- 更新日 : 2019年5月10日
年末調整で学資保険は控除できるか

年末調整で、学資保険が生命保険料控除として所得控除されるのをご存じですか?
学資保険は貯金の一部、という認識で所得控除申請を行っていない方もいるでしょう。
ここでは、学資保険が年末調整で所得控除される根拠や、生命保険料控除の申請方法、控除額の算出方法について説明します。
学資保険とは
学資保険といえば、学費の積立のイメージが強く、貯金代わりに利用している人が多いでしょう。
しかし、学資保険は、被保険者が死亡した場合や高度障害が生じた場合に、その後の保険料支払いが免除され、学費を賄う保険金が出るという生命保険の性質も兼ね備えています。そのため、年末調整で生命保険料控除の対象となります。
年末調整における学資保険の位置づけ
年末調整とは、給料から天引きされた税金を個人の状況に応じて再計算し、調整を行う仕組みです。過払いになっていた税金は、ほとんどの場合、控除が反映され戻ってきます。
年末調整では、配偶者特別控除や住宅ローン控除など、色々な所得控除及び税額控除を適用させて、所得税額を減らすことができます。
学資保険は前述の通り、生命保険の側面を持つため、生命保険料控除に含められます。
生命保険料控除には、「一般生命保険料」、「介護医療保険料」「個人年金保険料」があり、学資保険は「一般生命保険料」に分類されます。
控除の申請方法
年末調整において、学資保険料の控除を行う際には、「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」に必要事項を記入し、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して提出します。
なお、「生命保険料控除証明書」は通常10月から12月の間に、加入している保険会社から送られてくるため、年末調整の時期までなくさずに保管する必要があります。届いていない場合は保険会社に連絡をし、年末調整までに入手するようにしましょう。
※ 平成30年以降は「平成00年分給与所得者の給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」の様式が変わります。「平成00年分給与所得者の給与所得者の保険料控除等申告書」と「平成00年分給与所得者の配偶者控除等申告書」に分離されました。
控除額の算出方法
学資保険料の控除申請を行う場合、個人が控除額を算出して、「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」に記入する必要があるため、ここで控除額の算出方法について説明します。
控除額を算出する上で、新方式と旧方式があるため、加入している保険に合わせた方式で計算する必要があります。
新方式と旧方式は学資保険の契約締結日によって決まり、契約が2011年12月31日以前である場合は旧方式(旧契約)を、契約が2012年1月1日以後である場合は新方式(新契約)を取ります。
控除額は、「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」に記載の計算表を使い、新・旧方式、該当する保険料から該当する計算式を探し、保険料を当てはめて計算します。
※ 生命保険料控除証明書には、一般・介護医療・個人年金及び新・旧契約の区分の情報が記載されています。
新方式の場合の計算式は、以下の表の通りです。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
(参照:No.1140生命保険料控除|国税庁)
旧方式の場合の計算式は、以下の表の通りです。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
(参照:No.1140生命保険料控除|国税庁)
控除額の計算例
上記の表を用いて、実際の学資保険の控除額の求め方について説明します。
例えば、2011年10月に契約した学資保険で、年間の支払い保険料が80,000円の場合、旧方式のため80,000×1/4+25,000=45,000円となります。
2013年の1月に契約した学資保険で年間保険額が80,000円の場合、新方式となるため、80,000×1/4+20,000=40,000円となります。
この例のように、年間保険額が同じであっても、新方式と旧方式で控除額が異なり、また控除額の上限も違うため、契約締結日を確認し、正しい計算方式で控除額を算出する必要があります。
控除申請をし忘れてしまった場合
学資保険が生命保険料控除だとは知らずに、年末調整の時期を逃してしまうといったこともあるでしょう。
このように、年末調整において、学資保険の控除申請をし忘れてしまった場合は、還付申告を行うことで生命保険料控除を受けることができます。
なお、還付申告の申告期間は、その年の翌年の1月1日から5年間です。
まとめ
上記の通り、学資保険は生命保険の側面があるため、生命保険料控除を受けることができます。
しかし、年末調整で控除を受けるためには、「給与所得者の保険料控除等申告書兼配偶者特別控除申告書」に記入し、「生命保険料控除証明書」と共に提出する必要があるため、申請漏れがないように注意する必要があります。
また、控除額の計算は、学資保険の契約締結日によって異なるため、計算方法の選択に誤りがないかを確認しましょう。
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