- 更新日 : 2025年9月11日
【無料テンプレ付】労働安全衛生委員会の議事録の作成・保管ルールは?書き方や記載項目を解説
職場における安全や衛生を守るために、事業主には安全衛生管理体制を敷く義務があります。安全委員会や衛生委員会などもそのひとつですが、両者を合わせた安全衛生委員会を設置することも認められています。当記事では、安全衛生委員会の概要や議事録の書き方、周知保管などについて解説します。
目次
安全衛生委員会とは?
労働安全衛生法では、建設業や鉄鋼業、自動車整備業など、一部の業種で一定以上(常時50人または100人)の労働者を使用する場合には、「安全委員会」を設けることを義務付けています。安全委員会は、労働者の危険防止対策や、労働災害の再発防止策などを調査審議し、事業主に対して意見を述べます。
また、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する場合には「衛生委員会」の設置が必要です。衛生委員会は、労働者の健康障害の防止対策や、健康の保持増進に関する事項について調査審議し、事業主に対して意見を述べます。
安全委員会と衛生委員会は、企業における安全衛生管理体制において、欠くことのできない存在です。両委員会の意見を反映することで、労働者にとって安全かつ衛生的な労働環境を構築できます。また、安全委員会と衛生委員会の双方の設置義務がある場合には、両委員会の設置に代えて、ひとつの委員会を設置することが可能です。この委員会が「安全衛生委員会」です。安全衛生委員会は、安全委員会と衛生委員会の調査審議すべき事項すべてを調査審議し、事業主に意見を述べます。
安全衛生委員会の議事録を作成すべき理由は?
安全委員会と衛生委員会、または両者を合わせた安全衛生委員会は、毎月1回以上委員会を開催しなければなりません。また、開催された委員会は、議事録を作成することが必要です。これは、労働安全衛生規則によって、議事で重要なものに関わる記録は、一定期間の保管が求められているためです。労働基準監督署の臨検(立ち入り調査)時に、議事録の提出が求められる場合もあります。
この対応のためにも、議事録を作成しなければなりません。また、議事録を作成することで、委員会において、議論すべきテーマの重複を避けられるだけでなく、欠席した委員へ議事の情報を提供する際にも役立ちます。
安全衛生委員会の議事録の書き方・記載事項は?
安全衛生委員会の議事録は、法の要請によって作成が義務付けられていますが、具体的な記載内容は定められていません。しかし、通常記載すべき重要な項目は存在します。安全衛生委員会の議事録における記載事項について紹介します。
開催日時
委員会が開催された日時と場所を記載することが必要です。安全衛生委員会は、月に1回以上の開催が義務付けられているため、その日付を確実に議事録に残しておかなければなりません。また、法定の委員をもって、委員会が構成されていることを証明するために、参加者の記載も必要です。
議題
「労働災害の報告と対策」「安全衛生教育の実施状況」など、委員会を開催し、委員の間で話し合うべき議題を記載します。この議題の重複を避けるためにも、議事録の作成が必要です。
議事内容
議題ごとの議事の内容を記載します。たとえば、「安全衛生教育の実施状況」であれば、教育プログラムの実施日や、その内容、参加者などを記載することが必要です。「職場環境改善の提案」が議題であれば、どのような提案があったのかを具体的に記載しましょう。
決定事項
次回予定
次回の委員会を開催する日時と、開催場所を記載します。安全衛生委員会は、月に1回以上開催しなければならないため、1月を超えて期間が空いてはなりません。議事録を残しておけば、欠席者にも次回の予定がわかりやすく伝わります。
備考
上記のほかに、必要となる事項があれば、この欄に記載します。次回の委員会における議題提案の締切日時などが考えられます。また、議長による委員会の総括コメントや、産業医のコメントなどが記載される場合もあるでしょう。特に制限はないため、必要に応じて記載してください。
安全衛生委員会の議事録に使える無料テンプレート
安全衛生委員会を設置したものの、議事録が正しく作成できるか不安な方もいるでしょう。職場の安全衛生管理を話し合う重要な委員会であるため、誤ったことは書けないと萎縮するかもしれません。
そのような場合には、議事録のテンプレートの利用が便利です。記載すべき事項欄はすでに作成されており、抜け漏れなどを防げるだけでなく、手間も掛かりません。
下記リンクから、テンプレートがダウンロードできます。無料で利用できるため、ぜひお気軽にご利用ください。
参考:
労働安全衛生委員会議事録(ワード)|マネーフォワード クラウド給与
労働安全衛生委員会議事録(エクセル))|マネーフォワード クラウド給与
安全衛生委員会の議事録の保管・周知のルールは?
安全衛生委員会の議事録は、ただ作成しておけばよいものではありません。労働安全衛生規則第23条により、3年間の保管と、労働者への周知が義務付けられています。労働基準監督署の臨検時に3年分の提出が求められるため、最低でも3年間の保管が必要ですが、3年を超えて保管したとしても問題ありません。また、議事録は文書だけでなく、電子データとして保管することも可能です。
周知は、労働者へ書面で交付するだけでなく、以下のような方法も認められています。
- 事業場内における見やすい場所での掲示
- 社内のイントラネットにて公開、または交付
- 社内メールを利用して通知
委員会の決定事項を労働者に周知することで、安全衛生に関する意識がより向上するでしょう。企業と従業員にとって、利便性の高い方法で周知してください。
安全衛生委員会の議事録は正しい保管と周知を
職場の安全衛生において、安全衛生委員会の負う役割は大きいものです。そのため、その議事録も正しく作成し、定められた期間保管しなければなりません。当記事での解説を参考にして、正確な議事録を作成し、正しく保管と周知を行ってください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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