- 更新日 : 2025年6月23日
マイナンバー制度で「住民税のごまかし」が効かなくなる!
マイナンバー制度が導入されると住民税額を計算する際の行政上の手続きが一段とスマートになります。今回はそもそも住民税額はどのように決められているのかというところから、「住民税のごまかし」ができなくなる要因を説明していきます。
目次
住民税がごまかせなくなるワケ
住民税額はこうして決まる
まずはそもそも住民税額がどのように決められているのかを知っておきましょう。私たちが支払う住民税は「個人住民税」と言います。これは都道府県民税と市区町村民税の総称で、都道府県と市区町村それぞれから徴収される税金です。
この2つの住民税にはそれぞれ「所得割」「均等割」があり、これらに加えて都道府県民税として納める「利子割」「配当割」「株式等譲渡所得割額」「個人事業税」の4つがあります。このうちの均等割だけが都道府県・市区町村でそれぞれ一律に税額が決められていて、あとの5つはそれぞれに関係する所得金額に応じて税額も決定されます。
住民税額を決めるのは大変?
こうやって見てみると住民税額の計算方法は単純で、さほど難しくないように思えます。それこそ「住民税のごまかし」をしようとすれば、あっという間にばれてしまいそうです。
しかし各自治体からすると現状の住民税額の計算はかなり大変です。国税庁や税務署、企業、年金保険者や住民から提出される確定申告書、給与支払報告書、年金支払報告書などをもとに計算を行うわけですが、それぞれの書類に書かれている情報が本当に同一人物のものなのかを判別する作業(名寄せ作業)に途方もない時間と手間がかかるからです。
例えば「斉藤か斎藤か」「○丁目○番○号か○-○-○か」といった違いは日常生活では「どちらでもいい」と思っているような差です。しかし住民税を計算する際には「ひょっとすると別人かもしれない」という可能性がある限り、同一人物かが確認できるまで延々と確認作業をすることになるのです。
マイナンバー制度導入後の住民税はこうなる

マイナンバー制度が導入されるとこの名寄せ作業はあっという間に終わってしまいます。各自治体が住民税の計算に使う各書類にはこれまで通りの氏名や住所などと一緒にマイナンバーが記載されるからです。このマイナンバーが一致すれば同一人物であることがわかるので、いろいろな書類を突き合わせながら判別する必要がなくなるのです。
住民税の支払いを滞納している人のチェック自体が簡単になり、書類突合の手間が省ける分の時間をかけて実施できることになるため、これまで以上にごまかしはきかなくなると想定されています。
マイナンバー改正法で住民税はもっと正確に
マイナンバー改正法には「マイナンバーの利用範囲を金融・医療分野にも拡大させる」という内容が盛り込まれています。これまでのマイナンバー制度では個人、もしくは法人のお金の出入りを正確に把握することはできませんでした。
先ほど例に挙げた確定申告書、給与支払報告書、年金支払報告書の3つの場合はどれも「これだけお金を(個人が)受け取りました・(法人が)支払いました」という内容を示すだけで、それ以外のお金の流れは追えません。しかし特に金融分野にもマイナンバーが利用されれば個人のお金の出入りも把握できるため、正確な所得額の計算がしやすくなるというわけです。
マイナンバー制度導入で変わる住民税関連手続き
マイナンバー制度導入で税務手続きはどう変わる?
マイナンバー制度導入後の税務関連の書類に加えられる変更は、さほど大きくはありません。例えば支払調書のように「支払を受ける者」の「氏名または名称」欄の横にマイナンバーを記載する欄が設けられたり、用紙サイズが変更になる、といった程度です。ただしマイナンバーを従業員から提出してもらう際には、厳格な本人確認等が必要になるので、その点には注意が必要です。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」はどう変わる?
年末調整の書類として馴染み深い「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、個人住民税にも関わってきます。この書類には従業員本人だけでなく、その配偶者や扶養家族のマイナンバーも必要になります。この場合、配偶者・扶養家族の本人確認は従業員が行うことになっているため、事業者に本人確認義務はありません。
「住民税及び事業税の申告書」はどう変わる?
マイナンバー制度が導入されると、個人・法人問わず「住民税及び事業税の申告書」にはマイナンバーの記載が必要です。ただし個人と法人では申告書へのマイナンバーの記載が必要になる時期が違うので注意しましょう。
個人住民税及び個人事業税の申告書の場合は、平成29年度分からマイナンバー制度が適用されるので、平成29年(2017年)3月15日までに提出する申告書にはすでにマイナンバーの記載をしなくてはいけません。対して法人住民税及び法人事業税の申告書は、平成28年(2016年)1月1日以降に開始された事業年度分からマイナンバーの記載が必要です。
まとめ
マイナンバー制度が導入されると住民税額を計算する際の行政上の手続きが一段とスマートになります。結果的に漏れや重複が少なくなり、正確な課税が可能になるでしょう。あの手この手で住民税をごまかしてきた人はともかく、きちんと住民税を支払ってきた人にとっては不公平感の少ない税制の実現が期待できます。
photo by JD Hancock
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
退職後も住民税の支払いは発生する?退職後に必要な住民税の手続きとは?
退職後、住民税は自身で納付しなければならないと聞き、支払いが発生するタイミングや必要な手続きについて知りたい人もいらっしゃるでしょう。 退職前は、企業や職場が給与から天引きして納めてくれていましたが、退職後は納付方法が変更され、自身で納めな…
詳しくみる【テンプレート付き】給与明細の電子化には同意書が必要?サンプル・フォーマットも紹介
給与明細の電子化には、法律で従業員の同意が必要だと定められています。 本記事では、同意書の作成から従業員が電子化に同意しない理由、そしてスムーズに導入するための対策までを解説します。 合わせて、同意書サンプル・フォーマットもご紹介するので、…
詳しくみる有給休暇の金額が6割になるケースとは?計算方法や違法性を解説
有給休暇を取得した際の給与が「6割になる」と聞いたことはありますか? 実は有給休暇中の給与計算には法律で認められた複数の方法があり、条件次第では支給額が通常の約6割程度となるケースもあります。こうした支給額の違いは違法なのでしょうか? この…
詳しくみるボーナス(賞与)の前に退職したらもらえない?退職を伝えるタイミングと3つの注意点
基本的にボーナスの支給は、支給日に企業や職場に在籍していることが条件です。そのため、支給日前に退職したらもらえない場合がほとんどです。 実際に、大きな業績を上げて職場に貢献したにもかかわらず、退職の意思を伝えた途端、ボーナスが減額されるどこ…
詳しくみる給与明細をもらえないのは違法?テンプレートをもとに記載内容も解説
会社は給与明細書を従業員に交付する義務があります。また、交付する期限も設けられているため注意してください。 本記事では、なぜ会社が給与明細を交付しなければならないのかについて解説します。あわせて、給与明細に記載すべき内容や給与明細に使える無…
詳しくみる賃金台帳と給与明細の違いは?代用できる?フォーマットや書き方も解説
賃金台帳と給与明細の違いについて理解できていますか?賃金台帳は、賃金の支払状況を記録するための書類で、給与明細は会社が従業員に給与額や控除額などを通知するために交付しなければならない書類です。 本記事では、賃金台帳と給与明細の違いについて解…
詳しくみる