• 作成日 : 2016年3月31日
  • 更新日 : 2019年4月8日
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年末調整の提出書類まとめ 申告書の書き方を解説

年末が近づいてくると、経理担当者が慌ただしく「年末調整」の指示を出して回るようになります。

しかし、なぜ年末に行わなければいけないのか、どうして年末調整を行わなければいけないのか、その理由を把握していない人も多いのではないでしょうか。

これらの情報に加え、ここでは、年末調整に必要な提出書類や、基礎知識をご説明していきます。

年末調整は何のためにするの?

まず、何のために年末調整が必要なのでしょうか。

年末調整は、給与を受け取っている人がするものです。会社などに勤めている場合、毎月の給与や賞与を受け取っています。すると、その給与や賞与から、必ず「所得税」の金額分だけ、天引きされて支払われています。

しかし、所得税は本来、年間の所得から税額が決まるものです。年末になり、1年の最後にもらう給与額が決まると、1年間の所得額が決定することになります。1年間の所得が決定すると、同時にその年の所得税額が確定します。

毎月天引きされる所得税は、所定の源泉徴収税額表に基づいて計算されます。しかし、その源泉徴収をした税額の1年間の合計額は、その人の年間の給与総額について納めなければならない税額(年税額)と一致しないのが通常です。
この一致しない理由は、人によって異なりますが、(1)年の中途で給与の額に変動があること、(2)年の中途で扶養親族の異動があること、(3)生命保険料控除・地震保険料控除などが要因として挙げられます。
このような不一致を解消するため、1年間の給与総額が確定する年末にその年に納めるべき税額を正しく計算し、それまでの過不足分を精算することが必要となります。この精算の手続きを「年末調整」と呼びます。

年末調整では、あらゆる控除額も踏まえて調整が行われます。扶養家族がいる場合は扶養控除を受けたり、生命保険料を支払っている場合などには、生命保険料控除などが受けられます。

提出書類の詳細については、次の項目で触れていくことにしましょう。

年末調整の提出書類をリストアップ

年末調整に必要な提出書類は、主に3つあります。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書
※配偶者控除及び配偶者特別控除の改正等により、平成30年分より様式が変わっております。

そして対象者のみが提出する、給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書があります。

また、ここで特に抑えておきたいのが控除のために必要な提出書類です。

・生命保険料控除証明のための保険会社からのハガキ
・地震保険料控除証明のための保険会社からのハガキ
・個人型の確定拠出年金の掛け金を証明する書類など
・国民年金、国民健康保険など、社会保険料を証明する書類
・配偶者特別控除に必要な源泉徴収票などの収入証明
・住宅ローン控除に必要な住宅借入金等特別控除申告書、借入金の年末残高等証明書などの書類

控除についてあまり詳しく知らない人の中には、保険料を払っていても、控除をうけていなかったというケースもあります。これらの控除を受けるには、自分から申請をしないと受けられないことも多々あります。
なお、医療費控除は年末調整ではなく、自身で確定申告を行う必要があります。

疑問を感じた方は、企業の経理担当者に、どのタイミングで書類を提出すればいいのかなど、きちんと聞いておきましょう。

年末調整に必要な提出書類の記入方法

控除が受けられる年末調整の書類。今年はスムーズに記入したくはありませんか?ここでは、年末調整に必要な提出書類の記入方法をご紹介します。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書


給与所得者の扶養控除等申告書記入例
(参考:給与所得者の扶養控除等 (異動)申告|国税庁HP

こちらの書類は、市町村名や会社名、自分の名前や生年月日などを記入して、印鑑を押して提出します。

また、源泉控除対象配偶者に関しても記入をしていきます。源泉控除対象配偶者には、婚姻関係にある配偶者に関する情報を記入することになりますが、戸籍上の配偶者ではなく「源泉控除対象」配偶者であることがポイントです。
婚姻関係にある夫婦の両方とも「源泉控除対象」配偶者に該当しない場合、配偶者の有無の欄では「有」に丸を付けますが、源泉控除対象配偶者欄は空欄で提出します。

