雇用契約書に記載された期限までに申し出ます。たとえば、雇用契約書に「退職する際は契約期間が満了する60日前までに申し出ること」との記載があれば、60日前までに職場の上司や人事担当者に伝えましょう。

とくに期日についての記載がない場合は、いつ更新を希望しない旨を申し出ても問題ありません。ただし、引き継ぎや退職の手続きなどを考慮すると、契約期間が満了する1ヶ月前までに、退職の意向を伝えるとよいです。

契約期間満了を理由に退職する場合は、雇用契約の内容を確認し、適切なタイミングで退職の意思を伝えましょう。とくに、職場の上司と契約更新の面談がある場合は、その際に伝えることが望ましいです。

2. トラブルが起きない退職意思の伝え方

契約期間満了を機にパートを円満退職するには、以下のポイントをおさえて伝えましょう。

  • 契約書に定めがない限りは、契約期間満了の1ヶ月前には直属の上司に伝える
  • 退職の意向は直接口頭で伝える
  • 退職理由を明確にして、できるだけポジティブな表現を使う

退職理由はできるだけ前向きな内容である方が円満退職につながりやすく、職場の人も応援してくれるでしょう。

たとえば「新しい業種に挑戦したい」または「実家の仕事を継ぎたい」といった内容があります。反対に、職場や業務の不満を理由とした退職理由は、できるだけ避けた方がよいでしょう。

さらに退職の意向を伝える際は、職場の人に感謝の気持ちを伝えましょう。これまでの経験や学びに対する感謝を伝えることで、良好な関係を保ったまま退職できます。

退職の意向を伝えると同時に、業務の引き継ぎや必要な手続きについても確認しておきましょう。

3. 退職する際に必要なもの

退職の意向を伝えて、契約更新しない方向で合意が得られたら、以下のものを準備しましょう。

  • 退職届
  • 職場から借りている備品や名刺

退職時に必要な準備や持ち物は、就業規則に明記されていれば、内容に従います。また、退職届は法律上必須ではありませんが、就業規則に明記されている場合は提出した方がよいでしょう。

退職時は、職場から源泉徴収票や離職票など、必要なものを必ず受け取りましょう。後日、郵送で送られる場合はいつ頃届く予定かを聞いておくと安心です。

雇用契約を更新しないで円満退職するための正当な理由と体験談

雇用契約を更新せず円満退職するには、前向きな理由付けが大切です。実際に、職場の人に納得してもらったうえで、円満退職につながった理由と体験談について紹介します。ただし、極力事実に沿った理由を伝えましょう。あまりにも事実とかけ離れた理由を伝え、嘘が発覚した場合、関係が悪化するおそれがあります。

家庭の事情で退職したい

正当な理由のひとつとして、家庭の事情や変化による退職理由があります。具体的には以下のようなケースが考えられるでしょう。

  • ケガや病気などで親の介護が必要になった
  • 育児に専念したい
  • 実家の家業を手伝うことになった

家庭の事情や変化にまつわる、円満退職につながった理由の例を2つ紹介します。

「担当する案件が増えたことで残業が増え、仕事をセーブしなければ育児との両立が難しくなりました。業務に関しては非常にやりがいを感じていましたが、家族と相談した結果、夫婦で働き方を見直すことになりました。」

「先日実家の父が倒れ、家業を担う者がおらず、急遽私が継ぐこととなりました。業務を続けながらの両立は困難であると判断したため、誠に申し訳ございませんが退職を考えております。」

転職・就職するため退職したい

新しい業界へ転職・就職することも、円満退職につながりやすい理由のひとつです。以下のような理由を伝えれば、職場の人に納得してもらえやすいでしょう。

  • 新しい業種へチャレンジしたい
  • 正社員としての就職が決まった
  • 遠方での就職・転職が決まった

新しい業界への転職・就職にともなう、円満退職につながった理由の例を2つ紹介します。

「突然ですが、契約満了を機に転職を考えており、退職させていただきたいです。〜という新しい業種での挑戦を通じて、さらに成長したいと考えています。」

「私事で申し訳ありませんが、就職が決まりましたので、契約満了を機に退職したいと考えております。これまでお世話になった皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。退職までに引き継ぎなどの準備を進めさせていただきます。」

あらかじめ職場の同僚や上司に、挑戦してみたい職種や仕事があることを伝えていると、より納得してもらえやすく、応援もしてくれるでしょう。

引っ越すため退職したい

引っ越しで遠方へ移動するため、業務の継続が困難になることも、退職する際の正当性な理由として納得してもらえやすいです。具体的には以下などがあります。

  • 配偶者の転勤
  • 実家で暮らす
  • 移住する

引っ越しを理由に、円満退職につなげるための理由の例を2つ紹介します。

「実は、夫の転勤により〜へ引っ越しをすることになりました。そのため、契約満了を機に退職させていただきたいと思っています。」

「この度、実家の家業を手伝うため〜へ引っ越しをすることになりました。遠方のため、契約満了を機に退職を考えています。退職まで、引き継ぎをしっかり行わせていただきます。」

引っ越すことで職場から離れるため、職場の上司や同僚からも納得してもらえやすいでしょう。家庭の事情であればやむを得ない事情にあたるため、より円満退職につながりやすいです。

パート従業員の雇用契約の更新をやめるには?

