- 更新日 : 2024年9月6日
通達とは?意味や通知との違い、社内通達・人事通達の基本事項を解説
会社などの組織運営では、情報や指示を伝えるコミュニケーション手段が非常に重要です。その一つに「通達」と呼ばれるものがあります。
しかし、通知や通告など、これに類似した用語は複数あり、しばしば混同されます。
この記事では、通達の意味と役割に焦点を当て、通知や通告との違い、企業内での主要な通達の種類について解説します。
目次
通達とは?
まず、通達とはどのようなものなのでしょうか。組織内の情報伝達を適切に行うためには、通達だけなく、類似した通知、通告のそれぞれの特性と目的を理解し、適切に使用する必要があります。
通知との違い
通達と通知は、目的や内容が異なります。
通達は、社内の方針や手続きの変更、新たな取り決めなどを組織内の関係者に伝えるためのものです。一方で通知は、特定の事実や情報を伝えるために行われます。
その意味合いにも相違があります。通達は命令や要請の意味も含まれており、遵守が期待されます。通知は単に情報の伝達を目的としているので、それ自体に指示や要請の意味はありません
内容については、通達は方針や手続きの内容、必要な行動指示が含まれるのが一般的ですが、通知は特定の事実や情報、日程などを伝えるために行われます。
通告との違い
通達と通告には似た点がありますが、以下の点が異なります。
対象は、通達は通常、主に組織内の全体、あるいは特定の部門やグループです。一方で通告は、個人や特定の事例、状況に関連した情報を伝える際に用いられます。
内容は、通達は一般的な方針や手続きの変更、新しい取り決めなどの内容が中心です。通告は、特定の出来事や状況に関する情報、例えば人事異動や業務の変更などを伝える際に用いられます。
形式については、通達は文書としての形式や体裁がしばしば決まっており、その形に従って発行されるのが一般的です。一方で通告は、形式が固定されているわけではなく、内容に応じてさまざまな形で伝えられます。
会社からの主な通達について
企業の運営や組織の健全な発展のために不可欠な通達は、社内通達と人事通達の2つに大きく分かれます。
社内通達
社内通達は企業内の新しい方針、規定、システムの変更、新たな取り決め・手続きなどを全社員または特定の部門・グループに知らせるためのものです。
具体的な社内通達には、以下のようなものがあります。
- 新しい勤務体系の導入
- 社内での新たなITシステムの採用や変更
- 部門間の連携に関する新しい取り決め
- 社内イベントや研修の日程・内容の告知
社内通達は従業員全員が共通の理解を持ち、統一された行動を取ることを目的としているため、明確かつ具体的な内容が求められます。文書形式での配布や、社内ポータルサイトでの公開が行われるのが一般的です。
人事通達
人事通達は、特定の従業員や部門に関する人事上の変動(昇進や異動、退職など)を従業員に知らせるためのものです。
具体例には、以下のようなものがあります。
- 部署の異動や昇進
- 人事評価の結果に基づく措置
- 退職や新入社員の紹介
- 賞与や昇給の告知
人事通達は、特定の従業員や部門の状況を社内で共有することを目的としています。これにより、他の部署や従業員との円滑なコミュニケーションや、業務のスムーズな進行を促進します。一般的には、社内通達と同様に文書形式での発行や社内の掲示板、ポータルサイトでの公開などで行われます。
社内通達の主な種類
社内通達にはさまざまな種類があります。ここでは主なものについて、具体例を挙げて紹介します。
通知・案内に関する通達
特定の事実や新しい情報、予定などを社員に知らせるための通達です。以下のようなものがあります。
- 社内イベントや研修の日程告知
- 企業の業績発表や株主総会の日程
- 社員旅行や健康診断の日程と内容
稟議・提案に関する通達
組織内の決定を行う前に、意見や提案を従業員から募るための通達が該当し、具体的には、以下のような場合に使用されます。
- 新しいプロジェクトの提案募集
- 社内制度の改善提案の呼びかけ
- 業績目標に対する部門別の戦略提案の募集
届け出・報告に関する通達
従業員に対し、特定の出来事や状況を会社に報告するよう求める通達です。以下のようなものが該当します。
