厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料の計算方法

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所得税や雇用保険料ほか、給料からはさまざまな税金や保険料が天引きされていることと思います。

そのなかのひとつ、厚生年金保険料の計算方法をご存じですか?

保険料は、毎月の給料とボーナスに定められた保険料率を乗じて計算されますが、正比例しているわけではありません。

これはどういうことでしょうか?

例えば同じ年収なのに保険料が違っていたり、収入は少ししか変わらないのに保険料はかなりの差があったり、ということが起こり得るということです。

厚生年金の役割

自分や家族の加齢、障害、死亡など、さまざまな要因で、自立した生活が困難になるリスクがあります。こうした生活上のリスクは、予測することができないため、個人だけで備えるには限界があります。そこで、これらに備えるための仕組みが、厚生年金保険などの公的年金制度です。

厚生年金保険も老齢、障害または死亡について保険給付を行い、生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的として、制度化されています。

今回は、現在の社会を支え、ひいては未来の暮らしの糧となる厚生年金保険料の計算方法とそのしくみについて解説します。

保険料の計算方法と概要

厚生年金保険料の計算方法は下記のとおりで2つの合計金額になります。

毎月の保険料額 標準報酬月額 × 保険料率
賞与の保険料額 標準賞与額  × 保険料率

※1厚生年金保険の保険料率は加入する厚生年金基金によって異なります。

保険料の負担者

厚生年金保険料は毎月の給料から天引きされますが、給料を受け取る従業員(被保険者)だけが負担しているわけではありません。従業員が会社から受け取る給料をいくつかの幅に区分した後述の標準報酬月額に保険料率を掛けて金額を計算し、その金額の負担は事業主と被保険者で折半しています。

厚生年金保険料の保険料率は、平成17年9月以降は毎年引き上げられていましたが、平成29年9月からは固定され、18.3%となりました。

報酬金額による等級制度について

このように毎月の給料の厚生年金保険料は、標準報酬月額×保険料率で計算されます。

標準報酬月額は1等級(88,000円)から31等級(62万円)までの31等級に区分されています。標準報酬月額は、報酬月額をある区分によって31等級に分けたうえで、標準となる月額を定めています。

たとえば、1等級の標準報酬月額は88,000円ですが、報酬月額は93,000円までが含まれます。2等級の標準報酬月額は98,000円ですが、報酬月額は93,000円以上101,000円未満が含まれるという具合です。

このように、31等級に区分された報酬金額によって、給料が高くなる分保険料率が上がるというしくみです。

注意したいのは、同じ等級なら実際の報酬月額には差があっても保険料額が同じということです。

つまり、1円でもお給料が上がると保険料率が上がる可能性があります。
例えば給料が23万円の方も、24万9,999円の方も、等級は16等級で、保険料は事業主と被保険者の折半なので負担額は21,960円です。

24万9,999円の方が1円昇給して25万円の給料になると、等級が17等級となり、保険料が23,790円に上がることになります。
月額わずか1円の昇給で、毎月1,830円もの手取り額が減るのだから、年間にするとかなりの額になります。

しかし、支払が増えて「損」なのかと言えば、そういうわけではありません。等級が高ければ、将来に受け取ることができる年金も増えます。

給料とは?

厚生年金保険料を計算する場合、標準報酬月額の対象となる報酬とは、被保険者が受け取る基本給のほかに残業代など特別勤務手当、役付手当、能率給、奨励給、職階手当、勤務地手当、物価手当、家族手当、日直手当、宿直手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金に至るまで、事業所から現金または現物で支給されるものを含みます。

なお、賞与が年4回以上支給される場合、これも標準報酬月額の対象となる報酬に当たります。

まとめ

将来の生活の支えとなる厚生年金保険料ですが、意外とその計算方法を知る人は多くありません。毎月受け取る給与の額によって等級が決められ、それに基づいた保険料率をかけることで決められています。

また、厚生年金保険料は給与所得者だけが支払っているのではなく、雇う側である事業者の負担もあります。

給与が上がると、もちろん保険料金も上がりますが、将来受け取る年金も上がります。基本的な計算方法や仕組みを確認し、納得することも大切です。

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HRプラス社会保険労務士法人 監修

HRプラス社会保険労務士法人
東京都渋谷区恵比寿を拠点に、HR(人事部)に安心、情報、ソリューションをプラスしていくというコンセプトのもと、全国の顧問先に対し、人事労務に関するコンサルティングを行っている。企業が元気にならないと雇用は生まれない、賃上げはできないとの思いから「人事労務で疲弊する日本中の経営者・人事マンを元気にする!」をミッションに掲げ、人事労務担当者の立場に立った人事労務相談、就業規則や諸規程の整備、IPO支援、海外進出支援、社会保険事務のアウトソーシングなどを展開。



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