- 更新日 : 2024年12月3日
厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届とは?手続きや関連書類を解説!
被保険者資格喪失届は、従業員の退職や死亡により健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を喪失する場合の他、転勤や雇用形態変更で同日得喪と呼ばれる処理を行う場合に提出が必要になる書類です。提出期限は事実があった日から5日以内で、退職の場合は退職日の翌日から、死亡の場合は死亡日の翌日から5日以内です。
目次
厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届とは?
従業員が退職・死亡した場合は、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を喪失します。会社は必要書類などを準備し、手続きを行わなければなりません。用いる書類について理解を深めて、正しい手続きを行いましょう。
被保険者資格喪失届の概要
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を喪失する際の手続きに用いられるのが、被保険者資格喪失届です。従業員が退職や死亡などの理由により被保険者資格を喪失する際に、事業主が提出します。
提出期限は事実があった日から5日以内ですが、退職や死亡による被保険者資格喪失の場合は退職日・死亡日の翌日から5日以内、転勤による被保険者資格喪失の場合は転勤日の当日から5日以内と、被保険者資格喪失届の提出が必要になった理由によって起算日が異なるため、注意が必要です。
70歳以上被用者不該当届
被保険者資格喪失届の正式名称は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」です。
一般的に被保険者資格喪失届といえば「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を指しますが、70歳到達届と明確に区別するために「70歳以上被用者不該当届」と呼ぶことがあります。
70歳到達届との違い
被保険者資格喪失届には「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」の他に、「厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」があります。
2つをはっきり区別するため、「厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」は「70歳到達届」と呼ぶのが一般的です。違いは以下のとおりです。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届→従業員の退職や死亡などによる被保険者資格喪失に用いる
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届→従業員が70歳に到達したことによる被保険者資格喪失に用いる
資格喪失年月日とは?
厚生年金の資格を喪失する日付を、資格喪失年月日といいます。被保険者資格を喪失する理由によって、以下の日付が資格喪失年月日となります。
- 退職によって被保険者資格を喪失する場合:退職日の翌日
- 死亡によって被保険者資格を喪失する場合:死亡日の翌日
- 転勤によって被保険者資格を喪失する場合:転勤日の当日
- 雇用形態が変わることによって被保険者資格を喪失する場合:雇用形態変更の当日
- 75歳到達によって健康保険被保険者資格を喪失する場合:誕生日の当日
- 障害認定によって健康保険被保険者資格を喪失する場合:障害認定日の当日
厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届はいつ使用する?
厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届は従業員が退職したり、死亡したりして被保険者資格を喪失する場合の手続きに使われますが、転勤・雇用形態変更の場合にも用いられます。
厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届の記入方法
被保険者資格喪失届は、以下のように記入します。
①には提出する日付を記入します。
②には事業所の名称などを記入します。
③には資格を喪失する被保険者の氏名などを記入します。
厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届の提出手続き
被保険者資格喪失届は、所定の方法で手続きを行わなければなりません。正しく行うためには、必要な関連書類や提出方法を理解しておくことが大切です。
提出が必要な関連書類
従業員が退職・死亡によって被保険者資格を喪失する際は、被保険者資格喪失届に以下の書類を添付して提出する必要があります。
