- 更新日 : 2022年3月22日
賃金支払基礎日数の算出方法について紹介!
支払基礎日数とは賃金や報酬の支払対象の日数のことです。賃金支払基礎日数が原則11日以上の月が2年間のうち12ヵ月以上あると、雇用保険の基本(失業)手当が支給されます。数え方は完全月給制、時給制など給与形態ごとに異なる点が特徴です。有給休暇はカウントされ、休職は入りません。今回は、賃金支払基礎日数の数え方などについて解説します。
目次
賃金支払基礎日数の数え方
支払基礎日数とは賃金や報酬の支払対象となった日数のことです。賃金支払基礎日数は雇用保険の基本手当(失業手当)の支給要件の基準として用いられます。
基本手当は、賃金支払基礎日数が原則11日以上ある月である「被保険者期間」が、基本的に、離職の日からさかのぼって2年間である「算定対象期間」のうち通算12ヵ月以上であった場合に支給されます。
この賃金支払基礎日数の数え方は、完全月給制、日給月給制、日給制、時給制など賃金形態ごとに異なる点がポイントです。それぞれの数え方について解説していきます。
※雇用保険の計算方法については、以下の記事を参考にしてください。
完全月給制の場合
完全月給制とは、1ヵ月の賃金が決まっており、たとえ欠勤しても減額されない賃金形態のことです。完全月給制の賃金支払基礎日数の数え方は、休んだ日も含め「30日」あるいは「31日」などの暦日数を賃金支払基礎日数とする、というものです。
例えば、4月21日から5月20日までの期間であれば、賃金支払基礎日数は30日となります。
日給月給制の場合
日給月給制の場合、一般的には次のように算出する会社が多いといえます。
日給月給制とは、1ヵ月の賃金が決まっており、欠勤すると欠勤日数に応じた分の減額がなされる賃金形態をいいます。同じ月給制でも、完全月給制とは考え方が異なることに注意しましょう。
時給制もしくは日給制の場合
時給制や日給制の場合、出勤した日数がそのまま賃金支払基礎日数になります。
有給休暇は賃金の支払いの対象となるため、有給休暇で休んだ日があっても賃金支払基礎日数に加算することを忘れないようにしましょう。
時給制や日給制は、1時間や1日あたりの賃金の単価が決められていて、働いた時間や日数によって賃金が支払われるしくみです。パートやアルバイトなどに多く見られます。
賃金支払基礎日数で注意すること
賃金支払基礎日数の算出にあたっては、特別休暇や有給休暇、休職の扱いなどが注意点として挙げられます。その日に労働しないという点では同じですが、賃金の支払対象であるか否かで、賃金支払基礎日数に算入するものとしないものにわかれます。
また雇用保険の基本手当は、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が、2年間のうちに通算12ヵ月以上ある場合に支給されるものです。ここからは、賃金支払基礎日数の算出の際の下記の注意点について解説します。
- 特別休暇の扱い
- 休職の扱い
- 雇用保険における取り扱い
特別休暇の扱い
特別休暇や有給休暇、結婚休暇などは賃金支払基礎日数に含まれます。
賃金支払基礎日数に含まれる要件として、現実に労働したかは問われません。賃金支払いの対象となった日であれば算入されることがポイントです。そのため、「休暇」という名称であっても、特別休暇や有給休暇は賃金支払基礎日数に入れるようにしましょう。
休職の扱い
一般的に賃金の支払いがない休職中の期間は、賃金支払基礎日数をカウントする際に含まれません。
休職の事由としては、業務外の事故や病気などが挙げられます。これらを事由とした休職と、前述した特別休暇や有給休暇とは、会社を休んでいるという点では同じですが、賃金支払いの有無において異なります。間違えやすいため注意してください。
雇用保険における取り扱い
賃金支払基礎日数が、雇用保険の基本手当の支給要件の基準として用いられることは、既にお伝えしたとおりです。
具体的には、原則、離職の日からさかのぼった2年間のうち算定支払基礎日数が11日以上ある月が通算12ヵ月以上あれば、雇用保険の基本手当が支給されます。基本手当は、失業等給付のうちの1つです。
さらに2020年8月以降、雇用保険法の改正により、離職日から1ヵ月ごとに区切った期間に賃金支払日数が11日以上なくても、被保険者期間として通算されるようになりました。1ヵ月ごとに区切った期間に「賃金支払の基礎となった労働時間が80時間以上」あれば、カウントされるようになっている点に留意しましょう。
基礎日数の算出方法をいまいちど確認しておこう!
支払基礎日数とは賃金や報酬の支払いの対象となった日のことであり、賃金支払基礎日数とは雇用保険の基本手当の支給要件の基準となるものです。
賃金支払基礎日数のカウント方法は、完全月給制、日給月給制、時給制など賃金形態によって異なります。賃金支払の対象となる有給休暇は算入され、無給の休職期間は除外されるため注意が必要です。この機会に、賃金支払基礎日数の算出方法を確認しておきましょう。
よくある質問
賃金支払基礎日数は、どうやって算出しますか?
完全月給制においては、休んだ日も含め暦日数をカウントします。時給制などは出勤した日を賃金支払基礎日数とします。詳しくはこちらをご覧ください。
特別休暇は、賃金支払基礎日数に含まれますか?
賃金支払の対象である特別休暇や有給休暇は、賃金支払基礎日数に含まれます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
退職者も給与支払報告書は必要?不要な場合や書き方の注意点を解説
退職者の給与支払報告書は、原則として作成・提出が必要です。本記事では、給与支払報告書と源泉徴収票の違いや給与支払報告書の提出が不要なケース、書き方の注意点、よくある質問などを解説します。退職者に関する手続きを正しく進めるために、必要な知識を…
詳しくみる賃金台帳はアルバイトも作成が必要?書き方や保存方法をテンプレートつきで解説
賃金台帳は、従業員がアルバイトの場合でも作成と保存が必要です。 雇用形態にかかわらず、賃金台帳は労務管理の「法定三帳簿」のひとつとして、労働基準法により作成と保存が義務付けられています。 アルバイトならば不要だと思い、作成・保存を怠った場合…
詳しくみる給与計算代行・アウトソーシングの基本!代行業務の内容・相場やメリット・デメリットを解説
企業の毎月の給与計算、年末調整などの業務の委託を受けて処理するサービスを、給与計算代行・給与計算アウトソーシングといいます。収益に直結しない、こうした間接業務に人員を割く余裕がないという理由で、委託を検討されている方も多いのではないでしょう…
詳しくみる子ども・子育て拠出金とは?会社負担はいくら?計算方法や端数処理を解説
子ども・子育て拠出金と、子育て支援や児童手当の拠出金として充てられる拠出金であり、企業が費用の一部を負担しています。 本記事では、子ども・子育て拠出金の仕組み、会社が負担する拠出金率、計算方法などを解説します。企業の人事労務担当者の方は、拠…
詳しくみる退職金規定がない場合は退職金をもらえない?支払われるケースや税務の注意点を解説
退職金は退職後の生活を支える重要な制度ですが、すべての企業が退職金規定を設けているわけではありません。規定がない会社では、支払われるのかどうか不安になることもあるでしょう。しかし、規定がなくても退職金がもらえるケースがあります。 本記事では…
詳しくみる所得税徴収高計算書の記入方式
所得税徴収高計算書の記入方式 会社や個人事業主が報酬を支払う場合、その支払いのたびごとに、支払った金額に対して所得税ならびに復興特別所得税を源泉徴収することになっています。 この所得税ならびに復興特別所得税を支払う報酬から減算…
詳しくみる