- 事故やトラブルの発生時の報告手続き
- 個人の健康状態や家族構成の変更の届け出
- 業務上の達成状況やKPIの定期報告
指示・指令に関する通達
従業員に対して、特定の行動や業務の実施を命令する通達です。具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 緊急時の対応手順や業務の変更指示
- 新しい業務フローや手続きの導入に関する指示
- コンプライアンス遵守やセキュリティ対策の実施指令
記録に関する通達
特定の業務や活動の記録を残すための手順やフォーマットを伝える通達で、以下のような場合に使用されます。
- 月次や四半期の業務実績の記録方法
- ミーティングや打ち合わせの議事録の取り方
- 新しいシステムの操作ログや変更履歴の記録手順
人事通達の主な種類
組織内での人事異動や役職変更を明確にし、従業員に対する透明性を保つための重要な手段として用いられる人事通達も、その種類は多岐にわたります。
採用辞令
新たに従業員として採用される人への公式な通知として出されます。以下の例のように正式な採用を通知し、業務開始の正式な手続きを行うためのものです。
- 新卒採用や中途採用の際の入社通知
配属転換辞令
従業員の業務内容や部署が変更される際の公式な通知で、業務や役職の変更を正式に伝えるものです。
- 新入社員の初期配属
- 特定のプロジェクトのための一時的な部署変更
出張辞令
従業員が出張する際の公式な通知であり、出張の目的や期間、場所などを明確にし、正式な手続きを行う際に出されます。
- 海外の子会社への訪問
- 国内外の業界イベント参加のための出張
転籍辞令
会社やグループ企業内での転籍を伴う人事異動の公式な通知として、新しい会社や部署での勤務開始時に出されます。
- グループ内の異なる子会社への転籍 など
転勤辞令
従業員が異なる勤務地や拠点へ移動する際の公式な通知として、新しい勤務地での業務開始を正式に知らせるものです。
- 本社から地方の支社へ、または海外の拠点への転勤
昇格辞令
職能資格制度などの資格制度において、従業員の資格等級が上がる際の公式な通知で、役職の変更が伴う場合は新しい職責を正式に伝えます。
- 資格等級の昇格とそれに伴う課長補佐から課長への昇格 など
昇進辞令
従業員の役職が上がる際の公式な通知として、新しい役職の認定とそれに伴う待遇改善を正式に伝えるものです。
- 一般社員から係長への昇進 など
通達の前に内示を行う理由
通達の種類について解説してきましたが、通達の前には本人に内示を出すのが一般的です。
内示とは
内示とは、公式の通知や通達の前に、事前に関連する従業員や関係者に非公式に、あるいは半公式に情報を伝えることです。特に組織や会社の中で、人事異動やプロジェクトの変更など、大きな変更が発生する前のステップとして行われるケースが多いです。
内示の目的
内示の目的は複数あります。ここでは、4つの目的を紹介します。
- 感情のケア突然の通知や変更は、従業員の動揺や不安を引き起こす可能性があります。内示を先に行うことで変更までの準備期間を設け、受け入れやすくします。
- フィードバックの収集内示を通じて、従業員や関係者からフィードバックを収集し、公式な通達の内容を調整することがあります。
- スムーズな運用内示を先に行うことで、実際の変更や移行時の混乱、手続きの遅延を防ぐことができます。
- コミュニケーションの確保従業員や関係者とのコミュニケーションのチャンネルを確保し、変更に対する理解を深めます。
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知っておいて損はなし!意外と知らない通達の意味と基本事項
通達は、組織内の構成員が円滑に業務を行えるよう支援するためのコミュニケーションツールであり、その役割と意味を理解することは組織運営の効率化に寄与します。
通達の意味と内容をよく理解し、より効果的なコミュニケーションを実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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