- 更新日 : 2025年7月30日
賞罰とは?履歴書の賞罰の範囲はどこまで?書き方やポイントを解説
履歴書に記載する賞罰とは、「過去に受けた受賞歴・表彰歴」と「過去に犯した犯罪歴」の2つを意味します。就活生などから提出された履歴書を確認する際は、賞罰の範囲はどこまでなのか迷うこともあるでしょう。
本記事では賞罰それぞれの基準となる書き方や、履歴書に記載がない場合の問題を解説します。
目次
賞罰とは?
賞罰とは、「過去に功績を称えられた受賞歴や表彰歴」と「刑法犯罪を犯したことによる犯罪歴」を指します。履歴書には賞罰を記入する欄があり、人事で受け取った履歴書に記載がない場合、どのように取り扱えばよいか迷うかもしれません。
ここでは、賞罰の記入について解説します。
履歴書に賞罰の記入は必要?
市販されている履歴書には賞罰を記載する欄がないものもあり、記載欄がない履歴書には賞罰を書く義務はありません。
しかし、会社指定の履歴書などに賞罰の欄がある場合、告知義務が発生します。
雇用契約は比較的長い期間、会社と従業員が雇用関係を結ぶため、信頼関係の構築が必要です。履歴書に賞罰の欄があり、申告すべき「罰」があるにもかかわらず申告しなかった場合には、信頼関係を損なうでしょう。
企業の就業規則には、入社時に告知義務違反があったときには解雇になりうる旨が記載されるケースも少なくありません。記載すべき「罰」を記載しなかったことが発覚すれば、告知義務違反として解雇になる可能性があるでしょう。
履歴書の「賞」の基準と書き方
履歴書の「賞」で書くものは「過去に受けた表彰歴や受賞歴」ですが、書き方に特別な決まりはありません。
ここでは、履歴書の賞罰に記入できる「賞」の一例を紹介します。
知名度が高い「賞」
賞罰の「賞」に記入するものとして代表的なのは、ある程度知名度が高いものです。主に、次のようなものがあげられます。
- 全国や国際レベルの大会での受賞や表彰
- 誰もが知っているような有名な賞
- 大規模に開催されているイベントから受けた表彰
高校や大学でもらった皆勤賞や努力賞といった賞は知名度がなく、記載の必要はありません。
官公庁からの感謝状など
官公庁からの感謝状も「賞」に記入できます。官公庁からの感謝状としては、ボランティア功労者に対する厚生労働大臣表彰、骨髄提供を行ったドナーに対する厚生労働大臣感謝状、政府の事業への貢献に対する感謝状などが該当します。
人命救助や犯人逮捕への協力に送られる消防署・警察からの感謝状も、履歴書「賞」に記入できる内容です。
小規模・古すぎる受賞、表彰歴は適していない
スポーツの区大会や都道府県大会など小規模で知名度がないものや、受賞した時期が10年以上前など古すぎる受賞・表彰歴は、「賞罰」の記載に適していません。それらは現在に通用するものではなく、アピールにならないものです。
受賞歴・表彰歴がこれらに該当するものだけの場合は、賞罰欄に「なし」と記入すれば問題ありません。
社内表彰や皆勤賞は対象外
「社長賞」「皆勤賞」「MVP表彰」など、前職で実績を上げたときに社内で受けた表彰も、賞罰には記入しません。世間的には知名度が低いものと判断されるためです。
これらの表彰は選考の判断基準にはなりうるものですが、賞罰ではなく職務経歴書に記載するのが適切です。
その他の「賞」のアピールの仕方やポイント
知名度の低い受賞・表彰でも、まったくアピールできないわけではなく、職務経歴書に記入することが可能です。あるいは、履歴書の「自己PR欄」に記入するのが適切でしょう。
「賞」に書く必要のないものでも職務経歴書や履歴書に記載してもらうことで、選考の判断基準になります。
表彰されてはいないが特技や得意分野があり、アピールしたい場合には、履歴書の「自己PR欄」が適しています。
履歴書の「罰」の基準と書き方
「罰」で書く内容も「賞」と同じように特別な決まりはなく、基本的に刑事罰による犯罪歴を記入します。刑事罰とは、刑法犯として有罪判決を受けて科されたもので、懲役刑や禁固刑、罰金刑などが該当します。
「罰」で書く内容の一例をみてみましょう。
重大な交通違反や人身事故
「罰」として記入するのは、悪質または重大な交通違反や人身事故、および酒気帯び運転で有罪判決を受けたものがあげられます。交通違反点数が4点以上のものも記入が必要です。
スピード違反や駐車違反などの軽い交通違反は行政罰となり、賞罰欄に記載する必要はありません。
傷害罪や公然わいせつ罪
傷害罪や公然わいせつ罪で有罪判決を受けた場合も、賞罰欄への記載が必要です。ただし、執行猶予になった場合、その期間に何もせず猶予を取り消されることなしに期間が過ぎた場合、刑は消滅します。執行猶予の期間中であれば記載は必要ですが、猶予期間を経過している場合は書く必要がありません。