(注)源泉控除対象配偶者とは、その年中の給与収入が1,120万円以下(合計所得金額が900万円以下)の居住者と生計を一にする配偶者で、給与収入が150万円以下(合計所得金額が85万円以下)である人をいいます。
「配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表」において、配偶者控除額又は配偶者特別控除額が38万円(老人控除配偶者の場合は48万円)となる配偶者がこれに該当します。

収入が給与所得のみの場合の給与等の収入金額と所得金額の関係(具体例)は次の通りです。

給与等の収入金額所得金額
1,120万円900万円
150万円85万円
103万円38万円

控除対象扶養家族の欄は、扶養親族、70歳以上の老人扶養親族、大学生や高校生など、特別な扶養家族などについて記載する欄です。障害者、寡婦も、控除の対象になりますので、該当する場合には覚えておきましょう。
控除対象扶養親族は、年齢によって控除対象となるかどうかが変わります。年末調整をする年の12月31日時点で16歳以上に達しているかどうかで判断します。
たとえば平成27年12月31日が満16歳の誕生日であれば、平成27年12月31日時点で16歳に達していることになるため、平成27年分の控除対象扶養親族に該当します。

また、16歳未満の扶養親族は控除対象ではありませんが、住民税において計算の対象になるため、忘れずに記載しましょう。

給与所得者の保険料控除申告書

給与所得者の保険料控除申告書
給与所得者の保険料控除申告書記入例
(参考:給与所得者の保険料控除申告|国税庁HP

保険料控除申告書には、年末調整に関わる保険についての情報を記載します。毎月の給与から控除されている健康保険料や介護保険料は記入する必要はありません。それ以外に支払った生命保険、地震保険、社会保険の保険料や、小規模企業共済等掛金など各種保険料に関する情報を記入します。
社会保険料控除の証明書については添付しなくても構いませんが、小規模企業共済等掛金控除については証明書を申告書の裏に貼り、提出します。

生命保険料控除、地震保険料控除は上限額が設定されているため、申告書に記載されている計算式にあてはめ、計算する作業が必要になりますが、社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は、支払額が控除額と同額となるため、支払った金額をそのまま記入します。

給与所得者の配偶者控除等申告書

給与所得者の配偶者控除等申告書
給与所得者の配偶者控除等申告書記入例
(参考:給与所得者の配偶者控除等申告|国税庁HP

配偶者控除等申告書は、配偶者控除又は配偶者特別控除を受ける場合に提出が必要です。
配偶者控除及び配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用ができ、配偶者の給与収入が123万円までであれば配偶者特別控除を受けることができます。

配偶者の収入が給与収入だけであれば上記の金額を根拠に配偶者控除と配偶者特別控除を受けることができますが、配当所得や不動産所得、事業所得などが別にあれば、給与所得とすべて合計した金額で配偶者の所得金額を決定することになります。
そのため、株式取引などで利益を得たり家賃収入があったりする場合は、所得の総額で配偶者特別控除が適用できるかどうかを判断するようにしましょう。
また、配偶者控除及び配偶者特別控除ともに、納税者本人の所得の金額によって控除額が変わるため、「配偶者控除額及び配偶者特別控除額の一覧表」を参照し、控除額を計算するようにしましょう。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

これは、住宅を購入し、そのローンの支払いをしている人が行えます。ローンが開始された初めての年については、この制度を適用するときは控除が行えず、確定申告を行う必要がありますので、2年目以降の人が対象です。
初年度に確定申告をした場合、この申告書と「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」が税務署から送られてきます。
税務署から送付される書類と、金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」を用意しましょう。
申告書の書き方は、これらの書類にしたがって項目欄に記入し、証明書は会社に提出します。

まとめ

年末調整は、これらの書類を中心に記入していきます。年末になると、仕事でも年末進行で慌ただしくなり、書類を用意することが難しくなる可能性もあります。経理担当者に提出する期限まで手を付けないでいると、書類の準備が間に合わなくなることがあります。
控除対象者であるにも関わらず、控除に関する情報を記入し忘れたということになれば、控除も受けられなくなります。

また、年末調整を行うには、扶養家族の収入証明なども必要になってきます。遠方に扶養家族が暮らしている場合などは、急には詳細がわからないということも十分ありえることです。
そのため、年末が近づいてきたなら、扶養家族に対して、必要な提出書類を用意するよう打診するようにしましょう。何事も、早めの準備が大切です。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
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