職場・企業のなかには、有期労働契約を結んでいるパート従業員を契約期間満了を機にやめさせたいと考えている人もいるでしょう。契約更新をやめることを伝えにくいと考えている場合に、おすすめの方法を紹介します。

雇用契約の内容を確認する

契約満了を機に、雇用しているパート従業員をやめさせる場合、まず従業員と締結した雇用契約書を確認しましょう。おもに下記のポイントを確認します。

  • 契約期間や更新の有無について
  • 解雇に関する条件

契約書に契約更新の条件や手続きが記載されている場合は、内容に従う必要があります。とくに契約更新についての取り決めがない場合は、原則、契約満了時に自動的に契約が終了します。

パート社員と締結する雇用契約書において、注意すべき記載事項や正社員との違いなど、以下の記事で詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。

雇用契約を更新しない件についてパート従業員の同意を得る

雇用契約を更新しない場合、パート従業員からの同意は必ずしも必要ではありません。

有期労働契約で契約期間が満了する際は、契約更新の取り決めがない限り、契約は自動的に終了します。つまり、契約満了時に従業員が更新を希望しない場合、とくに同意を得る必要はありません。

ただし、1年以上継続雇用されている場合や3回以上契約が更新されている場合には、雇止めの予告が必要です。

パート従業員へ雇止めの予告を行う

雇用しているパート従業員を契約満了を機にやめさせる場合、契約が3回以上更新されている場合や、1年を超えて継続勤務している従業員については、雇止めの予告が必要です。

雇止めの予告とは、次回の契約期間満了にともない、契約更新しない旨を従業員へ知らせることで、契約満了の30日前までに行います。

雇止めの予告を行わない場合、雇用主は30日分以上の平均賃金を支払う義務があります。雇止めの予告にかかわる雇用期間満了通知書の書き方や注意点について、以下の記事で紹介しているため、あわせてご覧ください。

パート従業員の契約更新をしない正当な理由と事例

通常、契約期間が満了になれば更新せずそのまま終了できますが、3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務しているパート従業員については、簡単に更新を止められません。

3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務しているパート従業員に対して、契約更新をやめるための正当な理由や事例について紹介します。

再三の業務改善指導に従わなかったため

パート従業員の業務態度が悪い場合でも、すぐにやめさせることはできません。まずは業務改善命令や指示を出す必要があります。改善指示を出したにもかかわらず改善が見られなかった場合は、正当な理由として認められることがあるでしょう。

業務改善指導に従わなかった従業員に対し、契約更新を止める際の伝え方の事例を紹介します。

「業務改善に関する指導を再三行ってきましたが、残念ながらその指導に従っていただけませんでした。業務の質が向上せず、会社の業務運営に支障をきたすため、契約を終了させていただきます。」

複数回出した改善指示に従わなかった場合は、従業員に非があるといえます。改善指導に従わなかったことを理由に契約更新がやめられます。

本契約を更新しないことを事前に伝えていたため

時期による繁忙期にのみ働いてほしい目的などから、今回の契約期間が満了になったら更新しない旨を従業員へ伝えている場合もあるでしょう。あらかじめ伝えている場合は、正当な理由として認められる場合があります。

また、従業員に対して契約更新の継続を期待させるようなことを伝えていない場合も、同様に正当性のある理由として認められやすいでしょう。

パート従業員に対して、契約更新を止める際の伝え方の事例を紹介します。

「契約満了に際し、あらかじめお伝えしていた通り、契約を更新しないことを決定しました。契約期間中における業務の進捗や成果を考慮し、誠に恐縮ではございますが、今後の契約更新は行わないことにいたしました。」

契約を更新しない旨を予告することで、従業員も納得のうえ、備える期間を十分に確保できます。そのため、契約更新を止めても問題ないとされます。

経営上の理由により契約更新が困難になったため

事業の縮小や担当業務の中止などから、やむを得ず契約更新が困難になることもあるでしょう。経営上の理由も、正当な理由として認められる場合があります。

経営上の問題を理由とした場合における、従業員へ契約更新をやめる際の伝え方の事例を紹介します。

「経営上の理由により、現在の業務体制を見直す必要が生じました。そのため、契約更新が困難となり、契約を終了させていただくこととなりました。ご理解いただけますようお願い申し上げます。」

本来であれば、従業員の契約更新を継続できる経営が望ましいとされています。しかし、予期せぬ問題やトラブルなどから、やむを得ず契約の継続が難しい場合、正当性があるとして認められる場合があります。

パートで契約更新しない場合は1ヶ月ほど前から伝えましょう

パートで契約更新をしない場合は、契約が切れる1ヶ月ほど前に、口頭で伝えましょう。

さらに、円満退職するなら前向きな理由と感謝の気持ちが大切です。

また職場や企業側にて、契約満了を機にパート従業員を退職させる場合、業務や契約の内容によっては正当な理由がなければ難しい場合があります。

お互いが良好な関係のまま退職手続きが完了できるよう、退職に関する準備は念入りに行いましょう。


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