また、少年時代に犯した罪は未成年での出来事であり、記載は不要です。
記入する必要がない「罪」の基準
「罰」として記入の必要がない「罪」は、以下のとおりです。
- 不起訴になった場合
- 裁判中の事件
- 懲戒解雇
- 効力が消滅した前科・前歴
告訴されたのちに示談などで不起訴となった場合や裁判中の事件は、有罪の判決を受けているわけではないため、記入の必要はありません。
また、刑の言い渡しの効力が消滅した前科・前歴も記入は不要です。効力が消滅するのは、以下の期間を経過した場合です。
- 懲役刑:刑の執行が終了してから10年を経過したとき
- 執行猶予: 執行猶予期間が終わったとき
- 罰金刑:罰金を納めてから5年以上経過したとき
また、「罰」に該当するのは刑事罰であり、前職の会社を懲戒解雇になった場合でも記入は不要です。
職種による「罰」の例外
賞罰の「罰」に記入するのは基本的に刑事罰ですが、職種によって例外があります。
例えば、トラックやタクシーなどの運転手は、交通違反歴・交通事故歴について詳細にチェックされます。一般的には記入の必要がない行政罰の「軽度の交通違反」も告知しなければなりません。
運転手の場合、交通違反歴は業務遂行に必要な資格にかかわる重要な事項に該当するためです。
履歴書に賞罰を書かない場合どうなる?
履歴書の賞罰欄に書くべき賞罰がない場合は、空欄にせずに「なし」と記入します。履歴書に賞罰欄がない場合は、賞罰を書かなくても問題ありませんが、学歴・職歴を記入する欄の最後に「賞罰なし 以上」と記入するのが一般的です。
告知義務のある「罰」があり、賞罰欄がある履歴書を使用しながら記入しない場合は、「告知義務違反」として解雇になるケースもあります。
履歴書の賞罰は書き方をチェックしよう
履歴書の賞罰欄がある場合、書くべき内容がある場合は記入が必要です。応募者には告知義務があり、書くべき「罰」があるにもかかわらず書かない場合は告知義務違反になります。
賞罰の「賞」は書く必要があるものとないものがあり、必要がないものでも自己PR欄や職務経歴書に記入し、アピールとなる場合があります。書類選考では、そのような点もチェックするとよいでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
お中元のお礼状の書き方は?メール・はがきの例文、遅れた場合を紹介
お中元の季節が近づくと、多くの企業では贈り物を準備します。しかし、お中元を受け取った後のお礼状の書き方については、意外と知らない人が多いのではないでしょうか。この記事では、お中元へのお礼状の書き方、メール・はがきの例文、遅れた場合の対処法を…
詳しくみる労働協約とは?労使協定との違いや締結プロセスを解説
会社で働くうえでは、給与や休暇をはじめとする様々な取り決めがなされます。労働条件などをあらかじめ当事者間で定めることによって、後のトラブル発生を防止しています。 当記事では、労働協約について解説します。労使協定との違いや適用範囲、注意点など…
詳しくみる育休からの職場復帰はどうする?復帰の流れや復帰前にすべき準備を解説
育児休業からの職場復帰は、従業員にとっても企業にとっても大きな節目です。期待と不安が入り混じるこの時期をスムーズに乗り越え、仕事と育児を両立しながらキャリアを継続していくためには、周到な準備と正しい知識が不可欠です。 この記事では、育休取得…
詳しくみる退職勧奨で弁護士に同席してもらうことは可能?メリットや費用を解説
退職勧奨の場では、弁護士の同席が認められる場合があります。 本記事では、弁護士が同席することで得られる利点や注意点、一般的な費用の目安などについて解説します。また、退職勧奨に詳しい弁護士を選ぶ際のポイントや探し方もわかるでしょう。適切な専門…
詳しくみる育休中の転職活動はアリ?デメリットや後悔しないための退職の流れ
育休中でも転職活動を行い、新しい職場へ移ることは法律的に問題ありません。また、育児休業給付金の返還義務もないため、金銭的なリスクを心配する必要もないです。 ただし、育休中の転職には独自の注意点や課題があるため、慎重な準備が求められます。 本…
詳しくみるクレドとは?語源はなに?会社・企業での使い方や目的を紹介
クレドとはラテン語の「Credo」が語源となっており、ビジネスでは企業全体の従業員が心がける信条や行動指針を指す言葉として使用されます。クレドがあることで従業員のモチベーションが向上したり人材育成を行えたりするメリットがあるのです。この記事…
詳しくみる