- 更新日 : 2023年11月7日
年末調整の「世帯主」とは?
年末調整書類の「世帯主の氏名」欄、そして世帯主記入欄の下にある「あなたとの続柄」は、記入ミスをしやすい箇所です。
今回はその「世帯主」の意味と、「あなたとの続柄」の書き方を中心に解説します。そして「世帯主」の記載が年末調整の還付金額計算に影響を与えるのかどうかも確認をします。
目次
年末調整における世帯主の定義とは?
引用:令和5年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書|国税庁
ここで意外と記入ミスが起こりやすいのが「世帯主の氏名」、そして関連する「あなたとの続柄」の欄です。
まずは「世帯主」から確認をしていきましょう。
扶養控除等申告書における「世帯主」とは、住民票に記載されている「世帯主」のことを指します。
そのため、現在一人暮らしをしていて自分で生計を立てていても住民票で「世帯主」を変更していなければ、年末調整で書くべき世帯主が自分(本人)でない場合もありえます。
そもそもの「世帯」の定義とは?
世帯とは、居住と生計をともにする人の集まりや、独立して生計を営む単身者などの単位のことです。
そのため、家族で実際に一緒に住んでいて父親もしくは母親が世帯主となり家族を扶養している場合などは典型的な一世帯の例です。兄弟や友人同士で一緒に住んでいるけど生計は別にしている場合などは、一緒に住んでいても一世帯にはなりません。
そもそもの「世帯主」の定義とは?
世帯主とは、「その世帯を主宰する者」のことです。必ずしも「その世帯で最も年長者」や「もっとも収入を世帯にもたらす者」ではありません。
そのため、必ずしも父親が「世帯主」になる必要はありません。
記載事項が現状と異なっていた場合、合わせて住民票の記載事項変更手続きをしなければなりません。
年末調整の世帯主との「続柄」とは?
次に「あなたとの続柄」欄の書き方について確認をしましょう。ここはかなり記入ミスが起こりやすい欄になります。
「続柄」は自分から見た関係性で記入する
「続柄」を記入する際に何と書けばよいか迷いがちですが、「自分から見てどのような関係かを記入する」と覚えておきましょう。
世帯主に記載した相手が自分から見ると「夫」や「母」である場合、そのように「あなたとの続柄」欄に記入します。
続柄の記入方法に関しては複数の呼び名が考えられる場合がありますが(夫、配偶者など)、事務処理上、関係性が判別できれば大丈夫です。
控除申告書内には「世帯主」との関係性だけでなく自分が扶養している家族との関係性を書く「続柄」の欄もあります。下記にある家族の一例を示しますので、記入する際の参考にしてください。
[世帯主の氏名] 夫の氏名を記入
[あなたとの続柄] 夫(主人 等も可)
[控除対象扶養親族]長男の氏名を記入
[続柄] 子(息子、長男 等も可)
[控除対象扶養親族]長女の氏名を記入
[続柄] 子(娘、長女 等も可)
[控除対象扶養親族]母親の氏名を記入
[続柄] 母
年末調整の世帯主は年末調整金額に影響するのか?
ここまで正しい記入の方法を確認してきたところで、気になる「誰を世帯主にするかは年末調整の還付金額に影響するのか」についてです。
結論から言うと、世帯主の記入は年末調整の還付金額に影響しません。なぜなら、扶養控除申告書で行う年末調整の意義は「所得税を源泉徴収(天引き)する金額を扶養している家族によって控除額を決定する」ことだからです。
そのため「世帯主」は「世帯の主宰者」に過ぎず、所得税の金額に影響を及ぼしません。
年末調整の書類には世帯主や続柄を正しく書くこと
年末調整書類に記入する「世帯主」と「続柄」についてと、そもそもの「世帯」、「世帯主」の定義、そして「世帯主の記載が年末調整還付金額に影響するのか」を解説してきました。
「世帯主」が誰であるかは、年末調整による所得税の金額に影響はありません。ただし、年末調整の書類の世帯主や続柄の記載を間違ってしまうと、年末調整の手続きが遅れる可能性があります。また、正しく年末調整が行われない可能性も考えられます。
年末調整の書類には、世帯主や続柄を間違えず記載しましょう。
よくある質問
世帯主とは何ですか
世帯主とは、「その世帯を主宰する者」のことです。 詳しくはこちらをご覧ください。
年末調整の書類で世帯主は誰を記載すればよいですか?
住民票に記載されている「世帯主」を記載します。詳しくはこちらをご覧ください。
世帯主が誰であるかは、年末調整の所得税額に影響しますか?
いいえ、影響しません。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
会社が年末調整をしてくれない場合はどうする?
年末調整は、会社員が毎月、給与から源泉徴収されてきた概算の税額と、1年間に本来納付すべき税額との差額を清算する手続です。控除が適用されれば、過払い分の税金は還付されて返ってくるため、楽しみにしている会社員の方も少なくないと思います。 しかし…
詳しくみる年末調整の還付金はいつ戻ってくる?支払日や金額の計算方法を解説
年末調整の還付金とは、徴収された源泉所得税が本来納めるべき金額よりも多かった場合に、12月または1月に戻ってくるお金のことです。年末調整は過不足税額の調整をする仕組みであるため、源泉所得税が不足していた場合には追加徴収されます。今回は年末調…
詳しくみる年末調整における配偶者控除・配偶者特別控除と申告書の書き方
配偶者控除とは、「控除対象配偶者」に該当する配偶者を家族にもつ納税者に対し、年末調整から一定額の控除ができる制度をいいます。 扶養する配偶者がいる納税者は、いない場合に比べて食費、衛生費など、さまざまな生活費がかかります。そのため、配偶者控…
詳しくみる自営業や個人事業主の年末調整|従業員がいる場合は必要!
「年末調整」は、毎年年末に行われる所得税の過不足を調整するための手続きです。毎月給与から天引きされる所得税は概算額に過ぎず、正しい税額ではありません。では、年度末に確定申告を行っている自営業者や個人事業主は年末調整は必要ないのでしょうか。こ…
詳しくみる間違いを最小限に!年末調整のチェックリスト
従業員の数が多い会社の場合、全員の年末調整の書類をそろえることは、相当な事務量となります。年末調整のときには、書類の不備がないよう、チェックリストを作成して担当部署で共有しましょう。 また従業員が記入漏れやご記入のない正確な書類を提出できる…
詳しくみる年末調整を忘れた場合どうなる?対処法を解説!
年末調整は、会社が従業員に毎月支払う給与から源泉徴収した税額の年間合計額と、年税額を一致させる精算手続です。清算によって払い過ぎた税金があれば還付されます。手続自体は会社が行いますが、従業員側が配偶者控除や保険料控除などの申告に必要な書類を…
詳しくみる