• 作成日 : 2024年7月19日

督促状とは?書き方や例文、督促が届いた場合の対応方法

期日までに取引先から入金がない場合は入金催促メールを送り、いつ入金してもらえるかを確認します。しかし、メールを送っても連絡がない、もしくは新たな入金期日を伝えられたがそれでも入金がない状態が続いた場合は督促状を送り、入金を促す必要があります。

今回は、督促状について詳しく解説します。送るケースや書き方について、確認していきましょう。

督促状とは?

督促状とは、期日までに取引先から代金が支払われなかった場合に、請求側が入金を依頼するために送る文書のことです。なお、督促状に法的効力はありません。

似たような意味で使われる「催告書」「催促」との違いを見てみましょう。

催告書との違い

督促状を何度か送った後、それでも入金がない場合に送られるのが催告書です。そのため、督促状よりも強い言葉で書かれます。催告書も督促状同様に、法的効力はありません。

催促との違い

督促は入金を求める際に使われる用語ですが、催促は金銭に限らず、書類提出やメールの返信など、何らかの行為を依頼する際に使われます。

また、入金の依頼の場合、催促より督促のほうが緊急性は高いとみなされます。催促状を送り、それでも入金がない場合に督促状を送るのが一般的な流れです。

督促状を送るケースの例

どのような時に督促状が使われるかを確認しておきましょう。

督促状を送るケース

前述の通り、取引先からの入金が期日までに確認できない場合はまず催促状を送り、それでも入金が確認できない場合に督促状を送ります。

督促状には法的な強制力がありませんが、「連絡なく指定した日までに入金がない場合は法的な手段に訴える」という内容を記載する場合もあります。

督促状を送っても入金が確認できない場合は、督促状を複数回送ることもあります。

督促状を送る際の書類

督促状を送る際は、督促に該当する請求書の写しを同封します。二重請求とみなされないよう、同封する請求書には「写し」などと記載しておきましょう。

送付する際は、自社の封筒や市販の封筒を利用してください。督促状であることがわかるよう、表に「督促状」「お支払いについて」など赤文字で記入することをおすすめします。

督促の流れ

督促の流れは以下の通りです。

  1. 支払期限の確認
  2. 電話やメールで連絡する
  3. 督促状を送る
  4. 内容証明郵便を送る

支払期限の確認

催促や督促を行う前に、支払期限を確認します。未回収を防ぐために、全取引先に対して入金期日の数日前にリマインドメールを送ることも検討しましょう。

期日に入金が確認できなかった場合は、入金催促の準備をします。

電話やメールで連絡する

期日までに入金が確認できなかった場合でも、期日忘れや入金手続き忘れの可能性があります。督促状を送る前に、電話やメールで催促の連絡をしてください。催促の時点では、入金依頼をやんわりと伝えるよう心がけましょう。

また、催促する際は入金期日を確実に伝えてください。事前にリマインドメールを送っている場合は、その時のメールの内容を引用し、事前に入金を依頼していたことも記載しましょう。

督促状を送る

催促の連絡をしても入金がない場合や、「入金する」との連絡があったにもかかわらず入金がない場合は、督促状送付に進みます。

催促電話やメールと同様に督促状にも法的な強制力はありませんが、「ご入金いただけない場合は法的措置を取らせていただきます」など、次の段階に進むことを示唆する強い表現を使うことが多いようです。

内容証明郵便を送る

督促状を送付した後、入金も相談の連絡もない場合は、内容証明郵便で催告書を送付します。

内容証明郵便で送ることで、郵便局が郵便物の送付先や内容を証明してくれます。法的措置を取れるようにするためにも、必ず行ってください。

督促状の書き方、例文

督促状の書き方について、順を追って解説します。

発行日

いつ送ったものかを証明するためにも、発行日は必ず記載してください。

宛て名

取引先の住所、社名を記載します。確実に届くよう、担当部署と担当者名も記載しましょう。

差出人、捺印

自社の住所、社名を記載します。送り先から連絡が入ることを考慮して、担当部署と担当者名、電話番号も記載しましょう。

表題、督促の内容

「お支払いのお願い」「督促状」など、どのような目的で書面を送付しているかを記載します。

未払いの金額、支払期限

支払期限と未払金額を記載します。念のため、振込先の口座情報も記載しておくとよいでしょう。

法的手段の告知

このまま入金がない場合は、法的措置を取る場合がある旨を記載します。

督促状の例文(初回、二回目、最終的な警告)

初回、二回目など、段階ごとの督促状の例文をご紹介します。

初回の督促状

督促状

令和6年7月1日
株式会社〇〇
経理部 部長 ○○ 〇〇様

株式会社XX
経理部 XX XX
東京都〇区○○1-1-1
TEL:00-0000-0000

拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、去る令和6年4月30日にご請求申し上げました「A」の代金××××円につきまして、5月31日の期日を過ぎましても未だお支払いいただけていないようでございます。

つきましては、来る7月5日(金)までに下記の口座へお振込いただきますようお願い申し上げます。

お振込先:〇〇銀行〇〇支店 普通〇〇〇〇〇〇〇 株式会社XX

期日までにお支払いいただけない場合、誠に遺憾ではございますが、弊社といたしましても法的措置を取らざるを得ませんことをご理解ください。

なお、本状と行き違いにお振込みいただいておりましたらご容赦願います。

敬具

先方のミスで入金できていない場合でも、責め立てることをせず、丁重に入金を依頼してください。ただし、このままの状態が続くと法的措置に進むことは記載しておきましょう。

