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  • 作成日 : 2019年10月10日
  • 更新日 : 2020年10月7日

国際会計基準(IFRS)と日本の会計基準の概要と違い・導入メリット・デメリット

現在、欧州連合(EU)では、連結財務諸表における国際会計基準(IFRS/International Financial Reporting Standards)の適用を上場企業に義務付けています。また、EU域内ではなくても、EU企業と取引をするかぎりはIFRSやこれに類する会計基準を用いるよう求めたことで、IFRSの導入は世界的に進んできています。国際会計基準の導入を進める国が世界で増えていく傾向のなか、日本はどうすべきなのでしょうか。
今回は、国際会計基準を導入することについて説明していきます。

会計基準とは

会計基準とは、財務諸表を作成する上でのルールです。現在のところ、会計基準は国際的に統一されているわけではありません。日本の会社は日本で認められている会計基準の中から自社に合った会計基準を選択できます。

日本で選択できる会計基準は?

会計基準とは財務諸表を作成する上でのルールを言います。日本では、次の4種類の会計基準からいずれかを選択することが認められています。

 概要メリットデメリット
採用している企業の傾向
日本会計基準
「企業会計原則」をベースにし、企業会計基準委員会が設定した会計基準を合わせたもの
なじみやすい
国際市場で影響力がない

一般的な日本企業
米国会計基準

米国財務会計基準審議会(FASB)が発行

財務会計と税務会計が独立していてそれぞれで都合のよい基準を選べる

特殊なケースでは適用すべきルールが相反することがある

アメリカで上場している企業

国際会計基準
(IFRS/国際財務報告基準)

世界共通の会計基準を目指して作られたもの

採用すると海外での資金調達がしやすくなる

導入に時間と労力がかかる

海外に多数の子会社がある企業

J-IFRS
(JMIS/修正国際基準)

国際会計基準(IFRS)の日本版

日本国内の経済状況に合わせて調整されている

海外からの資金調達における有効性は薄い

国際会計基準に関心のある企業

日本における会計基準の傾向

2005年にEU域内の上場企業にIFRSが義務付けられるようになって以降、日本政府は日本の会計基準をIFRSに収斂(コンバージェンス)させる方針を固めました。ちなみに、日本では日本会計基準により財務諸表を作成するのが原則でしたが、アメリカの証券取引所に上場している企業については、特例により米国会計基準での財務諸表作成が認められる扱いになっていました。

2009年には企業会計審議会が、IFRSの任意適用を認めることを盛り込んだ「我が国における国際会計基準の取扱い(中間報告)」(日本版IFRSロードマップ)を公表しました。その後もIFRSの強制適用に向けて準備が行われていましたが、リーマンショック後の長引く不況や東日本大震災の影響もあり、進展しないままになっています。しかし、2013年には日本版IFRSであるJ-IFRS(JMIS)が導入されるなどコンバージェンスは進み、2020年9月時点、IFRSを適用している企業の数(予定も含む)は226社にのぼっています。

会計基準をめぐる日本政府の動き

政府の動向概要
2007年ASBJ及びIASB「東京合意」
日本の会計基準をIFRSにコンバージェンスさせる方針
2009年企業会計審議会「我が国における国際会計基準の取扱い(中間報告)」
(日本版IFRSロードマップ)
・IFRS任意適用を開始
・連結財務諸表のみIFRSを適用
・米国会計基準の使用期限(2016年3月末)の設定
2011年金融担当大臣談話「IFRS適用に関する検討について」
・当面はIFRSの強制適用はない
・米国会計基準の使用期限の撤廃
2013年企業会計審議会「国際会計基準への対応の在り方に関する当面の方針」
・IFRS強制適用の是非についてはいまだ判断すべき状況になく、IFRS任意適用企業の積み上げが重要
・JMISの導入
2014年「日本再興戦略」改訂2014の閣議決定
・IFRSの任意適用企業の拡大促進
2015年「日本再興戦略」改訂2015の閣議決定
・IFRS任意適用企業のさらなる拡大促進
2016年「日本再興戦略」改訂2016の閣議決定・IFRSの任意適用企業の拡大促進
・IFRSに関する国際的な意見発信の強化
・会計基準の高品質化
・国際会計人材の育成

国際会計基準(IFRS)とは?

ここではIFRS(イファース/アイファース)と呼ばれる国際会計基準について、より詳しく説明していきます。

ちなみに、IFRSとは「International Financial Reporting Standards」の略で、国際財務報告基準と訳されることもあります。IFRSは、IASBと呼ばれる国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board)が世界共通の会計基準を目指して作成したものです。

国際会計基準(IFRS)の特徴

今後グローバルな基準となるIFRSには特徴として「原則主義」や「貸借対照表重視」といった点があります。

原則主義とは、財務報告に関する原則のみを明確にし、具体的な解釈や運用は各企業に任せるというものです。これに対し、日本は数値などを細かく定める細則主義です。

また、日本基準では損益計算書重視ですが、IFRSでは貸借対照表重視となっています。IFRSでは、資産から負債を差し引いた純資産を利益と考えます。

日本会計基準と国際会計基準(IFRS)の比較

日本会計基準とIFRSで異なるのは次の表のような点になります。

 日本会計基準IFRS
収益認識基準(売上計上基準)収益が実現した時点で計上する実現主義(*)
履行義務が充足された時点で収益を認識
非上場株式の貸借対照表計上額
原則として取得原価時価評価
M&A時に受け入れた無形資産の評価(買収側)
特許権や商標権などの法律上の権利は時価評価して計上
ライセンス契約、フランチャイズ契約、顧客リストなども含め時価評価して計上
のれん20年以内で定額償却非償却
固定資産の耐用年数
法人税法の耐用年数
企業が固定資産を使用する予定の期間
研究開発費
すべて発生時に費用処理研究費は発生時に費用処理し、開発費は要件をみたす場合のみ資産計上

*収益認識基準に関しては、2021年4月1日以後開始する事業年度の期首より企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(いわゆる「新収益認識基準」)が強制適用され、IFRS同様、履行義務が充足された時点で収益を認識するようになるため、日本会計基準も基本的にはIFRSとほぼ同じ取り扱いとなります。

国際会計基準(IFRS)適用に関して知っておくべきことは?

