- 更新日 : 2025年10月10日
ゼネラリストとは?スペシャリストとの違いや育成方法について解説 | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
ゼネラリストとは幅広い知識を持ち、さまざまなことに対応できる能力を持つ人を指します。専門分野を持つスペシャリストが一点集中型とされるのに対し、ゼネラリストはオールラウンド型です。多角的な判断力があり、さまざまな業務をカバーできる、臨機応変さを持ちます。ゼネラリストは管理職やマネジメント職、人事・総務に向いています。
目次
ゼネラリストとは?
人材は、ゼネラリストとスペシャリストの2種類に大きく分けられます。ゼネラリストやスペシャリストが、それぞれどのような人材を指しているのか理解しましょう。
ゼネラリストはオールラウンド型
ゼネラリストとは何でもできる、オールラウンド型の人材のことです。幅広い知識を持ち、多くのことに対応できる能力を有しています。1つのことにおいて群を抜いて秀でているということがない代わりに、多くの分野に精通しています。企業ではどの部署に配属されても、どのような業務を担当することになっても、しっかりと仕事を遂行し、期待を超える結果が残せる人材がゼネラリストです。
スペシャリストは一点集中型
スペシャリストは専門分野だけに詳しい、一点集中型の人材を指します。その分野における専門的な知識を有し、高い技術やスキルも身につけています。その分野に限ってはほとんどのことに対応できますが、他の分野に関しては知識や技術が不十分な場合があります。専門分野が活かせる部署でなければ能力を発揮できないため、配属先が限定されます。その代わり、専門分野が活かせる業務では高い能力を発揮し、質の高い仕事をすることができます。
ゼネラリストの特徴
ゼネラリストはさまざまな仕事をこなせる、万能選手のような存在です。多くの知識を持ち、さまざまな仕事を遂行することができます。企業でゼネラリストをより活かすためには、ゼネラリストを正しく理解することが求められます。ゼネラリストの能力を最大限に引き出すために、特徴を押さえておきましょう。
多角的な判断力がある
ゼネラリストの特徴として、まず多角的な判断力があることが挙げられます。多角的な判断力とは、広い視野を持ち、物事を俯瞰的に捉え、さまざまな角度から考察して、最終的な判断を下せる能力のことです。ゼネラリストはさまざまな分野に精通し、多くの知識を有しています。さまざまな経験もあるため偏ったものの見方をせず、多くの知識や経験に基づいて公平な判断ができます。
幅広い業務をカバーできる
ゼネラリストはさまざまな部署への配属を経験しているため、多くの業務について知識を有しています。豊富な経験と知識により、さまざまな業務をこなすことができます。幅広い業務をカバーすることができ、何かあった場合の予備要員としての役割も担っています。
問題に対して臨機応変に対応できる
ゼネラリストは、さまざまな配属先や業務を幅広く経験しています。ジャンルを問わず、さまざまなものを身につけているため、トラブルが発生した場合でも知識や経験に基づいた落ち着いた対応を期待できます。何か問題が発生した場合でも、マニュアル通りではない臨機応変な対応ができ、業務の迅速な復旧に貢献します。
ゼネラリストに適している仕事
ゼネラリストは、どのような仕事に向いているのでしょうか?以下の仕事が、ゼネラリストに適しています。
管理職
管理職は業務の割り振りや予算配分を行う権限が与えられている、責任の重い仕事です。その責任を全うするためには、組織全体に目を配り、部下を公平に扱わなければなりません。管理職は広い視野を持ち、的確な判断を下せなくてはならないため、ゼネラリストに最適です。
マネジメント職
マネジメントはチームに任されている業務に対して、チームをまとめ、率いる仕事です。任された業務を完遂するため、一丸となって動くチームを作り、正しく導く能力が求められるため、ゼネラリストに向いています。
ベンチャー企業の社員
ベンチャー企業は少ない社員で業務を回さなければならないため、社員は1人で何役もこなす必要があります。何でも一通りできるよう、多くの知識やスキルを求められます。企業だけでなく業界全体の現状を分析する力や、将来を見通す力など、さまざまな能力が求められる点でもゼネラリストに適しています。
人事・総務
人事や総務は企業活動を後方から支える仕事で、行わなければならない業務は多種多様であるため、幅広い知識や多くのスキルが必要です。すぐに取りかかるべき業務やアウトソーシングするべき業務を判断する能力や、問題が発生した場合に臨機応変に動ける行動力・対応力など、さまざまな能力が必要とされる点でもゼネラリストに向いています。
ゼネラリストの育成方法
ゼネラリストは以下の方法で育成できます。適切なものを実施し、企業に欠かせないゼネラリストをきちんと育成しましょう。
OJT(実戦形式)で教育する
ゼネラリストは、OJT(On the Job Training)により実践形式で教育することで効果的に育成できます。実際にやりながら教育すると早く覚えられるため、短期間での養成が可能です。実際に起こる問題に向き合わせることで、応用力も身につきます。
ジョブローテーションを行う
ジョブローテーションとは、社員にさまざまな仕事を経験させて能力の向上を図る人事制度のことです。さまざまな部署・ポジションでの仕事を経験させることによって、ゼネラリストに必要な能力を身につけさせることができます。また、多くの立場を経験させることによって、多角的な視点やさまざまな考え方を養うことも可能です。ゼネラリストとして成長できる一方で、不向きを判断したり、スペシャリストへの転向の道を見つけたりすることにもジョブローテーションは役立ちます。
適切な研修や評価を行う
ゼネラリストの育成は研修でもできます。内部・外部を問わず、マネジメント研修やコミュニケーション研修、リーダーシップ研修などの受講で、ゼネラリストに必要な能力を養うことができます。
また、ゼネラリストの育成には適正な評価も欠かせません。継続的で一貫性のある人事評価ができるよう、人事評価制度を整備することが重要です。向き・不向きや不足している能力を判断することも、ゼネラリストを育てる際に必要です。
ゼネラリストとスペシャリストの今後
ゼネラリストとスペシャリストは、どちらも企業に欠かせない存在です。ビジネスでは特定の分野で優れた能力を発揮するスペシャリストの方が、他の人に代えることができない存在として重んじられる傾向があります。しかし、ゼネラリストもいないと、企業は円滑に事業を進められません。個々の歯車はきちんと回っていても、それぞれの歯をかみ合わせなければ、全体を動かすことができないのと同じです。
ゼネラリストは管理職やマネジメント職、人事部門、総務部門に向いています。これに対してスペシャリストが向いているのは、研究職やエンジニア、経理部門などです。双方の向き・不向きをきちんと把握し、適材適所に配置することが企業の成長・発展には必要です。
ゼネラリストは企業に欠かせないため、しっかりと教育して育成しよう
ゼネラリストはオールラウンド型とされ、幅広い知識を持って多くの業務に対応できる人材です。特定分野だけを専門的に行うスペシャリストとは正反対の存在であり、管理職やマネジメント職、総務、人事に向いています。ビジネスではスペシャリストの方が重んじられる傾向がありますが、ゼネラリストが不要だということはありません。ゼネラリストは企業を1つのものとして動かすという、大切な役割を担っています。
ゼネラリストはOJTにより実践形式で学ばせたり、ジョブローテーションでさまざまな経験を積ませたりすることで育成できます。適切な評価や研修も行い、企業に必要なゼネラリストの育成に努めましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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