加入する健康保険が協会けんぽの場合
- 健康保険証(本人分と交付されている被扶養者分)
- 高齢受給者証、健康保険特定疾病療養受給者証、健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証(交付されている場合のみ)
※紛失などで回収できない場合は「健康保険被保険者証回収不能届」を提出します。
加入する健康保険が組合管掌健康保険の場合、被保険者資格喪失届に添付する書類はありません。健康保険証の返納などは、組合管掌健康保険の指示に従って行います。
書類一式を日本年金機構へ提出する
被保険者資格喪失届と添付書類は、日本年金機構宛に提出します。認められている提出方法は、電子申請・郵送・窓口持参です。郵送の場合は事務センターへ、窓口持参で提出する場合は事業所を管轄する年金事務所へ提出します。
被保険者資格喪失届の提出期限
被保険者資格喪失届の提出期限は、事実発生から5日以内です。従業員の退職による被保険者資格喪失の場合は退職日の翌日から5日以内に、従業員の死亡による被保険者資格喪失の場合は死亡日の翌日から5日以内に被保険者資格喪失届を提出します。
被保険者資格喪失届の提出期限が過ぎてしまった場合
被保険者資格喪失届の提出の遅れに対して、特に罰則は設けられていません。期限を過ぎていても提出は可能で、記入に間違いなどがなければ問題なく受理されます。
被保険者資格喪失届は用いる書類や資格喪失日を理解し、正しく提出しよう
従業員が退職や死亡によって厚生年金・健康保険の被保険者資格を喪失する際には、被保険者資格喪失届の提出が必要です。
被保険者資格喪失届には、退職や死亡による被保険者資格喪失に用いるものと、70歳到達届と呼ばれるものがあります。名称が似ていて間違えやすいため、十分注意して正しく「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を用いることが大切です。
被保険者資格喪失届には、資格喪失日の記入も求められます。退職の場合の資格喪失日は退職日の翌日、死亡の場合の資格喪失日は死亡日の翌日です。正しく理解し、間違えないように手続きを行いましょう。
よくある質問
厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届とは何ですか?
従業員が退職・死亡したことによって社会保険の被保険者資格を喪失する際に提出する書類のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
被保険者資格喪失届の提出期限を教えてください。
退職の場合は退職日の翌日から5日以内、死亡の場合は社会保険から5日以内が被保険者資格喪失届の提出期限です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
育休中は社会保険料免除?改正後の期間や手続きを解説
2023年に育児休業の改正が行われました。育休の取得率を向上させ、特に男性が取得しやすいものにするためです。産後パパ育休制度が設けられたり、分割取得が可能になったりと、男性労働者でも取得しやすいように変更されています。 育児休業期間中の社会…
詳しくみる試用期間中も社会保険への加入は必要?転職先で加入しないとどうなる?
従業員を正社員として採用した場合でも、試用期間を設けている企業は少なくありません。「転職したが、試用期間中という理由で社会保険に加入させてくれない」という話を聞くことがありますが、法的に問題はないのでしょうか。 本稿では試用期間中の社会保険…
詳しくみる所定給付日数とは?雇用保険における基本手当の観点から
自己都合による退職や会社の倒産など、失業しても生活の心配をしなくてよいよう、雇用保険では被保険者に対して基本手当(いわゆる失業等給付)を支給しています。この基本手当には、受給できる期間と所定給付日数と呼ばれる上限日数が決まっています。 ここ…
詳しくみる労災の遺族年金とは?受給条件・金額・手続きをわかりやすく解説
勤務中の事故や通勤途中の災害によって、突然大切な家族を失ってしまうことは誰にとっても想像したくない出来事です。しかし、そんなときに遺されたご遺族の生活を支える仕組みとして、「労災保険の遺族年金」があります。経済的な不安を少しでも和らげるため…
詳しくみる算定基礎届はいつ届く?提出期限や書類の書き方、訂正方法も解説
「算定基礎届」は、標準報酬月額を決定するために年に一度提出が必要な書類です。この書類は毎年6月中旬以降に日本年金機構から事業主宛に送付されます。 本記事では、算定基礎届が届く時期や対象者について解説します。詳しい書き方や訂正方法、提出期限に…
詳しくみる休職のまま退職した時の失業保険について!金額はどれくらい?
休職のまま退職した場合、失業保険の給付ができるのをご存じでしょうか?本記事では失業保険の基礎知識から受給条件や手続きまで詳しく解説し、休職の状態で退職した場合の失業保険についての疑問にも触れていきます。 この記事で人気のテンプレート(無料ダ…
詳しくみる