- 作成日 : 2022年8月8日
社会保険料の納付方法は?納付の仕組みや支払い期限を解説!
会社は、毎月、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料などの社会保険料を納付しなければなりません。従業員負担分と会社負担分を合わせた金額を、所定の支払い手続きによって納付する必要があります。納付先は日本年金機構で、納付方法は金融機関窓口での手続き・口座振替・電子納付のみが認められています。クレジットカード払いはできません。
目次
社会保険料の納付方法にはどういった種類がある?
社会保険料は、定められた方法で納める必要があります。もっともオーソドックスな方法は金融機関に出向き、窓口で手続きをして納付する方法です。しかし、金融機関窓口での手続き以外にも社会保険料は以下の方法で納付することができます。
(注)この記事では健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の支払い方法を説明します。
口座振替による納付
希望の口座を指定し、振替で社会保険料を納付します。納付期限に自動的に引き落としされ、毎月の納付手続きは不要になります。「健康保険厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」を提出することで納付方法が口座振替に切り替わります。
電子納付「Pay-easy」を利用した納付
社会保険料は、電子納付でも行うことができます。電子納付の方法には以下の4つがあります。
- インターネットバンキングを利用した電子納付
- モバイルバンキングを利用した電子納付
- ATMを利用した電子納付
- テレフォンバンキングを利用した電子納付
「1.インターネットバンキング」はインターネット、「2.モバイルバンキング」は携帯電話、「4.テレフォンバンキング」は電話音声案内等を用いて、振込手続きを行います。いずれも取引先金融機関とあらかじめ利用を契約しておく必要があります。
「3.ATMを利用した電子納付」では「Pay-easy」マークのついているATMを利用することが必要です。
電子納付は、納入告知書に記載されている次の3つの情報を用いて行います。
- 収納機関番号(0500)
- 納付番号(16桁)
- 確認番号(6桁)
法人でもクレジットカード払いはできる?
社会保険料の納付方法は、金融機関窓口での手続き・口座振替・電子納付の3種類に限られています。この3方法以外で社会保険料を納付することはできません。クレジットカード払いは認められていないため、法人でもクレジットカードを使用しての社会保険料納付はできません。
最近はキャッシュレスが進んだことにより、国民年金保険料はクレジットカードでの支払いが可能ですが、会社が納付する社会保険料はクレジットカード払いはできません。
社会保険料の仕組みと支払い期限
社会保険料の仕組みについて、支払先と計算方法、納付期限について解説します。
社会保険料の支払い先
社会保険料の徴収を行っているのは日本年金機構です。そのため支払先は日本年金機構ということになりますが、実務上は取扱関係部署宛に支払いを行います。
口座番号や電子納付を用いない場合は、金融機関窓口で社会保険料を納付します。この際は郵送されてきた保険料納付告知書を用いて、支払い手続きを行います。
引用:日本年金機構|社会保険料の納入告知書(納付書)について
納付告知書は、以下の内容の3枚綴りになっています。
1枚目 領収済通知書
2枚目 領収控
3枚目 納入告知書 納付書・領収証書
1枚目は領収済通知書となっていますが、社会保険料が支払い済である旨を通知する書類ではありません。納入告知書は切り離さないで金融機関窓口へ提出する必要があります。
社会保険料の計算方法
健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、標準報酬月額(賞与の場合は標準報酬賞与額)に保険料率をかけた金額です。健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料は、従業員と会社との折半とされているため、それぞれが1/2ずつを負担します。
社会保険料の計算について詳しくは次の記事で説明しています。
社会保険料の計算・支払いでは、入社日や退社日との関係に注意する必要があります。社会保険料は月末に在籍している従業員について、支払わなければなりません。4月分の社会保険料支払いが必要になるのは、4月30日時点で在籍している従業員分です。4月1日入社であっても4月25日入社であっても、4月30日に在籍していれば4月分の社会保険料支払いが必要になります。
4月30日退社の従業員は、4月分の社会保険料支払いが必要になるのに対し、4月25日退社の従業員は、4月分の社会保険料支払いは不要になります。
また、社会保険料には日割り計算は行われません。判断の行われる月末日に1日だけ在籍した場合でも、1カ月分の社会保険料支払いが必要な点にも注意しましょう。
社会保険料の支払い期限
社会保険料の支払い期限は、対象月の翌月末です。4月分の社会保険料は5月31日までに、5月分の社会保険料は6月30日までに支払わなければなりません。納入告知書には、納付期限として月末の日付が記載されています。月末が土曜日・日曜日・祝日である場合は、納付期限は翌金融機関営業日になります。
社会保険料の納付期限が過ぎた場合はどうする?
社会保険料の納付に用いる納入告知書には、納付期限が記されています。この納付期限までに納付が行われない場合に発行されるのが督促状です。督促状には指定期限が記されていて、この指定期限までに社会保険料を納付すればペナルティはありません。
しかし、督促状による指定期限までに社会保険料が納付されないと、延滞金がかかります。延滞金がかかるのは、納入告知書の納付期限を過ぎた日から納付の前日までのあいだです。この日数分の延滞金がかかります。
毎月20日頃 納入告知書発行
↓
毎月月末 納付期限
↓
翌月15日頃 督促状発行
↓
翌月25日頃 督促状による指定期限
↓
督促状による指定期限までに支払いが行われないと延滞金が発生する
それでもまだ、社会保険料の納付がされない場合は、財産差し押さえなどが行われる可能性があります。
仕組みを理解して毎月の社会保険料支払いをスムーズにしよう
従業員の健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の社会保険料を支払いは、会社が行います。給料から控除し、会社負担分と合わせて支払わなければなりません。支払い方法に認められているのは、金融機関窓口での手続き・口座振替・電子納付です。クレジットカード払いはできません。
支払い期限は、対象月の翌月末です。4月分の社会保険料は5月31日が支払い期限になります。支払い手続きは、20日頃に郵送される納入告知書を用いて行います。
社会保険料支払いでは、納入告知書が届いてから納付期限までの期間は10日程度と短いため、余裕がなくバタバタすることもあるでしょう。しかし社会保険料の仕組みがわかっていれば、あらかじめ準備しておくことができます。理解を深めて、毎月の社会保険料支払いがスムーズにできるようになりましょう。
よくある質問
社会保険料の納付方法にはどういった種類のものがありますか?
金融機関窓口での手続き・口座振替・電子納付の3種類があります。詳しくはこちらをご覧ください。
社会保険料の支払い期限について教えてください。
対象月の翌月末が支払い期限で、例えば4月分の社会保険料は5月31日が支払い期限になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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