二回目の督促状

初回の督促状を送った後も入金がない場合は、二回目の督促状を送付します。

【再送】督促状

令和6年7月9日
株式会社〇〇
経理部 部長 ○○ 〇〇様

株式会社XX
経理部 XX XX
東京都〇区○○1-1-1
TEL:00-0000-0000

前略 度々のご連絡になり大変恐れ入ります。去る令和6年7月1日にご送付いたしました「A」の代金××××円のご請求督促につきまして、7月5日の期日を過ぎましても未だお支払いいただけていないようでございます。何か問題などございましたでしょうか。

弊社としましても帳簿管理の都合がありますので、至急お支払いいただきますようお願い申し上げます。

お振込先:〇〇銀行〇〇支店 普通〇〇〇〇〇〇〇 株式会社XX

令和6年7月12日までにお支払いいただけない場合、誠に遺憾ではございますが、弊社といたしましても法的措置を取らざるを得ませんことをご理解ください。

なお、本状と行き違いにお振込みいただいておりましたらご容赦願います。

草々

二回目の督促であることがわかるように「再送」と記載しておきましょう。緊急の連絡であることを伝えるために時候の挨拶を省き、本文から記載しても構いません。

また、入金がないと帳簿管理の関係上、当方も非常に困ることを記載しておきましょう。

最終的な警告

二回目の督促の後も入金がない場合は、最終的な警告として催告書を送ります。法的措置に向けて書面の内容や送り先をはっきりさせるために、内容証明郵便で送付してください。

催告書

令和6年7月15日
株式会社〇〇
経理部 部長 ○○ 〇〇様

株式会社XX
経理部 XX XX
東京都〇区○○1-1-1
TEL:00-0000-0000

前略 去る令和6年4月30日にご請求、その後、令和6年7月1日、令和6年7月9日にお支払いを依頼しておりました「A」の代金××××円につきまして、期日を過ぎましても、未だお支払いもご連絡もいただいておりません。

誠に遺憾ながら、本書をもって貴社に代金支払いを催告いたします。
つきましては、令和6年7月20日までに指定の振込先にお振込み願います。

お振込先:〇〇銀行〇〇支店 普通〇〇〇〇〇〇〇 株式会社XX

令和6年7月20日までにお支払いいただけない場合、誠に遺憾ではございますが、弊社といたしましても法的措置を取らざるを得ませんことをご理解ください。

なお、本状と行き違いにお振込みいただいておりましたらご容赦願います。

草々

督促メールの例文

督促メールは、基本的に督促状と変わりません。ポイントを押さえておきましょう。

件名

件名は支払いの督促メールであることがすぐわかるよう、シンプルにしましょう。他のメールに紛れないよう【至急】【重要】などを付け、目立つようにしておくことをおすすめします。

相手先名

「会社名」「部署名」「担当者名」を記載します。メールの送り先は、やり取りしている担当者にしてください。

挨拶などのクッション言葉

冒頭に「いつもお世話になっております」などの挨拶を入れましょう。同じ要件で数回連絡している場合は「たびたび失礼します」でも構いません。

要件

本文では以下の内容を記載しましょう。

  • 請求の送付日
  • 入金期日
  • 請求内容
  • 新たな入金期日
  • 振込先

現時点で入金が確認できていないことをはっきり記載しましょう。ただし「入金されていません!」のように強い言葉ではなく、「期日を過ぎておりますが…」のように、相手の事情に気遣いしながら伝えましょう。

結びの挨拶

最後に、改めて入金を依頼します。また、行き違いで入金されている可能性についても言及しておきましょう。

メールを送る時間にも注意!

先方がメールを確認した後で直ちに入金手続きができるよう、督促メールは午前中に送ることをおすすめします。

夕方以降に送ると、すぐに確認してもらえない可能性があるためです。

督促状が届いた場合の対応方法

念のために、自社に督促状が送られた場合の対応についても確認しておきましょう。

督促状の事実確認を行う

督促状の内容を確認し、未入金の事実確認を行います。以下のような事情で入金できていない可能性もあるため、気をつけてください。

  • 期日までに振り込んだが、手続きを間違えていた
  • 期日を間違えていた
  • 購入担当者が経理担当に支払いを依頼していなかった

期限までに支払いを行う

督促状の内容が事実であれば、すぐに入金手続きを行います。当日できない場合でも、期限内に必ず行ってください。

支払えない場合は取引先に相談する

資金繰りが厳しいなどの理由で期限までに支払えない場合は、取引先に期限延長などを相談しましょう。

連絡をせずそのままにしておくと、催告や法的措置に進む可能性が高くなります。

督促状の期限が切れた場合

督促状をそのままにして期限が切れてしまった場合は、必ず連絡を入れてください。お詫びをし、その後の対応を相談しましょう。

督促状を無視した場合のリスク

入金や相談、異議申し立てもせずに督促状を無視した場合、法的措置を取られる可能性が高くなります。法的措置では、裁判所からの支払督促が行われます。

支払督促にも応じなかった場合は、強制執行や裁判に進みます。法的措置が行われると企業の信用にも関わりますので、催促や督促をされる前に期日を守って支払いましょう。

督促状を送る際は対応に十分気をつけよう

取引先が期日までに入金しない場合は、催促を行います。なお、催促の時点では入金期日忘れや手続きミスの可能性もあるため、メールなどを送る際には丁寧な文面を心がけてください。
催促後も入金がない場合は督促に進みますが、確実に入金してもらうためにも法的措置の可能性について言及しましょう。

代金の未回収は、企業にとって大きな痛手です。督促状送付まで進まないよう、日頃から取引先とのコミュニケーションを密に取るようにしてください。


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