国際会計基準(IFRS)導入のメリット

IFRS導入のメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  1. 資金調達の方法が多様化する
  2. IFRSといういわば「世界標準」の会計基準を適用した財務諸表を作成すれば、国外の投資家にとって、IFRSを適用している日本企業の財務内容をより理解しやすくなります。これにより、国外の投資家が日本企業に投資をしやすい状況を作れるため、資金調達の幅が広がる可能性がでてきます。

  3. 企業運営に役立つ
  4. 国外の子会社でも同じ会計基準を使うことで、財務情報を分かりやすく均一な情報として把握できます。また、正確に財務情報を比較できるので、運営方針の決定に役立ちます。

  5. 必要になるたびに海外の会計基準に書き換える必要がなくなる
  6. 国際取引において、社内で利用している財務諸表をそのまま利用できます。IFRSは世界標準の会計基準であるため、現状のように、日本基準から相手国の会計基準等に合わせて会計資料を変換(コンバージョン)することなく、そのまま提出できるようになります。

国際会計基準(IFRS)導入のデメリット

国際会計基準導入のデメリットとしては以下のような点が挙げられます。

  1. 適用までにかかる時間や労力が大きい
  2. 現状の会計基準を変更することにより、システムの変更が必要です。それに合わせ、運用するまでに担当者等への教育等の費用も必要です。つまり、時間・労力及び費用がかかります。

  3. 財務報告の変換(コンバージョン)が必要となる
  4. IFRSの適用会社では、連結計算書類をIFRSにもとづき作成したとしても、個別財務諸表については日本基準で作成しなければなりません。したがって、日本基準で作成した個別財務諸表を連結に際してIFRSに変換(コンバージョン)しなければならないので、その時間・労力が必要となります。

  5. 資産・負債の範囲が広くなるため、負担が発生する
  6. 導入時には、今までの基準では必要がなかった資産が範囲に含まれるため、対応すべきものが増えます。資産を時価で評価し直さなければならないこともあり、負担が大きくなります。

国際会計基準(IFRS)の導入方法

IFRSを導入するやり方は、次のような流れになります。

  1. 準備
  2. 適用時期を決めて計画書を作成します。

  3. 導入
  4. 計画書にもとづき、会計方針を文書化したり、モデル財務諸表を試作したりします。モデル財務諸表の作成にあたっては、財務諸表の本体の数字だけではなく、注記情報の元となるデータも効率的に集めなければなりませんので、子会社等から情報を集める場合はレポーティング・パッケージに記載する情報等の見直しも検討します。

  5. 運用
  6. 新システムの運用を開始し、問題点があれば修正を行います。

国際会計基準(IFRS)適用企業との取引で気を付けること

最後に、すでにIFRSを適用している会社と取引する際に気を付けたいことをピックアップして解説します。

  • 契約締結の際に収益認識基準(売上計上基準(収益認識基準)を明確にする
  • 日本では、売買における収益は「出荷基準」とするのが一般的です。出荷基準では、出荷が完了した時点で収益を計上します。

    一方、IFRSでは売買の収益は重要なリスク・経済的価値の移転等の要件をみたした時点で計上されます。そのため、検収完了時に収益を計上する「検収基準」となります。

    IFRS導入企業と取引するときには、売買契約を締結するときに、どの時点でリスク・経済的価値が移転するのかを明確にしておく必要があります。

  • 資産の時価評価が必要
  • 日本基準では貸借対照表上、非上場株式は取得価額で計上されています。

    一方、貸借対照表重視のIFRSでは、非上場株式を時価評価して計上しており、取引時にも、非上場株式の貸借対照表計上額以外に、時価評価額を求められる可能性があります。その他、M&A時に受け入れた無形資産の評価なども時価で行う必要があります。

海外を見据えるなら国際会計基準の採用検討を

EUで均一化されたことから、各国で国際会計基準とされるIFRSの導入が進んでいます。日本においても会計基準をIFRSにコンバージェンスさせる動きが続いており、IFRSの任意適用企業も着実に増えています。今後は、IFRSの強制適用に向けての動きがさらに強まる見込みです。

グローバル化により、海外での資金調達が必要な場面は増えています。IFRSを導入することにより資金調達の選択肢も増えるものと考えられ、海外進出する場合はメリットがあるでしょう。

日本会計基準とIFRSには考え方が異なる点も多く、導入について消極的な企業も多いかもしれません。しかし今後はIFRS導入企業と取引をする機会があることも予想されます。もはやIFRSについて知識を持っておくことは必須とも言えますので、まずは情報を収集し、導入についても検討を始めましょう。国内における適用事例もかなり増えてきておりますので、他社事例等を参考にしてみるのもよいでしょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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